「うちぬき」 愛媛県 西条市 西日本最高峰の石鎚山の北のふもとにある町である、30年ほど前にここを流れる加茂川の川岸をみておどろいた。「伊予の青石」で知られる大きな石に背番号よろしく白いペイントがされているのです。聞けば夜陰にまぎれて重機でこっそり持っていく輩がいるのであのように印をしているのだという。 この町の一番の自慢は「太鼓台」(だんじり)と「うちぬき」といわれる自噴井戸でしょうか、上水道が普及した現在でも市内の多くの家庭で使用されているそうです。 それだけ多量の伏流水が豊富にあるということでしょう。町の中央にはアクアトピアといわれる親水公園があります、古くから酒造りなど醸造がさかんでしたが、昨今は電子機器の会社が工場を稼動させている。 水不足の昨今いいことずくめ話であるが問題もある 水の源泉にも関わりのあることでもあるが例の「青石」のことです。 緑色泥岩、といわれる変成岩の一種で中央構造線の南側に分布する岩石で プレート、テクトロニクスでいう。海洋プレートが大陸プレートに下に沈みこんで行く時に比較的低温で高圧の変成を受けた地層にみられるという。 地質学用語でこのところを三波川層帯というそうです、 そのためこの三波川帯にそってこの「青石」の産地があるようです。西国3番霊場の粉河寺の庭園。和歌山城の石垣。大阪府下では岬町役場にもつかわれているという。特に徳島の吉野川の中流では川底が一面この青石であるという。特に良質なものは愛媛県八幡浜市の海岸地帯にあるそうです。 この石またの名を結晶片岩といわれるように片理にそって割れやすい性質がある、そのため三波川帯では大きな地すべりがおきます。雨水などに関係なく起こるそうでまったく始末が悪い、西条市の南の山中に上町という、特大の地すべり地帯があります。一帯は変成岩の礫でできていて土止め工事は難儀するそうです。 石鎚山系の豊富な水を集めて流れる加茂川の源泉の秘密は中央構造線に沿った破砕帯にあるのかも知れない。多分石鎚山系の隆起とともにあつた先行河川なのだろう、またこうしてできた谷の底は実は深さ500〜800メートルに達するらしい。 三波川帯の名の由来は群馬県鬼石町を流れる三波川によるが 古来「名石」知られた、この川の石が庭石として珍重されたためにずいぶんもち去られて 今ではヤマメなどの魚も住めなくなっているという、町では石を川にもどす運動をしているそうである。 西条市はまた石鎚山の登山口でもある、石鎚ロープウエイで行くことができますが、途中の黒瀬川断層の特大に看板がありそこから上流は文字とうり青石の渓谷で大小の石は名石ばかりです。手軽にお持ち帰りができまいのが残念である、 また瓶ヶ森林道(全舗装標高1700m)まで車で登ると雄大でしかも美しい風景をみることができるそうです。隠れた穴場らしいのでおすすめです。
|