VITA HOMOSEXUALIS
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2017年12月26日(火) オナニー写真

 彼からも自分がオナニーしているところを撮ったという写真つきのメールが送られてきた。

 今度の写真はペニスの大写しで、顔は写っていなかった。

 一枚目は屹立したペニスの先から透明な粘液がひとすじ垂れているものだった。自分でしごいてガマン汁を出し、しごく手を止めて汁が滴り落ちるところを撮ったのだろう。

 二枚目はブレていた。かなり激しくペニスをしごいているシーンなのだった。

 三枚目は射精の後を写したものだった。ペニスの先からあふれた精液が数滴の珠を作ってペニスの脇を滑り落ち、陰毛の叢の中に届こうとしていた。

 私は射精のところを見てもあまり感じなかった。彼が激しく手を揺り動かしてペニスをしごいているところを見ても感じなかった。

 そのかわり、一枚目の、ガマン汁が滴り落ちている場面には感じてしまい、それを見ながら自分でもオナニーした。

 そしてもうひとつ、このたびの彼のメールには、「自分には変わった趣味がある」と書いてあった。

 「変わった趣味というよりは、ヘンタイなのかも知れません。俺のひそかな楽しみは、トランクスをはいたままオシッコを漏らすことです」

 それを読んだとき、私は妖しい興奮を感じた。かつての自分にも同じような嗜好があったからだ。だが、九州に行ってから最初の冬の、とある出来事で、そのことはもう、アタマの隅から追いやったつもりでいた。


2017年12月21日(木) 遠くのメル友

 それでその青年とメールのやりとりが続くことになった。

 彼は東北地方のある県庁所在地に住んでいて、配管工をやっているという話だった。独身で、私と同じようなアパートに住んでいる。仕事は不規則で、工事の日程が押してきたり、故障した箇所の修理だったりすると、深夜にもなり、休日もないことがある。他県にも自分のクルマで出かけて行く。

 最初の話はお互いの探り合いのようなものである。だが、彼が語る自分の姿が本当の姿かどうかはわからない。メル友というのは、そこが多少ウソであっても良いと思う。良いというか、許容範囲なのである。最初からそのようなものとして付き合っている。

 だから、二人の間がぐんぐん親しくなるという感覚がない。しばらく自己紹介のような情報を取り交わした後は、話題がなくなる。「いつ頃ゲイだと自覚しましたか?」とか「付き合っている人はいないのですか?」とか、まるでアンケート調査のような内容になってくる。

 そういう頃に、彼は自分の写メを送ってきた。そして私にも送れというのであった。

 写っていた写真は上半身ハダカである。体はやせていて、斜めの方向を向いている。体毛は薄そうに見える。自撮りなのだろうが、顔はややうつむいている。細い顔である。尖った鼻と細い目が、やや冷酷な印象を与える。髪の毛は固めていて潮騒のように盛り上がっている。

 非常に惹きつけられる顔体かというと、そうでもなかった。では拒否するかというと、そうでもない。私はこの顔が自分の方に迫り、唇を突き出してキスしようとしているところを想像した。この体が私の体に触れ、私がそのゴツゴツした骨格を抱いて絡み合うところを想像した。何とか行けないことはないと思った。

 お返しに自分の写真を送らなくてはならない。これは大変だった。私は自撮りをしたことがない。最初は変な下膨れに写った。心持ち上から撮るか、セルフタイマーで離れたところから撮ることもやってみた。どうやってもうまく行かない。

 私はうつむいてオナニーしているところを撮った。顔は髪の毛で隠れてほとんど見えない。最初はこれで良かろうと思って添付ファイルにして送った。

 彼からはすぐに返事が来た。「すごく感じた」と書いてあった。


2017年12月19日(火) 長い夜

 九州の私のアパートは職場のすぐ近くにあった。

 外回りの作業でない日は田んぼの中を歩いて数分で職場に着いた。かなり残業して帰っても遅い時刻にはなっていない。近くの居酒屋兼大衆食堂で夕飯を済ませて帰ってくると、その後は退屈だ。

 アパートには布団を敷きっぱなしにして小さな机の置いてある「リビング」と称する部屋が一つ。この部屋の床は柔らかい素材で、爪を立てるだけで傷がついた。

 その隣に小さな流し台とガスコンロのある台所。その向かいにトイレ。いちおう便座の温かいシャワートイレだった。トイレの向かいが小さな風呂。冬場はかなり冷える。熱い風呂に入ったと思っても、入っているうつに冷えてくる。

 博多の恋人とは連絡が取れなくなった。おカネを出せば男が抱ける店は熊本にあり、そこの浅黒い彼氏とも一回かぎりの付き合いではなかったが、たびたび通えるほどのおカネがあるわけもない。熊本にはまた多目的浴場というか、ハッテン場もあるという噂だったが、今さらそこで新しい男との出会いを求めようとも思わなかった。

 一日置きくらいにオナニーした。だがそれも退屈になってしまった。昔、長野県に住んでいた頃は、雪の舞い荒れる夜道を職場から帰り、まずガスコンロに火をつけて部屋を温め、それから石油ファンヒーターの温風を全開にし、ようやく体が温まったところでシャワーを浴び、酒を飲み、遠くのゲイ友のメールを読み、自分もメールを送り、そうこうするうちに下半身が疼いて、布団の中、それは分厚い毛布の中だったが、全裸でそれに包まり、手を使うのではなく、体全体を動かしてオナニーした。そのオナニーは激しく、いつもガマン汁がヌルヌルと出て、毛布を少し濡らした・・・

 その頃にくらべるとあっさりしたオナニーだった。勃起する時間も短く、勃起力も落ちているように思えた。

 ペニスをいじっていると陰毛に白髪を発見した。自分は髪の毛は禿げたり白髪になったりせず、黒いままであったが、陰毛の方に栄養とエネルギーが足りてないのだった。

 枯燥剤を撒いた庭のようにひよひよとした白髪の陰毛はみっともなかった。だから私はそれを電動ひげそりのキワゾリを出して剃ってしまった。剃るときに刃で少し皮膚を傷つけた。

 私は昔のことを思い出し、あのときどうやってメル友を探したのだが、もう覚えていなかったが、そういうサイトを検索した。

 そういう経験をしたことのある人なら誰でも知っている通り、最初は詐欺まがいのサイトにひっかかった。登録した途端に20通ものメールが来たのだ。だが、それを読もうとすると「ポイント」の購入が必要だった。

 ようやく私は無料のサイトを見つけた。しかしそこには高齢の人が多かった。その中に三十代前半の青年を見つけた。あまりどぎついことも書いてなかったので、とりあえず返信してみた。そしてしばらくそのことは忘れた。

 だがある日、私のメールスロットに見知らぬ人からのメッセージが届いた。
 あの掲示板サイトの青年だった。
 私は短い自己紹介を書いて返信を出した。


2017年12月13日(水) イクとき・・・

 私はそっと彼の乳首を吸った。

 彼は「あっ」と大きな声を出して身をよじった。

 私は舌先に力を込めて、硬く尖った彼の乳首を猛烈な勢いで舐めた。

 彼は叫び声をあげて体をくねらせ、ほとんどベッドからずり落ちそうになった。

 「感じるの?」

 私は熱くなってきた息を彼の耳元に吹きかけて聞いた。

 「ハイ」

 彼は恥ずかしそうに答えた。鼻の穴が大きく広がった。

 私は舌を彼の脇腹にずらした。そのまま激しい勢いで舐めながら、徐々に舌を下半身に沿わせて行った。彼の汗の名残りなのか、塩っぱい味が舌に染みた。

 私の舌はついに彼の陰毛の叢にたどり着いた。少し酸っぱい獣のような臭いが感じられた。彼のペニスは大きくなっていた。私はその亀頭を舐め、それからペニス全体を咥え、首を上下に動かして口で彼のペニスをしごいた。

 正直なところ、私は彼が本当に感じていたのかどうかはわからない。彼は敏感に叫び声をあげ、身をくねらせ、ときには腰を浮かせて激しく動いた。口は大きく開き、白い歯がほの暗い照明に輝き、鼻翼は大きく開き、呼吸は大きくあえいだ。

 だが、彼の目は上気していなかった。彼は心の底では冷静であるように見えた。

 私は彼のペニスを握った。その手を動かした。最初はゆっくりとくねるように。それからだんだん力を入れて早く。最後は振動させるように。

 そのたびに彼はハッ、ハッと喘いだ。だが私には彼が本気で感じているとは思えなかった。

 私は手が疲れてきた。さっきまで勃起していた私のペニスもやわらかくなった。

 私は体の向きを変えた。シックスナインにした。目の前に彼のペニスがあった。それをくわえた。私は彼の目の前に自分のペニスをさらした。

 「舐めて・・・」私は頼んだ。彼は素直に従った。私のペニスが彼の口の中で弄ばれた。同時に、私の口の中で彼のペニスが大きくなってきた。私は彼の体を抱き上げるように腰を持ち上げた。

 私は突然もとの体位に戻った。彼の顔があった。夢中でキスをした。最初はいやがるような素振りに見えた彼は私の唇を受け入れ、舌を入れてきた。私たちは顔をくっつけたままお互いの舌を絡めあった。私は彼のペニスを握った。それを猛烈にしごいた。彼の「アッ、アッ」という声の感覚が短くなった。

 彼は目を閉じた。

 「イキそうなの?」私はそっと尋ねた。彼はこっくりとうなずいた。

 「イッていいよ、イッておくれ」私はやさしく耳元でささやいた。しかし手の勢いはゆるめなかった。

 彼のペニスがピクピク反応した。

 「ヤバい、ヤバい」彼はうめいた。

 次の瞬間、真珠のように輝く精の珠が彼の先端からほとばしり、胸や腹に盛大に飛散した。

 「ハア〜」彼は大きく息をした。飛び散った精は水滴の形をしたまま彼の体の上で輝いていた。私はその一滴をそっと舐めてみた。

 甘かった。

 これまでにも人の精液を舐めたり、飲んだりしたことはある。だがそれは酸っぱく、苦く、甘いことはなかった。甘いのは初めてだった。どうして精液が甘くなるのか、私にはわからなかった。

 飛散した彼の精をひととおりぬぐい終わったあと、私は自分が十分に上気しているのを感じた。顔が熱く、涙が一滴すべり落ちた。

 「今度は俺がイク」私はいどみかかるようにして彼を抱き、自分のペニスを彼の腹にこすりつけた。彼に手でしごかせたり、舐めさせたり、いろいろなことをしてもらった。

 「オレ、ガマン汁がすごく出る方なんだよ」私は喘ぎながらささやいた。

 「いまオレ出てる?」

 「ヌルヌルです」彼は手を動かしながら答えた。

 そうか。私はそんなに興奮していたのか。「ヌルヌル」という彼の言葉が私のアタマを酔わせた。私はペニスを彼の腹に押し付けながら獣のような声を出した。彼もその声に反応した。私のペニスをこすろうとする彼の手を私は止めた。

 射精する寸前。私は極限まで興奮していたが、一瞬すべての動きを止め、彼から体を離して上半身を起こした。

 一度射精した彼のペニスは小さく丸まって、包皮がその先を包もうとしていた。彼の目は依然として薄く閉じられ、顔全体は恍惚とした高揚感をとどめていたが、もはや鼻腔や口元は先程のように開いてはいなかった。

 私は自分の手でペニスを根本から先に向かってしごいてみた。じわーっと透明なガマン汁が集められ、それは先端からとろっと垂れて、水飴のように糸を引いた。私は彼のアタマを抑えて、その糸を彼の口元に垂らした。彼の顔は再び上気し、熱い鼻息が漏れた。

 私は彼を抱きしめ、激しく腰を振った。獣じみた声が出た。自分ながら、どこからこんな声が出るのか不思議だった。ブハッ、ブハッというように叫んだあと、私は射精した。

 私の精は彼の腹の上に水たまりを作った。「すご〜い」と彼は感心した。もっとも、これはウリ専のボーイさんたちが客サービスで褒める常套句だ。私の精は彼の腹から垂れてシーツを汚しそうになった。それで私たちは慌ててそれを拭った。

 私は彼が好きになると思った。

 福岡の恋人のことを忘れたわけではない。だが、私の体が男を求めてしまう。それは自制できない衝動である。福岡が好きなことに変わりはないが、彼と連絡が取れないかぎり、私は熊本のこのボーイさんとの逢瀬を楽しむだろう。もちろん経費はかかる。向こうは商売である。だがこの快感はオナニーでは得られない。

 私を魅了するのは浅黒い男の筋肉なのだ。私の手に応じてぴくぴく動くそのペニスだ。私の愛撫に応じて汗を流す脇腹だ。私の唇に反応して硬くなる乳首だ。私の耳元での囁きに応じて、濡れてくるその目づかい、緊張して広がる鼻翼、恥じらいつつも感じて開いてしまうその唇・・・

 私は寒い電車通りを歩いて帰った。妙にフラフラする夜だった。ラブホテルのネオンが寂しそうに輝いていた。


2017年12月02日(土) 身の上話

 ウリ専のボーイさんとは、一夜かぎりの体の快楽を楽しむもの。

 彼がどんな人であるか、どこに住んで何をしているのか、根掘り葉掘り聞いたりしないのがマナーだ。

 彼は聞かれても答えないし、答えたとしてもてきとうな作り話だ。

 そう、わかってはいるのだが、熊本となると東京や大阪とは違い、世間話をすれば知っているところも共通するし、訪れたことのある場所もだいたい一致する。

 私が単身赴任でこちらに来ていることや、福岡に愛人がいたことなど、ぽつぽつと寝物語に話すと、彼もぽつぽつと問わず語りに自分のことを語りだした。大学生でシステム設計を勉強していること、だからこの店のサイトも作らされていること、両親は別居していて、母親は少しアル中気味・・・これ以上言うと、熊本の店に行ったことのある人なら、彼が誰だかわかってしまうからやめておく。

 でも、私は彼の話を嘘だとは思わなかった。作り話だとも思わなかった。そのときはなぜか、ありのままを信じたい気分になっていた。

 浅黒いが髭の薄い彼のかお。白い歯、脇の下からかすかに漂う麝香のような汗の香り、フルマラソンを走るというだけあってもっこりと膨れ上がって硬い太もも。

 薄暗い照明の下で、レゲエのような激しいリズムの音楽に身をゆだねながら彼の話を聞いていると、不思議に、心底から彼がいとおしいと思えるようになってきた。

 私は次第に勃起し始めた。

 そうして私は彼にささやいた。「ちょっと頼みがあると」

 「なんですか?」 彼は素直にこちらを向いた。

 「オレはすぐにイク。年ば取って体力の落ちてきたけん、しょがなか。イケば一回で終わる。ばってん、それだけではつまらんと」

 私が使うのはニセの九州弁だが、とりすました標準語で話すよりは地元の人に受ける。

 彼がまじめな顔で私を見つめる。

 「キミにイッて欲しか・・・」

 「射精ばしてくれんね・・・」

 私は、ウリ専のボーイさんは、お客をイカせるが、自分からはイカないのだと信じていた。いろいろな客にそれをやっていたら体がもたないだろうし、客が興奮しても自分は興奮しない訓練を受けているはずだからだ。

 しかし、彼はこくんとうなづいた。

 私は彼を抱き寄せ、唇を吸った。


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