日々の泡

2011年03月31日(木) 行け行けバンバン

YouTube - Jeff Buckley-Hallelujah

地震の翌日、
わたしはやっと家へ帰り着いた。
自宅のある地域は地震の後すぐに停電して、翌朝やっと通電した。
家にいた夫は一日経てやっと事態の深刻さを報道で知り、あまりの悲惨さに蒼白になっていた。
わたしたちはふたりでソファにぐったりと座り
原発事故の深刻なニュースを上の空で聞いていた。
どこか遠くの国の事みたいに。
昔見た夢を思いだしているみたいに。
窓外は青い空で
ラジオからは「ハレルヤ…」の歌詞が流れていた。
すっかり終わっちゃったな…そんな感じで。
が!
しかあーしっ!
わが同僚は、帰宅難民と化しやっと翌朝自宅へ帰り着いたというのに、
その足で中伊豆の温泉へ出かけたという。
持っていた割引券が三月いっぱいで使えなくなってしまうので予め予約を入れておいたのだそうだ。
ガッツだぜ…
なんだか尊敬してしまった。
どんどん行け行け
がんがん生きろ…
それが鎮魂になる
それが復興の礎だ!
わたしってへなちょこだ…見習わなくっちゃ…



2011年03月30日(水) 桜咲く

花見が禁止だと。
どこかの知事が 花見を禁止した。
こどもじゃないんだ。
それぞれが
それぞれの時間の中で
それぞれのやり方で
死者の鎮魂を祈り
行方の知れない人々の安否を気遣い
自身の将来と向き合う。
明日の保証のない不安の中で
今日を楽しむ権利さえ奪おうと言うのか?
馬鹿者だ。
あれは。



2011年03月25日(金) ぐっすり眠れるまで…

頑張ってください!と
ラジオのパーソナリティが被災地の人に声をかけている。
ありがとうございます…
ちょっとかたい声で被災者はお応えになっている。
 被災された方たちは極限まで張りつめて頑張れるだけ頑張っている。
もう頑張れないよね…
それ以上…
でも、待っててください。
みんな、募金して
物を送って
少しでも早くみんなが暖かく眠れるように そう願っています。
力を出して頑張るのは
暖かく眠れるところと
食べ物と
安心が揃ってから。
それまで
どうかこらえてください。
そんな関東のわたしたちも、
今、違った複数の困難の中にあります。
不安でいっぱいなのだけれど
被災地の人のことを考えると…などと自分の不安にブレーキをかけたり
ここが頑張らねば経済が回らないと無理矢理奮起したり…
実はとても疲れているのだと思うのです。
あれこれ迷いながら
それでも日本の人は真面目に生活していくのでしょう。
粛々と
二週間が経ちました。
それにしても
今年の三月はいつまでも寒い…



2011年03月21日(月) 総裁

雨。
春分の日。
どこかの総裁が
電話一本じゃねえ…とか
ビジョンも提示しないで…だの言って
国がひとつになって復興しよう!という機運に
水を差した!
あんたねえ…
総理から電話貰わなく立って
野党与党の壁を越えてぜひ何でも手伝わせてほしいって
自分から言ってくべきじゃないの?
いったい何様?
あ…総裁様?
そんなに水刺したきゃ
原発の上空から手ずから水を差しなさい!
被災地は
総裁より
惣菜が必要だっ!



2011年03月20日(日) 故郷の浜

わたしの生まれた町は
青森の太平洋側にある
波の腹が夕陽を巻き込んで漁り火の灯る夜がやって来る
浜辺には明治の頃の津波の記念碑が立っている
けれど
その記念碑の海側にも家は建っている
危険なのは承知の上だが
先祖代々ここに住んでいる
今さら動けない
それが田舎の人の暮らしだ
この地震で
その浜辺は津波に呑み込まれた
会ったことのない遠い親戚が
津波で亡くなった
苗字を聞いて
ああ あの筋の人だな…と
見当がつけられる
それが田舎の暮らしだ
その人は漁業で暮らしを営んでいた
地震の後
船が気になったのか
何かの仕掛けが気になったのか
彼は港へ出て行って
そのまま生きては帰らなかった
命あってのことなのに…と
人は思うかもしれない
わたしもそう思う
けれど
船を守り
仕掛けを確かめ
家族を養う
それが彼の暮らしだと
それが田舎の暮らしだと
そんな暮らしのおかげで
うまい魚が食える
今、わたしは都会と言える町の中にいて
まったくこの暮らしが
幾万の田舎の人のおかげなのだと
ただ呆然と
なんの甲斐性もなく
阿呆のように
悲しんでいる



2011年03月19日(土) 福島原発

福島原発では黙々と事態と闘ってくれている人たちがいる
命を省みずに
自分たちの職務を遂行している
その志に報いるような言葉を
その勇気に感謝する言葉を
捜しても捜してもわたしは見つけることができない
どの言葉も軽々しくて
あなたがたの行動には値しない
ただただ
祈る



2011年03月17日(木) 本当に悲しいことは

今日、初めてあの地震以来外へ出た。
食事も簡素に。
冷蔵庫の中のもの
乾物
などと知恵を使って
結構食べられるのだ、買い物しなくても。
大根の煮物の残りの煮汁に玄米ごはんとねぎで雑炊にしたりとかさ。
仕事は現在自宅待機中。
電車が動かない。
シビアなニュースが流れる。
それでもみんなこの事態を乗りきろうとしている。
買い占めに走る人々がいる。
法律を作って取り締まろうと言う人もいる。
知人が言った。
ホームセンターで電池を買い占めている老人を見た彼は、いったいいくつまで生きるつもりだ…自分だけ生き延びればいいのか…と思ったと。
いやな傾向だ…買い占めはもちろんだけれど、戦時中の陸軍塀みたいにすぐ人をがめついやつだとか、非常時になんてやつだとか…そんな風に決めつけるのはよくない傾向だ。
人の行動にはその行動に至る文脈がある。
その老人は被災地に送ろうとしていたのかもしれない。
病人が家にいるのかもしれない。
せっかく生きながらえたのに憎み合ったら何もならない。
簡単に評価したり
決めつけてほしくない。
福島の方がこんなことをおっしゃっていた。
恐いのは放射能より「人の差別」だと。
あまたの命を犠牲にして
差別とか憎悪とか それは悲しいことだ。
だからと言って
買い占めはやめてほしい。
いわき市まで避難してきた老人七人が
停電し断水し、
食料もガソリンもなく
店舗はすべて閉まり
、孤立して
凍死している。報道してほしいとツイッターのつぶやきがあった。





2011年03月09日(水) やめられない止まらない

またも冷たい風の一日。
電車で隣に乗り合わせたご婦人の二人連れ。
他愛のない会話だけれど穏やかに優しい言葉遣い。
座席の周囲に結界が張られたように清々しい空気が流れる。
六十代と七十代だろうか、わたしもその年齢にはこんな風に話せたらよいな。と思った。
サラリーマンの二人連れの会話も聞こえて来る。
内容はよくわからないのだけれど「ご多分に漏れず…」という言葉が何度も登場する。
1…2…3… 回数を数えていたけれどそれほど長くない会話に3回は多い。
彼らの職場では一帯何が誰がどんなことがご多分に漏れなくどういったことになっているんだろう?
選挙活動の募金を募る替わりにこれを買ってちょうだい…と労働組合の人がお菓子を持ってきた。
何だか押し売りのようだねとちょっと憤慨したけれどいくつかスナックを買った。
どこかの養護施設で作っているお菓子らしい。小さなサラダせんべいとミルクアーモンドという代物。
夕飯を終えてそれを頂きながら日記を書いているんだけれどミルクアーモンドはぴったりツボにはまりました。
やめられません。
また押し売りに来てほしい…我ながら現金な人間だとあきれるわけです。
*盛岡の君へ 揺れたね…こちらも長い時間揺れていました。おさまるかと思わせておきながら、またひときわ強く揺れたり…
冬眠中の蛇も蛙も驚いたべな…無事でなにより。



2011年03月08日(火) 沈丁花

一週間前から沈丁花の香りが町中に漂っている。
気温の低下と重なったタイミングで開花したのだろう。例年はふわりときりっとした甘さで薫って来るのに今年は寒風の間隙にひっそりと香っている。
道行く人のすれ違いざまの残りがと勘違いするほどに密やかだ。
寒さの中では何もかもがけなげに感じる。
小鳥もこどもも早咲きの桜も…



2011年03月07日(月) 月曜に氷雨はないでせう…

冷たい雨。
夜中中夢を見続けて眠った気がしない。
弁当のおかずにベーコンとエリンギとスナップエンドウを炒めようと思っていたのにあまりに寒く寝床でぐずぐずしてしまったら時間がなくなった。
従って今日のランチはひどく淋しいものになりそうだとしょんぼりしたけれどいざ食べてみるとゆかりとごまを振りかけた玄米、噛みしめるほどにおいしくて不思議と満足。
だれか大臣が辞任したとラジオからニュースが流れている。
やめればやめたで何か言われやめずにいると何でやめないのかと問われる。
予備校生がハイテクなカンニングをしただけなのに国を挙げて責め立てる。
右往左往 あたふたするだけのマスコミ
あなたがたに背骨はあるのだろうか?



2011年03月06日(日) 春物を出そうと思ったけれど寒いので読書

ミステリーを読んでまたも大事な一日を潰してしまった。
毎年三月のこの時期は光が春めいてつい薄着になってしまって風邪を引いたものだった。
去年辺りからもうそんなことはできないくらいに三月の風は冷たく感じられてこれって歳のせいなのか…と弱気になるがいややっぱり本当に寒いのだ、世の中が。
先々週末だったか仕事を終えて外へ出た途端にイソヒヨの声に出迎えられた。
今年も職場の建物に営巣するのだろう。
美しい鳴き声の鳥だが、去年わたしは思いがけずイソヒヨの雛が生まれ出る様子を生で聞いた。
わたしの仕事場は広いベランダに囲まれている。
座席の横の窓の下にイソヒヨが巣を作っているらしく、窓を開けていると彼らの泣き声や羽ばたきが聞こえてくる。
その日はとても暖かな春の日でちょうどお昼にさしかかる頃だった。
突然、「ヒーヒー」という雛の鳴き声がした。
卵を見守っていたらしい親鳥は、「ピポピポツ!ピポピポッ!」とそれまでには聞いたことのない嬉しそうな鳴き方で鳴いた。
ユーモラスなまでに喜んでいる様子が想像されてほほえましかった。
 イソヒヨに出迎えられた日はとても暖かな日だったけれど、あれから雨や雪に見舞われてとても寒い日が続いている。
これからも寒い日がありそうだ。
イソヒヨ がんばれ。
真夜中の青い彼方(文春文庫) 著者 ジョナサン・キング著 芹沢 恵訳
キリストのヨ−ガ 解脱の心理・完結編 著者 M.マクドナルド.ベイン著 仲里 誠桔訳
中年クライシス 著者 河合 隼雄著
夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです  村上春樹インタビュー集1997−2009 著者 村上 春樹著
詩を読む(岩波ジュニア新書) 著者 茨木 のり子著


 < 過去  INDEX  未来 >


茉莉夏 [MAIL]