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  ぱすてぃす〜後朝 -18禁-

  猩々   おまけ -18禁-
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  マラスキーノ 後日談
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  らすてぃ・ねーる-12話
 ※4 に、テンカカ以外の絡みあり
  任務に出た二人
  カカシの過去を垣間見る

  恋女   後顧   おまけ
  ストーカー被害に合うテンゾウと
  嫉妬な先輩


  九夜十日
  イタチ里抜けのとき

  百年の恵み
  長期任務の小隊長を命じられるテン
  百年の孤独-6話
  初めての遠距離恋愛なテンカカ
  たーにんぐ・ぽいんと-8話
    テンゾウの帰還

   香る珈琲、そして恋 -キリリク話-
 四代目とカカシの絆を知って、
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 【2部】 ぶらっく・るしあん-4話
 【3部】 ぶれいぶ・ぶる7話
 【Epilogue】 そして、恋

  あふろでぃーて-5話 -キリリク話-
 くるみ


  a`la carte
  -暗部なテンカカとヤマカカの間話-

  春霞-4話
  暗部を離れたカカシとテンゾウ
  ちぇい・べっく
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4話
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  久しぶりのカカシとの任務
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  波の国任務の少しあと
  てぃままん-3話
  波の国と中忍試験の間

  月読-5話 -キリリク話-
 月読の術に倒れたカカシを心配しつつ、
 イルカ先生の存在が気になるテンゾウ

  月読 後日談


  テキーラサンライズ−19話
 ぎむれっと前日譚


   ぎむれっと-40話 -キリリク話
  かっこいいカカシと、
  惚れ直すテンゾウ
 ※途中、18禁あり
  プロローグ  本編  エピローグ



  La recommandation
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-ヤマカカな話-

  再会-Reunion-  第二部





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2009年11月28日(土)
テキーラ・サンライズ 2)


里に戻るまでは、ボクらは変化したままだった。
途中で変化をといてもいいのだが、周囲に気を使う必要があるから、けっこう面倒なのだ。
たとえ小屋などを使ったとしても、入っていったのと出て行ったのが別人だ、などというのを忍ではない一般人がたまたま目撃してしまったら問題になりかねない。
だから、早く変化を解かなくてはならない特殊事情がない限り、里に戻ってからということが多い。

今回も、里の境界を越えたところで、休憩を取った。里の中心部まではまだ距離があるが、ここまで戻るとやはり安堵する。
「任務、滞りなく終了。お疲れ様でした」
先輩を差し置いて、ボクが隊長だった。そういうことにこだわらない虎面と鳥面に感謝しつつ、頭を下げる。
「では、変化解除」
「待って!」
鳥面の声に、「解」の印を組む手が止まった。
「もうしばらく、そのままでいてよ」
「このまま?」
「カカシ先輩が暗部を離れてから、とんと会う機会が減ったからね。目の保養、目の保養」
鳥面が先輩に思いを寄せていたことがあるのでは? と思ったことはあった。確かめた事はないし、その後、彼女は一般人と結婚してつい先ごろ子どもも生まれ、でも、まだ暗部に在籍している。
なんでも、結婚相手のお祖父さんが忍だったとか。その息子――鳥面にとっては義理の父上にあたる――には忍の才がなかったため、雑貨屋を始めたそうだ。ところが店主が作るオリジナルのアクセサリーが人気を呼んで(そっちの才があったらしい)、アクセサリーと小物専門店に鞍替えし、いまでは通販でも売れ筋に入る人気店だという。
鳥面の結婚相手も、忍の才はない代わりにデザインの才があるそうだ。
元忍だったお祖父さんの意向で、いつかは忍の才を持った子が生まれることを期待して鳥面との結婚が成立したという。だから、鳥面が暗部に在籍し続けることにも、一家をあげて理解があるのだとか。
「あのですね。あんなに忍に理解のあるご家族がいるのに、目の保養、ですか?」
「堅い事言わないの。カカシ先輩は、あたしにとってアイドルみたいなもんなんだから」
「未だに?」
「未だに、ですよ〜。旦那のことは愛してるし、義理のお父さんやお母さんも大好きだけど、それとこれとは別」
「やめとけ、猫面。いくら突っ込んでも、女心を俺たちが理解することはできない」
「そんなこと言うけど、男だって同じじゃない」
虎面の言葉に、鳥面が食いつく。
「むしろ男のほうが、愛でる対象と、実用を使い分けてるのが一般的なんじゃない?」
などとガヤガヤやっていたら……。

「カカシ〜〜〜。奇遇だなぁ〜〜〜」

ガ、ガイさん……。
と、思うまもなく、ガシと肩を掴まれた。

「なんだ、任務帰りか。アスマに紅」
変化解除しそこねたボクらは、ガイさんの勢いに押されて返す言葉を失くしていた。
「よし。折角、ここで会ったのだ。死の森で勝負と行こう」
え、ええ? ちょっと、勘弁、と思う間もなく、鳥面と虎面が
「じゃ、先、行くな、カ、カ、シ」
と地を蹴った。そんな薄情な、と責める隙さえ与えず遠ざかる背を、ただ呆然と見送る僕……。
「ガイ先生。僕らも先に里に戻ります」
リー君の言葉に「とっととここを離脱したいぞ」というオーラ全開のネジ君やテンテンが頷いた。
絶対絶命。
敵に四方を囲まれても、そうは思わないだろう。
察して欲しい、あの“ガイ”さんだ。
そして、もし万が一、勝負に負けたら、この先、先輩に何を言われるやら。
そう思っただけで、チャクラ切れを起こしそうになるボクだった。

「どうした、カカシ」
「あ、いや」
ガイさんは腕組みをしてオレを見ると、首を傾げた。
「おかしなヤツだ。任務帰りごときでどうこうもあるまいに」
いや、そこではなくて、と言いたい気持ちを押さえ込む。仕方ない、このままカカシさんとして通すしかなさそうだ。
「では、行くぞ」

結局、ボクは死の森の入り口にガイさんとともに降り立った。
――ったく。中忍試験じゃあるまいし。
そう、今回の勝負はどちらが早く中央の塔にたどり着けるか、だ。
森を管理している暗部の面々も、ガイさんとカカシ先輩の勝負については承知しているようで、特に質問もなく森に入ることができた。ってか、あんたたち、どんだけ? と言いたいのがボクの本音だが。
「では」
「おう」
「ヨーイ」
パチン、とガイさんが鳴らした指を合図にボクは走った。
申し訳ない、現役暗部のボクは今現在のこの森について熟知している、と詫びながら。
だから、どこにトラップがあり、どこに実験用の動物や虫がいるかも、知っている。
したがって危険ルートを避ける手立ても、当たり前の知識としてあるのだ。
もちろん、そんな知識がなくともカカシ先輩だったら、難なく森を通り抜けるとは思うが。

「うーむ。さすが、現役暗部。今回は俺の負けだ」
「はは……って、え?」
“現役暗部”って言ったか? このひと?
「俺がカカシと、カカシに変化したヤツを見抜けぬ腑抜けと思ったか」
わっはっはと笑うガイさんだが、たぶん、最初は見抜けていなかったはずだ、はずだと思いたい。しかし、どこでバレたんだろう?
塔近くにいる毒虫のかわし方がまずかったか? 木遁は使えないので水遁土遁だけで凌いだが……カカシ先輩だったら雷遁を使っただろうか? などと、アワアワしているとガイさんが僕の肩を叩いた。
「いや、なかなかのものだったぞ。カカシの永遠のライバルである、この俺でなければ、おそらく見破られることもなかろう」
正規の上忍相手に変化を解くこともできずにいたボクに、ガイさんが「うんうん」と一人勝手に頷く。
褒められているのだろうが、あまり嬉しくない。
「よし、では、打ち上げと行こう」
「はい〜〜?」
ボクはカカシ先輩に変化したまま、ガイさんに引きずられるように「阿吽の門」をくぐることになった。
助けてください、と言うボクの心の声をぶつける先さえ、定かではないままに。




2009年11月23日(月)
テキーラ・サンライズ 1)


「内偵……ですか」
「うむ。大名の屋敷の見取り図が必要なのじゃ。それも早急に」
三代目の前に立つボクのほか、2名の暗部は、互いに顔を見合わせた。懐かしい顔ぶれ、と言えよう。
もう、5,6年ほども前になるだろうか。カカシさんを隊長に、ここにいる虎面、鳥面、そして猫面のボクという構成の小隊—ボクにとって、まるでふるさとのような隊が暗部にあった。
いまでは虎面も鳥面もボクも、それぞれ自分の小隊を持つ身だ。ボクなどは先輩たちを差し置いて、いくつかの小隊をまとめる分隊長を命じられたりもしている。

「潜入の方法じゃが、ちょうど正規部隊がその大名の息子に嫁ぐ娘の護衛を請け負っておる」
「では、入れ替わり?」
鳥面の問いに三代目が頷いた。
「正規部隊の者は娘の輿を送り届け依頼主の大名に道中の報告を兼ねた挨拶をすると、直ちに離脱する。その際に入れ替わって欲しい」
通常の潜入ミッションは、当たり前のことだが相手に気づかれないように相手の懐に潜り込む。
だが今回は、入れ替わりを利用して堂々と屋敷内に入るわけだ。
「大名は、過去の事例から予測するに護衛についた忍をもてなそうとする。無論、いつも断っておるのじゃが、今回は正規部隊が退席した後、ちょっとした騒動が起きることになっておる。それを入れ替わったお主らが処理し、その流れで一度は断ったものの宴席に同席し邸内に留まる、という筋書きなのじゃ」
「ということは、護衛役の正規部隊に変化をする、ということですね」
ボクの質問に、三代目は頷いた。
「顔ぶれは?」
「はたけカカシ、猿飛アスマ、夕日紅の3名じゃ」
“はい〜〜?!”と内心で叫んでいた。声に出さなかったのは、せめてもの矜持だ。
バクバクする心臓を宥めながら、ボクは三代目と視線を合わせる。

「あの、念のために確認しますが、カカシ先輩役はボク、なんでしょうか?」
「当たり前じゃろうが。変化するに際して、なるべく当人をよく知っていること、体型体格的に近いことなどを考え合わせ、お主らを選んだのじゃ」
確かに、虎面の体型は猿飛アスマさんに近いし、鳥面も同様だ。ボクとカカシさんも、言われてみれば近いと言えなくもない。
術に関してもボクは、雷切はともかく水遁土遁に関してはもちろん全部とは言わないが、かなり同じ術を使える。
そう考えると、幻術を得意とする虎面は術の面では夕日紅さんのポジションで、鳥面は風のチャクラでこそないが、彼女の暗器の使い方は風のチャクラ使いに近いところがある。
素人にはだれがどの術を使うかなど関係ないだろうから、体型の類似性と使う術の共通性などを考え合わせると、最も合理的なメンバーと言えるのだろう。

「しかし、よりによってボクがカカシ先輩に変化……ですか」
ついボヤキが口をついて出たのを、三代目が、はっはと笑う。
「アレの呼吸を飲み込んでおるお主のほかに、だれがアヤツの役を勤められようものか」
確かに、あの脱力しそうに飄々とした雰囲気は、演じようと思って演じられるものではない。正直、ボクにも無理だ。
だが、今回は任務中だ。とすれば、まあ、なんとかなるかもしれない。
「しっかり頼んだぞ」
「御意」

――というようなことがあって、1日半。
堀に囲まれた屋敷の内門脇にある杉の大木にボクらは身を潜めていた。
そこからだと屋敷が見渡せる。
「では、失礼いたします」
アスマさんの野太い声が聞こえ、3人が玄関から出てきた。
いつもの表情の伺えない先輩の顔も見える。
杉の木の下を通り過ぎながら、先輩がチラと木の幹を見た。
上を見上げるようなことはしなかったが、きっとボクに気づいたのだ。

先輩たちは内門を出ると、ダッと地を蹴って見る間に遠くなる。
屋敷の護衛の者たちが、先輩たちを見送っているが、おそらく一般人である彼らの目にはもう姿も見えないだろう。
タイミングを計って虎面が幻術をかける。彼らが屋敷の玄関に向き直るのと、僕らが玄関前に降り立つのが同時だった。
ちょうど、数秒前にコマを戻した状態になった。
その時、庭の向こう、おそらく厨房のある位置だろう、「こらー」という声が聞こえ、急にざわざわドタバタと足音が聞こえた。
見ると、何かを咥えたカラスが空高く舞い上がろうとしている。
「捕まえて〜」
悲鳴のような声があがり、鳥面が蔓のような暗器を飛ばす。
くわっとカラスが鳴き、咥えていたものを落とし、絡みついた暗器からすり抜けるように、飛び去った。
鳥面も捕獲するつもりはなかったのだろう。
ボクは走った。落ちてきたものが、小さな生き物だとわかったからだ。
このままでは墜落死してしまう。裏庭の庇を蹴って、空中で“それ”をキャッチすると、地に降り立った。
手の中には、生まれて一月もたっていない仔猫。
鳥面が鳥、猫面のボクが猫……ですか。カカシ先輩がいたら、さぞかし大笑いするだろう、と思いつつ、ボクは周囲を見渡した。

屋敷の下働きらしい者に混じって、主人の姿も見える。
「あ、あ、あ、ありがとうございます」
「下の坊ちゃまが可愛がっていなさる猫が」
「おかげさまにて」
口々に言い募るのを総合すると、食物の貯蔵庫の番をさせるのに飼った猫を、この家の次男だか三男だかが、かわいがっているらしい。ちなみに今回、嫁を迎えるのは長男だ。
その猫が先ごろ子猫を産んだ。なんでも純血種なので特別に相手を選び交尾させて生まれた仔猫は4匹。うち3匹は貰い手も決まっていると言う。
なるほど、血筋を保つのに相手を選ぶのは人間も猫も一緒なのかと、妙なところで感心してしまった。
その残りの1匹、つまりこの家の貯蔵庫番の跡継ぎ猫が、さらわれかけたのだとわかった。

「ミィ」と、それこそ猫の鳴き声のような声をあげて家の中から走ってきたのは、まだ10歳ぐらいの子どもだ。
ボクはしゃがんで子どもと視線を合わせると、手の中の猫を差し出した。
一瞬ためらったのち、子どもはそっと仔猫を受け取った。子どもの小さい両手におさまるほど小さい仔猫だ。
「その方が、助けてくれたのだぞ。礼を言うように」
主人の言葉に子どもは、うん、と頷いて「ありがとうございます」と頭を下げた。
ボクは先輩がよくやるように、ニッコリと表情を作った。相当、頑張ったと思う、我ながら。
「ミィって名前なのかな?」
「そう。生まれてきて、一番最初に『みぃ』って鳴いたから」
「ん、いい名前だね」
子どもははにかんだように笑い、それから慎重に猫を見た。
「大丈夫、怪我をしている様子はない。でも、きっと猫もびっくりしただろうから、今日はお母さんと一緒に静かに寝かしてあげようね〜」
「うん」と子どもは頷き、主人のところに走って戻る。
ボクは立ち上がると、「失礼いたします」と頭を下げた。虎面のアスマさんと鳥面の紅さんも頭を下げる。

「お礼代わりに、せめて夕餉でも」
「いえ」と「アスマさん」が言いかけるのを、主人が制した。
「そなたらが、そうした席を断るのも理解しておるつもりだが、このたびのことは依頼外のこと。本来なら報酬をお出しすべきもの」
「報酬など……これは偶然居合わせた結果ですから」
「そう申すのであれば、せめて感謝の意を示したいという我等の気持ちを汲んでくださるわけにはまいらぬか、ほら」
と主人は、厨房の出きり口に固まっている下働きの者を振り返る。
「あやつらも、礼の気持ちを表したいと思っておるから、こうして控えている」
そこまで言われては、とボクらはまた屋敷の中に戻ることになった。
あのカラスは、もしかしたらボクの同期のヒガタの使役鳥かもと思いながら。

どうやら、この家の主人は忍に興味深々なようで、夕餉の席ではあれこれと忍の生活について質問してきた。
ボクらはソツなく、差し支えのない範囲で応対し、この家に一泊したのだ。
もちろん任務は滞りなく終わった。
「なかなか、カカシさんぶりが板についていたわよ。さすが、といったところね」
と鳥面に突付かれるというオマケつきで。

だが、里に帰ると、もっとビックリするオマケが待ち構えていたのだった。



2009年11月20日(金)
テキーラ・サンライズ プロローグ


「来年は、いよいよ上忍師デビューだな」
その話題が出てきたのは、無事、豪商の娘の嫁入り行列を護衛する任務を終えた帰路でのこと。
某大名に嫁ぐ娘の護衛を木の葉の正規忍に担当させることで、大名の威光をさらに高めるための演出だ。もちろん道中、危険もなく、任務はあっけなく終了。
なのだが、実は、ちょっとした裏がある。もっともそちらは暗部絡みの話で、当然、オレたちの任務とは表向きまったく別物だ。
「まだ、わかんないよ。試験に合格しなきゃ、アカデミーに逆戻りだからね〜」
「落とすのかよ」
「受からなきゃ、落ちるでしょ」
「うちはサスケ、うずまきナルト……おまえさんが面倒見なきゃ、だれが見るんだよ」
「いや、オレが見るって決まったわけじゃないし」
はぁ、とため息をつくヒゲ面のアスマは、それなりに長い縁のある数少ない同朋のひとりだ。
「面倒くさいやつだな……そういや、紅にも上忍師の依頼が来てるそうだぞ」
と、今回の任務に当たったもうひとりの上忍、こちらは女だ――を振り返る。
「そうなのよ。でも一度は通る上忍師の道なら、早いほうがいいかなとは思ってるんだけど」
彼女とも、アスマほど長くはないが、それなりの付き合いがある。

ここ最近、パフォーマンスを意識した上忍のみの任務、つまり実際には上忍が出張るまでもないのだが、木の葉の忍を手配できるぞ、という依頼主の力を誇示するための任務で組まされるのが、この三人。
要するに、オレたちは若い癖に班を持たない――弟子を持っていない上忍で、里にとっては使い勝手がいいのだ。
「せっかくお馴染みの顔ぶれなんだから、揃って来年、上忍師デビューってのもオツなものだぜ」
「どこが」とオレは笑う。
「ま、ガイが、今年、とうとう弟子をもっちゃったからね〜」
あの熱血についていくことができるのは、きっとガイ2世のようなリー君だけだろうと思っていたら、意外なことに、負けず嫌いで暗器、武器の扱いに長けた、くの一のテンテンや、あの日向の分家のクールガイとも言えるネジ君までもが、ガイ言うところの師の愛情こもった熱きシゴキに耐えているという。
まあ、本人談なので割り引く必要はあるだろうが、とりあえずガイ班が瓦解せず継続しているのは事実だ。

「案外、あいつは上忍師にむいてるな」
アスマの言葉に、オレは「そう?」と返した。
「どんなにスカシていたって、12やそこらのガキだ。才能があるのなんのと言っても、所詮子どもだ」
確かに。
オレがそれぐらいの歳には上忍で、戦場にいた。
戦闘には強かった。子ども特有の「怖いものなし」で突っ込んでも行った。だが、それはただオレが子どもだった、という証左でしかない。そう自覚できたのは、もっとずっと後になってからだったが。
「ま、ガキ連中は、表向き、うっとおしい、うざいという顔はするだろう。が、ガイはそんなことは気にしないだろうが?」
「まあ、アイツはそうね」
「で、ヤツは単純だがけっこうあれこれ気がつく。要するに人の情に敏感だ。それらを全部、熱血に変換して相手に伝える。うっとおしいという顔をしていても、ガキには伝わるんだよ」
そう、オレに欠けているもの。
ガイとは、これまた浅からぬ因縁があり、長い付き合いになる。
本来、苦手なはずのガイと付き合いが続いているのは、彼がオレにないものをもっていて、そこに惹かれるからだ、と、認められるようになっただけオレも成長したものだと思うが。

「おまえ、ほんとうは暗部に戻りたいんじゃないのか?」
報告書の提出を紅に任せ、たまには付き合えと強引にアスマに引っ張られていったのは昼から酒が飲める居酒屋だった。
「戻りたいって言うより、正規部隊がめんどくさい」
オレはくみ上げたばかりの湯葉に醤油を3滴ほどたらして口に運ぶ。なんで昼から営業している居酒屋に、こんな粋なつまみがあるのか謎なのだが、おかげで重宝している。
「どこが面倒なんだよ。面倒なのは、暗部も正規もそう、かわらんだろうが」
アスマは茄子の一本付けを口に運びながら、くい、と猪口を傾けると、また手酌で酒を注ぐ。つられて、オレも茄子を指で摘んで口に運ぶ。
「あ、この茄子、うまいね」
「うまいね、じゃないだろうが」
自分でも、話題を逸らしているという自覚はあった。だが、紅に報告書を任せてまでオレをとっ捕まえておきたかったというのは、余程のことだ。まさか、火影さまから何か言われたのだろうかと思いながら、茄子を摘みつつアスマを見た。
「戻りたい、ってわけじゃない。ただ、ずっとあそこにいたから」
「居心地が良かった、ってことか?」
「まあ、そんなとこ」
そうか、と呟きながら、アスマはタバコの煙を吐き出した。