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ひみつにっき
渡海奈穂
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2006年05月16日(火)
 『まだ俺があなたのことをよく知らなかった頃』 間隔の鼓動


「(受話器に向かって)今から昼ケンタで買いますけど、何がいいですか」
『えっと、そうだな。特盛りフィッシュセットってある?』
「(店頭でメニューを確かめつつ)ああ、あります。ポテトとチキンとフィッシュのセットですよね。今普通のチキンと辛いチキン選べるみたいですけど」
『普通のチキンでいいや、みっつ』
「これ、チキンはふたつにフィッシュがひとつって決まってるみたいですけど」
『あ、うん、だから、そのセットをみっつ。あとチキンフィレサンドセットも食べようかな』
「……フィッシュセットみっつにフィレサンドセット?」
『フィレサンドセットはひとつでいいや。それから、うーんと、ビスケットと、コーンサラダと、あ、もしあったらアップルパイ』
「……」
『俺も何か買ってから行くけど、北園何かいる?』
「まだ、食べるんですか?」
『おにぎりか何か買ってくよ、あと飲み物』
「いや……俺はケンタの分で……」
『そっか、じゃ、適当におやつ買ってくな』
「……そのうち食費で破産するんじゃないのか、萱野家……(電話切る)」