桜通り

季節が空をちぎっていくよ
淡く、世界が埋まってく
無邪気に結んだ小指から
押して歩いた自転車まで
鼓動ひとつ、逃さないよう
2009年03月26日(木)

雲の上はいつも

雲の上はいつも青空
慈悲深いタイプもおわします
けれどどこの世界も似たようなもので
無関心がおそらく大多数


ひしめきあう中のひと粒を
潰さぬよう拾い上げ
ましてや平等に扱おうなど
実のところ見分けさえつけ難く


わずかに足をずらせば
たやすく乱すことのできる
哀れな蟻んこの列を見下ろしながら
そんなアテレコ、雲の上の言い分


不可能ではないが
面倒とまでは言わないが
手を貸してはなるまい
自然の宇宙の、それが摂理


願わくはせめてご機嫌麗しく、
祈ることも知らないひと粒が
瞬くほどの時
空を仰ぐあいだだけでも
2009年03月18日(水)

さよなら、やさしいひと

さよなら、やさしいひと
今は小さな箱の中
白い毛布はお日さまの香り
むかし暮した街の陽だまり
きれいな花の箱の中
見る夢はあざやかに
駆け回るレンゲ畑と
狙い目指した星の原っぱ
さよなら、やさしいひと
最後にすれ違ったのは
こぼれそうな冬空の午後
小菊のそばに佇んでいる
身をひそめて微笑んでいる
さよなら、やさしいひと
ありがとう、やさしいひと
温かな腕に抱かれて
次に逢うのは橋のたもとで
2009年03月04日(水)
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