My life as a cat
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2017年06月30日(金) La Jolla

ついにフランス大使館へ出向き、ビザの申請を終えた。荷物検査を終えて中に入ると、早速窓口で揉めに揉めている女性を見てしまう。想像した通りの光景に一揆に気が重くなる。わたしは何か突っ込まれたり、書類不備だったり、大使館相手に揉めたりするのだけは避けたいとこの2か月緻密にリサーチして書類を作り上げたのだった。でもどこから矢が飛んでくるのかわからないじゃない、こういうことは。みんな初心者で手探り、"慣れてる"なんて人はほぼいないのじゃないかな。自分の名前が呼ばれて心臓飛び出しそうになりながら書類を渡し、カチカチになっていたら、いくつか質問をされたものの、それは全て書類に明記してあった内容だった。ようするに"確認"だけだった。写真を撮られ、指10本の指紋を取られ、終わった。

「おつかれさまでした」

と窓口の面接官に言われた時はこの2か月の労をねぎらわれたかのようだった。ふぅっと力が抜けた。この後どう転ぶかはわからないが、ひとまず自分の仕事は落ち着いたわけだ。

終わったのがちょうど正午。場所は広尾。気の利いたカフェやレストランがたくさんある。"La Jolla"というカリフォルニア州のメキシコとの国境にほど近い町の名前がついたお店に入った。ブリトー(小麦粉)とかエンチラーダ(トウモロコシの粉)とか選んでその具もチキン、ビーフ、チーズなどと選べる。ブリトーのチーズにしてみた。うわぁ、日本とは思えないすごいボリューム。ブリトーの中に豆のピュレとチーズが入り、更に上にチーズを乗せて焼いてある。小麦粉、レッド・キドニー・ビーンズ、米、トマト・ピュレに水、使われてるのはそれくらいか。たった数個の材料を使いまわして、これだけ作ってしまう乾燥地帯特有の逞しさがいじらしい。これにサラダとコーヒーが付いて1000円なり。客の半数が欧米系の大男達だった。わたしは量は半分でいいかな。夕飯は要らないというくらい満腹になってしまった。大変満足でした。


2017年06月29日(木) 初夏の味、緑のマヨネーズ

レイン・ブーツを新調した。もののためしにずっと敬遠してきたロングにしてみた。履くのも歩くのも脱ぐのも大変そう、と思ったけど、実際予想通りだった。ぎゃぁー。しかし、こんないかついのを履いていれば、もう雨の日の通勤途中に車の跳ねた水が靴の中でちゃぷちゃぷと音をたて、その薄気味悪さに全身の毛を逆立てながら上司に"遅刻しますぅぅぅ"と泣きそうな声で電話することはもうないだろう。しかし、待てよ、今度は足がブーツから抜けなくなって遅刻してしまうかもしれないな。

農園で色んなハーブを摘んで、緑のマヨネーズを作った。バジルにイタリアン・パセリ、オレガノ、アップル・ミント、タイム、紫蘇。卵に酢と塩を入れて、油を少しずつ加えながら攪拌していく。そして最後にハーブ。この時点で完全に分離してしまった。ところが、この分離をうまく修正する方法があるのだ。それは30℃くらいの湯銭にかけながら更に攪拌すること。たちまちクリーミーなマヨネーズに仕上がってくれた。茹でた堀りたての新じゃがと新にんにく、卵に粗塩をを振って、マヨをディップしながらいただく。初夏の味。じゃがいもの生命力ってすごい。不毛な土地でも逞しく蔓を延ばし、人々の暮らしを支えてきた。ジャガイモを食べるたびひとまわり頑丈になったような気になる。



2017年06月24日(土) 新じゃが、新にんにく

ビザの書類のファイナライズ。ふとローマ字書きの住所の綴りのことで気付いた。住所に「堂」という漢字があるのだが、これをわたしは"do"としたのに対して、ゆうちょ銀行の残高証明では"dou"となっている。調べたところによると正式にはわたしのほうが正しいらしいのだが、大方の日本人はどちらも正しいと思うのではないだろうか。まさか、住所の綴りが食い違うとかって突っ込まれないよね?と思いつつも、オーストラリアから来た知人がゆうちょ銀行に口座を作る際にハンコを押す欄にサインさせられ、枠からサインがはみ出たと言って書類を全部書き直させられたという話を思い出す。パスポートの写真も空港で機械で認証するため、余白など定規で測るほど厳しい。ともあれ、これが審査で落とされる要因にはならないだろう、とこのまま行くことにした。

小林麻央さんが亡くなったというニュースを見た。結婚した時に海老蔵さんが、「心の美しい人だから」惹かれたと言っていた。傍若無人だった海老蔵さんにはこういう人が必要だったのでしょうね。「愛してる」なんて言葉はドラマの中でしか使われない日本語だと思っていたわたしは記者会見を見て自分が知らないだけなのか、と思い直した。麻央さんの愛は偉大なりだね。外見が変わり果ててしまった時、それでもちゃんと残るのは心の美しさなんだ。最期の最期まで美しい人のままでいてくれてよかった、と遠くから傍観する群衆のひとりに過ぎないわたしはそう思うのだった。

農園から掘り起こした新じゃがと新にんにく、ローズマリーを添えてオーブン焼きにした。じっくり火を通した新じゃがの甘いことよ、新にんにくの瑞々しいことよ。初夏の最高のごちそうだった。


2017年06月22日(木) Big project

桜がすっかり散って若葉が伸び始めた頃から取り組んでいたビザ申請の書類収集。ついに全て揃った。心身共に本当にきつかった。仕事が忙しくて朝から既に目が回っているのに、帰宅してレターを作成したり、書類送付を頼んだり。はじめてのことでわからないことだらけだった。クロエちゃんを飛行機に乗せること、海を跨いだ引っ越しのことなど心配ごとも沢山あってストレスになっていたのだろう。とうとう先週、帰り道に突然体の力が抜けて手に提げていたバッグを落としそうになり、呼吸が苦しくなってやっとのことで帰宅するという事件が起きた。人に聞くと過呼吸症候群だという。ストレスやら過労が原因なのだそうだ。結婚のことや相手への不安はないのに、その道中で病に倒れては元も子もないじゃないか。頭の中で心配事をこねくりまわしたって物事が良い方向に進むわけではない。今日できる精一杯のことをこなして心地良い眠りにつくことだけがわたしに課せられたミッションである、と自分に言い聞かせる。

久々に実家へ帰ると、猫生17年目となるミュンちゃんが変わり果てた姿で出迎えてくれた。認知症にかかっているようで、自分でむしってしまうせいで毛は半分なくて、尿意を催してトイレへ行こうとするも間に合わず粗相をしてしまうのでおむつを付けていて、目の上の傷口が化膿して片目がちゃんと開かない。これでも元気で食欲はあるらしいが。生きていくって煩わしいこともたくさんあるね。ミイラのような姿の老猫が歩き回るそのすぐ脇で生まれたばかりの妹の子はすやすやと寝息を立てていた。


2017年06月10日(土) Honeydew

飛行機の中で隣り合わせた行きずりのフランス人が「最高のデザート」だと教えてくれたメロンにコニャックというやつがついに口に入った。なにせ3月の下旬に買ったハニーデユーで、ずっとうんともすんとも匂ってこなくて結局2か月以上常温に置いておいたのだ。待った甲斐あり。とても甘くよく熟れている。コニャックはなかったので、お菓子作りに使っている安いブランデーを注いでみた。スプーンでメロンとブランデーを掬って口に入れて驚いた。一玉150円のハニーデユーと安いブランデーは、組み合わせることにより高級感溢れる王者のスイーツのような味に化けたのだった。ずっとメロンはちょっと苦手だった。しかしよくよく考えたら原因はメロンそのものというより爛瓮蹈麑爐箸Δ燭辰燭發里世箸いΔ海箸傍ど佞い拭子供の頃口に入れたメロン味の歯磨き粉とか夕張メロン味のキャラメルとか。人工的に作り上げられたメロン味というのがダメなのだ。メロンの旬は6月なのだそうだ。今まで見向きもせず旬も知らなかったというのに、最近買い物に行くと妙にメロンが気になるのだった。

「永い言い訳」という映画を観た。最後、おんおんと泣いてしまった。もう愛していない夫との仲を辛抱強く修復しようと努める妻の心の内を夫はこれっぽちも見ようとはしない。

「あなた、後片付けはお願いね」

と言って出かけていった妻の狄誉犬慮緤夘佞鵜爐鬚垢襪海箸砲覆蹐Δ箸鷲廚鰐瓦砲盪廚錣覆ぁみんな程度の差はあれ、幸夫くん(皮肉すぎる名前)みたいなところはある。この映画を観て、いつも当たり前のように傍にいてくれる人のことを見つめなおした人は多いのではないだろうか。原作となった本は読んでいないが、人の感情の細部まで丁寧に描かれた良い映画だった。


2017年06月03日(土) イタリアンな日

ネットで細川亜衣さんの新刊「パスタの本」を購入したら、プラス500円でトーク・ショーとサイン会に出られるというので代官山まで出かけた。

イベントは夜だったから、その前に腹ごしらえ。兼ねてから興味があったナポリの焼き菓子スフォッリャテッラ (sfogliatella)がBONDOLFI BONCAFFE爐箸いΕフェで食べられるというので行ってみた。このカフェはなんと1855年ローマで誕生して2014年に日本までやってきたのだそうだ。一見普通のカフェだが、置いているお菓子のチョイスが本場っぽい。カンノーロ(cannolo)も食べてみたいお菓子のひとつだったが、あいにく売り切れていた。ひとまず夕飯にピッツァを。価格もイタリア価格。Φ20僂らいのマルゲリータが1000円くらい。ピッツァは高級料理のように高いとこなれた感に欠ける。安いほうが本場っぽくて期待できる。結局1200円ほどのこの店のスペシャルみたいなのにした。アンチョビ、ケッパー、モッツァレラチーズが乗っていた。とっても味がいいのだが、個人的にソースでぴちゃっとしてて手で持ち上げて食べられないピッツァがいまいちだと思う。東京で本場をうたう店はほとんどこんな感じなので本場もこうなのかもしれない。

そしてエスプレッソとスフォッリャテッラ。アマルフィ海外近くの修道院で生み出され、今ではババと並ぶナポリの銘菓に。以前読んだポルトガルの伝統菓子の本にはやたらと修道院で生み出されたお菓子が多かった。なぜ修道院?と思ったが、どうも信者達がお金の代わりに家でとれた卵を貢物としていて、卵がふんだんにあったようなのだ。エッグタルトやカステラはそんな背景で生み出されたのだね。スフォッリャテッラもそんなところなのだろうか、と勝手に想像に耽りながらいただいた。外は何層にもなったパイでパリパリで中はふんわりリモンチェロ香るマスカルポーネチーズのクリームが入っている。とても美味しかったがラードが使われているらしいので一度味見すれば十分だ。次回は自分で植物性油脂で代用して作ってみようと思う。

トーク・ショーは蔦屋書店で行われた。細川さんは想像したより小さな人人だった。いつか細川さんがこんな話をしていた。朝はトースト1枚焼くために大きなガスオーブンを温める。そして4枚切りの食パンを焼いて、良い色になってきたら上にバターを乗せてもう1分焼く。取り出して更に冷たいバターをたっぷり塗りながら食べる。そのバターの量たるやホテルなんかで個包装でだされるやつ10個分くらいだと。この話に妙に食指が動いて、早速食パンを1斤買って帰った。もちろんおいしい。バターというのは食べる時はケチらず食べないと食べる意味がない、ように思う。4枚パンがあるからといって連日食べたら吹き出物が出て、体重が1堊えてしまった。細川さんはこの小さな体でそんな朝食を続けられるなんて、どんなエネルギッシュな日常を送っているのか、としげしげと見てしまった。

トークショーはインタビュア司会者と細川さんとフォトグラファーの調子がいまいちい嚙み合わず、はじめの30分くらいははらはらした。

「え?どういう意味ですか?」

なんてしきりに聞き返したりして。後半は新刊のレシピの説明を細川さん自らが語って、このあたりはまぁよかったが。喋ることを生業としていない職人系の人々を人前で喋らせるのだから、蔦屋勤務の犖技┿錣諒埆玄圻爐任呂覆もっとうまいインタビュアが必要だと思った。

トーク・ショーは惜しい感じではあったが、食という生活の大きな部分を占めるところに大きな影響を与えてくれた細川さんをひとめ見て、手紙を渡すことができてよかった。


Michelina |MAIL