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マーヴの誕生日が来て、彼の一番の友達のデイヴィスと3人でユーゴスラビア・レストランで夕食を摂った。絶対彼を一段格好よく見せてくれるはず!と一目惚れしてプレゼントに選んだトミー・フィルフィガーのベージュのリネンのシャツはサイズもピッタリ、そして浅黒くてすらりと背の高い彼によく似合った。デイヴィスと二人してCool,Coolと褒めてあげながらも、一言だけ”so grow up”と付け加えるとちょっと拗ねながらコクリと頷いていた。少年らしさはいいけれど、たまにそれが疵口でこの人には頼れないのではないかと不安にさせられたりする。「君のことが大好きだから、ずっと一緒にいようね。」なんていう若さから成る威勢だけはいいか細い意気込みをそっと握り締めているのだから、しっかりして欲しい。
(写真:初めて行ったシティー・ビーチ)
たまに出向先のアデレードからワインを抱えて週末だけパースに帰ってくるアレックスとピクニックへ。観光客で賑わいはじめたキングス・パークももちろんいいけれど、今日はわたしの密かな隠れ家のような公園に案内することに。冷えた白ワインを開けて喉を潤して、池の周りをゆっくりと散歩。木々に生い茂る新緑も、そこから漏れる光も何もかもが美しい。アデレードにはこんなに美しい公園はないよ、ここに何年もいて麻痺してたけど、やっぱりパースは世界一美しい町だとアレックスが言った。
と、そんなことを言いながらも彼は自分の国に帰ってビジネスをする計画がある。どんなに美しい町に行き着いてもそこであっさり野心を捨てたりしないのが男というものなのか。わたしは居心地のいい場所に辿り着けばすぐにそこから動けなくなってしまう。自分だけが止まった時間の中に閉じ込められているのに、世界はお構いなくせかせかと動いている。クールねっ、と言いながらもいつか来るだろう旧友の旅立ちを思って、置いていかれてしまうようなさびしに胸をちくりと刺された。
2006年10月02日(月) |
ロング・ウィークエンド |
月曜が祝日で、今週はロング・ウィークエンド。すっかり春の陽気で一年のうち最高のシーズンの到来。シェア・メイト達は数人で車をハイアして南に北に旅行に出かけて、彼らの姿にここへ来たばかりの頃の自分を重ね合わせて懐かしく思った。
日曜はランチ前にてくてくと歩いてインの家に行って、冷たい白玉ぜんざいと天麩羅蕎麦を作った。明るくて会話のセンスもあるのに、しっかりものでインディペンデントという長所が邪魔をしたのか、日本留学中には家にまで行き来する友達が出来なかったのだと言って喜んでくれた。食後の腹ごなしに近所の公園を散歩していると、お母さん鴨が12羽の雛を引き連れて蓮の池で揺られていた。人が池に近寄る度に群れで逃げる。必ず一羽か二羽はぐれてしまう子がいて、それでも蓮の隙間を縫って必ずその子を迎えに行くお母さんと、迎えに来てと鳴き続ける子。そして人間の背後から勇敢に「どこかへ行け」とでもいうように追い立てるお父さん鴨。ぼんやり眺めていると胸がじわりと温かくなった。
マーヴとも久々にゆっくりとシティを散歩して、本を物色したり、ちょっと手間のかかる夕飯を作った。
そしてロング・ウィークエンドの終わりの夜、北に行ったダレンがひょっこりと帰ってきて、車を買ったとか、物を沢山盗まれてしまったのだとか話して、そしてわたしと会いたかったのだと言った。わたしは大抵の人には親切にする性質だからBFだとかすごく近くにいる人はそれに麻痺して、一緒にいる時にはあまり感じないみたいだけれど、離れてみるとみんな恋しいのだとかやり直したいのだと言う。でも一度自分を手放した人などもう興味がない。