てくてくミーハー道場

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2017年09月03日(日) 花組芝居 劇団創立30周年第四弾『いろは四谷怪談』(下北沢ザ・スズナリ)

北澤八幡神社例大祭で賑わうシモキタへ二日続けて行ってまいりました。

昨日ソワレ:山組キャスト(ゲスト:小林隆)

今日ソワレ:川組キャスト(ゲスト:渡辺いっけい)



『いろは四谷怪談』は、同劇団のレパートリーの中でも群を抜く人気作。とはいえ13年ぶりの上演なので、初見のご新規さんも多いんだろうなあ。

ぼくは“歴”こそ古いが(最初に花組を観たのは1989年の『かぶき座の怪人』初演)近年では毎公演忘れずに行くことができず、年に一公演都合がつけば行けるって感じのとんと薄情な客に成り下がっている。

そんなぼくでも、この『いろは四谷怪談』は、再演されるたびに(初演は1987年なので、観ていない!)欠かさず観ていて、“封印”公演(1994年に宮城県七ヶ浜国際村で上演)までオッカケをしたくらいはまってた。

その封印が解かれたのが2004年の世田谷パブリックシアター公演で、もちろんそれも観てる上での一番の感想は、

「(劇団運営上それが必ずしも良いことではないのは承知の上で)こういう芝居って、やっぱこういう狭いコヤで観た方が絶対良い。面白さが全然違う」

ってこと。

最後にくっついてるフィナーレは宝塚への憧れを示しているので(そうなの?)本当は大きい劇場でやらせてあげたいのだが(小さいコヤでやると、二丁目のショーパブにしか見えない)、演者たちのスキルが(以下略)

それはともかく、今回13年ぶりに本編を観て、ほとんど全部(台詞の一つ一つすらも!)覚えていたことに自分でも感心。

公演ごとに全部観ているとはいえ、連日通ったってわけでもないのにワンシーンワンシーンすばらしくよく覚えてるということは、それだけインパクトがあって記憶に刻まれている作品なんだなと。

それと、この作品、言ってみれば「ジュークボックスミュージカル」のはしりなんだよね。

有名ジャズナンバーに歌詞をつけたミュージカル仕立てになっているので、ナンバー(ポピュラーな曲なので、公演に関係なくときどき耳に入ってくる)を随所で耳にするたびに、例の歌詞がよみがえってくる。

これはうまい!そしてずるい。←

これに似た手法の作品として、同劇団には『南北オペラ』『シャンソマニア』などの作品があるのだが、使っている楽曲のポピュラー度もあって、この『いろは四谷怪談』ほどは成功していない(断言しちゃうあたし)



かように休憩なし2時間があっという間であった。

今回の公演の特徴として、お岩とお梅を一人の役者が二役で演じるという点が大きいのだが(もしかして、ぼくが見逃している初演もそうだったのかな。今調べがつかない)、これは確かけっこう昔の話だけれども、座長(加納幸和)がかわぐちかいじ氏(当時、『アクター』という作品の中で『四谷怪談』映画製作ネタを描いていた)との対談の中で、お岩とお梅は同じ女性の表裏なんじゃないか、なんて話をしていたような記憶がある。ぼくの記憶なんでアテにならないが。

今回の一人二役は、そのことに対する座長の一つの答えなのかなという気がしている。



ところで、シモキタもお祭りだったが、今公演は劇団にとってもお祭りで、連日ゲストがちょい役で花を添えていたのだが、もう一役、ラストシーン直前に出てくる“クリスマスの街にいる酔っ払い”の役で劇団の役者が日替わりで出てきている。

ぼくの感想は、昨日と今日誰だったか、ということではなく(ちなみに昨日はカツケン(笑)こと伊予屋(桂)と鳴流屋(丸川)がストリートミュージシャン(馬鹿くんバンドの生き残り?)役でけっこう長いこと路上ライブをやってくれた。今日は乙貝屋(磯村)が脂汗だらだら流しながら苦手なアドリブで会場を凍らせて()くれました)、四十七士と師直が賑やかに去った後に伊右衛門が言う名ゼリフ「また、夏は来るさ」までの間に、長々と空気の流れが途切れるようなアドリブシーンを入れる意味は何だろう?ということです。

これに関しては、ちょっと座長宛にアンケートで問い詰めたい()と思っております。

もしかして、座員の着替えの時間稼ぎだったりするのかな。(えっ/汗)



まあええわ。不満というか疑問点はこれぐらいで、やっぱり名作だなあという感想を抱きました。

題材が四谷怪談なので、これはよくある通り一遍の言葉ではなく、深い意味を持って(おい、怖いわ/震)、出演者、関係者の皆さま、どうか千穐楽まで事故などのないよう、連日大入りで締めくくれますよう、心よりお祈り申し上げます。

そしてぼくも“年一”見物を反省しまして、次回公演(『黒蜥蜴』)も楽しみにしております。


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