My life as a cat
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2004年11月30日(火) 真夜中の豆乳作り

豆乳ローションを作るのに欲しいタイプの豆乳が買えないのでついに自分で作ろうと朝から大豆を水に漬けておいた。夕飯時に飲んだワインがまわってそろそろ寝ようかと思った時にそれを思い出した。あまり長々漬けすぎてもよいものかわからないので、静かなキッチンで1人徐に作り始めた。もう夜中の1時過ぎ。

ミキサーで攪拌した大豆を今度は鍋に移して煮る。煮ていると生っぽい臭いだったのがだんだんまろやかな匂いに変わってくる。それを布で濾したらおからと濃厚な豆乳の出来上がり。豆乳が熱いうちに豆乳ローションも作る。

こんな夜中に豆乳を作っている人間なんて世界でわたし1人かもと思ったらなんだか嬉しくてNatural highになって鼻歌を歌った。なのに気持ちとは裏腹に出てきたのは何故かどこかで耳に入ってきて記憶中枢にインプットされていたと思われる高橋真理子の悲しい歌。「どこにあるの悲しまない国。。」とかいうやつ。あぁ居酒屋で理不尽な世の中にぶつぶついいながら飲みたい気分にまで盛り上がってきたぞ。相当疲れているらしい。

顔を洗ってしっとり豆乳ローションを叩いてベッドに傾れこんだ。


2004年11月29日(月) あぁ、なんという一日なんだ

静かな昼下がりシティへでるため身支度をして家を出ようとした瞬間電話が鳴った。でてみると激しいイタリアンアクセントの英語を話す男性。あぁセールスか。ただのセールスにしてもやはりイタリア男、やたらセンテンスにわたしの名前をつける。
"Michellina, would you like to have a mobile phone?"
"No"
"But you don't need?
"No"
"You don't have any friends, Michellina?"
"No"
"Oh,,, you must be lonely,,,"
"No"
とやっているうちにダーーーっとどれだけその携帯の性能がよいかということを話しているらしかったが電波が悪いのかぷつぷつと途切れてよくわからなかったのでそれを指摘してあげると、諦めて電話を切ってくれた。

そしてシティを歩いているとショーケースの中に美味しそうなケーキがあるのを見つけて思わずカフェに吸い込まれるようにして入ってしまった。ショーケースをのぞいてみたけれどどのケーキにも札がなくて中に何が入っているのか不明だった。ふと顔をあげると店番をしているのはイタリア人らしき中年男3人。"May I help you?"と声をかけてくれたので中身が何なのかたずねてみると3人でなにやら相談しながら"I have no idea"などと言う。んもー!誰が作ってるの、このケーキ?そしてオレンジピールが乗ってるケーキを指して「これはオレンジケーキだと思うよ」ってそれは見れば分かるんですけど!もういいや、とりあえずおなかも空いたし一個食べていこうと頼りない店番3人にオーダーした。パースではこんなやる気のない店が普通に繁盛している。

そして日本食材店に寄って買い物をしているとアボリジニ少年二人が入ってきた。アボリジニが日本食材を買いにくるとは思えない。おかしいぞと思ってちらりと横目で見てみるとやはり食材など見ていない。わたしを見ているのだ。狙われている。バッグをギュッと抱えてカゴに入れた食材の代金を払いにレジへ行きちょっとレジの前に並んでいるものに気をとられて背後に人の気配を感じて振り返ると彼らのうちの1人がわたしのバッグに入れた手をさりげなく引っ込めるのを目撃した。財布は残っているので気のせいかとも思ったが、引っ込めた手をポケットに入れたのでやはりおかしいと思ってExcuse meと言おうとした瞬間走って逃げられた。あぁやられた。盗られたのはトラベルアラームクロック。形から携帯電話だと思って盗ったのだろう。安物だけれど肌身離さず使っていたものだったから悔しい。

公衆電話からマーティンに電話するとそっけなく「ふーん」と言われた。彼らに気付いていたのにも関わらず盗られてしまったのがどんなに悔しいかなどと話していたらそばをうろうろしていた一見普通の白人がわたしの目の前でお尻を出したまま静止している。明らかにわたしに見せたくて出しているとしか思えない恰好。????何を意味しているのだ?もうわけがわからなかった。無視して喋っていると3分くらいして何もなかったように去って行った。マーティンに状況を伝えるとただ笑われた。

電話を切ってよたよたと新しいトラベルアラームクロックを買わなければと歩き出した。

あぁ、なんという一日なんだ。


2004年11月27日(土) Boat Shed

ビーチ三昧の夏を過ごしている。コテスローの帰りはBoat Shedというちょっとリッチな人向け(?)のスーパーマーケットへ寄るのがこのところの定番。ここは庶民のマーケットでは売られていない食材が手に入るので楽しい。今日はなんと!"Mizuna"を発見。水菜ですよ、はじめて見た。生シイタケ、オクラ、ヤムビーン、珍しいものは何でも口に入れてみたいマーティンはボンボンカゴに放り込んでいく。惣菜売り場で美味しそうな惣菜を見つけた彼が言った。「あっ、でもビーフが入ってる。僕はビーフはやめたんだ」と。どうやら先日のオーストリアで射殺された牛のニュースにとてもショックを受けてそう決めたらしい。そんなにショックを受けるなんて相当哀れな映像だったのかと聞いてみたら、ただ文章で読んだだけだという。今までも彼はわたしと暮らしているという境遇的な理由と決意とまではいかない牛と豚は感情が強いからあまり食べたくないなどという理由でビーフは滅多に口にしなかったけれど「可哀そうだからやめる」などというはっきりとした動物愛護的な思想の決意をするなんてちょっと驚きだった。「ようこそベジタリアンワールドへ」と歓迎してあげた(笑)

そしてここのレジのアルバイトのお姉さん達はわたし達がカゴに入れる野菜がなんなのかさっぱりわかっていないのでいつも「これは"Mizuna"、で、これは"Shiitake"って言ってホワイトマッシュルームよりも格段高いほうのやつね」などと説明しないと必ず打ち間違えてしまうのだ。ここの人間は仕事に対するプロ意識なしなのだ。


2004年11月26日(金) 嘘の効用

塩野七生の「男たちへ」を読み終えた。文化的背景や歴史的人物を引き合いに出しての深い男の考察に唸ると同時に男への優しさを秘めながらも著者独特のあの鋭さとキツさで斬ってしまうところに苦笑しながら。

最近欧米人の友達と日本語でいう「愛している」という告白について話していた。あちらは愛していれば「I love you」と口にするのだろうけれど日本語に直すとどうもぴんとこない。女の人は感情的な人が多いのでどうにか想像つくものの、わたしの日本人の男友達がこんなことを口にしているのは想像がつかない。本人達に聞いてみると「言うよ。酔っ払った時」などという答えがかえってきて、んもーー!という感じだが、でもでも、やっぱり素面ではなかなか日本人は使わない言葉なのかな。「好き(like)」はよく使うと話すと友人は「結婚したカップルなどが"I like you"などと言いあうのはとてもおかしい」と言う。

そんな矢先、この本にまさにこれについて触れている箇所を見つけた。著者も"Like"のように物に向ける表現と同列に置かれては我慢ならぬと言っている。そして日本人男性にこの自然に響かない「僕は君を愛してる」という言葉を恥ずかしい思いをさせて言わせてみてはどうだろうかと提案している。なぜならば人間は自分で口にだした言葉は誰よりも先に自分の耳に響いて頭脳を通過してくるものでそれによってただ心の中で感じているうちはまだ定着しなかった思いがしっかりと固定されるからだと言う。だから全くの嘘からの言葉は成り立たないけれどほんの少しばかり嘘(煮え切らない気持ち)があってもこの言葉を発することによって本当にその女を愛するようになるという。

納得。わたしも少しの迷いがあっても一旦口にだして他人に打ち明けてしまった気持ちは心に定着されて自分でもそのように認識してしまう。

ところで先日も触れたけれど、古本屋で購入したこの本にあまりにも激しい書き込みがあって、しかも読んでいくうちにだんだんこの本の前主はなかなかの変態なのではないかと思うようになった。そして本を閉じ、続編の「再び、男たちへ」を開いたら今度は落書きはないものの本に前主の名前が書いてあった。うーーん、わたしは本に名前を書いたこともないけどなぁ。


2004年11月23日(火) 移民の国

ここに来たばかりの時よく遊んでいた仲間がいた。全員移民や留学生だったのでぽつぽつと自国へ帰っていき、結局残っているのは日本とここを行き来しているわたしとこちらの大学を卒業したばかりでまだ進路も決まらぬままとりあえずここの永住権を獲得したマレーシア人の男の子だけだった。そしてついに彼もマレーシアに帰ることになった。わたしに本をくれるというのでお別れの挨拶がてらランチを食べてから彼の家へ物色しに行くことにした。

玄関のドアが開いた途端に小型犬が2匹飛び出してきてシッポが千切れそうなほど振り回し妙にわたしになついてきた。家の人にはそこまで激しくないらしいのだが、彼いわくストレンジャーが好きらしい。そして本を物色している間も顔や腕をすごい勢いで舐められ、ついにわたしの膝に乗っかりそのまま粗相されてしまった。彼が叱ると一瞬悲しそうな顔をして動きを停止したのだが、やっぱりわたしが好きらしく懲りずにわたしに飛びついてくる。あらゆることでことごとく趣味の合わない彼とは本の趣味も合わず、唯一欲しかった"The history of Japan"は読み途中だと言われ他のフィクションの小説を2冊だけもらってきた。

はぁ、わたしはこんないきさつで引き取った品を沢山抱えている。本、英英辞書、食器、鍋。先日一時的にここを去った女友達が「身内もいない、かといって友達ができても長々とした付き合いがのぞめないここで結婚して子供を産んでなんて考えると不安になってしまう」と話していけれど、ホント出会っては去ってと一期一会の繰り返しばかり。

溜息をついて家路に着くと、日本からメールが届いた。来月彼女がこちらに帰ってくる!わたし達はお互いに持っている和書は必ず交換して読んでいた仲だ。「欲しい本があればリクエストして」とのこと。あぁダブルで嬉しい。さて何をリクエストしようかな。


2004年11月21日(日) 露出天国

アツイ、アツイ。。。パースにいよいよ夏がやってきたようだ。日本の夏とこちらの夏、どちらが暑いかといえば、こちらのほうが気温は高いが、湿度がないのでどっこいどっこいという感じだ。が、ひとつこちらのほうが良いところは堂々と肌を露出して出歩けること。エアコンを持つ(もしくは使う)家や店が少なく、また露出してもただただ健康的と感じられるカラッとした風土や国民性、土地柄だろうか、日本よりも圧倒的に男女共に露出度が高い。

以前こちらで胸元が大きく開いた白いシャツを買い、こちらの夏を過ごした。どこに行っても人の視線を感じることもなかった。人をジロジロと見ないことはこちらの人間に当然と守られているマナーでもあるが、ちらりとも感じないので恐らく誰も気にとめていないのだ。そしてそれを着て、日本へ帰国する途中シンガポールで3泊ステイした。ここでものすごい人々の注目を浴びてしまうのだった。すれ違いざまにじっくり見られ、わたしが振り返ると必ずあちらも振り返っている。ステイしていたのがLittle Indiaの真ん中で外に出れば単身出稼ぎのインド人男性ばかりが歩いていたし、シンガポール自体、映画のちょっとでもきわどいシーンはカットされてしまうというところなのでまぁ仕方ないかなぁという感じだった。

そして日本。帰国早々電車の中で痴漢にあい、その帰り道、有楽町の駅のホームで鼻息の荒い仕事帰りの会社員に誘われるのだった。シンガポールとは違い何でもアリという感じの日本で人々がこんなことに反応するのが意外だったが、このジトっとした湿気がそういう気持ちを誘っているのかもしれない。

そして会社で働くようになり、女性のみざっと40人のわたし達のフロアでは半数近くがアツイといいながら上着やカーディガンを脱ぐことはなく、エアコンの温度を下げるではないか。「アツイ→脱ぐ」というような発想ではなく「アツイ→エアコンの温度を下げる」という感じなのだ。一度仕事のパートナーがカーディガンを羽織ながらアツイと言って汗をかいているので、「脱いだらどうですか?」と言ってみたら「いや、ちょっとノースリーブは。。。」と返された。どんなに腹がでていようと腕が太かろうとヘソ出し、キャミソールで大威張りで歩けるパースとは大違いなのだ。

わたしはエアコンで手足の節々が痛くなるよりも薄着になって自然の風を通したほうがよほど健康にも地球にも良いと思うのだけれど、例えばあの仏映画"Lamant"を「ただのポルノ映画」だと言った日本人が多いというようなところから(あぁ、がっかり)もうこれは感性の違いなのだ。

でも、ラテン系の中年男性がペラペラの短パン姿でオープンテラスのカフェの椅子に座って大事なものをひょっこりのぞかせながら無邪気にアイスコーヒーを飲んでいる姿はいただけない。


2004年11月17日(水) Spaghetti Bolognese

夕飯はまたカノウユミコさんのレシピでサツマイモのカレーリゾット。砂糖も出汁も使わないのに白ワインとサツマイモ、トマト、オニオンからでる甘みでカレー風味がマイルドになって美味しい。

マーティンが「今日すごい悲しいニュースを見た」と言う。オーストリアの屠殺所で恐怖に怯え逃げ出した雌牛がハイウェイを走りぬけ、結局は射殺されたという。彼はそんな風に自分がこれから殺されることを察知して恐怖を感じて必死で逃げるような強い感情を持った動物を殺すのはとても酷だという。脱走までした牛をあっさり射殺するなんて。。。。と言ったっきり「じゃぁ射殺せずにどうしろっていうの?その牛は生まれた時からいずれ殺される為に育てられているのに」とわたしの心の嘆きが聞こえたのか黙ってしまった。

先日イタリアンレストランで各自一皿ずつオーダーしてシェアしようねと仲良くしていたのに注文をとりにきたウエイトレスに彼が「Spaghetti Bolognese」と言ったのを思い出してちょっと意地悪に言ってみた。

「きっとスパゲティボロネーゼになるんだよ」と。するととても悲しそうな顔をした。

でも本当は土地柄ほぼ肉食という食生活で育った彼がわたしと会って180度変えられてしまったのだからたまにはレストランで肉を摂りたい気持ちはよく理解しているのだ。


2004年11月16日(火) オペラの夕べ

今日の夕飯はわたしが一度作って以来マーティンの大好物となったマヨネーズを使わないベーガン仕様のポテトサラダとわたし達の大好物ミネストローネとガーリックブレッド。野菜がとろけるまでことこととミネストローネを煮込んでいるとマーティンが会社から電話をかけてきて夕飯のメニューを聞くなり美味しい白ワインをゲットして飛んで帰ってきた。

大好物ばかりで気分がのっているのか、普段夕飯を食べながら音楽を聞くことなどないのに、今日は彼の大好きなリヒャルド・ワーグナーの作品をかけながら更にドイツ語で謳われるストーリーを解説までしてくれた。愛の女神を置いて現実の世界に戻った男が結局は現実の世界に絶望して女神の元に帰るというもの。シンプルなようで複雑なストーリーだった。背景に明るくないわたしは恐らく深い真意を理解できていないのだ。ドイツの怒涛の時代を生きたワーグナーも現実世界に絶望していたのだろうか?オペラのようなものはヨーロッパの重い重い石畳のような歴史を背負っているぶんだけ心にずっしりと響くように感じる。が、こういうのはとても難しい。言葉が理解できないし、かといって日本語に直して謳われても冷めてしまう。スロヴァキアやオーストリアでは近年は字幕がでるのだそうだ。でもやっぱりそれもね、、、。

ドイツ語で自分自身で理解できたらもっと心に響くものだったのだろうけれど、それでも白ワインでリラックスした体に響くオペラの声色がとても心地よくて空気に酔ってしまうような夕べだった。


2004年11月14日(日) Message in a bottle

パースのシティから南へ40kmくらいのペンギン・アイランドへ。この小さな無人島は野生のペンギンやペリカン、カモメが卵をかえす半サンクチュアリのようになっていて彼らが卵を生すところはバリアが張られている。時間帯や季節にもよるけれど大抵は歩いて渡れる。ペンギンは階段の下に潜んでいることが多い。可愛いのでついつい見入ってしまうのだけれど、やはりそれはとても動物にストレスを与えて絶滅に追いやってしまうのであまり好ましくないようだ。そしてここのカモメは恐い。この島で観光してる人間よりもはるかに沢山いる。頭上から親カモメが卵を守るために人間を威嚇する。背中を向けて逃げたら最後。弱虫とみなされ更に威嚇してくる。

島まで渡り、マーティンは岩場で夢中で遊んでいるのでわたしはフランス語を話すツーリストが水際でフリスビーで遊んでいるのを眺めつつ木陰で読書することにした。なんとも平和な光景。昨日に引き続き塩野七生の「男たちへ」を熟読。しかしこの本、日本をでる直前に古本屋でさっと選んで買ってきたのだけれど、こちらに来て本を開いてビックリ。あちこちに線が引いてあって、さらにどこかから引っ張ってきた名句を書き足してあったりする。それは仏語だったり英語だったり日本語だったりするのだけれど。例えば

「男子の使命は広くて多様なり
 女子の使命は一律にしてやや狭く しかし更に深し」 −トルストイ

「近代という着物はそれを着る人の体質をも変化させる恐ろしい文化であり、それも致命的な病を持つ文化なのに、日本人は喜んで無邪気にもそれを身に着けてしまった」−ムッシュー・イサム・ゴジョウ

とこんな具合に。字から言って前主は男性と思われるが、しかしどうしてこんなに熟読した形跡があるのにこの本を手放してしまったのだろう。わたしはどんなに気に入った箇所があってもそう線を入れたりすることはない。それともこれは彼が新主へ何かを託しているのか。"Message in a bottle"という感じでどこか遠くで見ず知らずの人が海に流したメッセージを偶然拾ってしまったような気分だ。


2004年11月11日(木) 大人のデザート

この頃ほんのちょっとお菓子作りにはまっている。もともと酒飲みなので砂糖よりも塩が好きだし、お菓子のようにちょっと分量を間違えると命とりになる繊細なものは性格的に向かないようだったのであまり作らなかったのだけれど。でも、でもお菓子はお菓子でもやはりわたしは酒飲みなのでアルコールどっぷりお菓子が好き。日本で手に入れた「大人のデザート」というアルコールたっぷりお菓子レシピの本を見て今日はオレンジチーズケーキを作った。2晩コワントローに漬けたオレンジピールをたっぷり入れて、ほろ苦いカラメルクリームソースをかける。これがすごい。3口くらいで頭がポーっとしてくるほどアルコールが効いている。甘いものは朝と思っていたのだけれど、これはちょっと起きがけの食べ物ではない。昔ロッテのチョコパイを食べて酔ってしまった妹に食べさせたら倒れてしまうかもしれない。


2004年11月09日(火) ドラエモンとのびた君

今日は雨。体がだるいのでちょっとごろごろとしながら読書。ミケも外には行かず一緒になってごろごろ。

午後になって冷蔵庫に茹でた小豆が残っているのを見つけて、どら焼きを作った。どら焼きを食べてまたごろごろ。

ふと先日読んだよしもとばななの「デッドエンドの思い出」という短編集の一節を思い出した。いずれ母親の無理心中に巻き込まれて死に至る小さな男の子がお友達の女の子に「いつか結婚しよう。そうしたらドラエモンとのびた君のようにいつも一緒にいて本を読んだりおやつを食べたりできるんだ」とふすまの前でざぶとんに寝転がってマンガを読むのを理想の生活だというところ。今まさにわたしとミケはドラエモンとのびた君なのだった。


2004年11月08日(月) 他人事

先週の金曜日、寝ぼけ眼でネットサーフィンしていたら偶然ある女の人のBLOGを開いてしまった。そのBLOGはその日(金曜日)の日記のみしか書かれていないちょうど登録し終えて今書いたばかり、カウンターも本人とわたししか見ていないのではないかというまわり具合だった。内容は、出会い系サイトで知り合ってここ1週間気が狂ったようにメールを交換した人と実際会うことに関しての気の迷いや離婚によって芽生えてしまった男性恐怖心、あまりにもその相手に期待してしまっている自分への不安などが書き綴られていた。この時代によくある話ではあるけれどそのカウンターのまわり具合からなんだかわたしが彼女のたった一人の友達という気分になってしまい、そのまま閉じてはいけない気分になりブックマークして閉じた。以前会社でほんの少し一緒に働いたバツイチの女の人を思い出した。男はみんな敵という目つきや口ぶりをしていて男性にとても攻撃的だった。わたしは前旦那の愚痴を聞かされるたびにうんざりしていたものの子供を女手一つで育てていこうという彼女の強い決意の裏側がとても淋しいものに見えて悲しい気持ちになった。世の中には愛がたくさんあるけれど心を開かない人にそれは注がれようがない。そんなことを彼女に言ったら「そんなもん要らないわよ!」と言われそうだけれど、少なくとも何かを恨んで生きていくことは楽しいことではないのではないかと思う。間もなく彼女は敵である「男性」の決断により退社を迫られ、また一段と険しい目つきで男性陣を睨んで退社していったのだけれど。近頃頻繁にわたしの周りで囁かれる「結婚」という言葉と対になって今でも彼女のことを思い出すことがある。そうしていつのまにかまったく知らないその人と彼女が重なってしまい、やっと心を開いた彼女が再度失望しませんようにと小さく願った。

そして今日ブックマークしたところをあけてみたらガーーーーン。BLOGは消えていた。きっとそれが答えなのだ。こういうのってやっぱりうまくいかないことのほうが多いのかな。全く他人事なのに小さく失望した自分がいた。


2004年11月07日(日) Bowring for Columbine

じっくり煮たほこほこ小豆のお汁粉を飲みながらDVD鑑賞。今日はMichel MooreのBowring for Columbine。異常なまでのアメリカ銃犯罪の影に潜むライフル協会や政府の陰謀に迫るドキュメンタリー。

「銃所持率の高い隣国カナダでは何故米国ほどの銃犯罪が起きないのか」
「少年銃犯罪は暴力映画やゲーム、ロック歌手の影響なのか」
「なぜ米国では他国と比較して圧倒的に銃犯罪が多いのか」

などという謎を解くべくオクラホマ爆破事件の犯人のお兄さん、ライフル協会の会長(猿の惑星)、住宅セキュリティ会社、コロンバイン高校銃乱射事件の被害者の家族、マリリン・マンソンなどにマイケルムーアがインタビューを繰り返す。

結局はライフル協会や軍需産業の利益の為にメディアがあらゆることに対する国民の恐怖心を煽りそれが異常なまでの自己防衛心を掻き立てる原因となるというところに結びつくのだが、ここに辿り着くまでのマイケルムーアならではのユーモアあふれる切り口と突っ込みように笑いが止まらなかった。

ところでわたしはマリリン・マンソンといえば社会の暗闇を見つめて音楽をやっている人というくらいの認識しかなく、動く彼を初めて見たのだが知的な雰囲気と的を射た発言をリズミカルにぽんぽんっと吐き出す様はさすがミュージシャンという感じで思わずCooool!と叫んでしまった。


2004年11月06日(土) わいわいと中華ランチ

以前ほんの少し通った陶芸教室の人達と日本へ帰ってしまうコのお別れ会という趣旨の中華ランチへ出かけた。わたしが肉だけはNoということをふまえて先生が適当に注文してくれた。どの料理も野菜を中心にほんの少し魚介類が使われているくらいだったので食べることが出来た。どれもおいしい。

船乗りの荷物に入ってここから大阪まで行ってしまい大量発生してしてしまったレッドバックという毒蜘蛛や、タコの危険さや賢さ、WAで過去に起きた大きな地震、地球温暖化と世界の地形の変化、スワンリバーの源流や水質汚染などという話題を囲み次々と運ばれる料理をもりもり食べた。

陶芸教室の生徒の1人である日本人男性の奥さんは日本語ペラペラのオージーで日本文化についても日本人顔負け。会話の中でさりげなく旦那さんに対して「男を立てる」ことをやってのけた。それは単に彼女の本音と性格なのか、それとも意図的に関係がうまく行くように努力しているのか、わからないけれど、いずれにしてもとても賢い女性なのだった。

みんなの会話がぱらぱらとと散り始めてからわたしの隣に座っていた先生がリレーションシップについてあれこれとアドバイスをくれた。人が修正のきかない過去の一時を後から振り返ってちょっと後悔しているような様子はわたしをとても切ない気持ちにさせる。それはきっと先生が自分の失敗から得たことであり、きっと人には失敗して欲しくないことなのだろうと感じられて真剣に聞いて肝に銘じた。


2004年11月05日(金) 気まぐれガイジンに感謝

数日前からマーティンにLittle Birdyというフリーマントル発で最近世界で売れ始めているアーティストのライブを見に行かないかと誘われていた。彼女達の音楽は好きだけれど、小さなライブハウスで長時間行われるため飲みながら大音量に耐えるのはわたしにはきつかろうと迷っていた。ライブは今夜。昼間に彼が会社から確認の電話をしてきた。結局Yesと返事してしまった。が、電話を切ってから生理前の体のだるさに襲われ、急いで折り返し会社に電話をするもう遅かった。チケットを買いにでたらしい。数分後折り返し電話がきて具合が悪いと話してみると「え?具合悪いなら他に行く人探すからいいよ」とあっさり言われた。長時間なライブなだけにダディばかりの彼の友達に行けそうな人がいるのだろうかと思っていた。

夕方体が熱くなってきてボーっと小説を読んでいるとマーティンが帰ってきた。チケット購入後に行けないなどと言って他の人を探させて手間をとらせてただでさえ申し訳ないと思っていたのに、夕飯にとピザまで買ってきてくれた。案の定行けそうな人がいないのでわたしの分のチケットは捨てることになってしまうらしかった。しょんぼりとピザを齧って謝ったらケロッと"Doesn't matter"と言って車に飛び乗ってライブに出かけていってしまった。「ドタキャン」に嫌悪感があるのは日本人だけなのだろうか。いつもは彼の気まぐれに振り回されて怒るのはわたしだけれど今日ばかりはその気質に感謝。


2004年11月03日(水) ジンバブエから来た男

南アフリカとほぼ同緯度にあるパースではオクラが"OKURA"という名前で売られている。マーケットでカゴに詰めているとオージーに「どうやって調理するの?」と聞かれたりする。オクラの需要はここにいるアジア人やアフリカ人で成り立っているのだろうか?ともあれ、この時期を逃すとあまり売られなくなるので今が食べごろ。

わたしはオクラは刻んでご飯や蕎麦の上にのせてワサビ醤油を合えるとかそういった食べ方が一番好きだけれど、マーティンがいまいち好きな野菜ではないというのでトマトとピーナッツバターの味がきいたアフリカ風の煮込みにした。そして大根が冷蔵庫に余っていたのでこれは黒ゴマお焼きにして、コーンとポテトを蒸して添えた。彼はわたしの実家に来た時に父が黙って彼の秋刀魚に大根おろしを乗せ、自分が日本語が出来ないため抗議できなかったことをいまだに根に持っている。

ジンバブエから来たマーティンの同僚は都会暮らし(彼からしたらここは大都会)に飽きて、故郷に帰りたがっているという。故郷の暮らしとは政治的な対立によるテロなどが絶えないため銃を握り締めてジープに乗り、森を走り抜けるようなものだという。ここにいれば平和なのにそれでもやはり故郷は何にも換えがたい良さがあるのだろうか。

そんな話を聞きながら夕飯を食べ、「おいしかった?」と聞いてみたら「うん、ポテトとコーンがおいしかった」と言われてしまった。あぁせっかく工夫したのに、やっぱりオクラと大根は好まないらしい。


2004年11月02日(火) スターバックス Perth店

恐い恐い夢を見た。母のルックスをした人がわたしの妹で、わたしは妹とUgly Fat Americanの妹の旦那と3人で暮らしていた。ある日妹が旦那を迎えに行くと夜に家を出ていった。が何故か旦那は家にいてキッチンで料理をしていた。「妹を騙したのね」と言っても意に介す様子もなく黙々と料理していた。わたしはUglyな彼の横顔を見ながら疑念を抱き布団に入った。するとドシッドシッという音が聞こえてわたしの部屋のふすまが開けられた。旦那が部屋に入ってくる。もうおしまいだ。こんな巨体に逆らえるわけがない。そして彼がわたしの上に覆いかぶさってきたその瞬間キャーーーーッと叫び目を覚ました。夜中の4時。心臓がばくばくと音をたてていて大汗をかいていた。

朝起きてメールボックスを開けると東京でわたしのように「未婚主婦」のような生活を送っている友達からメールが入っていた。1人でスターバックスでお茶しながら暇なので携帯からメールしているらしかった。スターバックスが恋しくなり好物のシナモンロールを作ることにした。これはこれといった技もいらず簡単。今日は天気もいいので発酵するのも早い。洗濯や掃除をしているうちに焼き上がり。スターバックスのよりうんと甘さ控えめなシナモンロールをほうばりながら「猫式イタリア語講座」などという本を眺める。猫にイタリア語で話しかけてみようという、人に話しかけるにはちょっと恥ずかしいレベルのわたしにはピッタリの本。さぁミケ、練習だ!

夕飯はマーティンがチーズフライとボイルしたポテトを作った。とてもオイリーでヘビー。ワインがすすむ。昨日の悪夢について話すと「オイリーフードとかマッシュルームっていうのは本当は夜に食べるべきものじゃないって西洋の医者は言うんだよ。これらを食べると悪夢をみやすいんだ。」と言う。確か、昨夜は久々に手に入れた生しいたけを堪能したのだった。ということは今夜も悪夢?


Michelina |MAIL