カゼノトオリミチ
もくじ過去未来


2009年11月27日(金) うず




後悔は やってくる
それで良かったのか?

後悔が 頭の内側に
張り付いて
ぐるぐる まぶたの裏を
めぐってる

戻れないのに
リターンスイッチ 探してる
巻き戻し機能
探してる

ジャーっと 渦を巻き
排水溝に流れ
消えゆく
夢を見ている

洗濯機をのぞきこむ

ぐるぐるまわる
洗濯たちは
とても楽しそうにみえる

停滞を
引き裂くように
オナガの声が 冬空にひびく

目をあげて
どこまでも続く
晩秋の灰色を 見ている

その先に
思い描く 安心は

蒸したてのあんまんのような
白くて
いいニオイのもの

でもわかってる
安心を いくつもらっても
不安は 消えないこと

安心と不安は
同居してること

後悔を流し去る
洗剤も 水流もないこと 



2009年11月17日(火) 映像




白灰色の雲が

どこまでも続き

しとしとしぐれの雨が降る

時が止まり 街は黙り込む



キイイキイイ

冷えた空気を引き裂く

ヒヨドリの声に はげまされ歩く



瞼の中 白と灰色の世界

忘れてきた映像が流れてる

幾重にも畳まれた

冬の記憶

鼻先に 

遠い街の クリスマスのニオイ



このまま冬が来るよと

すれ違った風が 告げてゆく

桜の枯れ葉が

赤 黄 柿色に ちらちら揺れて

スズメたちは 枝先で遊ぶ

静かな冬の 始まりの日




2009年11月11日(水) なにもなかったように



しずしずと

過ぎゆく秋の

衣ずれの音がする

墨色の夕暮れに

ワンは

カーテンから鼻を出し

雨のニオイを

くふくふ 嗅いでいる

今日はお散歩に

行けないのに

うれしそうにシッポを

振るんだね



明日 太陽が出れば

公園の枯れ葉の続きが

見れるかな

明日 この雨で

すべてが散っていたのなら

裸になった木々の

寒々と広がる枝を

見にゆこう



日々は次々やってきて

無数の枯れ葉の

散るように

はらはら 過ぎてゆく

日々はまるで

風に舞う枯れ葉のよう

やがて朽ちて

消えてゆく

そこに

なにもなかったように




2009年11月02日(月) 巻雲




ハードルのめもり

ひとつ

さげてみる

すこし

ラクになった



きゅうきゅう

カラダがふるえた

ココロのメーターが

知らずにあがってた



氷のような

風にまかせて

空いっぱい

刷毛でかかれた

天使の羽

あの巻雲

秋の過ぎ行くしるし



あんまんかじって

見上げた

ムネの奥が苦しくなって

じゅわっと

涙がでた





natu