てくてくミーハー道場
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2014年09月20日(土) |
『シェルブールの雨傘』(シアタークリエ) |
昨日別件で日比谷界隈を歩いていたら、ちょうど(井上)芳雄君の“出”で、出待ちさんたちと和やかに握手やらお手紙渡しやらしてました。
ぼくは急いでたのですぐ通り過ぎてしまったのですが、すごく後ろ髪引かれました(笑)
で、本日めでたく公演を拝見。
前回の上演は二つ隣の日生劇場で、この作品としてはコヤがでかすぎる(集客的な意味ではなくて、内容と演出の具合が)と思っていたので、今回、ちょうどよく感じた。
前回観たときも一番思ったのだが、この作品て、一見べったべたのラブストーリーと思われがちなんだけど、実は「人生の選択」についてのとってもふかーいいお話なのである。
謝(珠栄)先生は、そういうところを常に真面目に追求される方で、ラストシーンの苦さが実に心地よく胸にしみる、良い舞台でありました。
一幕目は、ギイが召集されてアルジェリアへ旅立つシーンで終わるんで、まるで「起承転結」でいうところの「転」まで行っているように見えるのだが、本当はこの話、まだ「起」なんだってことが、最後まで観ると判るようになってる。
主人公カップルがめっちゃ嘆き悲しんで本人たち比最大に盛り上がってるんだけど(こらこら)、実をいうと、客はそんなに盛り上がらない。
それまで幸せそうだったカップルが、何かの事情で別れたから、「で?」としか思わない(そんな冷たいのはお前だけだ!)
いやいや、これからなんですよこの話は。これからが大事なの。と、原作の映画自体不朽の名作だし、たいていの方はご存じのはずだから以下略(←オイ)
ただぼくが何回観ても「うーん・・・」と思うのは、愛娘を金持ち中年となんとか結婚させようと画策するお母ちゃん(おいおいおい!)の心理である。
なんでさ。なんで自分が再婚しようと思わないの?(いや・・・だからそれは)
あの金持ち宝石商もそうだよ。目の前に色っぽい熟女がいるのに、なんで親子ほども年の離れた小娘(16歳という設定)のほうを嫁にほしがるんだこのロリコン!(あ、あの・・・そのへんで/汗)
・・・と、原作に思いっきりケチをつけたところで、うーんこれは多分お母ちゃんを演じたたーたん(香寿たつき)が若くてきれいすぎるからミスリードされるんだ(←バカヲタ)と納得している次第。
いやあたーたんの歌唱力および演技力はさらに磨きがかかっており、11月のヴァルトシュテッテン(『モーツァルト!』)も今から超楽しみ。
一方、ちょっと残念に思ったのが、新ジュヌヴィエーヴの(野々)すみ花。花組→宙組時代の堂々たる主演娘役の存在感から、今回もだいぶ期待していたのですが(退団してからの舞台もいくつかは観てます)、なんだか、一番不得意な“歌”が勝負だったこの作品には、残念ながらやはり歯が立たなかった感じ。
とにかく、芳雄君に比して声量がなさすぎ。
遠目で見たときの(←余計なひと言)容姿の可憐さは満点だったのに、惜しかったなー実に。
実はこの作品の中で最終的に最大の“勝ち組”である(こらっ)マドレーヌには大和田美帆ちゃん。
役柄としては地味100%で、特に目立つシーンとかもないんだけど、しっかり役目を果たしていて好感が持てました。
しかし、あの最初ギイが持ってた傘が、人から人の手にわたって最終的にまたギイのところに戻ってくるシーン、何度見ても「ぐっ」ときますな。
そして、原作の映画にはない、アルジェリアで戦うギイと、ジュヌヴィエーヴとカサールとの結婚式をオーバーラップさせるシーンでは、おばさん嗚咽が止まりませんでした。
どんな選択が正解なのか、そんなのは誰にも解らない。
だが、ラストシーン、互いの人生を壊さないように黙って別れてゆく二人の間に、その答えはあったのだろう。
うーん、深い。←
終わって劇場の外出たら、雨!
うわー!なにこの演出(いや違うだろ)
・・・これから渋谷でソワレが待っとります。
地下鉄が発達してる東京に住んでて良かった(←そういう結論?)
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