てくてくミーハー道場
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2018年12月26日(水) |
『オン・ユア・フィート!』(シアタークリエ) |
「Conga」しか知らなかったけど、ナンバーがどれもこれも良かった。
最初にこの作品のチラシを見たときには、グロリア・エステファンの伝記ものだって知らなくて、まぁくん(朝夏まなと)が主演だから観よう、と単純に思っていた。
で、グロリア・エステファン&マイアミ・サウンド・マシーンについては、最初に書いたように「Conga」しか知らない洋楽オンチ(つうか、ジェネレーションずれ)だったこともあって、ストーリーもまっさらな状態で観ることができました。
その上で言っちゃいますが、ヒトの人生に文句つけるみたいで甚だ申し訳ないのですが、これ、音楽がここまで素晴らしくなければ、ミュージカルにするほどの題材ですか?と思ってしまいました。
本気でごめんなさい。
グロリアが事故に遭って脊椎損傷という大怪我を負ったこと自体ぼくは知らなかったことが申し訳ないですし、それはもう大変な試練だったことも分かるんですが、「ミュージカルとしては」全体的にドラマが薄味だったなあと。
おそらく、今でも仲睦まじいエステファン夫妻の半生が、話を全体的にぬるく感じさせたんではないかと(ゲス週刊誌的発想!)思う。
今でも活躍してらっしゃるお二人ですので、奥歯にものが挟まったような言い方しかできないんだけど、マイアミ・サウンド・マシーンの楽曲を使ったジュークボックス・ミュージカルにするなら、グロリア本人の半生ではなくて、グロリア的な女性を主人公にしたもっと劇的な展開のあるストーリーにしちまった方が良かったんでは?というのが正直な感想です。
今頃あれですけど、これは同じような作りの『ビューティフル』(キャロル・キングの半生を描いたミュージカル)では感じなかったことで、一体どこが違うのだろうか?と半日ほど考え込んでしまいました。
さらには『ジャージー・ボーイズ』との“面白さ”における多大な差(こ、こらっ/大汗)は一体何なのであろうと。
まあ、文句に終始しては申し訳ないので良かったところを挙げますと、グロリアのお母さんのグロリア(ややこしいっす)が思ってたよりデカい役で、イチロさん(一路真輝)にふさわしくて満足です。
主人公の母親役なんてな・・・と90年代ヅカオタとしては複雑(既に『シェルブールの雨傘』のたぁたんでその洗礼は受けてるんだが)な気持ちで観てたんですが、若いころのグロリア(母)の華やかさや現在のグロリア(母)の貫禄が遺憾なく発揮されておりました。
そしてその母であるコンスエロ(久野綾希子)の可愛さ。
グロリア(娘)のお父さんホセ(栗原英雄)の安定感。
ここら辺のベテラン勢はさすがだと思いました。
頑張ってたのはエミリオの渡辺大輔君ですな。
ヒロインの相手役するまでになったということで、感無量であります(そんな昔から観てきたわけでもないが)
しかし、エミリオって最後まで英語がカタコトなんだけど、あれは本当のことなんですかね?グロリアはえらい秀才だったらしくて、歌手になる前は大学で心理学などを専攻してたんだと。劇中でも、母国語のスペイン語はもちろん英語もペラペラという設定。
グロリア(母)がバンド加入やエミリオとの交際・結婚を快く思っていなかったのも、「大学まで行かせたのに音楽なんて」という気持ちや、劇中で描かれたような「自分が夢を諦めたのに」という嫉妬もあったのかもしれないが、エミリオに対する偏見もあったのかもしれないな。
グロリアもエミリオもキューバ生まれなんだけど、グロリア(娘)のお父さんは階級が上の軍人さんだったようで、キューバ革命が起きた時に彼の家族はマイアミに移住してる。合衆国へのパイプがあったんですね。
一方エミリオさんちの方は、彼とお父さんだけがスペインに移住して、その後にマイアミに移住してる。
この、間にスペインを挟んでる辺りに、彼の英語がいつまでもカタコトな事情があったのかもしれない。
とはいえ現在は「合衆国で最も成功した移民」の一人であるエステファン夫妻。
このミュージカルも成功してるし、苦労した甲斐があったのではないでしょうか。
なんだか、どこまでも奥歯にものが挟まったみたいな感想でごめん。
最後にまぁくんの出来ですが、色気はないが(コラ)真面目で健気で華もある美女っぷりでした。グロリアさん(本人)も、日本キャストには満足していただけるのではないかと思います。
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