てくてくミーハー道場
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2017年03月04日(土) |
『コメディ・トゥナイト!』(新橋演舞場) |
うっかり(?)初日に行ってしまったことが吉だったのか凶だったのか・・・。
と書くと、「つまり『凶』だったんだろ?」と看破されそうですな。
まあ、それを最初に書くのはやめましょう(←書いてるようなもんだ)
副題が『ローマで起こったおかしな出来事《江戸版》』
これ、結構惹かれますよね?
絶対“変”(いい意味で)そうだもん。
でも、例によって映画『ローマで起こった奇妙な出来事』(監督は鬼才リチャード・レスター!“Funny”を“おかしな”ではなく“奇妙な”と訳されているところもミソ)は観ずに出かけました。
以前に観とくべきだったかも知れない。ミューオタならば。
すいません、勉強不足で。
そもそも、古代ローマを舞台にしたミュージカルっていう原作自体が“変”ぽいもんね。
それを日本の江戸時代にしたからって、おそらく「やんなきゃ良かった」という風にはならないだろうと。
その意味では、期待通りうまく改変してあって(男女関係や主従のありようとかが似てるし)楽しめた。
だが、今回一番強調したいのは、
愛之助の力にかなり頼ってた舞台だった(良くも悪くも)
ということ。
いやー、こういうときの歌舞伎俳優の底力(演技力&座長力)というんですか、毎度思い知らされますなあ。
いや歌舞伎俳優だからっていうより、ラブリンだからこその実力だったのかもしれないけど。
八面六臂の活躍とはこのことで、客層としては、「普段は歌舞伎を主に観ているラブリン贔屓」が半数ぐらい、4割が「ざっくりミューオタ」、残りの1割を、バラエティ豊かな出演者たちのファン、みたいな感じ(あくまでぼく調べ)だったんですが、一幕目が終わったころにはほぼ9割9分のお客さんが、ラブリンのポテンシャルに満足&驚愕していたと保証できます。
まずラブリン、あの超絶難しいソンドハイムのメロディを器用に歌いこなしていたことに、歌舞伎方面の見物はもとより、お客さんのほとんどがびっくりしていたと思います。
ぼくもびっくりしました(≧∇≦)←オイ
ラブリンに関しては、過去、劇団EXILE作品『影武者独眼竜』で本物のEXILEメンバーに交じって 「Rising Sun」を踊ったときから「ただもんじゃねえ」と瞠目していたわけですが、歌まで歌えるなんて、あんたすごいよ、と感動しきり。
奥さまもちょっと前からミュージカル方面へ活動の場を広げていましたが、ぶっちゃけこの夫婦、洋物(←語彙が年寄り)分野でもダンナの方が才能が(これ以上は言うまい)
そういや演舞場の次回公演に奥さまが出演するみたいでポスターが貼ってあった。お二人ともご活躍で何よりです(意地悪な意味にとらないでね)
というわけで、歌もダンスも(今回はたいしたダンスシーンはなかったが)できちゃう歌舞伎俳優・片岡愛之助、もちろん演技力も確かで、これがもうどんなに宮本亜門の助けになっていたことか。←?
というのも、テンポが肝のコメディ作品なのに、出演者の一部が(あ、コラ/汗)明らかに稽古不足を露呈していて、セリフのテンポや抑揚が適当だわ、入り出もちょっこら間違えるわ、いかに初日でもちょっと目に余るものがあったからだ。
演出家が一所懸命作劇しても、それをあっさりぶち壊してしまうのが演者の不出来。これには眉を顰めざるを得ない。
その不安なリズムをほぼ一人で軌道修正していたのがラブリンだったのだから、(歌舞伎オタと言わば言え)亜門はラブリンに未来永劫足を向けて寝られないと思ったことであるぞ。
というわけで、これからラブリン以外にも「良かったわこの人」と思った人を褒めますが、出てこなかった人は上記の“一部の人”だと思ってください(え? 問題にならない? 大丈夫?)
あ、出てこない人の中には、その「目に余った人」だけじゃなくて「特に印象に残らなかった人」もいますので(それも大概失礼ですが)お目こぼしをお願いします。
ラブリンの次に良かったのは、鈴木壮麻さん(関係ないけど、この変(コラ!)な字に改名したのが、ちょっと不満。売れた後に芸名を変えるのって、良かったためしがないのに、どうしてなんだろう? まあ、ソウマさんの場合は、そもそも「スズキソウマ」以前にも別の芸名だったわけだが)
ソンドハイムの個性的な曲をラブリンが歌いこなしていたことを上の方で感心していたぼくだが、壮麻さんが出てきてモリモリ歌い始めたとたん、ラブリンにはすまないが、
「歌が上手いって、こういうことですよね!」
と唸ってしまった。
あーなんて気持ちいい空間だろう。これを、これを待ってたのよ。(←)
東京公演では上山竜治君とのWキャストなのだが、申し訳ないがそっちは観に行けそうもない。がんばってください(←愛が薄いな?)
次に「おっ」と思ったのがお美津ちゃんの平野綾。
歌うまい。芝居もキュート。特に、コメディエンヌとしてイヤミがない。
彼女の実力は声優界では既に鉄板認識されているんだとは思うが、ぼくも何本か彼女が出ているミュージカル作品を観させてもらっているので、安心して観ることができたっていうのもあるのかもしれないが、いやー、感心しました。
草履をパシッととばすところなんて(←マニアック)最高だったなあ。
次に感心(上目線ですまぬ)したのが、ダイアモンド✡ユカイ氏。
これまたミューオタ意見で申し訳ないが、エンジニアをやった経験がきっと大きかったんだろうな。
「板に乗ってる人」として作品世界に馴染んでた。懸念していたような“ロックの人”っていう浮き方をしてなかったのが、すごく良かったです(あれ?・・・なんか、誰に感心しなかったのかバレてきた・・・?)
ちゃんとロッカーらしいカリスマ性もありながら、劇中の役になりきって存在していたところが立派だった。
「ギラッチ!」とか言ってごまかさないのも良かった(あれ?・・・誰が感心しなかったのか、だんだんばれてきてないか?)
え? 高橋ジョージさんも良かったよ。(←フェイント!)
いや、この人にはかつて『ロックオペラ モーツァルト』でがっかりさせられたからさあ(はっきり書くなよ!)
でも今回は、ちゃんと役に入ってたもの。
ただ、歌は自己流なんですねこの人。
以上。(←好き嫌いがはっきりしてるなあ)
今名前を呼ばれなかった方々、お疲れ様でした。(オーディションかよ)
いや、褒めてあげられないけど、一人だけ特記しよう。
内君。ここにいるということは、今月の帝劇には君は出ないのだね。
それが残念というわけではないが、少しずつ進むべき道が逸れてるような気がするのはぼくの気のせいであろうか。
いや、答えが判るのはまだまだ先かもしれない。
ぼくがその答えを知ることはないのかもしれない。
なにか、歯がゆさというかやるせなさを強く感じる内博貴のこれまでの道のりなのである。
舞台というフィールドをメインの生きる道に選んだのだから、小手先のかわいさを売りにしようなんて思わないでほしい(き、きつっ/汗)
将来のぼくを「すいませんでした」と言わせてほしい。
と、顔のいい子にはあくまでも甘いぼくであった。
まあ、初日ならではの酷さ(ひ、酷かったの?!)だったのかもしれないから、一週間ぐらいたてばこなれて良くなるような気がする。
これから行かれる方は、そんなに覚悟(?)しなくても良いかと。いや責任はとりませんが(オイ)
そうそう、初日の今日はラブリンの誕生日でもあったらしい。
カーテンコールでユカイさんが音頭をとって皆んなでハッピーバースデーを歌いました。
ほっこりほこほこ。
良いカンパニーなので、きっとこれから良くなるでしょう。
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