てくてくミーハー道場

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2016年03月27日(日) いのうえ歌舞伎《黒BLACK》『乱鶯』(新橋演舞場)

これまた、ぼくの先入観のせいで期待値がいつもより低かったことをお詫びせねばなりません。

まず、前宣伝で耳にした、「大人っぽい新感線」って何?!

いい年してバカ満開なのが新感線なのじゃありませんこと?!

と、いのうえひでのりさんのご期待通りの反応をいたしました。

荒唐無稽、完全娯楽であってこその新感線なのに、“ちょっといい話”をやろうなんて(そんなこと言ってたっけ?)それはだぁーめだ、いのうえさん。(←何様)

なによ、年とって(体型以外も)丸くなったの?(←無礼者)「いつまでもバカやってらんないよ俺も」なの?「最近、唐揚げよりナマコ酢が旨いんだよ」なの?(なんのこっちゃ)と、勝手に先読みして失望して、でもチケットはとった。←





安心した。

バカ満開ではなかったが、確かに「鼻の奥がツンとくる」山葵のきいた話だったが、ちゃんと新感線だった。



ネタばれは一発大きいのをしますので(細かくはしない)、ここで注意喚起。










今回の脚本・倉持裕氏の芝居は、たぶんぼくは今まで観ていない。観てるけど忘れたかも知れない(こら)

今作の雰囲気は、今はなき新国劇のようだった。

長谷川伸や池波正太郎が書いたような、と言ったら評価高すぎか?でも、そういう「大人の琴線に触れる」感じの話だった。

ぼくも立派な熟年なので、こういう内容の話にはすでに弱くなっているのだと思う。

善意がストレートに到達しない悲しさ、せつなさ。

『一本刀土俵入り』とか『荒川の佐吉』とか『鬼平犯科帳』とか、二十代の時にはさっぱり良さが解んなかったもんなぁ。

もちろん新感線なので、全編しみじみしてるわけではなく、目に楽しい殺陣(つっても、様式美のある歌舞伎や新国劇のそれと違って、かなり残酷な血しぶきビシュビシュなヤツなのだが)もあった。



ただ、殺陣の話が出たので、ここで大変残念なお知らせを一つ。

ふるちん(古田新太)、めっきり(悲しいので以下略)

この人、ダルダル体型のくせに(一言多いぞ!)殺陣だけはビシビシ決まりまくるところがウリの一つだったのに、今回あまりにも動きが鈍すぎた。←あ、はっきり書いてしまった・・・

年齢を自覚して、稽古期間は筋トレ、公演中は禁酒と禁煙を強く求めたい。

生来の素質だけで乗り切れる時期は、もう過ぎましたぞ。クドクド。←

で、この体型この顔のくせに(こらこらこら)素の芝居のところではなぜか二枚目に見えるところが古田新太の小憎らしいところなんだよなぁ・・・。



ふるちんの話が出たついでに役者陣について簡単に評しますと、新感線メンバーはいつものように適材適所で皆さん実力を発揮(特に高田聖子さんに泣かされた!)

ゲストでは、稲森いずみは手堅く、大東駿介は期待されていたとおりの危なっかしさ(笑)、清水くるみちゃんはこの年齢キャリアの女の子にありがちな変な硬さがなく、ストレスなく見れた。

そしてそれより、山本亨さんと大谷亮介さんのすばらしさ!抜群の安定感でしたわ。





話はストーリーに戻るけれども、いつもの新感線のようなスケールのデカさはなかったけれども、話は決してみみっちいわけではなく、単純な人情話のようでいてハラハラさせられたし、感情は揺さぶられたし、(ここで最大のネタばれをします)ラストシーン、十三郎と黒部がこのあとどうなるのか見せぬまま幕、というカッコ良すぎる演出は、まるで黒澤映画のようだった。



あ、そうだ。「大人の新感線」と標榜していましたが、(これもネタばれかな?)開演SEはいつもの「Heavy Duty」、カーテンコールは「Parental Guidance」でした。やっぱこれじゃないと新感線観た気になれないよね(喜)




↑やはりこれがないと寂しいやね・・・


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