2006年01月29日(日)...桎梏

 喪失の前で、其の眼に映すという当たり前の優しさを受け取ることに酷く怯えて仕舞っている気がする。

2006年01月17日(火)...温度

 暖かだった。11時を過ぎてお昼時に差し掛かった陽射しは酷く穏やかで、新快速から見るビルの煌きが気分を少しだけ陽気にさせた。瞼を透かして世界がオレンジ色に消える。此の侭ずっとこうしていたい、呟いた言葉に心臓の底が揺れた。
 今は、あの頃とは比べ物にならない程、時間がゆっくりと進んでいて、毎日が何気なく過ぎてゆく。1日1日の重みが軽くなって、もし、今日がなくても昨日と明日が繋がってしまうような、平穏がある。掌をぎゅ、と閉じて握っていた宛ての無い糸を、ふっ、と離した気がした。

2006年01月10日(火)...写真

 昨日のざわめきが0と1の世界に焼き付けられて、四角い枠に共有された時間がただ浮き足立っていた。其処にはあの眩しい光も縺れ合う身体や着衣の感触もなくて、知っている筈の初めての光景が広がっている。不意に、気持ち悪いな、と思った。

2006年01月01日(日)...新年

 明けましておめでとうございます、の文字が歪んでその意味を忘れる。コピー、ペーストを繰り返して、量産されたフレーズはアナグラムみたいだと思った。在るかどうか解らない宛てに絵文字が揺れて、まだ言葉が空気に触れていなかったことに気付く。

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