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2023年01月31日(火) |
OTTOLENGHI |
ここフランスでも流行ってるヨタム・オットレンギシェフのレシピに挑戦してみた。書店で彼の本を見かけるたびに、そんなに流行ってるのなら買ってみようかと迷いながらも、結局一冊も持ってなかった。それが、ネットでも色んなレシピを公開してるのを知ったので早速試してみた。まずは”Ginger egg fried rice”。炒飯ってやつだけど、バターたっぷりでオリーブオイルなんかも使ってて、こういうの嫌いじゃなう。もう色んな文化を混ぜて吸収して、自分の好きなように噛み砕きましたみたいなレシピ。料理大好きのロクちゃんが大人になったらこんな料理を作るんじゃないかって気がする。ポロ葱をたっぷりのバターで炒めてる辺りからもう美味しい予感むんむん漂ってて、最後に書かれた通りの分量の醤油回し入れたらピタッとキマった。にんにくや生姜たっぷりでロクちゃんにはちょっときつかったのか、残さず食べたもののおかわりとまでは言わなかったが、リュカはかなり気に入ったらしい。そりゃ美味いよ、これだけ惜しみなくバター使ったらね・・・。次回のオットレンギはもうちょっと体に優しそうなの探してみよう。
美味しいキャベツが手に入ったらナタラジのレシピ本に載ってるキャベツコロッケのカレーに決まり。野菜も豆もナッツもスパイスもたっぷり。ぎつぎつ拘ってるわけじゃないけど、やっぱり植物性のものだけの食事は心が落ち着く。よく眠れるし、翌朝空腹で気持ちよく目覚められるから、夕飯はヴィーガン食を少しだけ腹6分目くらいにしておく。自然のなすがままのものを食すということも体と心の調子を整えるのにとても大事。旬の葉物や根菜に秋に仕込んだ保存食。ランチは葉野菜と柘榴のサラダにきのこと栗のリゾット、デザートにタルト・オ・ポワール。自分で作ったからこそ最高に愛おしくて美味い。柑橘系は今が旬。隣人からお裾分けいただいた橙でマーマレードを作る。今週ぐんと冬らしい冷え込みで、みんな悲鳴をあげてるけど、わたしは嫌いじゃない。保存食をあけながらじっと寒さに耐えて、春を待ち侘びる気持ち。リュカの仕事仲間なんかはみんな時間が自由になるから、夏はここでがつんと働いて、寒くなると南へワープしていってしまう人が多い。彼らはみんなわたしの気持ちはわからないというけど、寒さを耐え忍ぶからこそ、暖かな春の訪れもひとしおなのよ。って言ってもやっぱり南国気質というのか、彼らに言わせれば、ずっと生ぬるく暖かくてぬくぬくしてて何が悪い!というところみたい。
●砂糖の味ではなくて素材の味が活きてるお菓子の研究
年の暮れ、ニースにある小さなパティスリー"Philippe Tayac"で、欲しかったお菓子がなく、たまたま一つ買ったパン・オ・レザンに感動。公園でロクちゃんと分けて食べようと思ったのに、あまりにもの美味しさにばくばく食べてしまって、鳩を追いかけて遊んでたロクちゃんがベンチに戻ってきたころはひとくちしか残ってなかった。甘くなくて、生地に練り込まれたバターと干しぶどうとチーズがかった味のクリーム(甘くしてないからチーズっぽい味がするのだろう)がちゃんとする。この国には美味しいお菓子が沢山あるけど、大抵のものが砂糖味で甘すぎると感じて、ふたくちも食べるともういいやという感じになる。だから外でお菓子は買うけど、アイディアだけ得て、家で自分なりに砂糖を控えて作ることが多い。しかし、それはシンプルではない。ただ砂糖を減らしただけではパサつくし、味も間の抜けたものになってしまう。もうひと工夫が必要なのだ。今年はこういうことをクリアして、風味とテクスチャの絶妙なお菓子を研究しようと思う。あまりにも美味しかったからもうひとつ買って帰ろうと店に戻ったら、もう売り切れてた。
●ロクちゃんと真剣に向き合う
2歳の誕生日を境に、何故かロクちゃんがおむつにうんちをするようになった。生後3ヶ月くらいからトイレで排泄させるようにと促してきて、1歳を過ぎる頃からはほぼうんちはトイレでできてたのに。布おむつにされた食欲旺盛な2歳のうんちは、明らかに生後数ヶ月の時のとは違う。天気が悪くて洗ったおむつがなかなか乾かない、生理前で鬱(この症状もなんとかしなければ家族が可哀想だ)、色んなことが重なってついひどく怒ってしまった。その後、キッチンの冷蔵庫の影に隠れて、わたしの顔色をちらちらうかがってるロクちゃんの姿を見たら、ひどいことをしたと自分がわんわん泣いてしまって、その日は心がめちゃくちゃに壊れてしまった。翌日、いつもなら、食後にトイレに連れていって10分くらい自分は家事をして戻るとうんちをしてある彼が、トイレで「ママ!ママ!!ママ!"」とずっと泣き喚いた。置いてかないで、というように。そして、午後にまたオムツにうんち。翌日も、その翌日も。どうしてそうなってしまったのかと悩んで悩んで気付いたこと。なんで出来る筈だなんて決めつけてしまってたんだろう。普段できることが出来ない日なんて大人だってあるのに。自分が具合が悪くて、布おむつを洗うのが億劫なのは自分の都合じゃないか。それにどんなにしたって、おむつのあれこれは終わりが来る。実際そうなってみたら巣立ったみたいで寂しいに違いない。ロクちゃんにちゃんと説明して謝って、「カッカとピッピはなるべくトイレでしてね」と優しく言った。そうしたら、不思議なことに、またちゃんとトイレで出来るようになったのだった。怒られて、そのプレッシャーで余計できなくなってたのかもしれない。子供は何もわからないわけじゃない。ただの小さな人間。最近はあらゆることに"ノンノン"なんて大人の真似して首振って困ったものだけど、こちらがあちらをちゃんと尊重して真剣に向き合えば、ちゃんと聞いてくれるものなのだ。彼が2歳ならわたしだって子育て2歳、まだまだ未熟。子育てって、生の人間相手で、その時々で違う悩みがでてくる。ひとつ問題解決でまた別の問題。でもしっかり向き合って、彼と共に成長していきたい。
●良質なもの、自分を幸せにしてくれるもの、かけがえのないものにお金を使う
ちょっとお高いバッグを買った。こういう類のものにお金を使うのは久しぶり。小さな工房で職人さんがハンドメイドで作ってるもの。肩にかければベビーカーも押せるし、ロクちゃんと手を繋ぐなら腕にかけてもキマる長さのハンドドロップ、ゆったりしてて結構沢山入るのに、間が抜けたように見えないデザイン、ロクちゃんの着替えとおやつもさらりと入れてお出かけできそう。家族の口座から引き落とされるカードで買い物をしてると、高いものを勝手にぽんっと買ったりすることはなかなかできない。だから迷ったけど、やっぱり妥協せずにいちばん気に入ったのを買ってよかった。買う時は高くてもそれに見合うだけの価値があれば長持ちするし、長持ちするからそのうち愛着も沸いて、修繕してでも使って、結局高くはない買い物だったということになる。何より暮らしを共にして見るたびにときめくのだから、それも考えたら高くない。家族を築いてからは、独身の頃とお金の使い方が変わったけれど、お金をかけるところ、それにどんな価値があるのかは真剣に考えていきたい。
新しいバッグに浮かれてたところ、銀行口座の画面から顔をあげたリュカが突然立ち上がってこんなことを言い出した。
「あなたと暮らしはじめて、すごく貯金が増えた。それもこれもあなたがきっちりお金を計算して管理してくれてるおかげだよ。お金のことをきっちりしてても、家族にはちゃんと毎日バランスのとれた健康的で美味しい食事を用意してるし、本当によくやってくれてるよね。あなたはそのくらいのバッグを持つに値するよ」
散財した挙げ句、わたし明日死ぬの?ってくらい褒めちぎられた(笑)。ラッキー。それにしても貯金が増えたなんて聞いてひと安心。これまでロクちゃんには殆どお金を使ってこなかったけど、彼が自分の意志でやりたいことなどを言い出した時にはぽんっとお金を出してあげたいから貯金はしておかないと。
●夢はロクちゃんとパースへ行くこと
キャンベラにいる元カレから正月の挨拶メッセージが届き、少し話す。お母さんと妹さんが訪ねてくるから一緒にパースを巡るらしい。
「King street cafeのチーズケーキは最高にうまかったよね」
「あぁ、あれはうまかったね。North Bridgeのヴェトナム料理もうまかったよね。あとMargaret Riverにおりてく予定でさぁ」
なんて話して、わたしの心にずっと住み続けてる大きな青い空を思って、すっかり恋しくなってしまった。ロクちゃんに見せたいな、あの空。キャンベラから東京経由でパリまで往復したことがあるからそれがどれだけ時間もお金もかかるか知ってる。すぐにぽんっと行ってきますというわけにいかないから、少しずつ計画していこうと思う。