カゼノトオリミチ
もくじ過去未来


2014年06月27日(金) 六月の終わりに





雨あがりに 浮かぶ

すぴーちばるーん

いえなかった言葉

話し過ぎたコトバが

あたりに満ちた 湿度の粒と

空気にとけて

そらへのぼり

雲の切れ間に 消えてゆく


ココロに積もる 数々の

行き場のない コトバたち

ヒトの想いも 後悔も

みんな

見えない粒となり

雨が止んだら

みずいろの あの隙間へと

のぼりゆく


今日は 南風が

少しの 夏のかけらとともに

校庭の子供たちの

声と

笛の音を届けてくれる


六月の終わり

梅雨は

にんげんの 身体の中の

コトバを集めて 

空へ 返す

うるんだ季節の中で 今日も







2014年06月24日(火) ミケ



雨の中 ミケはどうしているだろう

古い平屋の 屋根瓦の下で

今朝は

身体を朝陽に 横たえていた

柿の葉をゆらし

梅雨の冷えた風が吹く

心地よさそうに 目を閉じていた



昨日は 庭の真ん中で

こちらを見ていた

そのあとまた 新聞を取りに行くと

道路の真ん中で こちらを見てた



2メートル範囲内に

入るといつも 逃げる

お向かいの柵の向こうに入り

そっぽを向いて 座っている



午後から雷雨になった



ミケに会った日から 何年経つだろう

会う前にもうすでに

何年生きていたのだろう



自転車を押して

坂を上ってくると そこに 

お前の姿が ある そんな時は

なんだか ほっとする



雨の中で カアカア鳴くのは

迷子になった 子カラスだろうか

晴れたらまた きっと

その姿を見せておくれ ミケ











2014年06月16日(月) そら そら そら





そら そら そら

梅雨の雲は去り

今日は

みずいろ透きとおり

太陽が笑う そら



見えない人

見えないもの

あなたも あなたも みんな

どこへいった



夜更けにゆらり ベランダで

風鈴の音 ひとつ

目を閉じたまま

耳そばだてる



ゆうべは

大きな月が出たと

そよ と吹く 墨色の

夜風が 窓たたく



西のそらへ

みずいろの風にのせて

ありがとうと

手紙を書くね

今日の夕焼けも きっときれいだね



2014年06月10日(火) 梅雨の人


さやさや 風が

ぬれた葉をわたりゆく

あじさいの花に 小さなクモ

迷っているような

そこが 気に入っているような



うすむらさきの雨の糸は

針のように細く

また

しっとりと ぬれている

止んだような

降っている ような



乾かないね 髪も ココロも

いつまでも



話しかけてみる



小さなクモと

煙る 梅雨の粒たちに











2014年06月04日(水) あたらしい朝





あたらしい朝が来たよと

スズメたち



私の役目はおわってしまった



スズメたち

うるさく騒ぐ

あなたの役目は 

まだある まだあるよ



ココロのなかの 

きらめくヒカリを

忘れないこと



ココロの中の

ぬくもりの巣で

小さなヒカリを

あたためること







natu