2008年11月29日(土)...次次
街がイルミネーションを宿して、手招く。軋むスプリングの上でミラーボールが寄越すちらちらとした煌めきが、遣る瀬なさを一層掻き立てていた。心を奪う真実よりも、夢を売る偽りの方が随分と気楽だと、ぼんやりとした頭が思う。妥協点に在る価格が世相を反映して墜ちてゆくのを、仕方ないと受け容れた振りで承諾を逃れていた。
一昨日の腕の痛みに喰い込む指が、シーツに赤を落としても、胸を支配する安堵が思考を鈍らせている。此の世界で閉じてしまえば、何もかも美しく陶酔して仕舞える様な気さえするのに、如何して未だ明日を握ったまま、手放せずに居るのだろう。
2008年11月28日(金)...紛い物
疲れた、疲れた。全ての始まりが其れで、終わりさえも支配しようとしている。淋しさや狡さは愛しさの鍍金をして、一瞬の忘却や麻痺を得る為に渡る。真実を問えば掻き消える宛てにセイを割くことで、宿る感情を誤魔化し日々を繋いでいた。
出来るなら、もう、終わりにしたい。容認や愛情の有無を掴むために増えてゆく、何もかも全部、本当を突き詰めれば必要ないのに。
2008年11月09日(日)...蜜
夢を見た、のか、如何なのか、解らないけれど、笑って貰えた。世界が揺れて、戻らないまま、ふた月が過ぎた。相変わらず、煩く言葉が身体を貫き、原色を被ったかの様な禍々しい艶めきが押し寄せる。酷く痛む頭も、吐き気も、眩暈すら、もう、諦めに変わった。こんな未来を望んだ訳ではない、と、幾度叫んでも、戻らない。其のことに、苛立ちまた、傷を増やしゆく。眼を逸らしても、飛び込むイルミネーション、代替と不在が、罪悪感と虚無感になって此の身を苛んでいた。