てくてくミーハー道場

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2012年10月26日(金) 音楽劇『シアワセはありますか』(マウントレーニアホール 渋谷プレジャープレジャー)

マウントレーニアホールって、フルネームこんなに長かったのね。

ま、それはどうでもいいとして(こら)、入ってみたら、あれ? お隣の「CBGKシブゲキ!!」に二階席がくっついただけのような。

これまでの催事からして、てっきり広めのライブハウスかと思ってたら、フカフカ椅子がきっちり整備された劇場仕様のコヤでした(なのに、ドリンク代Mustというのは合点がいかん・・・)

まあ、本日の出し物は、Liveではなくて、音楽劇。

主演は日本ミュージカル界のスターの一人・泉見洋平くん。

彼のプロデュースというわけではないのだが、ヨーヘイ君がずっとやりたかったものらしい。

内容は、よくある(出たよ、遠慮なしの感想が)「あなたは、大事な人に、伝えたいことを忘れていませんか?」みたいなことをファンタジーで見せる話。

テーマはありがちすぎますので、汚れた中年の心には入って来なかったのですが(やめなさいよ、そういうこと言うのは/涙)、とりあえずヨーヘイ君の歌声に久しぶりに浸ることができて、『シアワセでした』(←うまくオトしたつもりか?)



いや、本当のこと言うと、藤木(孝)さんのお芝居に、ついうっかり泣いてしまいました。

この歳になりますとね、親子もの(特に、父と息子、父と娘もの)で泣いちゃうんですよ。

今日が千穐楽だったんで、ストーリーを完全にネタばれさせますが、主人公の男(これがヨーヘイ君。どうやら売れっ子のミュージシャンだったらしい)は、1年前に死んで、タマシイだけが未だそのへんを漂っている。死因は不明である&そこは重要ではないようだ。

で、その彼女を演じたのが「あいあいあいあいあーいしてると〜♪」の久宝留理子さん(なーつかしい!)

男の父親が藤木さん。

20年近くも前に勘当して、絶縁状態だったらしい。

その父親が、ここがさすが藤木さんにキャスティングされたことはあるというか、ストーリーから想像されるような、厳格な父親ではなくて、ところどころめっちゃお茶目(これは、実際に観ないと伝わらないなー。来年徳島で再演があるそうですよ←回し者?)

でも、20年前にはかなり厳格だったようで、音楽で身を立てたいと願う息子に、

「苦労するに決まってるんだから、絶対だめだ!」

と反対して、家出されちゃった、という設定。

なので、息子が死んだ後、ずっと、

「あの時、自分が大反対してなかったら、お前は死なずにすんだのかもしれない」

と、自分を責めている。

他人事だから思うんですけど、そんなわけないよね。

人の生き死には、運命ですよ。どっちを選択しようと、死ぬときは死ぬんです(やけに達観してるのは、他人事だからです)

でも、そうやって「あの時こうしてたら」と思わずにいられない親心は、すごーく解るんだぼくにも。

客観的にはどうしようもないことで後悔し続ける・・・その愛情に、ぼくは泣けるんだなあ。



それに対して、“カノジョ”が1年間、悶々と落ち込みながら暮らしてる事態には、実に、実に実に残念なことに(?)、ぼくは一切共鳴しない。寂しい人間で申し訳ありません。

まあ、シアワセなことに、ぼくはこういうことが身に降りかかったことが(まだ)ないからかもしれない。

ラスト、“男”の呪縛から解き放たれて(違う! 愛されてたことを実感できてふっきれたの!)、数年後にウエディングドレスを着るシーンで終わったのですが、

「まー、良かったよね」

ぐらいの感想だった。

ホントに申し訳ない。

こんな、心が氷の人間に観られてたなんてヨーヘイ君が知ったら・・・めそめそ(←わざとらしいぞ!)





本編が終わったあと、ヨーヘイ君と藤木さんと久宝女史(もう「女史」ってお歳らしい。ぅわー!)が歌を披露してくれました。

久宝さんの大ヒット曲「男」がジャズアレンジで聴けて、得しました。


そして、ミュージカル以外でヨーヘイ君の歌を聴いてみて、忌憚のないご意見を申し上げたい(うわっ、イヤな予感・・・)

ヨーヘイ君、あと15年早く生まれてたら、きっとアイドル歌手になってただろうなあと。

彼は1972年生まれなんですが(び、び、び、びっくり! よ、40歳だってぇ〜〜〜?!)、今日歌ってた曲「うつつの夢」(ヨーヘイ君の作詞作曲だそうです)なんてのは、楽曲のムードといい、彼の歌い方といい、全盛期の野口五郎みたいでした。

ぼくが小学生から中学生にかけて日本の歌謡界で大ヒットしていた一連の流行歌そのもの。

考えるに、ミュージカルで培われたのか、それとも彼自身が元々持っているものなのか判らないが、ヨーヘイ君の歌が持つ、ある意味感情過多とも言える表現力は、この時代の歌手さんたちは、ジャンルを問わず(演歌歌手であろうが、アイドルであろうが)みんな持っていた。

悪い言い方すると、「クサい」歌い方なのだ。

当時の音楽界の最先端を行っていたはずの、グループサウンズ上がりの歌手の人たち(沢田研二とか、萩原健一とか、堺正章とか)も、実は、みな一様に「クサい」「感情表現たっぷりの」歌い方をしていた。

例え若い新人歌手であろうと、歌唱力のなさを童謡みたいな単調な歌い方でごまかしたり、意図的に機械的な歌い方で個性を出すみたいなことは、まだこの時代には発明されていなかったのだ(一説では、いしだあゆみさんがその“単調な歌い方”の端緒らしいが・・・あ、浅田美代子がいたなー・・・でも、男性歌手ではまだいなかったぞ)

今日、ぼくは、外国ミュージカルのナンバーじゃない曲を歌うヨーヘイ君の声を聴いて、

「どーも、誰かに似とる。どっかで聴いたことがある」

と、ずーっと思っていたのだが、どうやら、影山ヒロノブ先生だと思い至った。

声質が、アニメ主題歌声(そんな声があるのかよ)なんだ。(実は、ヨーヘイ君の歌手デビュー曲はアニメ主題歌だった)

そもそもヨーヘイ君、ヒーロー声というか、声優声だもんな。

そうか、彼があと10年遅く生まれてたら、きっと今をときめく人気声優になってただろうな。

いや、声優にしておくのはもったいないイケメ(←お前はまた声優業界を敵に回したいのか!?)

つうか、現状の人気ミュージカル俳優で何の不足もないわけですけどね。



まあ、次回も何かの舞台でお会いしましょう。

・・・しかし、1972年生まれとは・・・(←それが一番の感想かよ/呆)どう見ても8〜10歳若いぞ・・・。


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