My life as a cat DiaryINDEX|past|will
元同僚と1年半ぶりの再会はお互い「うわっ!変わってない!」の一言で始まった。銀座一丁目のいつもの居酒屋で大好物の湯葉とアボカドの刺身をつまんで久々に日本酒を飲んだ。わたしがオーストラリアでひたすら休息をしていた時、彼女はイタリアでひたすら勉学に励んでいた。会わなかった一年半、わたしは不安定な暮らしの中でひたすら恋愛を、彼女は優等生として期待をかけられながらひたすら仕事をしてきた。全く違った環境に身を置いても焦燥感や落胆、小さな喜びに翻弄されて日々を過ごしてきたのは同じだ。わたしも、彼女もきっと渦中にいた時は必死でもがいたり泣いたりしたのに、後から酒を飲んで笑って話せる友達がいるのが頼もしかった。
パース仲間と代々木公園で開催されたスリランカ・フェスティバルへ。期待と裏腹にものすごい混雑で食べ物を買うにも長蛇の列。一見しただけで疲れたので、あっさり諦めて、前のほうで何が売っているのか見えないまま一番短い列に並んでいまいちな野菜カレーとマンゴー・ラッシーをゲットした。出口付近でショッキング・ピンクのサリーを試着して似合うわ〜と感嘆され、(そういえばベトナム人とか言われたこともあるけど北インド人ぽいと言われたこともあったっけな。。。ようするにコンチネンタルな顔なのね、きっと。。。)その気になってお買い上げ。
マーヴの様子を聞き出そうとデイヴィスに電話した。絶望的といった雰囲気だった二か月半前が遠い遠い昔のように元気になってそこに順応している様子が伝わってくる。しかし刑務所の食事は不健康でフィッシンチップスやBBQといった典型的OZミールなのだそうで、こんな物を食べられないマーヴにデイヴィスはお小遣いをあげたのだそうだ。するとチョコレートを大量に買って食べすぎてしまいお腹を壊してしまったとか。はぁ、しかしそんな話を聞いているとほっとする。刑務所なんて聞いた時はマーヴのようなお坊ちゃま育ちで、酒も飲まない、煙草も吸わない、家族とわたしだけが世界の全てで、シンプソンズとチョコレートだけを楽しみに生きてるような男の子がそんなところでアボリジニ達に囲まれておかしくなってしまわないのだろうかと本当に心配したけれど、逆にお坊ちゃま育ちだからどうにもならない現状を受け入れて順応していく術にも長けていたのかもしれない。幸せそうにチョコレート齧る顔が浮かんできた。
シーズー犬のコロちゃんは決して老犬ではないのに目も見えないし耳も聞こえない。だから植物のように静かに暮らしている。家族みんなで沢山触って存在を忘れていないのだと表現してあげることしかできない。大雨の日に道端で蹲っているいたところを父親が保護してうちに来た。人間の手によって不自然にかけ合わされた結果、奇形で弱い体に生まれてくる罪のない命が悲しい。「動物好き」ならばペットショップで愛らしい見た目の血統書のついた動物を買う前にもう一度考えて欲しい。
仕事をはじめて一週間の終わり。職場は忙しくばたばたとしているものの、殺伐とした空気もなくみんな上機嫌で馬力をかけて働いている。そして顧客情報に触れる為、厳重なセキュリティがついて隔離された事務所できっちりとルールを守らされているものの、不要な厳しいことを言う上司もなく、なかなか環境が良い。
寿司屋を営む叔父から緊急に頼まれてのお手伝い。「運ぶだけ」と言われた通りそれだけの仕事。朝から一日中会席弁当を抱えて左右上下、指図されるがままにひたすら運んだ。この仕事健康的。特別重いものを運ぶわけではないから体が万遍なく疲れる。そして精神的に脅かされるようなこともない。叔父と叔母は体力なしと思っていたのにわたしが案外いい動きをすると笑っていた。
しばらく図書館に通って裁判の記録などを読み漁っていた。無実を晴らせずに死刑になった囚人。そしてその囚人と同じくらいの苦しみを背負って生きることを強いられたイノセントな家族。すぐ隣にあったのに今まで目もくれずに通り過ぎてきた不条理と苦痛に満ちた世界に愕然と暗い気持ちに包まれる。日本はもっともっと公平で良心的に裁判が行われているのだと思っていた。
Michelina
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