昼食に誰かを待つ日は

2020年01月24日(金) 孤独ではない恋人を見た孤独

どうぞあなたも孤独であってほしい雨

生きるかなしみにキリンの首がある

ののしりの果ての身重ね 夜の闇


時実新子の川柳。この方を知らなかったことの後悔。「包丁で指切るほどに逢いたいか」女の書く川柳の、たった一文に滴るものがあまりにも濃く、言葉の濃度に、体温に、湿度に、息が詰まりそうになって逃げ出したくなる、男の気持ちもわかる。私が男ならば逃げ出しているだろう。さいきんすべてにおいての感情、喜怒哀楽の濃度が薄くなっているため、こういう風に濃度が濃い文章(簡潔に短いものだと尚)を見て、血流を良くしている。血が巡るような気がしてくる。


金曜日。仕事の記憶はあまりにない。りんごをむいて食べ、それから後は眠るだけ。多分、嫌われているだろうな。あの娘とこの娘に、と複数の女の顔が浮かぶ。好きじゃな、い。心臓がドクりと跳ね上がるようなことがあって、嫌な跳ね上がり方なのだったのだけれども、最近こんな動きを滅多にしない心臓にとっての運動になったかもしれない。でも好きな彼女たちの顔も、浮かぶ。うーん、愛おしき、あなたとあなたとあなた。
たいてい、ひとりだから凛としていて、強くて綺麗な顔をしている、私の好きな女たち。


最近調子が悪いのは、誰の悪口も言っていないからだと、今気がついた。
悪口を言わない人間は信用ならない。が、節度のあるもの、が好ましい。
落胆するほど退屈な悪口を言う人には近づかないほうがよろし。
上手な悪口を言うひとに会いたくなってきた。(以前世話になった編集者のおっさんが素晴らしかった。お前の魅力を俺は何一つわからねえ!と目の前で言われたときには感動すら覚えた)

けれど、何も言わないという選択肢の、楽なこと。

bgm けものー美しい傷 


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左岸 [MAIL]