アータン三宅の何でも聴いてやろう
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2008年05月31日(土) |
永ちゃんと呼ばせて。「苦い涙」と「棕櫚の影に」 |
いきなりの永ちゃんだ。
白状するが、永ちゃんを聴き始めて まだ数週間しか経っていない(笑)。もう驚くほどの超初心者。 だから永ちゃんという呼び方がどうにも板についていない。 ついこの前まで矢沢永吉と呼んでいた。 いや、その名を呼ぶことすら無かった。それほど、縁遠い存在だったのだ。
とりあえず、物事はカタチから。永ちゃんと呼ぶことから始めた。 もちろん永ちゃんのキャリアに関してはそれなりの知識はあったが 単純に好きではなかったのね。あのキャラが。 何かとキャロルとライバル視された桑名正博率いるファニー・カンパニーが 当時の僕のお気に入りで、上昇志向丸出しの永ちゃんより、 ブルースロックに魂を捧げました!って感じの桑名にミュージシャンシップを 感じていたんだけど、今から思えば桑名も上昇志向のカタマリだったわけで(笑)。 ま、早い話が、皮ジャンにリーゼントがあまりにも分かりやすく不良で苦手だった。 成り上がりを体現していく姿にもあまり共感できなかったし。 そんな感じで30年以上も、ときどき横目でチラリ見る程度で。 「アイ・ラブー・ユーOK」も「時間よ止まれ」もただのヒット曲として頭の上を 通り過ぎて行った次第。
ところが、いきなり永ちゃんに興味が湧いてしまった。 きっかけは、惚れた女性が永ちゃんを好きだったから。 ほとんどそれ以上の理由はない。何とも分かりやすい。男は女で変わる。 愛する女性が好きなものは全部好きになりたいと思うのは当然で。 あれほど関りを避けていた永ちゃんの音楽に、驚くほど自然に入っていけた。 レンタルショップで初期の名作と言われる3枚を借りてきて、 大音量でかける。部屋中に「あの声」が響き渡った記念すべき瞬間。。。 そのとき、俺は、矢沢に惚れた。。。(おっと・・・、普通に話していいのね?)
彼は本当に歌が上手い。 実に分かりやすい上手さ。聴きこまなくてもすぐに分かる上手さ。 それこそが彼のシンガーとしての凄さなのだろう。 聴き手に有無を言わせぬ強引さで、気持ちを全部さらってしまう。 芸術ではなく圧倒的なまでに芸能(芸能人の芸能ではないよ)の世界。 流行りすたりに左右されることのない大地に強い根を張った自信。 驚くほど少ない音楽的語彙もなんのその、そんなことより この声がある限り、長嶋じゃないが、矢沢は永遠に不滅ですって感じなのだと。 似たようなコード進行に少ないメロディーパターンが永ちゃんの特徴だが 僕にいわせりゃ、あれだけあれば十分。彼は、あの素晴らしい声とテクニックで 完璧にYAZAWAの世界を作り出すことが、いつでもできるのだ。 これはすごいこと。どんな理屈も彼の強烈な自我の前では役立たずである。 ただ飲み込まれていけばいいのだろう。それこそが彼の音楽を聴く快感 そのものなのだから。。。
というわけで。
『ドアを開けろ』(1977年)収録の「苦い涙」と 『THE ORIGINAL』(1990年)収録の「棕櫚の影に」を聴くことにしよう。
よろしく。。
音楽を詳しく分析・解説したブログって多いよね。 読んでいて、その勉強ぶりと思い入れの強さに頭が下がる。 きっと音楽が好きで好きでたまらないのだろう。 せっかくの知識をブログで披露しない手はない、 どんどん披露しちゃって、どんどんみんなを驚かせていいと思う。
ただ、僕自身はそういうことに以前ほどの興味が無くなっちゃった。 一生懸命蓄えた知識の量がそれほど自分を幸せにしていないことに気付いたのね。 なんか、楽しくない。なんか、熱くなれない。 一生懸命、知識を蓄えて、今度はそれを披露してみても、 なんだか面白くない。感動に対してちょっと俯瞰から捉えすぎているというか 知識で膨らんだ自分がそこにいる絵に満足している感じがしてね。
ということで、僕は以前とは違う僕としてこのブログを始めたわけだ。 もう、好きな音楽についてテキトーに書き飛ばして行っちゃおうと。 音楽を細かく分析する気は一切なし。せいぜい、基本情報を書き留める程度。 あとは、文脈を考えることなく、音楽を聴いた喜び、 ときには怒りなどを感情の赴くままに書いていきたい。
バリバリの中年。でも好奇心は永遠の17歳。 って、相変わらず青臭いこと言ってる(笑)。
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