それは、電話。
何かの連絡や打ち合わせの電話は平気なのだけど、
「ただ、声が聞きたくて」の電話は、苦手。
声が聞きたい気持ちになる時もある。
『のぞみの声が聞きたい』と言われると嬉しい。
けれど気持ちが膨らみすぎて会話にならなくなる。
電話より逢いたい。
『キスしたいね』の言葉よりキスがしたい。
『のぞみの声を聞くだけで、反応してるんだよ』
きっと切ない表情でいるであろう彼の反応しているモノを口に含みたい。
電話って残酷なものだ、と思う。
週末、俊さんとお泊りデートの約束をした。
花火を観にいって、お酒を飲んで、一緒に寝る。
想像しただけで嬉しくてワクワクする。
早く逢いたくて。
あの温かな腕の中に収まりたいのです。
月曜日。
また新しい一週間の始まり。
休み明けの朝は憂鬱だけど、でも、嬉しい。
通勤の途中に、由さんと俊さんからメールが来る。
由さんは“家族思いのパパさんモード”、
俊さんは同じく“家族思いのパパさん in 仙台”
から戻ってきた合図。
返信メールの冒頭には、「おかえりなさい」と私は必ずつけるようにしている。
二人の男性がまた戻ってきてくれて、心の中は穏やかになる。
title : 楽しかった〜♪
本文 : 今日は初デートになるのかな？
すごく楽しかったよ〜！ありがとうね^^
またどっか遊びに行こうね♪
バイバイしてから数分後に届いたメール。
マメな性格の隆さんらしい。
隆さんと知り合ってまだふた月位だけど、
仕事のあとに飲みに行ったり、はたまた、お泊りも何度もしていたから、
なぜ初デートなのか解らなかったけど、
思ってみれば、昼間に手を繋いで過ごすことは初めてだった。
どしゃぶりの雨が降る中、大きなショッピングモールで待ち合わせ。
確かに初デートと感じたのは私服の隆さんを見るのが初めて。
いつもはYシャツにネクタイ、スラックスに革靴のサラリーマン姿だったから。
私服姿の隆さんに、なぜか緊張…。
もともと35歳に見えない若い印象があるんだけど、
アジアンテイストのイラストが描かれたTシャツにジーンズ、NIKEのスニーカー姿だから、ぱっと見ると大学生みたいな印象がする。
でも、やはりいつもの隆さんで。
優しくて 温かくて 少し甘えたがりで ちょっぴり大胆で。
エスカレータできゅぅって抱きついてきたり、
映画館で肩にちゅってキスしてきたり、
もっと触れてくれればいいのに触れてくれなくて。
隆さんの姿を見るだけで、なぜかたまらなくドキドキして。
こんないい歳して何してるんだか、と恥ずかしい気持ちになる。
本当に普通のカップルが過ごすようなデート。
ラブラブっていう感じではなく、付き合い始めたばかりの甘酸っぱい感覚。
帰る時間が近づいたとき、
「帰りたくないな。もう少し一緒に居たいな。」
と思わず言葉が出てしまいました。
しかしながら。
私達は恋人同士じゃないから。
こんな甘酸っぱいデートはもうできないって思う。
私のカラオケのレパートリーの中で、
数少ない女性アーティストのaikoの曲に『愛の病』というのがあります。
歌詞の中に、
あなたを愛するあまりに身体が変わった、
というニュアンスの部分があるのですが、
まさしく歌詞に当てはまるような変化が私の身体に確実に起きているのです。
ヘルペス治療の抗ウィルス軟膏を塗る時の、
身の毛がよだつほどの痛沁みる感覚が少し快感と思えるのは、
俊さんに鍛え上げられたからなのではないかと考えてしまうのです。
薬を塗る指を俊さんの舌だと想像し、陰部全体に這わせていきます。
時折、思わず声が漏れてしまうほどの痛み（炎症部位に指が触れるとき）を感じたときは、
クリトリスを噛まれていたときのことを思い出しながら息を殺します。
ある種のマスターベーションプレイ。
でもこう考えられなかったら、痛くて痛くて薬なんて塗れません。
やはり感染するものではなかったなと後悔しつつも、こういう経験もまた面白いのかな。
でもやはりセーフティーなセックスがあってこそ、恋愛は楽しいのでしょう。
あなたは性病ありませんか？
あなたのパートナーも大丈夫ですか？
男女共に無症状の病気があります。
コンドームをつけてもオーラルセックスで感染する病気もあります。
半年に一回はSTD検査を婦人科で受けることをお勧めします。
愛があるからこそ掛かってしまう病気もあるものだから。
| 2007年07月27日(金) |
さて、どうしようか。 |
昨晩、寝る前に感じた右足付け根のリンパ腺の膨張感。
塗っても改善されない軟膏。
日に日に痒みから痛みへ変わる外陰部。
朝から全身を襲う倦怠感と悪寒。
もしやと思って会社を早退し、違う産婦人科で診察を受けてみました。
ご高齢の産婦人科医と奥様が営む個人診療所。
内診を開始した途端、
「ああ、こりゃひどい。
相当痛いでしょう。ヘルペスです。」
陰部ヘルペス初発症です。
俊さんが先月発症していました。
最後までしなくとも、手で指で口で愛されていたので感染は確実だと思っていたけれども。
ここ数日のハードでタイトなスケジュールからの疲労がきっかけで発症したのでしょう。
報告のメールを打っている間に携帯の電池は切れるし、
とりあえず実際逢って報告したいので来週話すことにしよう。
それにしても、本当に痛いし辛い。
これで、感染を気にしないで俊さんとはセックスができるけども。
残り二人は…
さて、どうしようか。
更新が滞っている間も、
私と、それぞれ３人の男性との関係は続いている。
愛に変わった恋もあるし、恋に変わった友情もあった。
仕事や、彼達とのデートで忙しい日々を送っていた。
もう少ししたら落ち着くと思われるので10日間のことはまた後にして。
では。
３人の男性と身体だけでなく心の繋がりを得た今、
果たして私は幸せなのだろうか、と車窓に映る自分自身に問いかけてみる。
少し物足りない程度の幸せなのかもしれない。
と、答えがふっと浮かぶ。
満足していないし、不満もほとんど無いに等しい。
ただ、「もう少し」が時々付く想いに駆られるときがある。
もう少し、傍に居たい。
もう少し、キスをしていたい。
もう少し、繋がっていたい。
もう少し、愛の言葉が欲しい。
もう少しの想いは募れば募るほど、
恋を素敵なものにしてくれるのかもしれない。
| 2007年07月21日(土) |
思いがけない小旅行�� |
朝。
カーテンの隙間から伸びる光の筋。
あ、もう朝なんだ。
そんなことをまどろみながら考えていると、陰部を温かな舌が這う感覚に襲われました。
両膝を大きく押さえつけるように広げ、股間に顔を埋める俊さんの頭がうっすら確認できます。
大きく濡れ膨らんだクリトリスを、きゅっと噛み始めます。
最初は短く、きゅっ、と。
私も、「あっ…」と短く声を上げます。
次は少し長めに力を入れて、きゅっっ、と。
比例するかのように私の声は高く悩めかしいものになるのがわかります。
まだ早朝の時間帯だったからでしょうか。
はたまたもっと苦しむ私の姿を見たかったのでしょうか。
片手で私の口を押さえながら、俊さんはさらに強くクリトリスを噛みだします。
もう片方の手で乳首を力いっぱいにつまみ上げ、
口でクリトリスをきゅきゅっと噛み、
時に交互に、時に同時に、
押し寄せる痛みと興奮と快感と恐怖に目が潤っていくのが解ります。
身体は自然に弓なりになりながら、押さえられた口からは高い喘ぎ声がくぐって出ていて。
「のぞみのことが欲しいんだ」
「のぞみのことを欲しているんだ」
「のぞみを愛しているんだ」
「俺から離れないで。離れない身体にしてあげる」
興奮しているのでしょう、俊さんがうわ言の様に囁いてきます。
『私も俊さんのこと、欲しがってるの』
『もっと愛して欲しいの。繋がっていて欲しいの。』
『もっともっと俊さんのモノになりたいの。』
あまりの快感に混沌した意識の中、自然に私も伝えていました。
嘘ではない、正直な気持ちを。
「だめだよ、のぞみ。
もうおかしくなりそうだよ。のぞみに狂いそうだ。」
そう言った俊さんは言葉通り、全身で私を感じ快感に身を委ねているようでした。
腰を振りながら声をあげ、また私を壊すような乱暴な愛し方で、
最後は大量の精液を私に降り掛け身体全体に伸ばしていきます。
「なんか、すごく、興奮したんだ。
自分でもあんなに声をあげることなんて初めてだよ…。」
困惑した表情をしながら私の全身を撫でつつ、つぶやきました。
それからシャワーを浴びて身支度をし、朝食へ。
バイキング形式なのでお互い好きな料理を取ってテーブルに着きました。
私はほぼ和食の献立。俊さんは和洋混在の大量のもので。
昨日から頑張りすぎてお腹ペコペコなんだ、と小声で言って笑ってました。
ご飯を食べ終えると、「ちょっと散歩しよう」と俊さんのお誘いで手を繋いで外へ出ました。
メインゲートをでると外は雨が降った後。
コンクリートが濡れていました。
「あ、水溜りができてる…。」
怪訝そうな表情でロータリーに溜まる水をみながら俊さんは言います。
「玄関は、とくにメインロータリーは水溜りを作ってはいけないんだ。
できたときから地盤沈下がでてきたのかな。」
それまで見たことのない、仕事人の表情、口調。
そのまま手を繋いでホテルの周りをぐるりと歩いていきます。
ホテルの裏にある小さな遊歩道の石の並べ方のこだわり。
同僚が遊んで石を名前の形に埋め込んだこと。
特徴ある壁の作り方。
建造物と床のタイルの張り方。
設計士の注文どおりにモニュメントを作るときの大変さ。
10年まえの記憶を辿りながら、俊さんは一つ一つ丁寧に説明してくれます。
彼の携わる仕事がどういうものなのか、改めて解りました。
今も彼は街を作り続けていて、いつか、また私は彼とその街を訪れるかもしれない。
その時はまたこうして手を繋ぎながら歩けたら。
どんなに素敵なことなのだろう、と思いました。
部屋に戻り、またソファに座りキスを始めれば止まらなくなる訳で…。
せっかく着ていた衣服をまた脱ぎ始め、互いにあと一枚脱げば裸にという時点で、
『せっかくお日様出てるんだし、行こうか』
と苦笑いしながら俊さんは言います。
額から首筋に掛けて滴る汗を見てシャワーを促せば、
『いいよ、のぞみの匂いを染込ませてるんだから（笑）』
と言い残し服を着るので、私も慌ててシャワーを浴び身支度を。
フロントでシーパラダイスのチケットを購入しホテルをあとにしました。
その後は、初めての昼間のデートに。
手を繋ぎながらイルカやアシカのショーを観て、
のんびりゆっくり歩きながら一つ一つの水槽を丹念に見て、
時折、腰や肩に添えられる手の温もりにドキドキしながら水族館を一回り。
その後は帰路に付くがてら、
大黒ふ頭で昼食を食べ、
大井にある城南島海浜公園へと向かいました。
私が大好きな公園で、一度は、俊さんを連れてきたかった場所。
頭上を低空飛行する飛行機を見ながら散歩をして、
ベンチに腰を下ろし海風を受けながら２時間ほどいろいろな話をしました。
こんなゆっくりとした時間の流れのデートができるとは思ってもみなくて、
会話が止まっても、握っている手を両手で撫でてもらえるだけで嬉しくて、
言葉ではない愛情を感じることが多々あって。
俊さんに出逢えて良かった、と改めて思うのでした。
もし、もうすぐ別れることになっても。
この人のことは忘れることができなさそうです。
自宅近くまで送ってくれた俊さんに手を振って、思いがけない小旅行は終わりを告げました。
思いがけない小旅行。
約１時間半のドライブ。
高速に乗って、都心を駆け抜けて、ベイブリッジを渡って横浜へ。
行き先は八景島にあるシティホテル。
高層階の部屋の窓からは夜の港が一望できました。
俊さんに逢うのは２週間ぶり。
逢いたくて触れたくて抱かれたくて。
互いに同じ気持ちを抑えることができなかったのでしょう。
カーテンを全開に開けた窓辺に置かれたソファーで、
シャワーを浴びる時間も惜しみ愛し合いました。
眩暈がするような甘美なキスをしながら、
互いの服を一枚一枚脱がしあい、
ソファに足を広げさせるように私を座らせた俊さんは、手と唇と歯で激しく求めてきます。
乳首を噛まれる痛みは、もう悦びになっていて、
鋭い痛覚に反応する私の喘ぎ声は甘く大きく部屋に響き渡ります。
―逢いたい思いが募れば募るほど、のぞみを責めたくなるんだ。
俊さんの言葉通り、今までに無いほど噛む力が強い。
両方の乳首を丹念に舐めて、吸って、噛みながら、
片手でクリトリスをきゅうっとつね上げる。
悦びの痛みと、甘い快感と、膣内いっぱいに感じる挿入感。
目を開けると眼下に広がる夜景。
それとともに、一つに重なり合う二人の影が官能的な動きをしていました。
シャワーを浴びて、ワインを飲んで。
窓辺で、ベッドで何度も感じあって高まりあって、
裸のままソファにもたれ夜景を眺めた時、部屋の時計は2:44を表示していました。
眼下に広がるこの地帯、そして泊まっているこのホテル。
10年前の俊さんが手がけたプロジェクトの創造物だったのです。
『10年前とは変わってしまったな。』
感慨深そうに街を眺める俊さんの横で、
31歳の俊さんは、10年後、こんな形で再び此処に来ると思っていなかっただろうな。
と、思いながら私は窓越しに俊さんのことを見つめていました。
「10年前の俊さんは、どんな人だったの？」
私の言葉をきっかけに、いろいろな写真を見せてくれました。
10年前は巨漢だった、と今の姿からは信じられないけれど、
ある免許証に貼られている写真はとても恰幅の良い俊さんでした。
それと共に、見つけてしまいました。
定期入れに入っている奥さんと息子さんの写真。
これは古いから、と携帯に保存されている今の家族画像。
新たな俊さんの一面を発見することができました。
「明日は八景島に行こうね。」
そう約束してベッドに入り、俊さんの寝息を聞くと同時に私も眠りにつきました。
意外に、距離に弱い、大阪在住の由さん。
動物占いは、ライオン、で。
自分だけ特別扱いが大好き。
普段は頑固で、自分の気持ちをなかなか伝えてくれなくて。
だけど愛したがりで愛されたがりで。
メールや電話をしていると逢いたくなるけど、逢えないのが辛い
という理由であっさり関係を終わらせたがるほど、
寂しがり屋さんだということが解った。
そう言えば。
大阪転勤が決まったとき、こんなことを言っていたっけ。
今は昔と違って、テレビ電話もあるから―
テレビ電話ができるのはドコモだけ。
思ってみれば３人ともドコモユーザーで、私はau。
今は改善されたけど、でも、たまにメールの絵文字は＝になるときもある。
auを契約してまだ二ヶ月。
どうしようかと、少し悩んだけどドコモを新規で契約をすることに。
早速、由さんに変更のお知らせをメールで。
誰よりも一番に知らせたい。
これで、少しは逢いたくなったらテレビ電話で逢えるかな。
いつも美味しいお酒をご馳走してくれる隆さん。
感謝の気持ちをこめて、
隆さんが一番食べたいという鶏料理のお店を探して連れて行きました。
私の好きな焼酎も、隆さんが好きな甘いカクテル類も豊富な品揃え。
鶏料理専門店ということで鶏料理のオンパレード。
美味しい料理に舌鼓を打ちながら、週末の話になりました。
『月曜日、上野に来たんだ。』
手にしたグラスを見つめながら切り出されました。
前彼と一夜の恋に走る私を心配だと言っていた隆さん。
もしかしたら上野に行くかも。と笑って言っていたけれど来ていたとは。
『のぞみちゃんの様子を見るつもりはなかったけど、
気になって用事を作って来てみたんだけど姿は見かけなかったよ。
残念なような、安心したような気分だった。』
目を細めながらカクテルを口に含み、私を見つめてくる。
言葉に出さなくても伝わってくる言葉。
『それで、彼とはどうだったの？』
まっすぐな瞳が言っているようで。
私は反らすだけしかできなかった。
上野の居酒屋で飲んだことを話し、その後はナイショ、とだけ私は伝えた。
たぶん、隆さんはお見通しなのだろう。何もかも。
彼女の話を愛おしそうにしているから、意地悪したくなる。
だから泊まることなく駅でバイバイ。
手を繋ぐこともキスすることも無く。
『のぞみちゃんの温もりを感じるのを忘れた！
ぎゅーってしたかったよ』
次のお誘いは、いつごろかな。
いつもより遅めの時間。
勤務地へ向かう電車の中で、それぞれにメールを送る。
連休はどうだった？
今週は逢えるよね？楽しみにしているね！
美味しい鳥料理を出してくれるお店を見つけました。
都合の良いときに食べに行こう♪
短い時間でしたが、幸せな時間でした。
大変だと思うけど、会議頑張ってね。
夜には返信が来る。
のぞみのことばかり考えていました。
早く逢って、抱きしめたい！
今日行きたかった！連絡するの遅かったね。
早く会いたいから、明日行こうよ。
随分と癒されました。ありがとう。
あなたのことを愛しています。
今夜は良く眠れそう。
短い一言でも、愛されてるという自信が、気持ちを落ち着かせてくれるから。
「じゃぁ。
今、ここで、私の目の前で、携帯の私のメモリーを消してくれる？」
横目でちらりと私を見る由さんに、
できるだけ、清清しさを感じさせるような態度で詰め寄る。
何でこんなことになったんだろう。
ひと月ぶりに逢えたのに。
手を繋いで歩いて、美味しいお酒を飲んで。
抑えきれない気持ちを全開にして求め愛し合えたのに。
もうこういうの、止めようと思うんだ。
メールや電話をしていると逢いたくなるから。
逢いたいのに逢えないのが辛いんだ。
ベッドでまどろんでいる時に、話を切り出すから。
もう終わりにしてもいいのかもしれない。
今は、身近に自分を好いてくれている人がいる。
身体の相性も良い人たちだし。
逢いに行くことも許さず、
仕事以外に東京へ来る時間を作ることをしない男なんて、
もうさっさと切ったほうが良いのかもしれない。
何も言わず、ただ、天井と私の顔を交互に見るだけの彼にもう一度言う。
「ねぇ。もう終わりにしたいなら、早く消して。
今ここで。私の目の前で。
そうしたら、私も消すわ。
貴方のことも追わないし、違う男性と幸せになれるから。」
『携帯にのぞみのデータは無いよ。SDカードの中にある。
カードは大阪に置いてきてる』
「じゃぁ、私が携帯解約すればいいのね」
『俺が携帯のアドレスを変えれば良いだろう？』
「変えられるの？ 私が変えるわ」
淡々と繰り広げられる別れの会話。
本当に終わりにしようとしているのだろうか。
私も彼も。
『 …試してるのか？
のぞみはいつも俺を試している気がする』
「何を言うの？私はいつも気持ちを正直に話してるだけよ。
誰かみたく、隠したり意地を張ったりしてないわ。
私は連絡取れなくなっても愛し続ける自信があるわ。
だから、本当に私から離れたいなら、今すぐ携帯のデータを消して。」
彼の手が私の腕を掴み、引き寄せる。
瞬く間に私は彼の胸の中に収まる。
『できないよ。愛しているんだ。忘れられないよ。』
「好きなら傍にいてよ。例え距離が離れていても。
私は今スゴク幸せなのよ。不満なんて無いんだから」
手離したくない温もりを抱きしめながら。
距離に負けそうになる脆い部分を持つ彼が、とても、愛おしく思えた。
隆さんからのメールに胸が騒ぐ。
『明日は一時の恋とかありそうだから、台風で中止になって欲しいな』
明日は、大阪から好きな人が上京してくる。
東京から離れるとき恋人としてのサヨナラをしたから“好きな人”
前の彼氏、と隆さんには説明している。
前の彼氏が出張で上京してくるからご飯食べる約束してるの、と。
ご飯を食べた後の時間の過ごし方を隆さんは気になっているらしい。
本当はその好きな人である由さんとお泊りの約束をしている。
一時の恋ではなくて、もう７ヶ月目に入った恋。
一月ぶりにやっと逢えるんだもの。
台風で中止なんてさせない。したくない。
そう思い続けてテレビの台風情報を何度見たことだろう。
週末だから由さんからの連絡はもちろん無く、
『無事、予定通りの新幹線に乗りました』
の一言メールを明日まで待つのみ。
私はそれまで美味しい飲み屋さんや泊まるホテルを探さなくては。
そして。
もう一人の好きな人、俊さんからもメールが来ていた。
携帯ではなく、自宅に帰っている間だけ使うフリーメールから。
『のぞみの体臭や、舐めたときの味、唾液の味が好き』
とエッチモードのご様子。
赤面しつつ、私の頭の中では俊さんとのエッチが思い出されてしまう。
隆さんに揺れてしまっていたのは。
たぶん、二人から何も連絡が無かったから。
二人とも東京から離れているから。
三人の男性の間に身を置くことで愛情のバランスを取っているんだと改めて思う。
上野駅のスタバはまだ午前中にもかかわらず満席で、
店内を片す店員や、席を探すお客さんが行き交ってるから、
私の視線もあちこちに動いてしまう。
それはちょっとした言い訳で。
本当は、こう、向き合って座ることに慣れてなくて。
ホットコーヒーを飲みながら、
サーモンとアボガドのクリームサンドを口に運ぶ、
隆さんの一挙一動に見とれてしまうのと、
二人の間に流れている時間が居心地良すぎて、
予想以上に自分の心が動いてしまっていることに動揺してて。
居心地が良いはずなのに、離れたくて。
でもまだ一緒に居たくてワザとマキアートのクリームをストローで混ぜて時間を繋げてる私。
こんな筈じゃなかった。
隆さんとはライトな付き合いをするつもりだった。
最初は突拍子の無い私の提案に乗ってくれた同志。
たとえベットを共にしたとしても、恋愛的なものは持ち込みたくなかった。
隆さんには13年も長い年月を共にしている彼女がいるし、
私にも身を焦がすような想いを捧げてる好きな人がいるのだから、
「たまに会って食事してエッチできる友達」としか思っていなかったから。
昨晩からの何気ないキスと優しい眼差しが私を混乱させている。
また隆さんも昨晩話した私の過去の恋愛を聞いてから混乱している。
『正直のぞみちゃんのこと好きと言って未来の見えない恋愛していいのかな？
それでのぞみちゃんを苦しめるならライトな関係でいたほうがいいと思う。』
隆さんの問いかけに対する答えは―
「私は未来なんていらないし、今がとても大切。
今、私は隆さんが好き。
一緒に居る時間が大切で、手放したくなくて。
だからこれからも今まで通りのデートしよう」
なんて、正直なことは言えず。
後ろ2行の文章のみを返した。
実は、私が既婚者であることは話していない。
彼女の存在があるから私との未来は考えられないと言うことだろうけど、
私のほうが世間的に未来を見れる訳がないのだから。
そんなこと考えなくていいよ、って言ってあげたいけど言わない。
ちらちら見え隠れするその気持ちをキチンと話してくれない限り。
私は未来なんていらないのだから、今の気持ちを聴かせて欲しいの。
| 2007年07月13日(金) |
kiss & kiss |
セックスよりも先に求めて欲しい。
ふとした瞬間にしてほしい。
した後、見つめて微笑んで欲しい。
キスをされるだけで、気持ちが満足する。
もっと私を好きになって
もっと私に恋をして
言葉にできない呪文を唱えながら。
優しく 甘く 激しく
唇と舌を求めることであなたの存在を刻んでいるのです。
25回目の誕生日を迎えた妹からのメールの冒頭の一文。
“20歳年上の妻子持ちの男性に恋をしています”
時間は深夜1：30を回り、ようやく眠ろうかとしていたところ。
あまりの衝撃に眠気なんて吹っ飛んでしまう。
やはり姉妹、同じ血が流れているもので…。
私も年上の妻子持ち男性に恋をしています。
しかも3人の男性に。
そして、独身の1人の男性にも。
ただ妹と違うのは、私が既婚者と言うことだけ。
（独身の時も既婚者男性とは縁がありましたが）
なぜ、一回り以上年上の男性に惹かれるのか―
父を早くに亡くしているからでしょうか。
ファザコンという言葉はあまり好きではないけれども。
あるいは。
幼い頃から親の愛情を感じなかった私達。
「家庭」と言う憧れの中に身を置く人の包容力に包まれたいのでしょうか。
