2011年10月14日(金)...終わりの始まり

 其の言葉は、釈然を暴く為の切欠に過ぎない。終局を前に移ろい忘れた季節が佇んだまま、変化を拒んでいる。
 積年の起伏を全て、オブラートして、告げる。生温い泥濘の様な夢が、ぬるり、と剥がれ落ちるのが解った。目覚めたまま起床を放棄した昼下がりの様な庇護から、這い出すことが億劫になって随分と時間を浪費して居たのだと、気付く。
 ふたり、で居る事で濃くなる翳を、此れ以上見せ付けられたくはなかった。言葉を交わす度に、飽和した苛立ちが鬱積した幸福を刺激して、今にも沸々とした投げ遣りな暴威が噴出して仕舞いそうになる。
 矛先を幻影に奪われたまま、初恋の惑溺の中で明日を消費し切るよりも、死者、を知らない誰かの真っ白な幻想の中で生まれ直したかった。先を覆う堂々巡りの回顧に、塞がらない瘡蓋の様な傷が膿んで、もう、如何仕様も無い。

 一覧