てくてくミーハー道場

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2018年03月30日(金) 『ラ・カージュ・オ・フォール −籠の中の道化たち−』(日生劇場)

ておどるベスト3ミュージカルの中の一つですが、今回もその座は揺らぎませんでした。


ほんっとに素晴らしい。


観てる間中、自分が笑顔満面なのが分かるんだもの(一部、悲しむ場面もありますが)

行く前は、実のところ総裁(鹿賀丈史)のセリフが大丈夫なのかという心配がありました。でも今回は3年前のような呂律の怪しさもなく。結局あれは何だったんだろう? 体調のせいだったんだろうか。

ただ、今回は歌が若干弱っていたというか。

ぼくは、おそらくムリであろうことは承知のうえで、今一度総裁の『シラノ』(ミュージカル版)を観たいのだが、今の総裁がワイルドホーンをフルで歌うのは難しいかもしれ(略)



一方、ザザ(as 市村正親)はもう、自由自在。

日本ミュージカル界の国宝と言っても過言ではありますまい。まじで無形文化財保持者にしてほしいこの方。数多の演劇関係の賞をお持ちだし紫綬褒章も持っているけれども、それだけじゃ足りない。そう確信させられました今回も。

面白いのは、いっちゃんのザザは、昔は普通にきれいなニューハーフだったのが、現在では役に近づいてきて()初老の“元”美人ニューハーフになりかかってるところ。

豪華な衣装を着て濃い化粧をして強烈なスポットライトを浴びて出てくるけど、その直前に薄暗い楽屋でメイクアップをする「マスカラ」の歌詞が実感になってきている。

前回の『ラ・カージュ』では、ぼくは一幕ラストのアルバンが歌う「ありのままの私」にド感動したんだけど、今回はなぜかラストシーンにじーーーーーんときてしまった。

ひと騒動あってめでたしめでたしとなり、いつものように“狂人たちの檻”のショーがクライマックスを迎え、支配人のジョルジュがカジェル(踊り子)たちを一人ずつ紹介していく。

そして最後に、この店のトップスターであるザザが(この先ネタばれです)最大限にきらびやかに登場するかと思いきや。





(ネタばれです)






普段着で出てくるのよね。




ラストシーン、彼は、ラ・カージュ・オ・フォールのプリンシパル・ザザとしてではなく、ジョルジュの“妻”であるアルバンとして出てくる。

なんか今回、そこに思いっきりこみあげてくるものがあった。

観るたびに新しいところで感動できる、やっぱり名作ってこういうものなんだなと実感しました。





ところで、キャストが可能な限り続演するのがこの作品の特徴でもあるのですが、やはり、若さが必要なジャン・ミッシェルとアンヌだけはコロコロ変わる。

アンヌはここんとこみなこ(愛原実花)が続投しているが、ジャン・ミッシェルはぼくが観てる上演すべて違ってる。

今回の木村達成くんも「誰?」と思ってたら2.5次元住民()であった。

3次元へようこそ()木村くん。

歌はまあ、ふつうに合格ライン。ただ、感心するほどではない。

ダンスは、若干ぎこちない。やっぱりみなこに助けられてるレベル。

ルックスは抜群です。いやあ近頃の日本はいくらでも美青年を産出するんだなあ。「きれいな男の子」なんて、一生に一度出会えれば奇跡かと思ってたよ40年ぐらい前までは。

なんか、生クリームのケーキは年に一回しか食べられない超貴重品だった、みたいな感覚。

今やコンビニでも買える・・・あら、マズいこと書いちゃったかな。





話は戻るが、原作の映画(本当の原作はストレートプレイだそうだけれど)を封切で観た時には、こんなにウルウルくる話じゃなかったように記憶している。ただただドタバタして痛快な爆笑ものだった気が。

確かに、同性愛者差別に対する強烈なカウンターパンチは効いていたけれど。

なんだか、久しぶりにフランス映画版『Mr.レディ Mr.マダム』を観てみたくなったな。


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