My life as a cat
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2017年03月26日(日) 自家製バター

雨の日曜日。家にこもって過ごす。大した料理もしてないが、美味しかったので記録しておこう。


自家製バター。作るつもりじゃなかったのだけどね。先日余った生クリームを冷凍して、今日自然解凍して泡立ててケーキに添えようと思って泡立てていたら完全に分離してしまった。結局ガーゼで濾して塩を足してバターとなったのだった。味は市販のバターと別に変わらないかな。




昨年の7月に初めて作った赤玉ねぎのチャツネ。冷蔵庫の奥にしまってあったのを出してきて食べてみた。作りたての時はもっと尖った味だったのだが、半年以上寝かせておいたら酸味が柔らかくなって円やかになってとても美味しくなっていた。ゴーダチーズとパンに乗せていただいた。こりゃぁ、いいね。アンチョビと並んで旬の季節に1年分仕込むものになりそうだ。




ふきのとうのおかゆ。材料は米とふきのとうのみ。"春が来てる"という季節感を味わうレシピなのだろうな。ふきのとうが苦いがゆえにお米の甘みがよく感じられる。梅干しやらゴーヤの佃煮と一緒にいただいた。

2017年03月23日(木) 愛されていつか土に還る物

エコバッグを持って買い物に出かけても、丁寧に透明のプラスティックバッグに入れて渡してくれたりするのだからたまらない。排出するゴミは自分の体から出る老廃物みたいで、多ければ多いほどがっかりする。1つ買うごとに1つ(いや、もっとの時もある)ゴミが付いてくるのではたまらない。この国では男女共に身だしなみをきれいに整えている人が多い。それなのにゴミを排出することには無頓着で、そういう美意識の低さにがっかりする。真似は出来ないが、土に還らない物を持たない裸族の暮らしぶりなど本当に美しいと思う。

KINDLEで本を読むのには抵抗があって、紙の本を買う。大抵は古本。読んでまた誰かに売る。配達には車が使われるのだから、エコなようでいてそうでもないか。せめて梱包くらいは、と廃材を使う。お菓子の包み紙で包もうとしたら足りなかったので、もう一枚違うお菓子の包み紙を持ってきて継ぎ合わせて包んで送ったら、お相手からこんなメッセージをもらった。

「梱包が粋で素敵でした」

廃材が足りなくなって継ぎ合わせただけだったのだが、考え抜かれたデザインのように見えたのならそれは幸運だ。

アンティークの食器にはまっている。といっても蒐集する趣味はないからあちこちと見てまわるだけ。所有しているのはたったの2枚。18世紀にヨーロッパの陶器の窯以外何もないような辺鄙な村で生み出されたお皿なんてざらにある。どんな景色の中でどんな人に使われてきたのか、どんな料理が乗ったのか、そしてどんな経緯でわたしの目の前までやってきたのか。想像を巡らせると胸がじわじわと熱くなる。時の経過を律儀に記録するように変色したお皿なんて、本当に味わい深くて美しい。どんな料理を乗せても"いつもの食べなれた物"みたいな親しみを感じる。200年経ってもゴミに変わらないもの。そういう物と生活を共にしたい。

会社の裏の雄の雉が散歩している野原でつくしを摘んで、バッグにそっと忍ばせて帰った。自然からダイレクトにいただいた物にはゴミは着いてこない。胸がほっとする。農園のおやじがくれた青菜と一緒におひたしにした。はりきって全粒粉のパンも焼いて、白いんげん豆を煮て、ズッパ・ロンバルダも作った。体中に染みわたる、滋味。
















2017年03月19日(日) アンチョビ仕込み祭り

生のセージが手に入ったのでニョッキを作った。セージバターソースと絡めて食べるのが本場では定番なのだそうだ。レシピ通りにやると、かなりがっつりバターを使うんだな。勇気を出してレシピ通りの量のバターをフライパンに入れて、セージをちょっと炒めて香りをだしたら茹でたニョッキを投入してさっと絡めて出来上がり。ちゃんと生のセージを使ったこととたっぷりバターを入れたのがやっぱり良かったんだろうな。最高に美味しかった。パンでソースをしっかり拭って、お皿は犬猫の食後と同じくらいつるつるになった。

お店にカタクチイワシが並ぶと春が来てるなぁ、と感じる。この時期に1年分のアンチョビを仕込む。副産物の魚醤も重宝する。今年食べているのが3年前に仕込んだものだから、これを食べるのは3年後になる。3年も寝かせるとすごくまろやかになっていて味わい深い。1kgほど買って、数尾は夕飯にオリーブオイルやにんにく、パセリなんかをかけて生でいただいた。クロエちゃんも年に1回の仕込みの日はお祭りのように好きなだけカタクチイワシのお刺身を食べる。パセリをたっぷり乗せてムシャムシャムシャムシャ。さすが猫、と思うのは尻尾も骨も全部平らげることだ。


2017年03月14日(火) 雑草パワー

細川亜衣さんの「イタリア料理の本」に載っていたオレンジのサラダ。3分でできるようなレシピなのに口に入れた瞬間目がまん丸になってしまうくらい美味しかった。オレンジの皮を剥いて切って、ワインヴィネガー、オリーヴオイル、イタリアンパセリ、小さく切った鷹の爪、塩を少々で和えて、10分くらい冷蔵庫に置いていただく。生の果物は砂糖を入れた水みたいで、暑い季節以外はあまり好んで食べないけど、こうすれば抵抗ない。

テレビで見かけた73歳のおじいさん。沖縄出身だけど、若い時にアルゼンチンに移住して、今は雑貨店を営んでいる。

「5歳の娘がいるの。5年前に仕事を手伝いにきてた18歳の女の子に猛烈アプローチされてね、それで授かったの」

それだけでわたしはぎょっとしていたのだが、さらに目を見張るのはその暮らしぶりだった。

"朝食"と言って外へでて、野原に生えている雑草や実や花、海の中の藻のようなものを摘んで食べている。年の数だけ腕立て伏せをして、逆立ちなんかもしてる。

雑草の根を残して土中に水分を蓄えるのに利用したり、切った雑草を発酵させて堆肥にしたりと最近何かと雑草パワーを見直しているわたしはすっかり感化されてしまった。雑草を食べて67歳でうら若き女の子に言い寄られてポンッと子供作ってしまうなんて、すごくかっこいいではないか。"You are what you eat"はわたしの座右の銘だけど、おじいさんは雑草のごとくタフなのであった。わたしは女だけど、そんなふうに年をとっていけたら、と憧れる。外も暖かくなってきたし、食べられる雑草を求めて山歩きにでも出かけてみようか。

(番組はここで観られる)


2017年03月10日(金) 思い立ったが吉日

母がわたしがいつも背負っているリュック・サックを欲しがるので、同じ物を買ってプレゼントすることにした。ドイツのさほど大きくない工房で、その道一筋みたいな職人が作っているものだ。見た目もいいのだが、サイズや使い勝手もパーフェクト。どんな服でも不思議としっくり合ってしまうから365日毎日背負い続けて2年目になる。特別なイベントがある日じゃなくてもいい。思い立った日に相手の本当に欲しがる物を贈る。その代わり特別なイベントの日は花やケーキだけで簡素に済ませよう。贈り物の無駄の多さに辟易しているわたしは、贈り物はこうあるべきだ、と納得したのだった。

紅菜苔という野菜を買った。菜の花みたいなシェイプで、綺麗な紫色の茎に黄色い花が咲いている。菜の花と同じように調理してみたら、たちまちどす黒く変色してしまった。味は菜の花の苦味やエグみを抜いたような感じだった。


2017年03月05日(日) Whose happiness is that?

朝のテレビ番組で、3度目の離婚をすることになったというタレントが喋っているのを見かけた。旦那さんのベースが山形になり、自分のベースは東京で子供の学校もあって云々で、離婚することになったけど仲がいいのだとやたら強調している。しまいには"Happy divorce"などと得体の知れない言葉を持ち出した。結婚という制度への冒涜だな。離婚する人を嫌悪しているわけではない。どうにもこうにもうまくまわらなくなってしまうことってある。でもそれをジョークにして喋っても反感を買わないのはコメディアンだけだし、離婚を妙に肯定してみたりするのはたとえそれがただのパフォーマンスでも見るに堪えない。結婚するということは他人と健やかなる時も病める時も一緒にやっていくという約束をするわけで、離婚するということはその約束を破ることだ。子供に約束を破ってはいけませんよ、と教えるはずの親がそれをするのだから"Happy divorce"なんて浮かれた言葉は慎むべきだ。わたしは結婚したことはないけど、誰かと約束を交わしたことはある。そしてその約束を自分が破ったことは心の中の大きな傷となっている。自分はちゃんと約束を守り遂げる人間だと誰よりも自分が一番信じていたのだから。あれは前向きな一歩だったとか、相手にもひたすら申し訳なくて、そんな風には絶対に言いたくない。この年まで独身でいると、デートに誘ってくる人に離婚歴があるなんていうこともある。離婚歴のある人お断りとかいうわけではないけど、やっぱり結婚というものを軽く見ている人が多いという感じは否めない。まだ離婚が正式に成立してないのにわたしに次の結婚を匂わせながら近付いてきたりとか、本当呆れてしまうよ。逆に"一度失敗してるから二度と結婚したくない"なんて言われても、深く傷ついてしまったのだろうなって心配になってしまうけど、そういう人のほうが余程信頼できるな。単に"married"というステイタスが好きなだけの人というのも多いものだ。妹のこともあって、結婚とか離婚とかについてすごく考えてしまうな。

フォカッチャを焼いた。半分ローズマリーで半分プレーン。もう春が来たみたいに暖かくて、生地がすくすくと膨らんでくれた。フォカッチャの生地に人差し指をすぽすぽと挿して穴をあけながら、母が貼りかえたばかりの障子に全部猫パンチを食らわせて穴を開けてしまった実家の猫の気持ちが理解できる、と思った。


2017年03月03日(金) しゃぶしゃぶ

最近のクロエちゃんのお気に入りは炙りカツオと水菜のしゃぶしゃぶ。酸化しないように冷凍庫に凍らせてあるカツオを薄くスライスしたのと農園で摘んだ水菜を熱湯でしゃぶしゃぶとやってあげる。こうするとちょうど猫が好きな人肌くらいの温度になるから喜んで食べる。自分の食事については、「自分が手を伸ばして"採れる"または"獲れる"ものを食べる」という簡潔なルールに則っていて迷いはないが、猫の食事となるとそうもいかない。クロエちゃんは家畜の肉は食べないし、泳げもしないくせに魚が大好きだ。生魚が一番好きで、これは野生の本能だ。虫が湧くとかいうけど、火を使って調理する動物なんていないし、野生動物はどうしているのだろう。苦い葉野菜をけっこう好んで食べるのは毛玉を吐き出すための本能だろう。輪ゴムをその辺に放っておくとすぐにくちゃくちゃ食べてしまうのは歯磨きのつもりなのだろうか(これは消化せず便にまるごと入ってでてくる)。結局どんなものをあげるのが一番良いのかわからないから、わたしがどういう食べ物なのか理解できるもので(市販のペットフードは理解できないからおやつのカリカリ以外は敬遠している)喜ぶものを与えることにした。


2017年03月02日(木) 菜花の溺れ煮

米沢亜衣さん(現在は結婚されて細川亜衣さん)の「イタリア料理の本」を2冊購入した。Dean & Delucaでセレクトされて紹介されていたというから、ちょっと敬遠していたのだが、これが作ってみるとどの料理も"ホンモノ"で驚かされる。複雑なのも難しいのもお固いのも抜き。良質のオリーブオイルと塩を手に入れたらさぁはじめましょう、というくらい気軽にできるものばかり。これでもいい、あれでもいい、あるもので代用しましょう、分量は好きなだけね、という感じ。読んだだけでは、こんなシンプルで本当に美味しくできるの?まずもってこれをレシピなんて呼べるの?と思うが、疑いつつ作ってみると最後にピタッっと辻褄が合う感じだ。食べ物はいじり倒したら美味しくなるというものではない。この人って本当に美味しいものをよく知ってる人なんじゃないかと思う。

旬が終わる前にと駆け込みで菜花を手に入れて、溺れ煮というのを作ってみた。冷水に浸した菜花の水気をあまり切らないまま鍋に入れて、唐辛子、刻んだ玉ねぎとあさつきを入れ、塩を少々、溺れるくらいのオリーブオイル(菜花300gに対してオイル100mℓ)を注いだら蓋をしてくたくたになるまで弱火で蒸し煮にする。無水鍋のSTAUBは毎日のように活躍しているが、こんな料理の時はいつもにも増して本領発揮する。そして大事なのが、ぷっくりと大きくてやわらかくもちっとしたパンと食べるというくだり。菜花をひとくち、パンをひとくち、と繰り返して、最後に皿に残ったオリーブオイルをパンできれいにぬぐう。ちゃんと美味しいものを食べていれば、満足して、他におかずはいらないものだ。エスプレッソを飲んでおしまい。こういうのが日々食べたい料理だ。美味しいパンを買って仕事から帰って15分で用意できる。そして口に入れた瞬間疲れがふっ飛ぶ料理。


2017年03月01日(水) もう引き返せない

妹のおなかは日に日に大きくなっているというのに、男はまだ奥さんとの籍を抜いていない。別居してから4年、それからずっと妹と付き合っていたというのに。子供とか家の名義だとかどんな事情があるにせよそれはあまりにも妹にとって酷い話ではないか。ただの愚図なのか、大して妹のことを思っていないのか。何がどうであれ、あらゆることを天秤にかけた時、妹よりも上に何かがあることはこの事実が物語っている。両親に挨拶にきて、"安心してください"などと言ったらしいが、この状況でどこをどう安心するのか、説得力がない。一緒に住む家を買ったとか、そんなことよりも離婚が先でしょ。全てにおいて順序が間違っているのだよ。家族は心に何かが沈殿したようにただただ複雑な気持ちで押し黙ったまま事の成り行きを見ているだけ。男を選んだのもこの状況を許してきたのも妹であり、相手の非だけをつつく権利はない。しかし、おなかの大きい理由を尋ねられて、そこに登場しないわけにいかない男のことに話題が移るとただただ顔を曇らせて曖昧にやり過ごすしかない妹の心境を思うと家族として辛い。今本人が何を思おうとおなかは日に日に大きくなっていってもう引き返すことはできない。家族として願うことは、男が一刻も早くあらゆる手続きを済ませて、妹が精神的に穏やかな状態で出産に臨めることだけだ。


Michelina |MAIL