酒場と野球と男と女
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2010年04月10日(土) 木村拓也選手のことから、の巻。

 コーチとなって、初めての古巣広島戦。
東京で単身赴任の身として、家族の元で過ごせる短くも、
楽しみいっぱいの3日間となるはずだったろう。
 
 背番号0から、大きく増えた84。
「指導者の数字」をたった2ヶ月背負っただけで、
「世界一のノッカーになる」ためのノックバットを握ったまま、
その人は膝から崩れ落ちた。
 
 自軍、旧知の選手が呆然とする中、
日焼けした笑顔が誰よりも似合ったはずの人に、
土気色の嫌な相が張り付いている。
 
 5日間、見守る者に、
「野球の楽しさ」「懸命にプレーすることの大切さ」
「人の礎となる生き方の尊さ」…。
そして、「人の世の無常、やるせなさ」を知らしめ、逝った。合掌。

 モグは、その人と一面識もない。
メディアを通じて知っているだけだ。
ただ、170cmほどの(公称174cm)背丈を
目一杯使っての活躍振りに、
「何で、放出(トレード)したんだ」
と広島ファンのモグは、いつも憤慨していたものだ。

 「散る桜、残る桜も、散る桜」
どこで、何があるかなんて、分かるわけない。
分かってることは、どうあれ「散ること」。
 
 なら、なおさら笑っていたいよなぁ。
でもたまに怒りたいよなぁ。時には、さめざめ泣きたい。

  素敵な妻としっかりと育つ3人の子供。
  郷里で元気に暮らす2組の両親。
  仕事で支えてくれる方たち。
  野球ソフトボールを通じてつながった気の置けない仲間。
  同じマンションに住み、おすそ分けをしあうご近所さん。
  学生時代から続く奴たち…。

 貯金などない。今、倒れたら病院に行くのもままならない。
けど、何とかなるさ。何とかするさ。
まず、倒れなけりゃいいのさ。絶対倒れん。

 

 お楽しみは、これからだ。

 









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