てくてくミーハー道場

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2012年10月20日(土) 劇団扉座第51回公演『人情噺 端敵★天下茶屋』(座・高円寺1)

「人情噺」シリーズは、もう3作目なんだと。(←この口調からすると、前2作は観なかったな?)

・・・そうなんです、すみません。

善人会議時代から時々は拝見してるのですが、欠かさずというわけでもないんで、すみません。

なんで謝ってばっかり?

すみません(←前フリはもういいから)





『敵討天下茶屋聚(かたきうちてんがぢゃやむら)』という狂言は何度か観たことがあり、面白いんだけど、なんか不思議なストーリー展開だな? と思っていた。

そのわけは、元々端役の「安達元右衛門」という役が、四代目大谷友右衛門の工夫によってシドコロのある役(今風に言えば“おいしい”役)になっちゃったから、どんどん原作の設定を離れて見せ場が増えちゃったせいなのだ。

本当のストーリー上の主役は最後に父と兄の敵を立派に討つ早瀬源次郎なんだし、それに対する準主役は最後に討たれるニヒルな悪役・東間三郎右衛門なんだが、この二人が本当にドラマの中心に来るのは、ほとんど最後の方。

そこに至るまでに元右衛門が活躍しすぎるので、サイドストーリーの方が盛り上がってるという、現代劇だったら脚本家が叩かれかねないバランスの悪い芝居になってしまってる。

でも、歌舞伎ってそういうことがよくあるので、現代の観客は、そういうことを全然気にせず、東間三郎右衛門が編み笠を取るシーン(ただ出てくるだけなのに)では大向こうが声を掛け、元右衛門が登場すると、もっと盛り上がる。

つくづく不思議な舞台芸術ですよ歌舞伎って(今そういう話?)



で、そんな予備知識は全然必要のない舞台です。(・・・えっ?)

横内さんはスーパーカブキの脚本を何本も書いてるし、歌舞伎への造詣も深い人なので、そういった面を斟酌しつつ、全然詳しくない人にも親切な作劇をされている。

ストーリーも、全然『敵討天下茶屋聚』に沿ってはいない。木っ端な悪役である「安達元右衛門」へのオマージュという感じ。

その元々木っ端な役を、今や大御所(笑)の六角精児さんが堂々の主役として演じられたのだが、彼だけじゃなくて、彼が演じる「チュウさん」に騙され、ひどい目に遭わされる弱い人たちの職業は「悪役専門の俳優」というところに、ちょっとシビれた。

ワルい顔をしている人たちが実は弱者で、本物のワルは、人が良さそうな顔をしている。

しかしその中でも、「チュウさん」が追い詰められると「視神経がやられて」とか言って、目が見えない体で出てきたりして、『天下茶屋』を知ってる人間がニヤッとできるような仕掛けもしてあったりして、本当に楽しめました。



ラストの大団円(?)も、ふっかりと満足できるものだったのですが、どういうものか書いちゃうと、一番肝心なところをネタばれしてしまうので、書けない。残念。

あっあっあ、今「ダメ」を思い出したんだけど、これも書いちゃうとネタばれになるなー・・・えーとね、あの、三人の着物の“合わせ”が逆だったよう横内さん。ホトケさまの場合は左前だよう(←そういうのはアンケートに書けよ)





あとはね。

ゲスト出演の趣里ちゃん。“あの”超有名俳優さんと“あの”元超有名アイドルで現女優さんのお嬢さんだそうなんですが、ぼく、すみません、知りませんでした。

お顔の方はそんなに(こらっ)でしたが、度胸のあるお芝居をする子で、バレエを習ってるみたいで体もよく動いたし(最後の方で踊ったバレエはそんなにうまくなかっ/断)、きっと今後どんどんテレビで見かけるようになるんだろうなと思います。今でもちょくちょく出てるみたいですが。

六角さんが劇中で口ずさむ歌とか、開演前に流れてたBGMとか、1960年代生まれにはツボな部分も散りばめられてあり、随所ににやりとしちゃうような公演でありました。


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