カゼノトオリミチ
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2008年10月26日(日) 葉っぱの舟




ねえ 灰緑の水が きれいだね

冬の便り りんご色のセーター 着て

よどむ池のほとり


映る姿に 哀しくて 言葉 失う

しわくちゃの ワタシが いる


誰もみな 重い荷物を持っているの?

どれが重いか 誰が知っているの?


そおっと 浮かべましょう

荷物 抱いて

りんごの木から はらり

落ちた 葉っぱに 乗りましょう


沈んでゆく 順番に きっと 重いのよ


ワタシは イチバン 最後になって

それでも どうしてか 沈んでくれない

そんなハズがない と

泣きながら 舟を 揺すり

みんなを 見送るの


2008年10月19日(日) その手を



なんということ

いま 気づいた

大きな手を 求めていた こと

あふれそうなものに

ふたをしてくれる

あたたかな 手を

必要としていた

街角に立って

何時間 立っていたって

出会うはずない 一方通行

ひとりよがりの 待ちぼうけの おバカさん

夢みる 大きな手 の かわりに

自分の 心に 自分の手 広げて

涙で 出来た 池の水を

すくって  顔でも

洗いましょう

現実を 見つめよう

泣きながら 掘り返した 土

でも それは まぼろし


2008年10月17日(金)   隙間




手を伸ばして あと少し あともう少し

くもり空に わずかな隙間が

その上に うす水色の空 のぞいている



ほんのわずかな その穴から

抜け出て そしたら

ジャックが豆の木 登って たどり着いた

世界のように

雲の上には 水色の 

広がる空が どこまでも続いているはず



ここで

手を伸ばして 見つめていよう



せめて 手を 伸ばしていよう

扉が 閉じてしまうまで

ここで

洗濯物 かかえて





2008年10月14日(火) 優しい街角



くもりぞら

うす灰いろの 空気が

もうすぐ降りだす 雨の 粒をふくんで

しっとりと 

優しい 重さで あたりを包むと

街は 時が 止まり

今が いつだか

幼い日の 街かどに 戻ったような

今日が いつだか

春の初めの日のような 秋の終わりの 日のような

境界線を 失って

たゆたう ココロは 前後 左右に 旅をする

向こうから 歩いてくる人も

ぼんやり  にじんで

足もとも ふんわり 柔らかい 

雨の降る 前の

湿った風に 夢みごごちな 街かど

なんだか 好きな 世界


2008年10月07日(火) ココニアルコト

空の上から 観られてるのだろう

なんて ちっぽけな オマエの迷いよ

ざあっと 秋の暮れの うす暗闇から

生ぬるい風が 起こって

…あきれてしまう

なまけものの 迷いよ

…恥を知れ


ココニアルコト とは
 
金木犀の 香りに ふらり

迷うから こそ

悩むから こそ

鏡にうつる 自分をみている 自分が

自分を 自分だと 知ることが出来る



そんな 言い訳さがしてる

いっそ

鏡を通り抜け 向こうの世界へ

吸い込んで

脳みその 余分なぶぶんを

吸い取って

…もう これ以上 迷わないように 


2008年10月02日(木) 迷子のコトバ




空を見上げても

思うことなんて なくて

いえ なにも 思わなくていいよ と

ひんやり すこし 秋になった風が

頬を たたくから


そうだよね なら せめて

ここから 発信するよ

どこかの 空の下へ

届くことの無い 電波の 矢印を



「イツモアリガトウ」 と

打ったつもり なんだけど 上空は

透き通るほどの 青い風が 吹いていて

散り散り コトバは

迷子になるね


natu