僕らが旅に出る理由
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お風呂で髪を洗った。
湯船に浸かると濡れた髪が目の前に降りかかってくる。 そのばらばらな毛束の先にしずくが下りてくる。 しずくは少しずつ大きくなり、魚眼レンズで見るような歪んだ景色を写して、やがて自分の重みに耐え切れなくなって落ちていく。
指がふやけてしまうまでそれを見ていた。
形の決して定まらないものは、とてもきれいだ。
失業保険の手続きに戸塚に行った。
戸塚って、戸塚ヨットスクールのあったとこじゃないんですよ皆さん、知ってました? あれは戸塚さんていう人が経営してただけで地名とは関係ないんです。 …ということを教えてくれたのは戸塚出身だった昔の恋人だった。 戸塚駅に降り立つと、もれなくそのことを思い出す。 戸塚駅西口は再開発計画が進行中で、古い商店街は完全シャットアウトになっていた。 入り口に建っていたミスドも移転したらしい。あの店は他のミスドと違って自分でドーナツを取る仕組みになっていて、大学時代ミスドのアルバイターだった私は結構気に入っていた。あれならドーナツの名前覚えなくて済むもんね。
ハローワークのお向かいにちょうど教会があるようだったんで行ってみたけど、門が閉まっていた。 …教会って24/7オープンのはずじゃないのー? 家の近くにもあるので行ったことあるけど、やっぱり閉まってるんだよね。日本の教会って、礼拝とかある時以外は閉まってるのが普通なのかな。 イギリスでは教会っていつでも開いてたのに。しかもどの教会も古くて装飾が凝ってて、見るだけでも心が落ち着くような場所だった。 今、ああいう場所で静かに祈りたい気分なんだけど。 とりあえず帰り道に神社があったのでお参りしておいた。 出がけに家の近くのお寺でもお参りしてたので、もう私の宗教観て何?って世界(笑)
Oはまだこの街に住んでいるのかな。 彼は実家がこの戸塚だった。 私は彼のお母さんにたぶん嫌われていた^^; 彼は三人男ばっかりの兄弟の真ん中で、お兄さんは出社拒否症でほとんど部屋から出てこず、弟さんは学校で非行に走っていて、ご両親は家庭内別居の状態だった。たぶん普通に就職してる彼だけが、お母さんの心の拠り所だったんたと思う。 その彼が私と付き合いだしてほとんど家に帰らなくなったので、たぶん息子を盗られたという気持ちになったんだと思う。男を自分のアパートに入り浸らせる女なんかロクなもんじゃない、ということを言われていたらしい。 私から見れば彼は家にいても安らげなかったんだと思うし、逃げ場を求めて自然にそうなったんだと思うけど、なんというか私は、いつでもそういう役回りだな、と今の自分を見ても思う。
まぁ、嫌われるならそれでもいいや。 実際、私自身の中にも嫌われる要素はあるのかも知れないし。 相手の人が、それで気が済むなら、それでもいいんじゃないかという感じ。 私は自分自身と向き合うことで忙しい。
久しぶりの戸塚は、ちょっとさびれたように見えた。
東京ミッドタウンに行った。 六本木自体何年ぶり?って世界。相変わらず整然としない街だ。 ビルはとてもキレイだったが、100年後はどんな姿になるんだろう?と、ロンドンの建物を思い出してそう感じた。
過熱した空気があちこち足元に散らばって、下から煽られているようで、安らかな気持ちになれなかった。
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