RMの日記
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2009年05月29日(金) 研究者に必要な能力

学会でいろんな人と交わり、多いに刺激を受け、アイデアのヒントになることももらった。今回の二国間会議では共同研究の芽を作ることが目的。一人の技術、能力だけで大きな研究をするには限界があることは皆が感じている。その上での共同研究。共同研究をしかけるにも依頼されるにもネタ、技術が要る。ネタを持ち、しかもコミュニケーション能力の高い人たちが共同研究を始めた傾向があるように思えた。自分自身はまだネタを提供するところまでいかず、もどかしいまま。人に気が遣えて、人の持っている技術を吸収する能力が有り、人の研究の利点をすばやく理解する能力が有り、自分の研究の重要性を訴える実力が有る人が共同研究を始める。現代の研究者に必要な能力の多くはコミュニケーション力。人のことを受け入れることができる力、人の思いを想像できる力。そういうものがないと務まらない現代の研究者。


2009年05月28日(木) 落ち込むこともある

 どっぷり研究のことに浸かれる出張。研究者としてのおもしろさを堪能できる時間が流れている。業務に追われる日常でも工夫して研究のことに頭巡らせる時間を増やさなきゃ。って出張のたびに思うけど。
 今回の出張では落ち込みもしている。周りの人たちの研究レベルが高い。どんどん新規遺伝子を見つけ、キャラクタライズしている。遺伝子にさえたどりつかない地味な研究を展開しているから、はやりの共同研究も展開できない。共同研究を頼まれることはあるけれど、こちらが主導となったものを提案できない。大きく発展していけない。もう10年も続けている研究だけど、なかなか遺伝子にたどり着かない。もどかしすぎる。いつまでこの研究をこのスタイルで続けていいんやろか。いつまで忍耐して難しいことにチャレンジしていっていいんやろか。


2009年05月27日(水) 素敵な国

 現在北欧に滞在中。とても素敵。一番素敵なのは、控えめな人が多いこと。国全体が裕福で余裕があるように感じる。ガツガツしていない。譲り合える。人の話を最後まで聞ける。日本人に似ている。とても心地いい人たちである。こんな国民性をもつ国があるとは知らなかった。声も大きくないし、講演の後は譲り合って質問しなかったり、質問しても攻撃的なものはなく、常に建設的。話する調子が穏やか。今回会った人だけの特性と思っていたけれど、他の人に聞くと、ここはみんなそんな感じなのだとか。日瑞の交流が密かに大事にされるのはそんな国民性に寄るのかな。ああ素敵。
 この研究分野を国が力を入れて強化している。研究費は莫大ではないが十分な額。研究者のサラリーも良い。研究レベルは非常に高い。権利の主張をし合わないので、日瑞共同研究はうまくいく例が多いのだそう。ああ素敵。
 食べ物がおいしい。味がある。まずいものがない。野菜が多い。高くない。日本人の口に合う。ああ素敵。
 体が大きい人が多く、家具の大きさが合う。身長が185cmあるので、日本の既成の事務机なり、実験台は低くて、なんとも疲れる。こちらの椅子の高さ、机の高さ、トイレの便座の高さ、ベッドの長さ、すべて日本よりも楽に使える。北欧系飛行機(エコノミー)に乗ったが、席の間隔が他の会社より広く、楽に過ごせた。肩こりも少なくなるはず。ああ素敵。
 日本からのダイレクト便が少なく、日本人観光客が少ない。ああ素敵。
 大きな欠点は、冬にほとんど太陽がでないこと、寒いこと。国民の1/4は鬱になるらしい。いまは夜11時に寝ても朝4時に起きても明るく、得した気分。少し疲れてしまう気がするけど。この点を除けば、ほんとああ素敵。この国に留学したかった。


2009年05月24日(日) 一人になる

 このところ出張が相次でいる。出張には、緊張の時間が必ずあり、疲れてしまうけど、いい点がある。一人になれる時間がとれること。普段大学では、実験室の学生と横並びの机に座り仕事する。メールは頻繁にあるし、電話もあるし、学生から実験の相談があるし、教授から依頼仕事がくる。1時間とて何にも邪魔されず何かに集中できることはない。家に帰れば、3歳Rと1歳Mがまとわりつく。
 普段できる工夫は朝7時出勤。9時くらいまでの2時間は人がいないので集中できる。たまに論文にとりかかるけれど、日々のこまごましたやらなくてはいけないことを片付けるのに大概が費やされる。この2時間はすぐに経ってしまう。他の大学の先生方は夜中に一人の時間を作っている人が多いと思う。夜はイマイチ集中力が出ない。
 論文を書くなど一人になって仕事したいときは、出張がとても都合がいい。先週の出張では、1日目はホテルチェックインまでかなり時間があったので、ファーストフード店へ。2時間がんばって飽きたので別の喫茶店へ。ここでも2時間。周りに人が結構いるけれど、一人になれるのである。店で仕事するときは、その店の雰囲気がとても重要。残念ながら今回の出張で入った店はイマイチ。はじめの店では元気な高校生集団が途切れなかったし、次の店ではJ-popがにぎやかに流れ、また座った奥まった席は喫煙席。
 1周りの客が静かであること、2BGMが落ち着けるものであること、3店員さんがあまり来ないこと、4机が広いこと、5インターネット環境があること。これらが満たされれば最高。今回の出張で入った店は特に1〜2が満たされなかったが、普通のお店でこの点が満たされるところは少ない。家の近所に1〜4までが満たされる店がある。土曜日の午後にキャラメルカフェラテと共に数時間こもることがある。誰にも会わない感じの奥まった席があることと、店員さんが上品なことがポイントが高い。
 現在別の出張中。行きの10時間のフライトはとても良かった。いつもは映画を楽しみにするのだが、格安チケットのせいか、個人用モニターがなく、小さな共通モニターで流れる映画は陳腐。隣の北欧系のカップルはずっとイチャイチャしており、このことも集中させる要因に。隣が日本人だったらしゃべったり気を遣ったりあるし。このパソコンはバッテリーが充電なしで5時間もつことも大きく、論文が書けた。一通り書き終えた。でもまだ足りないところがあり。


2009年05月18日(月) 急に変わるとき

人が一日で変わることはあり得ないのだけど、急に変わったように見えるときがある。学生が急に力をつけて、研究の議論についてこれるようになるときがある。何かポジティブな結果が得られて自信が出てきたとか、研究に興味がわくようになったとか、そういうきっかけでそうなることがある。ここのところのUくんがそうである。議論できるのである。小所帯の研究グループにとっては大きなことである。一つ悩んでいたデータの解釈がUくんから提案されて何とももっともらしいのである。驚いたし、うれしかったし。あいかわらず勉強はそんなにしていないけれど、研究のことをここのところ熟慮している節があることがうかがえる。急に変わったようにみえたが、そう、やはりここのところ彼なりにいろいろ考えている。家でも考えていることがうかがえる。そうなんよ、実験室を離れてるときも常に考えていることが、いい実験計画を作れたり、いい実験結果に出会えることにつながるんよ。何がいい方向にさせたか。実験結果が最近出てきていることが大きいのかな。実験に慣れてきて、余裕が出てきたのが大きいのか。彼に身近な一つ二つ上の先輩のがんばり方を伝えた(がんばり方に気づいた)のがよかったのか。このまま実力つけていってほしい。


2009年05月14日(木) いま欲しいもの

書類書きの驚異的なスピードが欲しい。一気に9割方書き上げてしまう初期段階のスピード、仕上げるスピード。明日は来週、再来週の学会のポスター、パワーポイントを仕上げる。投稿論文の図、レジェンドを完成させる。企画展その1のストーリーを書き上げる。その間に電気工事、廃棄物品リストアップ、アルコール使用明細書。6月から実験できるように、計画通りにスピードを上げて書類書き。


2009年05月13日(水) 海外渡航

再来週から海外渡航。豚インフルエンザ感染者が出ているヨーロッパの国へ行くので、大学からは自粛を求められている渡航。海外から帰ってきたら、大学への健康状態の電話報告と7日間の自宅待機。ほんとに7日間も大学に行けないのかな。休んでる余裕はないのですが。感染拡大防止は努めなければならないので、理解はしますが、感染可能性がとてもとても低いので、接触した人の健康状態と自分の健康状態が確かめられたら、勤務可能としてくれないのかな。ウイルスの潜伏期間がどうだ、とか言われると何も言えなくなるし、議論して勝てはしないですね。議論して理屈で制度変更できるなら、7日間の待機が5日間になるくらいですか。大学事務の人に間違って「この制度、何とかならないものか」と言ってしまったのですが、「きっちり守ってください」と諭されました。他の大学ではヨーロッパ渡航であれば、自宅軟禁が解除されたので、私の考えが特別なものとも思えません。こういうことにはとてもストレスを感じます。


2009年05月11日(月) 他大学から

他大学から大学院に入学希望の学生が初めて現れた。地道に学外活動してきたからなぁ。2年前から立ち上げた研究会の意義は自分にとってとても大きい。自分の居場所を作ったことにもなったし、純粋な研究の交流会になっているし、そこで知り合った学部生が大学院希望してくれるし。学部生が大学院の進学先を決めるのは大概は、印象が良かったとか、イメージがよかったとか、大学のネームブランドとか、そういうものが多いけど、とにかくうれしいや。いくつか調整しないといけないことがあるけど、何とかして、来春から一緒に実験できますように。


2009年05月08日(金) 思惑

企画展の担当になってしまった。お願いされたのか。そか。教員歴が長くなってくるとこういう役回りが多くなってくる。WGで主役的に動かないとまったく動かないこの企画。今日の会議では、ニコニコしながら、本気で取り組もうと思い、積極的に発言した。まじめに考え、この専攻のこと、企画担当の部署のこと、さまざまな人の顔を思い浮かべながら。会議中にふとカラ元気な自分にハッとしたりはあった。もう一編の論文を気合い入れて書いている最中なのだが、この企画展関連のため、2日間筆が止まってしまっていることを思ったり、学生がいま進行させている実験の詳細を頭が巡ったりで、一瞬ハッとするのである。誰のための企画?、あの人の思惑一つで企画が立てられこちらはこんな気持ちになるん?、と一瞬ハッとするのである。という2時間の会議。楽しみます。次の休みの日は家族連れて、関連の資料館に行こっか。長距離ドライブになるけど。


2009年05月07日(木) シニアオーサー

シニアオーサーになったオリジナル論文を初めて投稿した。短い論文やけど、自分で見つけた感、自分が発見した感が大きい。研究に自由さが出てきていると自分で分析できる。いろんなしがらみが取れてきていて、それが自由さとして現れている。こういう意味では自信になってくる。小さい論文ではあるけれど、この積み重ねが大きな発見につながっていくので、こういうオリジナリティのあるものを継続して出していきたい。


2009年05月06日(水) 人の気持ちを想像する力

軋轢の中で生きていくのに肝要。傷つけて傷つけられていつも思う。歳を重ねるごとに頑固さが見え隠れするのはなぜ。


2009年05月05日(火) 大切な人

 一番力を入れてやっている研究。イギリス人と共同でやっていて、結果がネガティブだった旨のメールが今日届いた。始めて10年になる研究だけど、一向に結果が出ない。もうやめた方がいいと思う。30代後半の今、業績を積み重ねてポジションを得る準備をするときなのに、結果が出ない研究をずっとやっている。周りの同年代は、昇進していき、うまくやっているように見えるだけに、しんどい。
 この世界にまだ隠れていることを見てみたいので、研究をしていている。まったくわからないことを研究対象とすべきで、その点では正統な研究をしている。けれど、成果が出るのに100年かかる研究はまともに対峙するものではない。数年、5年、10年という単位で何かしら明らかにできる研究を積み重ねることで、100年かかる研究に取り組んでいく。この課題は100年かかる研究に思えてくる。そんな研究対象を選ぶ研究者はセンスがない。自分はセンスがない研究者では、とも思う。
 ここであきらめるかどうかが、目標に達するかどうかの違い、と数年後に明らかになったときにはそう言える。数年経ってもダメだったときは、やっぱりセンスがなかった、と言える。後にならないとわからないだけに、この道を選択するのがセンス。センスのいい研究者がいい発見をする。もう少し続けるべきだ、とも思っている。あきらめようか、続けようか、こんなこともう何回も思っている。「描いた夢、理想追い続けたって多分ものにできるのは一握りの人だけど、あと少し頑張って見ようかな。それでもいつか可能性が消える日が来ても大切な人はいる。」


2009年05月04日(月) 休日

 2年ぶりに日記再開。
 6時起床、大学に向かう。学科の事務仕事を9時までひたすら。50ページの報告書作り。この2時間で大半を仕上げる。あとは修正作業。こういうスキマ時間をうまく作って、うまく使う決意をしてしばらく経つけど、書類処理のスピードをもう一段階あげないと、ますます書類仕事ばかりしてる感になる。帰宅。
 30分ほど子供と遊ぶ。
 10時から水泳。週末の大会に向けて泳ぎ込めるかな。メイン50Kx16 1'。av49"。1800m。となりレーンでの妙齢の30名以上のダンスの波を受けながら。途中からアヤカちゃんが泳ぐ。
 GWやからどこかに連れて行くべきだとの声を受け、12時にビッグバン。3歳児Rには早いけど、ジャンングルジム難関コースにムリヤリ挑戦させ、「コワい」って泣きながらがんばらせる。1歳児Mは気ままに歩く歩く。子供が成長した感味わって、なんか充実。
 実家にお世話になり、手巻き寿司。相棒大満足。20時頃の帰宅で、21時30分頃寝かしつけ&相棒就寝。これからのスキマ時間で朝の続きで修正作業。ウチの学生に休みの日にはよく遊んで、スキマ時間には実験のことに頭巡らせてやぁ、と伝えなあかんと思いつつ。実験しないとき以外の時間に考えること、めっちゃ大事やねんで。すぐに形にならないものにも価値があるものがある。


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