あなたに綺麗な傷をあげる
生涯、忘れられないように


それは幸せなことなのだと。
2007年01月12日(金)


仕事場で華の話をした。
職場は二つに分かれている場所だから、あたしのいる店頭の人たち。
その人たちには、華のことを話してある。
いろいろと聞かれて、嘘をつくのにも疲れたから。
全員B型(あたしも含め)の職場。
自分は自分、他人は他人の精神。気が楽。





そのうちの一人に言われた。

「死にたいと思えるほどに愛せる相手が見つかるってことは、
 すごくすごく幸せなことなんだから」

あたしは天の邪鬼だけれど。
確かに頷いた。





あたしは幸せなんだ。
例え、どんな障害があったとしても。






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死んでもいいと思えたんだ。
2007年01月10日(水)


華がそう言った。
「あの時、もうこのまま死んでもいいと思ったんだ」





昨日の朝。
帰省するためのバスの時間に合わせて、華があたしの部屋から出かけていった。
一時間だけ、一緒にいた。
出際に、あたしはいつもみたいに駄々を捏ねて、寂しがって。



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そりゃ、雪道を行く長距離バスなんだから、何があるか分からない。
最近は、高速道路の事故も多いんだから。



あたしは、まっすぐに華を見上げたまま。
溢れる涙を止められなかった。

唐突に、このひとを失う恐怖を思った。

このひとと、二度と会えなくなる孤独を思った。






それなのに。
華ときたら、暢気なもので。
泣き顔を必死で笑顔に繕って見送ったあたしに、
その夜の電話で、こんなことを言った。



「本当はあたしは、死にたくなったら海外に出て。
 好きなトコで好きなコトして、それで死ぬのがいいと思ってた。
 最期は砂漠で、死ねればいいと思ってた。

 でも、さ。
 いちごの泣いてる姿を見たら、ああ、今死ねたらいいな、って思ったよ。
 バスの中で。

 今、死ねたら、いちごはあたしのことが一番好きなままで。
 そんないちごを想ったまま、死ねるんだから。
 そうなったら、最高に幸せだと思った。」




あたしは、もう、泣くのを抑えられなかった。
朝のやりとりのせいで、一日心臓を痛めていたのに。

華がいなくなった後、あたしはきっと生きていけると思うけど。
一生、あなたのことを引き摺るんだと、分かっていた。
もしも後を追ったとしても、あたたちは今、物理的に繋がっているものは何もないから。
死んでも、一緒になることはないし。
お墓だってね、別々なんだ。
そんなことを考えて、仕事中なのに、鼻の奥がツンとしてて。




馬鹿。
ばか華。
嫌いだと何度も繰り返して、あたしは泣いた。





お願いだから。
その時は、あたしを連れて行ってくれなきゃ、だめだよ。
一人でなんて、狡いと思う。

華の馬鹿。




雪の国へ。
2007年01月08日(月)


明日から、華が出かける。
単なる帰省なんだけれど。
あたしは実家にも帰らずに、一人、日常を過ごす。
たったの二泊三日。
でも、一年の内で、華の顔が見れない数少ない、一日。



たった数日なのに、この街に華がいないという事実。
それが、あたしの小さな胸を痛ませる。
胸の蝶は羽ばたくのを止めて、ひっそりとしている。

ねぇ、たったの数日なのに。
離れてしまうと言う事実だけで、こんなに苦しいのなら。
あたしたちは、離れて生きていけないんだね。

つがいの鳥のように。
互いの羽根がないとダメなんだね。
そんなことを、実感する。





恋人、と言っても、会わなくても平気なひとだっている。
まるで互いの行動を束縛し合っているような関係。
そんなの嫌だって言うひとも知っている。

あたしだって、嫌だったはず。

なのに、どうしてだろうね。
今は、あなたと離れている一分一秒ですら、寂しいと感じる。
依存かな。依存だよね。
本当は、ひととして良くないことなんだ。
でも、あたしたちには、これぐらいがちょうどいいんだ。

隙間風は、きっと関係を凍らせてしまうから。



際どいね。ギリギリで生きてるみたい。







全然関係ないんだけど、

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割れ鍋に綴じ蓋。
2007年01月06日(土)


華と電話をしていたら、無性にしたくなって。
ちょっとセクシャルな嗜好の話になった。





まあ、要するに、セックスに関する好みの問題だけれど。
好き嫌いはあると思うのね。

華はご奉仕したいタイプ。
上位に立つと言うよりは、尽くすことで満足を得るタイプ。
あたしに触られるのを嫌がることの方が多い。

あたしは悪戯が好きだし、何よりも共有したいと思うから。

でも、考えてみればあたしは、奉仕される方が好き。
めちゃくちゃに虐められるのが好き。
思うがままにされるのが、たまらなく好き。



割れ鍋に綴じ蓋だと、華が笑った。




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うわー、すごいこと言ったね、華。
でも否定はしないよ。
我ながら、そう思うもん。
あたしの色情狂振りは、自分でも驚く。
発情期の動物みたい。





ねぇ、明日は少しでも会えるのかな。
あなたが宥めてくれなくちゃ、あたしはダメなんだから。
そういう風に、あなたがしたんだから。




それでも、やっぱり…
2007年01月05日(金)


あなたが好きだと思う。
どうしても、どうしても。
代わりなんて、どうやっても、思い浮かばない。
一人で生きていくあたしなんて、考えたくない。
理想論だと笑ってもいいよ。

あたしには、あなたじゃないと、だめだ。





胸の奥が苦しくて、こんな夜は辛いけれど。
それでも、あたしはここにいるよ。
あなたに触れられる場所にいるよ。
何年経っても、待っているよ。





いつか、同じ屋根の下。
同じベッドで朝を迎えて、一日を過ごして。
同じベッドで眠って、また朝を迎えて。
単調な日々だけれど、あなたがそばにいてくれるなら。

あたしは飽きもせずに生きていける。

あなたが愛してくれるから。
あたしは大丈夫だ。





上手くいかないことはたくさんある。
擦れ違う部分も、たくさんある。

だから、話そう。あたしはそうしたい。





オンナ同士の恋の行方。
どうなることやら。
まだまだ書き綴っていこう。
いつか、華に、笑って見せよう。
その日のために。






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どうすりゃいいって言うの。
2007年01月03日(水)



華が、あたしのことを怖いって言う。

黙ってしまった後、何を言うか分からないから。

普段、おしゃべりなあたしが黙ってしまうと。

華は怯えた目をして、あたしを見る。





なら、あたしが何かを言う前に、先に華が話せばいい。

けれど、華はそれすらも怖いという。

自分が先に怒ってしまった時。

あたしはきっと、全てを投げ出してしまうから、と。

それは否定できない。





どうすればいいって言うの?




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それは、何の解決にもならない。

あたしは、華のそんなところが、とても嫌い。





どうすりゃいいって言うの。本当に。




もうダメかなと。
2007年01月02日(火)


思う時が増えた。
逢えば嬉しいのに、必ず、言葉に詰まる瞬間がある。
前はこんなじゃなかったのにね、と。
二人で口にした。



あたしが、元気をなくすと。
華がつられて、あたしよりも凹む。
そればかりを繰り返す。



気分屋なのがいけないんだと思うの。あたしが。



いっそ、離れるべきなのかもと思う。
進歩のない関係になるのなら。




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あたしがいなくなったなら、この人はどうなるんだろう。
こんな幼気な人を残して、あたしはどうすればいいんだろう。



年が明けて、春が来たら。
あたしは26歳になる。
約束の日まで、4年とちょっと。

あたしたちは、それまで、このままでいられるのかな。





あたしはただ、壊れないようにと怯えて。
音を立てずに呼吸を繰り返す。

あなたは悲しそうな顔で、
「愛してる」とうわごとのように繰り返していた。




謹賀新年。
2007年01月01日(月)

という感じは余りしないけど。

今年は一人、暗くした部屋のベッドの上で迎えた。
華とは五分前に携帯で繋がっていた。



あたしは、逐一時間を調べてカウントダウンする。
華は可笑しそうにそれを聞いてる。



「去年はそれどころじゃなかったもんな?」
華が笑いを堪えながら言った。
よく覚えてないんだけど。



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変なトコ記憶力あるんだもんなぁ。
あたしが忘れっぽいだけか。



明日は仕事が休み。
華とお正月をする。



今年は良い年になりますように。
神さまにもお願いに行こうか、華。
何にも叶えてくれない、って、二年かけて思い知ったけど。
お願いするだけなら、いいよね?



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