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2016年12月25日(日) |
Home for Christmas |

Zuccotto(ズコット)というイタリアのケーキを作った。14世紀のルネサンス期にフィレンツェで生まれたケーキなのだそうだ。兜をイメージしてるというけど、どちらかというと大聖堂のクーポラみたいだ。この形が故に作るのになかなか時間がかかった。スポンジを焼いたら切ってボウルに隙間なく貼り付けていく。たっぷりお酒の入ったシロップを塗って、フィリングはナッツとチョコ・チップが入ったマスカルポーネ・チーズのクリームを入れる。スポンジで蓋をしてまたシロップを塗って冷蔵庫で冷やして馴染ませる。ぱかっとお皿にあけて、マスキング用に切った紙をあててココア・パウダーを振って出来上がり。ふぅ。やっと口に入る。お味は、もちろんとびっきり美味しい。これだけ手間のかかるケーキ、美味しくなかったら14世紀から21世紀に受け継がれていないでしょうね。
FMから次々とクリスマス・ソングが流れていた。沢山あるものだね。ふと流れてきたMaria Menaの〝Home for Christmas"の詩にほろりと泣いてしまった。実家は近くていつでも帰れる(帰ってないけど)。でも、親元遠く離れて忙しく勉学やら労働やらに勤しんで、嫌なことが起こると故郷が恋しくなったりして、でも自分の夢があるからその地で頑張る。または家出のように出てきてしまって意地で帰れないのかも。それでやっとプレゼント(お土産)をたくさん携えてクリスマスに里帰りする気持ち、すごく解る。オーストラリアにいる移民の友人の中には命からがら母国を後にした人なんかがけっこういた。オーストラリアはまじめに頑張れば帰郷する飛行機代くらいはすぐに作れるような国だ。でもお金をどうにか作ったって結局帰れない人々もいる。わたしはそんな話を聞くと可哀そうで可哀そうで自分が泣いてしまって、逆に彼らに慰められる始末だった。天災や事故、事情があって家に帰れない人も早く心がHomeと決めた場所へ帰れますように。
夜に国際郵便で全く予期しないクリスマス・プレゼントが届いた。びっくりしたー。郵便物が届くと誰よりも中身を先に見たがるのはクロエちゃんだ。早く開けてー!と箱の上に飛び乗って急かす。わたしが好きなものが詰め込まれてた。すごく嬉しい。
〝Home for Christmas〝 ― Maria Mena
Carefull what you say
This time of year
Tends to weaken me
And have a little decency
And let me cry in peace
But there’s a place where I
Erase the challenges I’ve been through
Where I know every corner,
Every street-name
all by heart
And so it is a part of my
courageous plan to leave
With a broken heart
Tucked away under my sleeve
I wanna go home for Christmas
Let me go home this year
I wanna go home for Christmas
Let me go home this year
I’ll pack my bags
and leave before the sun rises tomorrow
’cause we act more like strangers for each day
That I am here
But I have people close to me
Who never will desert me
Who remind me frequently
What I was like as a child
And so it is a part of my
courageous plan to leave
With a broken heart
Tucked away under my sleeve
I wanna go home for Christmas
Let me go home this year
I wanna go home for Christmas
Let me go home this year
I don’t know what my future holds
or who I’ll choose to love me
But I can tell you where I’m from
And who loved me to life
And so it is a part of my
courageous plan to leave
With a broken heart
Tucked away under my sleeve
I wanna go home for Christmas
Let me go home this year
I wanna go home for Christmas
Let me go home this year
バカラのグラスを買った。1930年くらいのアンティーク。夏の地中海旅行の時にエール・フランスの機内でのみ飲めるG.E.MASSENEZ社のPoire Williamsを飲んで以来、似たような味を探し求めていた。やっと見つけたのが、François PeyrotのPoire Williams au Cognac。一日の労働を終えて、夕飯を作ってやっとほっと一息つきながらほんの30ml程度を舐めるように飲む。せっかく綺麗な琥珀色をしてるんだ。これに合うような美しいグラスに入れてあげよう。そう思い立って見つけたのがこのグラス。ひとめぼれだ。サイズもちょうどいい。それ以上飲むと体がすっかり温まって眠たくなってしまうから、これ一杯と決めている。食前に飲むのもよし、食後にチョコレートを齧りながら飲むのもよし。熟成されたまろやかな甘さで口に含むとたちまち幸せな気持ちになる。
新調したベッドの寝心地は就寝時間が楽しみになってしまうくらい最高だ。マットレスから敷パッドまで口コミや専門家の記事を読み、展示会に足を運び、徹底リサーチして丁寧に選んだだけのことはある。腰に負担をかけない雲の上の寝心地とはこのことなんだな。
自分でせっせと拵えた美味しい手料理がある。美味しい酒もある。一日の疲れを大きな懐で優しく包んで癒してくれる寝床もある。そしてなんといってもふわふわで温かくて、愉快で楽しい愛猫がいる。住処というのはいかに心地良くするかということに情熱をかけて創り上げていくことで、どんなに自分の暮らし向きを良くして、心と体を癒やす効果を期待できることか。やみくもにお金をかけることではなくて、持つ・持たないの選択から持ち物の選定まで丁寧に情熱的に考えるということ。会社にいても早く帰りたくなってしまうくらい家が好き。決していやいや仕事をしているわけではないのだけれど。

美味しい生クリームが手に入ったのでティラミスを作ってみた。電動のウィスクを持っていないから、この手の〝よくかき混ぜるのが美味しさのコツ〝みたいな食べ物は、テレビを見ながらやる。真剣に集中していると飽きてしまうが、テレビを観ながらなら手だけ動かしていればいつの間にかよく混ざっているのがいい。ティラミスはとても簡単。スポンジを使うレシピもあるけど、わたしは断然ビスキュイのが好きだ。ビスキュイを並べて、エスプレッソをかけて、クリームを乗せて、これをもう一回繰り返して重ねて、仕上げにココアパウダーを振って出来上がり。ティラミスがあるのなら、とランチはパスタに決定。冷蔵庫に材料が揃っていたので、落合シェフのプッタネスカを作ってみた。パスタなんて適当に作っても美味しいけれど、やっぱりきっちりとシェフのレシピ通りに計量したり、火加減も守ってやると格段に美味しくなる。それにしてもにんにくとオリーブオイルの組み合わせはなんて食欲促進効果があるのだろう。マンマが大きな鍋にたっぷりパスタを作ってあって、〝おかわりは?〝って聞かれたら断るのは難しいだろう。ティラミスは〝自分好み〝に作っただけあってイタリアのホンモノのミルク味のやつの次に美味い。マスカルポーネチーズではなくクリームチーズを使っているのでクリームがどっしり。思いっきり濃いエスプレッソを硬いビスキュイに染み込ませて、甘さはぐんと控え目。エアリーなティラミスは好きではないので、こんな重いのが食べたかった。のんびり美味しいものを拵えて、のんびり食べる。これぞ正しい日曜日の過ごし方だね。
i-phoneのバッテリーはぴったり4年間利用して交換となった。恐る恐る"20分で非正規のバッテリーと交換できる"というリペア・ショップに持ち込んだのだが、意外にきちんとしていて、小さな不具合のことまで丁寧に説明してくれた。何の問題もなく新しいバッテリーが入った。
ランチを摂ろうと、てんぷら屋に入った。いちばんのりだ。揚げ物はいちばんのりがいちばん新鮮で軽い油にありつけるような気がしていいものだ。ここはてんぷら一筋で、ランチメニューも天丼とてんぷら定食のみ。カウンターに席をとったことだし、揚げたそばから目の前にだされるのを食べていくてんぷら定食にも心惹かれたが、天丼の甘辛の汁もやっぱり好きなんだな。えいっ、天丼だ。揚げてわずか数秒で目の前にどんっと出てきた。七味唐辛子を振って熱々を脇目も降らずに夢中で平らげた。油が軽くて、さくっさく。衣が厚すぎないのがいい。ひらりとたった一片入ってる柚子の皮も良く香っている。〝正しい○○の食べ方〝なんて堅苦しく説かれると反抗してやりたい気持ちになるが、てんぷらとなるとやっぱり正しい食べ方があるように思う。一に、揚げてくれる人がいるところで食べること。揚げる人と食べる人が同一人物というのはいただけない。だって揚げてると油の匂いで食欲減退するし、ちゃんと着席して食べようと思えば、揚げ終わるまでに冷めてしまう。ひとりで二役やるなら立ち食いで揚げてるそばから食べていくことになる。と、こんなことを書きながら、家族のためにてんぷらを揚げてくれた母には本当に感謝してしまう。いつも自分が着席するころには冷めてしまっていたものね。今度、母をここに連れてこよう。そして二に、やっぱり脇目も振らずに食べきること。おしゃべりは食べ終わってからだ。いつもはのろのろとよく噛んでよく噛んで食事しているわたしも、てんぷらだけはあっというまに胃袋の中だ。
バッテリーも交換したし、つい先日、今年いっぱいにやり遂げることを目標に掲げていたことも達成した。会社のほうは、取り巻きががぼちぼちとクリスマス休暇に入っているのでそう忙しくない。今年の仕事はもうほぼ終えたようなものだ。毎年正月に親戚の突いた餅を食べるのに煮るぜんざいの小豆を買って帰路についた。
2016年12月12日(月) |
Shekerpare |
一見〝シェイクスピア〝と見間違う綴りだが、これはシュケルパーレというトルコのお菓子だ。たまたま見かけたレシピで、たまたま家に材料が揃っていたので作ってみた。小麦粉、ベーキングパウダー、粉砂糖、卵黄にレモン。配合や手順は擦り下ろしたレモンの皮が入る以外はパートブリゼみたいなものだ。ぽろぽろでまとまりにくい生地だけど、こうじゃなきゃ、さくっ、ほろっというビスケットにならないんだな。丸めて上にヘーゼルナッツを。と、思ったらなかったので、マカダミアナッツで代用。焼く。ひとくち。すでに十分美味しいビスケットだ。ここからが、トルコっぽくなっていく。焼きたて熱々の生地にレモン汁とグラニュー糖と水を煮立てたシロップをどばっとかける。これで完成。シロップを含んだ生地は膨張する。崩れやすいのでスプーンで掬って食べる。歯が溶けそうに甘い。暑い日に熱い紅茶と食べたらさぞかし美味しかろうね。木陰に寝転んで、地中海の乾いた風が吹いてきてね。
2016年12月03日(土) |
That sugar film |
もう師走か。i-phoneのバッテリーの老化を感じてから1年経ってしまった。バッテリーは点滴から栄養補給されるみたいに、ちょっと活動するとすぐにケーブルに繋がれる。家と会社ではふつうに活動しているが、出歩く時はエアプレインモードに設定して、もはや時計とカメラくらいの役割しか果たさない。すぐにコンタクトを取りたい人には不便をかけているが、本人的には読書に集中し、どっぷり物思いに耽り、誰からの声も届かないというのはなかなか心地よいものだ。すぐにネットでサーチもできないから頭でじっくり考える。マップアプリも使えないから、行きたい場所へは手書きで写した地図が頼りで、道に迷いながら到着する。しかしそろそろ本当に老衰の兆しが見えてきた。本体ともども4年も不休で働いたのだ。たまに休暇を与えるべきだったかな。電化製品ってそういうものではないのかな?年内にバッテリー交代となるかな。
〝That sugar film"というドキュメンタリー映画を観た。5年砂糖を絶っていた若い男性が摂取カロリーは変えず、平均的なオーストラリア人と同等の砂糖を摂り、体の変化を観察する。砂糖を摂るといってもジャンク・フードからではなく、スムージー、ヨーグルト、シリアルなどの〝健康食品〝からだ。しかし、彼は次第に肝脂肪がどっぷりついて、気分の浮き沈みが激しくなっていく。夜もぐっすり眠れず、集中力もなくなる。摂取カロリーは変わらないのに、お腹周りがどっぷりとダブついて体重が増加してくるのだから、興味深い。
アメリカのケンタッキー州では〝マウンテン・デュー〝というカフェインと砂糖のどっぷり入った炭酸飲料の消費が著しい。17歳にして歯が全部溶けてしまった少年にインタビューしていた。彼は水代わりにこれを飲み、18歳を目前に総入れ歯となる。州一の貧しい区域では親が哺乳瓶にこんな飲み物を入れて子供に与え、乳歯がすでに虫歯という子供が多いそうだ。
最後に結論として、日に大人の男性でティースプーン9杯、女性では5杯ほどの砂糖が適度だということだ。計算してみると、甘いものを食べなくたって、普通の食事で簡単に摂れてしまう量だ。今日の食事で見てみると、朝、油麩カツ丼で1杯、夜、かぼちゃの煮つけで2杯、すでに3杯だ。間食におはぎを食べたからもう5杯は超えてしまっただろう。
この映画を観て、もう砂糖は食べない!とはならないけど、これからもっと意識するだろう。
(写真:仙台名物なの?油麩というものを初めて食べた。グルテンの塊。グルテン・フリー生活の人が見たら失神しちゃうかな。わたしはかつ丼にしておいしくいただきました)