My life as a cat DiaryINDEX|past|will
雨の日曜日。家にこもって過ごす。大した料理もしてないが、美味しかったので記録しておこう。
エコバッグを持って買い物に出かけても、丁寧に透明のプラスティックバッグに入れて渡してくれたりするのだからたまらない。排出するゴミは自分の体から出る老廃物みたいで、多ければ多いほどがっかりする。1つ買うごとに1つ(いや、もっとの時もある)ゴミが付いてくるのではたまらない。この国では男女共に身だしなみをきれいに整えている人が多い。それなのにゴミを排出することには無頓着で、そういう美意識の低さにがっかりする。真似は出来ないが、土に還らない物を持たない裸族の暮らしぶりなど本当に美しいと思う。
生のセージが手に入ったのでニョッキを作った。セージバターソースと絡めて食べるのが本場では定番なのだそうだ。レシピ通りにやると、かなりがっつりバターを使うんだな。勇気を出してレシピ通りの量のバターをフライパンに入れて、セージをちょっと炒めて香りをだしたら茹でたニョッキを投入してさっと絡めて出来上がり。ちゃんと生のセージを使ったこととたっぷりバターを入れたのがやっぱり良かったんだろうな。最高に美味しかった。パンでソースをしっかり拭って、お皿は犬猫の食後と同じくらいつるつるになった。
細川亜衣さんの「イタリア料理の本」に載っていたオレンジのサラダ。3分でできるようなレシピなのに口に入れた瞬間目がまん丸になってしまうくらい美味しかった。オレンジの皮を剥いて切って、ワインヴィネガー、オリーヴオイル、イタリアンパセリ、小さく切った鷹の爪、塩を少々で和えて、10分くらい冷蔵庫に置いていただく。生の果物は砂糖を入れた水みたいで、暑い季節以外はあまり好んで食べないけど、こうすれば抵抗ない。
母がわたしがいつも背負っているリュック・サックを欲しがるので、同じ物を買ってプレゼントすることにした。ドイツのさほど大きくない工房で、その道一筋みたいな職人が作っているものだ。見た目もいいのだが、サイズや使い勝手もパーフェクト。どんな服でも不思議としっくり合ってしまうから365日毎日背負い続けて2年目になる。特別なイベントがある日じゃなくてもいい。思い立った日に相手の本当に欲しがる物を贈る。その代わり特別なイベントの日は花やケーキだけで簡素に済ませよう。贈り物の無駄の多さに辟易しているわたしは、贈り物はこうあるべきだ、と納得したのだった。
朝のテレビ番組で、3度目の離婚をすることになったというタレントが喋っているのを見かけた。旦那さんのベースが山形になり、自分のベースは東京で子供の学校もあって云々で、離婚することになったけど仲がいいのだとやたら強調している。しまいには"Happy divorce"などと得体の知れない言葉を持ち出した。結婚という制度への冒涜だな。離婚する人を嫌悪しているわけではない。どうにもこうにもうまくまわらなくなってしまうことってある。でもそれをジョークにして喋っても反感を買わないのはコメディアンだけだし、離婚を妙に肯定してみたりするのはたとえそれがただのパフォーマンスでも見るに堪えない。結婚するということは他人と健やかなる時も病める時も一緒にやっていくという約束をするわけで、離婚するということはその約束を破ることだ。子供に約束を破ってはいけませんよ、と教えるはずの親がそれをするのだから"Happy divorce"なんて浮かれた言葉は慎むべきだ。わたしは結婚したことはないけど、誰かと約束を交わしたことはある。そしてその約束を自分が破ったことは心の中の大きな傷となっている。自分はちゃんと約束を守り遂げる人間だと誰よりも自分が一番信じていたのだから。あれは前向きな一歩だったとか、相手にもひたすら申し訳なくて、そんな風には絶対に言いたくない。この年まで独身でいると、デートに誘ってくる人に離婚歴があるなんていうこともある。離婚歴のある人お断りとかいうわけではないけど、やっぱり結婚というものを軽く見ている人が多いという感じは否めない。まだ離婚が正式に成立してないのにわたしに次の結婚を匂わせながら近付いてきたりとか、本当呆れてしまうよ。逆に"一度失敗してるから二度と結婚したくない"なんて言われても、深く傷ついてしまったのだろうなって心配になってしまうけど、そういう人のほうが余程信頼できるな。単に"married"というステイタスが好きなだけの人というのも多いものだ。妹のこともあって、結婚とか離婚とかについてすごく考えてしまうな。
最近のクロエちゃんのお気に入りは炙りカツオと水菜のしゃぶしゃぶ。酸化しないように冷凍庫に凍らせてあるカツオを薄くスライスしたのと農園で摘んだ水菜を熱湯でしゃぶしゃぶとやってあげる。こうするとちょうど猫が好きな人肌くらいの温度になるから喜んで食べる。自分の食事については、「自分が手を伸ばして"採れる"または"獲れる"ものを食べる」という簡潔なルールに則っていて迷いはないが、猫の食事となるとそうもいかない。クロエちゃんは家畜の肉は食べないし、泳げもしないくせに魚が大好きだ。生魚が一番好きで、これは野生の本能だ。虫が湧くとかいうけど、火を使って調理する動物なんていないし、野生動物はどうしているのだろう。苦い葉野菜をけっこう好んで食べるのは毛玉を吐き出すための本能だろう。輪ゴムをその辺に放っておくとすぐにくちゃくちゃ食べてしまうのは歯磨きのつもりなのだろうか(これは消化せず便にまるごと入ってでてくる)。結局どんなものをあげるのが一番良いのかわからないから、わたしがどういう食べ物なのか理解できるもので(市販のペットフードは理解できないからおやつのカリカリ以外は敬遠している)喜ぶものを与えることにした。
米沢亜衣さん(現在は結婚されて細川亜衣さん)の「イタリア料理の本」を2冊購入した。Dean & Delucaでセレクトされて紹介されていたというから、ちょっと敬遠していたのだが、これが作ってみるとどの料理も"ホンモノ"で驚かされる。複雑なのも難しいのもお固いのも抜き。良質のオリーブオイルと塩を手に入れたらさぁはじめましょう、というくらい気軽にできるものばかり。これでもいい、あれでもいい、あるもので代用しましょう、分量は好きなだけね、という感じ。読んだだけでは、こんなシンプルで本当に美味しくできるの?まずもってこれをレシピなんて呼べるの?と思うが、疑いつつ作ってみると最後にピタッっと辻褄が合う感じだ。食べ物はいじり倒したら美味しくなるというものではない。この人って本当に美味しいものをよく知ってる人なんじゃないかと思う。
妹のおなかは日に日に大きくなっているというのに、男はまだ奥さんとの籍を抜いていない。別居してから4年、それからずっと妹と付き合っていたというのに。子供とか家の名義だとかどんな事情があるにせよそれはあまりにも妹にとって酷い話ではないか。ただの愚図なのか、大して妹のことを思っていないのか。何がどうであれ、あらゆることを天秤にかけた時、妹よりも上に何かがあることはこの事実が物語っている。両親に挨拶にきて、"安心してください"などと言ったらしいが、この状況でどこをどう安心するのか、説得力がない。一緒に住む家を買ったとか、そんなことよりも離婚が先でしょ。全てにおいて順序が間違っているのだよ。家族は心に何かが沈殿したようにただただ複雑な気持ちで押し黙ったまま事の成り行きを見ているだけ。男を選んだのもこの状況を許してきたのも妹であり、相手の非だけをつつく権利はない。しかし、おなかの大きい理由を尋ねられて、そこに登場しないわけにいかない男のことに話題が移るとただただ顔を曇らせて曖昧にやり過ごすしかない妹の心境を思うと家族として辛い。今本人が何を思おうとおなかは日に日に大きくなっていってもう引き返すことはできない。家族として願うことは、男が一刻も早くあらゆる手続きを済ませて、妹が精神的に穏やかな状態で出産に臨めることだけだ。
Michelina
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