カゼノトオリミチ
もくじ過去未来


2013年01月31日(木) 長い夜


闇のなか
目をあけて
黒い粒子か浮かぶのを
見ていた

あのこ達が
作る闇のなかで

老犬は
くさはらを
生き生き跳び跳ねる

そのまま闇に
連れて行かれぬよう

ワタシはしばらく
眠る老犬を
見ていた

黒い粒子のこ達は
ながい列になって

なかなかこの夜を
終わらせてはくれない







2013年01月30日(水) 1月




ヨリソウ キモチ

手を放したら 飛んでった

ひらり

春を呼びに 行ったの

帰ってくるかしら

いつか 

ハコベの咲くころに

黄色いチョウチョになって

ワタシの庭に



青い1月の空が

西へと連れていって

しまったのなら

ひとり

しいんと おひるすぎ

北風に

冷たいしずくが

ちぎれて うしろへ

飛んでゆく






2013年01月25日(金) 渡されたバトン


手渡されたバトン

それなら

受け取ろう

重く、重く、重いバトン



脇に挟んで

温める



どうしよう

このバトン 返したい



でも 

どんなコトバも

あてはまらない



もう

キモチは コトバに

なっては くれない










2013年01月23日(水) 濾過




行き場をなくした

コトバたち

牛乳瓶の中へ

堆積してゆく


過去の記憶は

躯となり

やがて砂になり


行き場のない

コトバを

濾過してくれる


ワタシは

膝を抱えて それを見ている


牛乳瓶の

まあるい天窓から

浅い春の

無邪気な光が

うっすら差し込み 



降ってきた

コトバたちは

濾過の順番を

しずかに並んで

待っている









2013年01月19日(土) 老犬


お前の
ボロボロの毛並み
ひび割れた肉球
痩せた前足
ガタついた後ろ足

山ほどの
ありがとうの気持ちが
尽きないよ

ウトウトと
寝ている姿は
いくらながめていても
飽きないよ

黒くて丸い瞳は
掌に乗るような
仔犬の頃から
変らない

けれど
閉じたまつげの先は
すっかり白くなった

いつかある朝に
そっと眠ったままで

天使が迎えにくると
いいよね

神様がくれた
命の灯りが
尽きるまで

見守っているから

でもまだもう少し
この子のそばに
居させてください

暖かな茶色い
温もりを見ていたい











2013年01月13日(日) ランニング





玄関を出て
しばらく行くと
左へ曲がる

軽い足どり
そこからは上り坂

気持ちいい風
夕方ランニング

登る景色は
茜色
見下ろす街は
箱庭

懐かしい街よ

走る走る
夕暮れの雲と
ワタシひとり

さみしくない

どこまでも
いつまでも

ただ走り続ける

終わりは無い
シアワセ





2013年01月11日(金) 北風




今日も北風

コトバを風に

コトバを風に 放とう

頬をたたく北風は

私のイヤな部分を

浄化して くれるようで

もっとあたれ

もっともっと

涙出るけど

コトバなんて

きらいだ

しゃべりすぎれば

必ず後悔

なのにまた

ココロはコトバを

染み出させる 

なんでだろ




 


2013年01月10日(木) 手を合わす




薄く灰色の
ベールをまとった
1月の水色に

やわらかな
ホットケーキみたいな
雲がうかぶ

そっとなぜだか
ココロの中で
手を合わす

誰に何をか
わからないけど

遠い何かを思って
手を合わす

生きているうち
ふと
ムネのどこかが

強く柔らかく
押されるようで

空の向こうの
何かに

ココロの中で
手を合わす

そんなことが
多くなりました





2013年01月09日(水) ハンドクリーム


この思考の 方向は
いいことなんて ない

頭の中 しゃべりすぎ

だまれ
ぷちり ハサミ 切る

はぁい 断線しました

なのにまだ続く
どうしてなの

またヒヨドリに
叱られそうだ

いえいえ
こんな暖かな日は

トリたちも
自分のことで
きっと忙しいはず

私は手に
大好きなハンドクリーム

いっぱい塗ろう
シアワセな
においにつつまれたい








2013年01月08日(火) ヒヨドリ




気がついたら
この道を 歩いていた

自分で選んだはずだけど

これでいいのか
これでいいわけない

これしか できないのか

本当にこれしか
できないのか

うるさいうるさい

つんざく ヒヨドリの声が
思いを引き裂く

なにもない 
1月の午後の空

何が正しくて
正しくないか

この道であってたか

そんなこと
思うな思うな

水道の水は
いつまでも手に冷たくて

でも力なく
水桶に手をひたしたまま

泳ぐ手を見る

1月の午後の空に

ヒヨドリの声が
心地よく響く






2013年01月07日(月) さあさあ




おはようおはよう

ツイピピチュイピピ

うす青い凍った空気に

清らかに響く朝の挨拶

その小さな足は

まん丸く空気を含んだ

柔らかな胸毛は

冷たくないかい


さあさあ さあ

元気出して

行こう行くんだよ

日の出とともに

街中を飛びまわり

朝をお知らせしてくれる

浅い浅い春の

かわいい小さな

朝の鳥たち






2013年01月04日(金)


鎧を着ける

そう 自分を
すべてから守るため

自分が正しい
自分が作った筋書
自分を正当化するため

扉をいくつも

塀をいくつも たてて

守る

盾を 槍を 

自分の理屈を

そうしなくては
そうしなくては

いてもたってもいられない

誰かをうらみ
誰かを批判し

誰かを責める

自分を
すべてから守るため

もう一枚 
また 鎧を身に着ける










natu