舌の色はピンク
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親しく付き合ってきた同僚が退職するとの由。 そんな素振り、気配、兆しのたぐいは 一切見せることのなかった彼から、 いつもの調子で今日お茶でもしませんかと誘われ、 二人で喫茶店に向かい雨降りの交差点を待っている間、 「あ、今日別れを告げられる」 と不意に感知した。 完全に男と女のそれ。 機微の交信。 わたしたち今日で終わりなのね。
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また傘を電車に忘れた。 傘を。 今朝買ったばかりの傘を。 事前に天気予報は見ていたのに 家を出るときに降ってなかったものだから うっかり持ち出し忘れてしまったものの 駅に着いてから大人力を発揮し帰宅時のため買っておき 僕の命より大事な500円を投げうって買っておき お昼休みの5分間大活躍してくれたあの傘を。
それでも明日はやってくる。 明日なんて。
2015年02月22日(日) |
NANCHATTE ATAMI |
友人との1拍旅行にいってきた。 宿でボードゲーム、カードゲームをひたすらプレー。 「おれたちは15年来の付き合いだが 実際あまり仲良くないし すぐ嫌い合って啀み合うから 対戦型よりかは協力型のゲームにしよう」と 話し合いにより全員一致でそうしたのだが 結果的には闘争は避けられなかった。 憎しみは憎しみを生んだ。 血で血を洗った。
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ひねもす宿に篭もりっきりだったけど 唯一観光した名所は熱海城で、これには脱帽した。 わりと有名らしいですね。何も知らずに行った。 城内の施設はなんでもアリの風情で まー他のはともかく地下のゲームセンターコーナーが圧巻。 入館者は無料で遊び放題ときてる。
これまで自分はゲームセンターを楽しめる才に いかんせん恵まれていないと決めてかかっていたのが どうやらまったくの早計で、 無料とあらばかくもはしゃげるとは本性を暴かれた。 だってやり放題。 大いなる自由の前には平生あれだけ権威的な理性も役どころがない。 自我の解放と崩壊と再構築を経て認識を改めた。
大金持ちになったら地下にゲームセンターを儲けよう。 まちがった興を持て余そう。 ひんしゅくを買おう。
2015年02月16日(月) |
未来は寒さでできている |
今日は空が一面澄み渡り 陽射しが暖かくどこからか小鳥のさえずりなども聞こえ、 明日は空に暗雲立ち込め 陽射しの代わりに風雨が暴れだし小鳥は死に絶えていく とまでいったら大げさだけど、 どうやら明日明後日は雨らしいということが知れ 今日の晴れやかな気分が脅かされたのは事実。 陰と陽の気が自分のなかで渦を巻き 今ここにある幸せと明日必ずくる不幸せとが いかんせん乳化されないまま 表情の置き所に困る一日だった。
毎年このくらいの季節になると 「もうこの寒さもあと1週間」と 己に言い聞かせ絶望と闘う。 しかし結局毎週そう言い続けて ちっとも寒さは果てやしないし まだまだ冬は終わらず どうせ2月の28日を終えても 2月の1日がまた始まるのだ ループものなのだ と絶望しきってるうちに なんとなく春が訪れる。 そして春は春で寒い。 春に必ず抱く「なにかが始まる予感」が 必ず裏切られることもあって余計に寒い。 未来は寒い。
今朝がたいつもどおり白目むいて涎たらして もんどりうちながらTVみてたら 女子高生二人の研究により カクレクマノミに関する世界的発見 というニュースが映し出されてきて、
生物部かなにかの教室に中継がつながっており スタジオのひとたちから簡単なインタビューが始まった。 なにが大変だったか訊かれて いえ楽しみながら研究してました、ずっと楽しかったです、とか、 顧問の先生は2人のうち1人の実父らしく 家に帰ってからは親子に戻るんですよねとたずねられ これがまた家になかなか帰らないんですよ もうちょっと研究してから帰るなんていってね、とか、
受け答えのたびに教室とスタジオにあたたかい笑いが。 それがほんとにあたたかくって、 べつに何も面白くないんだけど 視聴者みんなも微笑んでたと思う。 連日殺人とテロのニュースが繰り返されてる中で このあたたかみは効いた。すこし泣きそうになった。
生物部にはほかに女子が数人と男子が2人いた。 男子2人はずっと濡れたポテトチップスみたいな顔つきしてて そこに在りし日の自分を見た。 だいじょうぶいつか君らにも笑える日が来るよ、 君らより少しだけ大人の僕は知っている。 と微笑んでいたらその後彼らフツーに笑ったりしてたんで 白目むいて涎たらしてもんどりうってTVを消した。
数ヶ月前、同僚から誕生日プレゼントとして ある映画をブルーレイで貰った。 新品で、3700円ほどの。 これはありがたいと持ち帰って早速観ようとするも、 我が家の再生機器に障害があり、長らく据え置かれていた。
それをようやく昨日観れた。 が面白くなかった。徹底的に肌に合わぬ出来で、 どう伝えようか思案した挙句、今日感想を伝えた。 「ようやっと読み込めて観れたんですよ〜」 「おー観れたんですか。どうでしたどうでした」 「ウーンあまり楽しめなかったですね〜。監督も好みでなくて〜」 「そうでしたか〜。そういうもんかもしれませんね〜」 「でも手元にあるし年月経てからまた観直してみますよ〜」 なんとか和やかに伝えられたと思う。
でもひとつ嘘をついた。
我が家の機器はどうしようもなくブルーレイが正常に読み込めず、 結局のところ近所のビデオ店で同タイトルのDVDを レンタルしてきて観たのが真相だ。 それをどうしても言えなかった。
アーあの人ならこの映画面白がるだろうな、 うん新品買ってプレゼントしよう、 どうせなら最高画質のブルーレイを贈ろう!
とでも真心働かせてくれたものを、 つまらなかった、しかもおまえが寄越したブルーレイは見れなかったから 自分の足で手垢ついたDVDレンタルしてきたんだよ とはどうしても言えなかった。 まして当プレゼントが7泊8日190円のコストまで招いてるなんて、とても…。
どうせ嘘つくなら「面白かった」「最高だった」とも 胸張って言ってやればよかったのに なんだかそこには譲れない一線があって、 正直ぶってる自分と正直になれない自分が 虚実織りまぜてとことん醜かった。 季節が五つか六つほど移り変わったら 実はあのとき、と打ち明けよう。
「フッて、フッて、フリまくれ!」
↑キャッチコピー
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主人公は17歳の高校2年生。 学園の男子500人全員が元カレ。 しかもそれが知れ渡っていない。 黒魔術の使い手。 入学以来1日1人のペースで男子と付き合い捨ててきた。 果たして彼女は何故男に擦り寄っては捨てていくのか? その全てが暴かれるとき、あなたは本当の恋を知る……。
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攻略できる男子は言うまでもなくイケメン揃い。 たとえば6人設定してみよう。
1.九伊時路(ここのい ときじ) 学園いちのイケメン。 顔とスタイルが他校に知れ渡る美貌の一方、 頭脳は冴えず手先は不器用、性格には難がある。 加えて病弱であり、体育などは小学校のときから 一度も出たことがなく、運動能力もからっきし。 学園にはほとんど枕営業で入った。 過去主人公に「まぁ、その顔すら大したことないわけだけど」と 屈辱的な捨てられ方をされて以来、怨念的な執着を抱き続けている。
2.由梶巳尋(ゆかじ みひろ) 愛嬌を惜しまない女の子のような見た目とは裏腹に、 性欲旺盛の絶倫王子。 学園内の女生徒半分は彼の元カノであるという噂もある。 実際にはセフレとしてしか女性と関わってこなかったため、 交際経験は主人公とのみ。 その際「ヤラせてあげないよ、ジャン!」の一言で 行為に及ばせてもらえぬまま去った彼女に初めての戸惑いを覚えた。 青央とよくつるんでいる。
3.葉柴青央(はしば あお) 高校生ギャンブラー。 国際的なポーカー大会で入賞するほどの腕前。 しかし面相はポーカーフェイスには程遠く、 喜怒哀楽がはっきり顔に出る。 恋愛には、駆け引きや運の要素などの面で 博打と似たものを感じるらしく、前向き。 引き際を心得ており、過去「降ーりた」の一言をもってして 唯一主人公からフラれるまえにフラれた男子。 巳昏とよくつるんでいる。
4.篠英修(しの えいしゅう) 学園一の秀才。 将来的に世界統一の言語を創出したいという無茶な野望を秘めており、 常に研究に勤しんでいるのだが、 言語を取り巻く精神様式の一として恋愛に興味を寄せてもいる。 典型的な学者肌で世情に疎い。 過去主人公には、贈った和歌を焚き火に入れられた。
5.Mine(マイン) 父は日本人、母はイギリス系ジブラルタル人のハーフ。 マインは本名ではなく、 なんでもかんでもが自分のものという勝手ぶりに由来する。 目に付く全てを手に入れたいだけに、 主人公だけに固執しているわけではないようだ。 なお女子勢を我が物顔で食い物にしている巳尋とは剣呑な仲。 過去主人公には「つーか本名、峰でしょ」と言い当てられ、敗走。 6.片良木吟(ひららぎ ぎん) 学園の校長。22歳。 大学卒業と同時に当役職に就任した異例の人材。 校長として初めて姿を現した日が折しも主人公の入学式であり、 その日に付き合いその日にフラれる。 校務のほとんどを教頭に任せているらしく、 暇を持て余してか主人公のストーカーに日々を費やしている。
6人全員のルートを攻略すると 隠しキャラ「相田蝶二(あいだ ちょうじ)」も現れる。 彼は転校生。つまり唯一の非元カレとなる。
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物語中盤にさしかかると 学園の全生徒に主人公のビッチっぷりのすべてが 一昼夜のうちに知れ渡るイベントが発生。 女子との対立には抜き差しならぬ緊張感が漂う。 事故が重なり殺されてしまうルートすらある。 逆に黒魔術が暴走し生徒の大半を殺してしまう魔女ルートも。
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キャッチコピーは 「フッて! フッて! フリまくっちゃえ!」 の方がいいかも知れない。 女子っぽい可愛らしさをにじませて。 が、いたいけに過ぎるというか、 勢いもすぼんでしまうし、 他律的な印象すら纏ってしまうのは厭わしい。 このコピーが消費者の関心を引き寄せられるかの 主たる焦点になるので安直には決められない。 このコピーだけあれば内容なんて要らないともいえるし。
腹をかっさばいたら 中から赤色のレゴブロックが飛び出てきたんだ! ご丁寧に連結されて何往復もうねっていたぜ! よくみたら手元の凶器も銀色のレゴブロックでよ、 ついさっきまで頬張ってたイクラなんざ レゴブロックの突起部分だったってんだからゴキゲンだ! そらなんてこたぁねえおれの体までレゴブロックでできてやがる! レゴォォォォォォォ! こりゃあ世界ってやつの正体暴いちまったな! レリゴォォォォォォ! レリゴォォォォォォ!
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まるでそんな夢を見たかのような与太話。
傘をなくした。 電車の端座席の特権、手すりにぶら下げるの術を披露したまでは (そうそうこうやって降車時そのまま忘れるんだよな) (大丈夫、意識できた) (見抜いたり! のちの悲劇) などと運命との頭脳戦を繰り広げていたものだったが 案の定そのまま忘れた。いつものパターンだった。
もう大事なもの何も持ち歩けないし預かれやしない。 RPGのパーティにいたら最悪だこんなやつ。 キーアイテムを次々と失くす。 レベルがあっても次のイベントに進めない。 というかアッサリ仲間ともはぐれるだろう。 そして自分がなくしものに。 なくすだけでは気付かなかった、 なくされて初めてわかるなくしものの気持ち…。 おれたちはそう、もっと大事ななにかを いつかどこかになくしていたのさ…。
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今更買い集めてる「グラップラー刃牙」がスーパー面白い。 とくに「バキ」に入ってからは容赦ない面白さ。 いちばん笑ってしまうのは「範馬刃牙」だろうけど 「バキ」あたりがやっていいこととやっちゃいけないことの ぎりぎりのバランスを最も保っていて断然面白い。 バトル漫画としては、 殴りっぷりよりも殴られっぷりに美学を感じられ、いちいち爽快だ。 漫画を読みながらにしてページに殴られる。
ゴーカートに初めて乗った。 心が震えた。 すばらしくすばらしい。 すさまじくすさまじい。 あんな楽しい乗り物がこの世にあるなんて。
ハンドルという円形舵があって、 これを握りまわせば手軽に車体を左右へ操作できるんです。 足元にはアクセルというペダル型装置があり、 踏むと、なんと乗り物が加速する。 おったまげ。 その手があったかと発案者の閃きに舌を巻きました。 ちなみに足元にはもう一つ仕掛けがあり、 ブレーキとかいう代物なんですが、これは引っかけ。 踏むと減速しちゃう。 あまつさえ踏み続ければ停止にまで至るしまつ。 幸い僕は右と左の違いを完全に理解しているため この謎の仕様には引っかかりませんでした。 高速移動を目的とする乗り物に なぜこんなメカニズムを組み込んだのか、 はてなさてな理解に苦しむところはありますが、 おそらく作り手のメッセージが込められているのでしょう。 それはあたかも刀鍛冶が切っ先にそっと傷薬を塗りたくっておくような、 毅然としきれないためらいがちの抵抗をほのかに匂わせて、 触れる人間の心を無差別に静めるのです。
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免許もってない。 普通自動車免許はおろか、なにひとつ、 およそ免許に類じられるものをもってない。 無免許生活とでも呼べば聞こえはいいが、 明らかに聞こえはよくない。 スマホももってない。 ケツには蒙古斑がある。
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