カゼノトオリミチ
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2007年04月28日(土) 流れる




たそがれ映る水たまりを

自転車で走り抜ければ しぶきが跳ねて

生まれ変われた気分



夕立が街を洗い通り過ぎると

ひんやりした空気が流れ込む

灰色のそら 西の透き間にはあかね色



雨をふくんだ若緑のカエデが頭をたれて

一日の終わりを静かに迎える準備をしています



明日へ今日を繋ぐために

今日を背負って またやってくる 

明日のために



街に飛び回っていた風のカケラたちも

そろそろカエデの横に集まって

一緒に夕暮れを見送ります



やがてうす闇の中

ピンクの長靴が水たまりで飛び跳ねた

あれはいつかの私























2007年04月16日(月) 水底からの便り




あなたの手に ひとつ 握られた

勾玉のような それは

まぎれもない いのち



今日も あなたは舟を出し

水面を見つめる

ぷくり ぷくり

水底からの便り

生きながらえなかった

いのちの つぶやき



しばらくは 耳を傾け

やがて櫂は水を切り 舟は岸へと還る



おかえり

今日もきっと 還ってくれると思ってた

手の中の 勾玉

ほんのり あたたかい




2007年04月13日(金) アカネの空の向こうへ




お墓にはいないのか…

風になっているのだね…

千の風の曲を聴いたときには チョット驚いたけど

確かに そうなのかもしれないね



だって

あの時 「ご臨終です 何時 何分です」と

言われたときに たましいは

ふるさとの アカネの空の 山の向こうへ

飛んで行ったんだろうな と

すんなり思えたから



もうこれで 苦しくないね あの山に戻れるね

軽々と 微笑んで 飛んでいったと思ったから



そして

いつでも風にのって この町へ戻ってきては

ふんわり気ままに 漂っていたりするのかもしれない

気分はいかがですか?

時々は 夢であおうね





2007年04月10日(火) プラス と マイナス と ビール




ひとつ いいこと

ひとつ いやなこと


でも だからって プラス マイナス ゼロ?

ゼロではないよね。



きっと

ひとつ いいこと あったぶん

あったかな気持ちになれた

それでココロの皮が びろ〜んと伸びて

悲しい気持ちを包み込む余裕が 少しばかり増えて…



マイナスを飲み込んだ



プラスには そんないいところがあるような気がして

だから ひとり ビールをあけて

ちいさな乾杯をした






2007年04月09日(月) さくら と 約束





若葉が目立つようになった

桜の樹の下を通ると

名残惜しげに はらり はらはら と

花びら 

髪にも 肩にも

散りかかるから

思わず立ち止まり 桜を見上げる



わすれないで わすれないでね



うん わかっている

はらはら 花びら散っても







2007年04月02日(月) 四月の曇り空の日には





黙ったまま四月の曇り空は

低く 街に降り立ち

湿った風を ひんやり路地に流し

昼過ぎには 人気の無いのをいいことに

こっそり 時さえ止めてみせる


砂のお山に降る 憂鬱な雨のように

はらりと 音もなく散るさくらの花びらのように

灰色の小さな水滴が この身にしらずに降りそそぎ

気がつけば ここに居たはずが

姿も形も なにもない



存在など 四月の曇り空の日には

求められない

居ても 居なくても どちらでもよい

エアポケット

いっそ

止まった時の間に 溶けてしまえばいい






natu