てくてくミーハー道場

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2012年03月06日(火) 『サド侯爵夫人』(世田谷パブリックシアター)

久々にファーストナイト(初日)

我ながら気合入ってるねq(^^)p


この戯曲は男優だけで演じられたりすることも多いし、相当な演劇的体力を要する戯曲として有名でありますが。

女優だけで上演されたこともちゃんとあるらしいのですが、ぼくとしては今回が初見となりました。

期待は(当然)白石加代子さんとターコさん(麻実れい)

それと美波ちゃんにも期待してた。










※ネタバレ回避の行空け※










さて。

初日、というのが裏目に出たか(哀)期待の白石さんにまずセリフが入ってなかった(p_q)

ズドドドドド・・・とセリフの大波が押し寄せるのが三島戯曲の醍醐味なのであるが、それが急にプツッと切れるという瞬間が何度かあり、これはいただけない。

実は2008年10月に東京グローブ座で上演された“ぼく得”キャスティング(篠井英介 vs 加納幸和)のときも、加納さんが何度かセリフに詰まって非常に悲しかった記憶がある。

いくら演技力があっても、セリフが完全に入ってないってことだけは基本的にアカン。

残念なことである。

というわけで、本日の白石さんについて評はできない。

きっと今後は大丈夫だろうと思うので、これから観に行かれる方は、その辺のご心配はないと思いますよ。大丈夫ですよ。・・・たぶん(←おいこら)


ターコさんは期待通り。

美しすぎてカッコ良すぎてサド過ぎて(「あの方(サド侯爵)は、あたくしだったのです!」/笑)・・・おばさまっ!!! どうかそのハイヒールであたくしを踏ん(危ないので後略)

サン・フォンって、まー、一番得な役ではあるけどね。

昔玉さん(坂東玉三郎)がサン・フォンを演ったときにターコさんはルネをお演りになったそうなのだが、観たかったなあ・・・。

ぼくはこのお芝居、その上演の2か月後に水戸でやった篠井英介さんルネの公演が初見なんです。

演出家がフランス人女性のソフィ・ルカシェフスキーで、

「ジャポネ大好キ!」

みたいな演出だった(←コラ)

でも、そんときの篠井さんの迫力と色気がすごくてさー(あのー、思い出話はそれくらいで)

あっすみません。



話を今回の公演に戻すと、3人目に期待していた美波ちゃんのアンヌが、なんだかこれまたいまいちで、あれ? この人のこと買いかぶってたのかなぁ? と、これまた悲しくなった。

演出家(野村萬斎)のせいだろうか?(←こらこらっ)



返す刀で主役・ルネの蒼井優も斬ってしまうが。

まぁ、ルネも大変な役ですよ、確かに。

生半可な20代の女優ができる役ではないと思う。

セリフを入れること自体も大変なんだけども、何より、モントルイユ夫人(母親)との丁丁発止をしなきゃならんのだから。

でも優ちゃん、『南へ』のときはなかなか良かったですし、何よりぼくは『うぬぼれ刑事』にゲスト出演した時の演技に圧倒されて、それ以来注目していた女優さんだったので、今回も「やってくれるかも」という気分ではいたのです。

二幕半ばぐらいまでは、何とか無事にやってくれた、気がする。

でも、一番の丁丁発止どころと言える二幕終盤のシーンや、ルネ最大のセリフの聴かせどころとなる三幕後半は、素直に言わせていただいて、ぼくはウトウトしてしまいました(― ―。)だって、ずっと同じ抑揚なんだもの・・・

いやでも、ヒガシよりは良かったけどね(←見えません!)

・・・見ないで。お願い。



残り(コラ)のお二方。

サン・フォンと違って、損な役(そうなの?)と言えるシミアーヌ男爵夫人。

神野三鈴さんは、ぼく、きっと拝見したことのある女優さんのはず。

でも、あまり印象になかった。すみません。ほんと、適当に観てるんです最近(T_T)

シミアーヌって、いわゆる“お花畑”な人なんだよな。

三島はそういう人物に愛情持ってたとは思えないんだけど、でも、こういう人ほど、実は楽に生きてるのかもしれない(だからこそ三島に愛されないとも言えるな)

ぼくはでも、自分自身お花畑なところがあるから、こういう女性、嫌いではない。

サン・フォンにぐっと惹かれる一方で、でもやっぱ、お近づきになりたくないもの。あんな怖いおばさんとは(「踏ん○!」とか上の方で書いたくせに、本音はやっぱりそれか)


シャルロット(町田マリーさんは本当に初見)も、いわゆる“したたか”キャラ。

シャルロットって、最初から高年齢キャラに設定されることもありますよね。

なかったっけ?

・・・ことほどさように、あんまりちゃんと観てないわたくし。





野村萬斎さんの演出について。

装置とかは王道で、特に奇をてらった感じはなし。

衣装の使い方が面白くて、一幕ではシャルロットだけが時代設定よりちょっと現代に近い短いメイド服を着てる。

これは、6人の女性の中で、シャルロットだけが一歩先に目をやってる、っていう表現。

二幕になると、アンヌのスカートがちょっと短くなり、アンヌがルネたちより一歩先に進んだことを表してる。

そんで、サン・フォンも一幕とはガラッと変わって、現代人みたいなボディコンシャスなワンピースになる。

三幕になるとアンヌも現代人に。

ルネとモントルイユは全然変わらない。

この工夫が面白かった。

ラストシーンで、シャンデリアの鎖が切れるところも。




こうなると、歌舞伎役者オンリーの『サド侯爵夫人』が観たくなってしまう(セリフ術に満足したい)

脚本を改訂するのは三島的には許されてないのかな?

セリフだけは元のまんまで、雰囲気だけ戦国時代に変えるとかさ(『蜘蛛巣城』かよ)

あ、そうか。名前も変えちゃいけないのか。

いやこの際、天地会みたいになっちゃってもいいから、ドレスでやってくれ。

女方だけでやれば、何とか・・・な、らない・・・か、な・・・?

出オチにならないのは、玉さんだけかもしれないが。

芝居が進むにつれ、ビジュアルの不自然さなんてふっとぶと思うのだが。

上手い人がやりさえすれば(←念を押すなよ!)



松竹さん、どうでしょうか?

・・・一週間ぐらい、プロンプが必要かもな・・・、いや、もっ(略!)


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