てくてくミーハー道場
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2014年10月18日(土) |
『フレンチ・ミュージカル・コンサート2014』(東急シアターオーブ) |
よく考えたら、ぼくは『ロミオ&ジュリエット』と『ロックオペラ モーツァルト』しか実際に観たことがないのに(一部だけ、映像で視たり、コンサートで聴いたことがある、っていう曲はある)、果敢にもこのコンサートへやってまいりました。
ついていけるかドキドキ←
なんら問題なし。
歌の力は、「初めて聴くんだけど大丈夫かな?」という不安に勝りました。
いやしかしもう、なんつー歌唱力だろうか(いや決して先入観ではござらん。だって、「この曲には、アナタちょっと、違うんじゃない?」と思ったナンバーもないわけではなかったし)
Act1は、近年ヒットを連発しているフレンチ・ミュージカルのナンバーを、フランス語圏出身の俳優さんたちが原語で歌唱。
フレンチ・ポップス(と言っていいのかは分からないが)は1950〜60年代にかけて日本で流行ったので、ぼくら世代からすると、なにやら「古めかしいヒット曲」に聴こえるの。
アダモの「雪は降る」とかさ、フランス・ギャルの「夢見るシャンソン人形」とかさ、昔いっぱい流行ったわけですよ(これらの曲はね、いわゆる“シャンソン”とはまた違うんです)
それを今の人が聴くと、くるりと一周して「おっされ」になるんでしょうな。
ぼくも『ロミオ&ジュリエット』のナンバーを初めて聴いたときは、「あらあ、ぼくが物心つくかつかないかの頃に聴いたことのある感じだわあ。でも一周して(←ここ大事)オサレだわ」と思ったものです。
何と言いますか、感情に訴えるというか、悪く言えばベタというか、「やたら盛り上げますなあ」という印象。
だが、それをフランス語でやられると、欧米コンプの悲しさ(さっきから、どうも口が悪いわね)、「やたら盛り上げる」ところはなんら変わりはないのに、日本の流行歌とは、まったく違って聴こえるわけです。
例えると、「マイ・ウェイ」(これはアメリカ産の音楽だが)を、シナトラが英語で歌ってるのを聴いたときと、布施明が日本語で歌ってるのを聴いたときの印象の違いというんですか。
もちろん、使ってるスケール(音階)なども違うんですが、意外に、英米産のロックやブルースなどと比べると、フランス産の楽曲って日本の流行歌に非常に近いというか、日本人が「ポップス」を確立させるときに、くだんのフレンチ・ポップスをかなり参考にしたんじゃなかろうか、という気もします。
そんなわけで、日本人の耳には非常に馴染みやすいフレンチ・ミュージカルの世界(やっと本題にたどり着きましたか)
作品が交替するごとに大塚明夫さんの渋いナレーション(まるで、かつての細川俊之サマのような)が入るというワールド・オブ・エレガンス(分かる方だけ分かってください)な第一部でありました。
さてAct2は、「フランスを舞台にしたミュージカル特集」ということで、主にイギリス(ウエストエンド)産の作品からのナンバー。
日本未上演の作品もあったりして、「うわー、これ観たいな」と思わせる作品も数々ありましたが、やはり圧巻は『レ・ミゼラブル』
今回のコンサートは3回しか行われなかったのですが、その各回に日本人俳優がゲストで出演していて、本日はキーヨこと今井清隆さん。
キーヨさんといえばファントムだろ、いや、バルジャンだろーが、いやいや、ジャベールだよ、ジョンだよ、と、皆さんお好きな役は数々おありでしょうが、ぼくはやっぱりバルジャンかな。
だがしかし、本日は「フランス語で歌う(本物の)バルジャン」=ロベール・マリアンさん(めっちゃ美声で、いつまでも聴いていたいお声)がいらしているので、キーヨさんは『オペラ座の怪人』からラウル(とクリスティーヌ)のナンバー(やっぱファントムはロベールさんの持ち役なので?)「All I ask for you」と、『ラ・カージュ・オ・フォール』から「I am what I am」(キーヨさんは、ゲイを排斥しようとするダンドン議員役なんですけどネ)と、レミゼより「One day more」の大合唱に参加。
実は、「One day more」の時にキーヨさんのマイクトラブルがあり、めっちゃ残念。やりなおしてほしかったくらいです(;_;)
東急シアターオーブでは、これを皮切りにいろんなテーマのミュージカル・コンサートを企画していきたいとのこと。
今後の予想としてぱっと浮かぶのは、なんつっても“あの音楽の都”とか、最近超元気なアジアの隣国産の作品集なのですが、“世界に誇るエンターテインメント王国”のはずのわがニッポン産のミュージカルでこういうの作れますか? と考えたときに「う〜ん・・・」と思ってしまうのが(ないことはない・・・はずなんだけどね)悲しい。
もっとがんばれよニッポン。←
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