てくてくミーハー道場
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2012年09月01日(土) |
『英国王のスピーチ』(世田谷パブリックシアアー) |
お、9月に入ったら、若干涼しくなったかも?(嬉)
台風のせいかな?
季節の挨拶はここまでにして(短!)感想いきます。
とても、良かったと思います。
え? パッションを感じない?
そんなことありません。
本当に良い舞台だった。
映画版と遜色のない出来だったと思う。
ま、ぼく自身英語がよくわかんないから、映画版のすごさがいまいち理解できないっつーのもあるんだが。
ヒガシ、すばらしかったよ。
コリン・ファースはアカデミー賞獲ったけど、日本人のぼくには、ヒガシの芝居の方がより一層沁みこんできた。
アルバート(ジョージ6世)の苦悩、焦り、怒り・・・そして決意。
てらいのない演出も良かった。
やっぱ、映画とは、そしてイギリスとは違って当然なのであって、例え主人公が英国王であろうが。
昔ぼくはこのブログだったか忘れたが、『吃又』という歌舞伎の演目について、「吃音て、そんなに絶望するほどのものなんですかね?」みたいなことを書いたことがある。
ぼくの周囲にも何人かいたし、日常生活にそんなに支障があるほどの障がいには思えなかったからだ。
でも、この映画(ぼくには珍しく、映画を先に観てました)を観て、吃音の原因(それがすべてとは言えないとは思うのだが)には幼少期からの精神的な傷なども影響していると知って、そうか、克服できるものなら克服したほうがいいんだなーと、そして、吃音の人たちはぼくが思ってるより、ずっとその“個性”に悩んでいるのかもしれないなーと、思い至ったのである(なぜ『吃又』で思い至らないのかは、やはりその、ストーリーによるものだと思う)
それとだ、今回の舞台版の演出(というか脚本)では、アルバート一人が主役ではなく、吃音克服を請け負う「言語聴覚士」であるライオネル・ローグの出自や現在の状況などを、映画版よりもきめ細かく描いていたように思う。
映画版では、オーストラリア人であることも、さほどネガティブなものとして伝わってこなかったし(ぼくの知識不足)、本当は俳優になりたいのになれてないっていう部分も、深刻な感じに描かれてなかった。単にシェークスピアかぶれのおっさんとしか。(←何ですって?)
と、ここでとても思ったのは、近藤芳正のすばらしさである。
彼のことはぼくはやはり東京サンシャインボーイズの公演で知って、以来“最強のバイプレイヤー”として認識してるんだが(主演の『ハゲレット』も観てますが)、コンちゃんと言えばやはり『笑の大学』の椿一そして、ぼく的に2011年のベストワンアクトだった『90ミニッツ』と、二人芝居の帝王(相方はどちらも西村雅彦であったが)という感じである。
これはつまり、脇役(というより準主役)として最強というか、自分も名演技を発揮しつつも主役を食ったりすることなく、いやむしろ主役をますます守り立てるという、真の実力者ぶりを感じるからである。
というのも(この後は不穏当発言になっちゃうかもしれないな)、前回ヒガシが主演した『ミシマダブル』特に『サド侯爵夫人』では、ヒガシはすっかり平幹二郎に食われていた。
全然ダメやな・・・ってくらい食われてた。
平幹二郎の底力オソロシス!と瞠目していたのだが、こうして考えてみたら、共演者を食うなんてのは、役者の実力としては“並”なんじゃないだろうk(お、いいかげんそこでやめとけっ/汗)
真実の実力者というものは、自分の力を十二分に発揮してなおかつ相手役のことも1.5倍ぐらい増し増しに見せるものなのではないだろうか・・・と、今回のコンちゃんの芝居を観て思い至ったのである。
どうでしょか(誰に訊いてんですか? 例によって)
というわけで、他の出演者の皆さんに関しては特に言及しませんが、おのおのとても良かったと思います。葛山信吾くんなんて、映画版のデイヴィッドの上行くイケメン皇太子っぷりで(いや、映画版はコリン・ファースを引き立てるために(何だと?!)わざとサル顔のガイ・ピアースにしたらしいよ)、『エドワード8世』の記憶も新しいヅカオタのぼくには嬉しい配慮(?)でございました。
王室メンバーは一様に美女美男子で、それを取り巻く政治家&宗教家たちは食えないおっさんたちで・・・みたいなキャスティングも面白かったし(油断のならない政治家として典型的なチャーチルを、愛嬌役者のラサール石井さんがやったのも面白かったなあ)
以上、そんなわけでけっこう満足できた舞台でございました。
とにかく、ヒガシの生真面目で堅い演技が良かった。
この人の本質的な性格はどうか知らないが(おっとこらこら)、ヒガシ=ストイックという日本人みんなの先入観を上手にキャッチした役作りだった。ヒガシの主演作としてベスト3に入るんじゃないかなー(他の2つは今ぱっと思い浮かばないけれども←オイ)
よし、明日はアレを当日券で観にいくか。(←こういうフラグは禁物)
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