ヒルカニヤの虎



 百八つ数える鐘が鳴る

大掃除もしないままいつの間にか年が明けた。あけましておめでとうございます。とにかく体調が戻らないのよ。あとこの年末年始は恩師の退官記念集の編集&DTPがあり、年賀状作成すらかなり遅れてしまいました。それでも年1〜2回しか顔を合わせない帰省組と会わないわけにはゆかず、なんとかランチorお茶で免除してもらう予定。塩気と酒がダメな時点でお茶が一番平和なんだと気づいた2015年の年の瀬。

大晦日夕方に毎年恒例でやってる東のり司会の吉本芸人総まくり番組と、八方・今田の楽屋ニュースは見た。でもついに今年はオールザッツ途中で脱落してしまったなあ。ケンコバと陣内と若槻を大阪に戻してくれるまで私待ってる。かわりといってはなんですが、がっちりめのネタ番組は比較的よく見た。
おもしろ荘のネルソンズ、自殺を止める男すごくいいと思います。体操のときは特に響かなかったのに。ZAZYが爪痕残せて嬉しかった。あと尼神インターはずっとおもしろ荘に出つづけてほしい。
ヒットパレードのナイツは新年一発目の漫才を「肛門見えても」で始めてくれていいんですよ。ところで「おら東京さ行ぐだ」のネタはまんま2014年夏放送の六人の村芸人ですよね。日村さんがカラオケで何度も歌わされて、途中から岡村が合いの手ツッコミ入れてたやつ。
ドリーム東西ネタ合戦は「今ちょうどいい芸人」が出色。やっぱり神々の遊びはやめるタイミング早すぎた。天津木村のエロ詩吟は声が出てないという1点において爆笑したわ。あとKOCでコロチキに負けたロッチの更衣室のネタは何回みても笑う。

ネタ番組ではないけどテレビ大阪の「わざわざ言うテレビ」新年SPも面白かった。長谷川さんのフジ批判かなり攻め気味。この番組出ててマギーちゃん大丈夫なんかね。あとウーマン村本の人間不信にもとづく臆病さ・視野の狭さ・硬直感のもろもろがわりと深刻で心配。これどっかで頭打つよなあ…。そんな問題児すらうまいこと捌く元板前・黒田有45歳。たもっちゃんええ感じのおっさんになってきたわーええわー。去年も「結局メッセンジャーやな」と書いた気がしますが、今年も「とどのつまりはメッセンジャーやな」でいこうと思います。新年一発目のそれゆけメッセンジャー楽しみ(にこにこ)

2016年01月01日(金)



 本当のことが誰にもわからない

理論上わかっていたことですが、1回の取材で覿面にウイルス感染しやがった!しかもいったんひいた風邪はまったく治る気配がない。おそるべし免疫抑制。調子のって取材行ってごめんなさい、と天に謝るしかない日々です。そして腎機能がネックでそうやすやすと風邪薬も飲めないのだった。面倒すぎる。

…というさなかに忘年会シーズン突入。
日曜は高校時代の友人と拙宅でおでんパーティー。参加者の半数がおそ松さんをほぼ知らない状況でおそ松さんを強制上映し、絵のうまいSさん(おそ松知らない派)に辛子でおでんにチョロ松と一松を描いてもらってED再現。その後おそ松さんプリントロールケーキ(銭湯クイズ)を皆で食べるという強引きわまりない議事進行です。楽しかった。本件において今年思い残すことはありません。
月曜は北陸から帰ってきた院時代の後輩Iちゃんと梅田でお茶。お茶といいつつ8時まで実に意義深い議論を戦わせていました。議題:なぜわれわれは30代半ばにして突如QUEENにはまったのか?そうなんです急にはまったんです。逆に言うとこれまでクイーンをまともにアルバムで聞いたことがなかった。
Iちゃんも私も今年きつめの病気になり(Iちゃんは開腹手術までいった)、回復期に急にQUEENを聞きたくなってずぶずぶ沼ったという経緯。あまりのシンクロ度にお互い驚き、やがて握手を交わしました。Iちゃんは学年は違うけど同い年。そしてわりと通ってきた道が同じ。そういえば2度のどうでしょう祭りもSATC熱に基づくニューヨーク観光もいつもIちゃんが隣にいた。クイーン病を発症する共通因子を考えるうちに「われわれはどこで道を誤ったのか」という大反省大会になり、結論としてはりぼん・なかよしから少フレではなく花ゆめ・マーガレットに移行したあたりからおかしくなった。あとまりとしんご。喋っててグラムの定義がわかんなくなってきたんですけど、クイーンも初期はグラムなんですよね…?違うの?

キンコメ逮捕で年末年始の特番たいへんそう。しかし私はキンコメのネタをいっこも覚えていないので特に衝撃もなく、また意外でもなく。むかしシャンプーハットのこいちゃんが「吉本にはとても感謝してる」って言ってた。自分のような人間は一般社会に野放しにされ、名前も顔も知られていない環境に置かれればすぐマンション1階に干してある女性下着を盗ってしまうから、と。こいちゃんは顔も名前も売れていて、それに見合う評価と収入があって、家族もいて、舞台で性癖を小出しにできて、それで釣り合いがとれているのだと思う。釣り合いがとれなければ行動になるということ。私は男性ではないので抑制しきれない性癖や衝動が理解できないけど、それでもこの世に誰かが「あってはならない」と決め付けてよいものなどない。

2015年12月28日(月)



 オールを抱いたまま死ぬがいい

おとといの夜は氷点下の札幌で居酒屋にしけこみ、大阪の編集者と東京のカメラマンさんとでプチ忘年会。終盤で大阪人2人が熱いお笑い談義になだれこみ、東京人を置き去りにする事態に。ちなみに編集君とカメラマンはほぼ泥酔だったのに対し、私は1杯程度しか飲めない身なので完全シラフです。編集君が現状のお笑い(※主に新生M-1)にどんどん後ろ向きになるので、景気づけるために話題転換をはかってみる私。
私「そういえば今年のTHE MANZAIはやすとも出ますね」編「へ〜やすともねえ〜どうせねえ〜(ぐでんぐでん)」私「海原やすよともこですよ?初の全国放送ですよ!?」編「やすとも…ええっやすともが!?(覚醒)」てきめんの効果があった。東京のカメラマンさんはやすともを知らなかった衝撃。

というわけでTHE MANZAIが賞レース形式でなくなってよかったと心底思っています。おかげでやすともが全国区の番組に出られた。近畿圏、とりわけ大阪に生まれた女がやすとも嫌いなわけないって私信じてる。ハイヒールも皆大好きだけど、残念ながらハイヒールが面白いのは素のしゃべりであって芸としての漫才ではないのです。むかしライセンス目的で京橋花月の漫才ライブに行ったとき、全組で唯一やすともだけが劇場を地鳴りのような笑い声で湧かせていた。師匠クラスの愛され方、そして師匠クラスの実力、それがやすともです。中川家と同期だけど、中川家をはるかにしのぐ普遍性をもつと思う(ちなみにこの2組があまりに漫才師として群を抜いているので、大阪の師匠連中は中川家礼二と海原ともこを結婚させて超サラブレッドを誕生させる、という野望を持っていたほど)。
いろんな女流漫才師がいるなかで、やすともは「女流」の冠を必要としない漫才師でもあります。今のお笑い界で女芸人は基本的に「笑われる」という立ち位置にしか立てないのに、やすともは徹底して「笑わせる」芸でありつづけている。そういった意味では女を感じないというたけしのコメントは正しいな。でも彼女らの漫才を「上手い」って言ったらダメなんだよ。いつかの単独で、ともこは「おもろいって言われたら嬉しい。上手いって言われたらなんやねんって腹立つ」って言ってた。上手い、と判断できる猶予を与えているようではまだ笑いとしてダメなのだと。あたりまえの話題を、変に繰らずに、目新しいオチもなく。大阪のおばちゃん2人がただ立って喋ってるだけで、どこを切っても文句なく面白い。たぶん1時間でも聞いて笑っていられる。今回のTHE MANZAIにかけたネタは鉄板中の鉄板、ここ10年の年末年始で各3回は聞いてるネタをちょっと薄めたものです。つまり軽く30回は聞いてる手垢のつきまくったネタなのに、なお笑ってしまうこの名人芸。来年はやすともの単独あったら行こう。京橋花月がなくなった今、やるとしたら祇園かNGKだろうか。
正直ほかの芸人はやや流し見になりましたが、ますおかはちょっと笑ってしまった。オマージュ漫才、これ劇場でやられたら悶絶する。チュートリアルのカメラマンネタめっちゃ懐かしいな!来年はメッセンジャーも出してください。

2015年12月20日(日)



 収まるように収まったなら

3ヵ月の休養から復帰した初仕事は氷点下の北海道。年1回しか雪が降らない地域で生まれ育つと、うっすら積もった雪にさえ安易にテンションが上がってしまいます。雪だるまだ!雪合戦だ!的な。しかし歩けないくらいの積雪、屋根や地面から吹き上がる地吹雪には真顔でどうしていいかわからない。この雪と寒さのなか普通のテンションで外歩いてる道民にも正直ちょっと引いてる。これからキャリー転がして札幌駅まで歩くのかあ…うんざり。せめて雪やんでほしい。
あ、仕事自体は特に問題なくできました。ひとまずよかった。



2015年12月19日(土)



 みんな悩んで大きくなった

エリヤンに続いてジューシーズも解散。正直もうあんまり驚かなくなってきた。別に芸人を辞めるわけじゃなさそうだし、年内にもう数組くる気もするし。ごく一部で囁かれていたライス解散説は田所さんが否定してくれていて安心しました。ライスはピンになるのも、現ライス以外の相方をみつけるのも無理。そして何より私が嫌。

お笑い好きのKさんと今年のM-1について語る。「私が望んでいたのはメイプル超合金とスーマラ、そして敗者復活を勝ち抜いたとろサーモンが決勝でぶちあたるという美しい流れです」と伝えたらすごく同意が得られた。さすが同い年。一方、1歳下のSちゃんはメイプル調合金の面白さがわからんとごねていました。あの子5年くらい前にスリムクラブ意味不明って言ってたな。人は変わらないものだな。

今年は水木しげる、野坂昭如が逝去。
子どもの頃お世話になった、猥雑で自由な大人たちが亡くなってゆかれる。

2015年12月09日(水)
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