日々の泡

2008年09月21日(日) 忘我

午後、
リビングでヨーガのポーズをとっていると
突然の雨…
コブラのポーズで腹ばいになりながら
しばし呆然と雨の音に耳を澄ませた。
PCからジェフリー・ディヴァーのリンカーン・ライムシリーズの朗読を流しながら
ヨーガするのって
おかしいよな。
ヨーガは「無」の境地をめざすのに
耳からは連続殺人事件ですもんね。
けれど、激しい雨音に
しばしコブラは鎌首をもたげたまま
激しい雨に
我を忘れていたのでした…



2008年09月20日(土) 夜更かし

 悪癖というか、楽しみでもあるんですけど
ミステリー読むと読み終えるまで何もしたくありません。
長いと、そりゃあ大変なことになります。
夜明かしです。
おまけにシリーズもので長年読み続けていたりすると
もう登場人物たちが親戚とか友だちとかライバルになってしまって
他人事ではなくなってしまって
本当に読み進めるのにひどく消耗するわたしはあほです。
気になるのはヒーローヒロインよか
彼らを支えている味のある脇役の人々
彼らの存在が次のシリーズではどうなっているのか…
心配で寝られません。
読んでいてもハラハラし通しです。
ああ… そんなに彼女を粗末にすると、
次回は敵に回りますよとか
ああ… そのゲイの介護人とむは、本当はライムを愛してるんじゃないだろうかとか…
ああ… あの白いラブラドールはいつまで元気で登場してくれるんだろうか…とか
著者の筆力というのでしょうか、
生きちゃってるんですから…
それぞれのシリーズの、あの人々が。
そんなに入れ込んでるくせに
読み終えるとやって来る
あのミステリー独特の空虚さって何なんでしょうかねえ…
ハア…た・め・い・き…



2008年09月18日(木) ハミングの意味

 とんでもない時に突然ハミングが口から漏れてたじろいだりする。
電車の中とか
歩道とか
まわりに誰かいるかもしれないのに
そういう時は
きっと何かがずれている。
自分と時間
自分と風景
自分と体
そんな危うい時に
ハミングは漏れ出る。
それはアラームのようで
それは呪文のようで
ずれた時間を呼び戻すように
迷子の犬にわたしはここ」と教えるように
何かをとらえようとするように
芯のほうから漏れ出てくるのだ。
わたしの周りを取り巻くいくつかの層
ずれ始めたそれらが
ハミングしながら
ひとつに重なり始める。



2008年09月16日(火) こころ

傷ついて震えてる
よくわかるのに
どうしてやることもできない
あの夕方に
傷を負った
心に闇が開いた
眠っている頬をそっと撫でる
長い日記を書いて
消した…



2008年09月15日(月) また働きに行くよ

終わるよ
休みがさ
胸きゅんとしてる場合じゃないよ
あそこだけじゃん
あんたが役に立てるのは
だれかの助けになるのは
だから
這ってでも行って
針先ほどでも
だれかの助けになって
だれかの役に立って…
でも そんなのは幻かもしれないけど
それでも 行って
はたらく…



2008年09月13日(土) review ほぼ日 吉本隆明さんの講演

 「ほぼ日刊イトイ新聞」で吉本隆明さんの講演・「癒としての聖書」を期間限定で聞くことができる。
今日から今月24日まで。
 糸井重里さんという人はなんと太っ腹でしょう。
楽しいことをどんどんシェアしてくださる。
けちくさくない。
茂木健一郎さんと糸井さんは達人だ。
なんの達人とカテゴライズできないくらいの達人だ。
わたしの中の両巨頭である。

 ものが見えない暮らしというのは
たとえば、
空がどんなに蒼くても
花がどんなに綺麗だろうと
視覚によって癒されることはない。
当たり前だけれど…
けれど
一瞬 動いた風に
押し寄せる波に
そして、パッション溢れる言葉に
心洗われるのだ。
吉本さんのとつとつと話し出された言葉が
やがて力漲り
次々と押し寄せる波のように
心に届いた。



2008年09月11日(木) 月が膨らんできた…

仏滅だ
満月だ
わたしは理由をつけてはセルフコントロールできないことにいいわけしてるんだ。
ああ そうともさ…
代わりに見ておくれでないかい?
もう月は結構膨らんでるんだろうね…
十五夜にはさ
照らされなくていいものまで
すっかり照らされて
露わになっちゃって
そう わたしの顔の銀色の産毛…とか
そんなものがね…



2008年09月09日(火) 仏滅

仏滅にはそっと暮らしたい
静かに閉じこもって
だれにも会わずに
茶などすすりながら
本でも読んでいたい
だのに
柵がそうはさせてくれず
小さな流れに
気の進まない足を
そっとつま先から浸していった。
とたんに
足 すくわれた…
仏滅には
苦い顔で
流されて行くのが
決まりらしい。



2008年09月07日(日) review 真珠のブローチのようにラブリー 清川妙さん

八十四歳。英語、イギリス、ひとり旅 清川妙 小学館

 五十代半ばからベルリッツの個人レッスンを受け始めた著者が
ひとりでイギリスを巡り旅するエッセイ。
いつも思うことだけれど輝く人生の先輩に出会うことは本当に勇気百倍♪
単調な暮らしの中に、きれいなブローチを見つけたような嬉しさ。
--今から思えば 五十五歳という歳は、なんと若く未来をたっぷりはらんだ年齢だったことだろう--
このエッセイが出版された当時、八十四歳であった著者は英語の学習を始めた頃を振り返ってこんなことを言っている。
四十代半ばでぜいぜいいっているわたしの胸に
凛と響く言葉だった。
--心を留めていなければ、時の砂はわたしたちの掌からだらだらと無為にこぼれ落ちる--
本当に。年を重ねるごとに、その加速度は増すもの。
 ある町で小さなブローチが著者の目に留まった
店番の美しい少年にそれを見せてくれるように頼む。
--「これを見た時、すぐに好きだと思ったわ」
  すると、彼は静かに微笑んでこう言った。「
「そんな時はこう言うんですよ。This broach caught my eye.このブローチは、わたしの目をとらえた>とね。」
まるで得意げに教科書を読むような英語だった。
「わたしはスペイン人です。この土地ではわたしはフォリナー、(外国人)あなたと一緒です。」--
心のブローチになりそうな素敵なエピソード…
著者自身が、一人旅の心得として、「ラブリーでいること」を揚げていらっしゃるけれど
まさに著者はチャーミングな日本の淑女、小さな真珠のブローチのような風情であることだろうことが随所から感じられる。
とても楽しく、そして心に残る一冊。



2008年09月02日(火) 書く作業

書くと言うこと
絡まった糸をほどきながら
心の核を探している。
何かを感じている…それを感じざるを得ないわたしの内側の何か…
そこまで辿って辿って
辿り着いたとき
空間が開く
道が見える
実のところ
そんなことはたまさかのこと
道が開けたとき
つかまえたような気になるけれど
気がつくと
いなくなっている
彷徨い歩く性癖らしい
あやつは…
ばななさんが云っていた。
「踏みつけられても書きたいものがある…」
それはどんなものだろうか
それは作家が一生をかけて表していくもの
作家というのは
本当に体に悪い職業なのだなあ
ほんの短い文を書くだけで
頭に血が上るわたしは思うのだ


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茉莉夏 [MAIL]