37.2℃の微熱
北端あおい



 『モスラ』を観ました

『モスラ』を観ました。

モスラはいいなぁ。
キングコングみたいに殺されたりしないから。
どんなに人間がやっつけようとがんばってもがんばっても死んだりしないんだよー。無敵で最強。

かみさまだったら、こんなふうに死なないかみさまがいい。
人間なんて、たちうちできないくらいつよいかみさまがいい。
文明なんて、けちょんけちょんにしてしまうくらいのかみさまがいい。

モスラには、人間のことばなんてつうじないの、それくらいてのとどかない存在のかみさまがいい。
人間があがいてもあがいても、関知しえないくらいの絶対不可侵の存在がいい。
かみさまだったら……そんなのがいい。

わたしがいきるこの世界には、もうたぶんかみさまはいない。
少なくともわたしが感知できうる世界に、それはほとんど顕れてはこない。
ときどきほんのかすかに痕跡がみつかるだけ。
「たぶん」「おそらく」「きっと」「かもしれない」。

それでもそういった言葉の周辺にわずかに残っているものをかきあつめて、
あったはずの、あるはずのものの原像を結びたい。


2006年02月23日(木)



 「心中する心中」

「お気に入りの歌もみつかったし、一番好きな本もある。とっておきの風景もいえるし、毎日着ても飽きないワンピースだって買った。これから先、それ以上のものがみつかるかもしれないけれど、限定された生活も素晴らしいわ。私の生活は行く先々で色を選択していく塗絵タイプではなくて、あらかじめ決められたピースをみつける為に進んでいくパズルに似ているの」
(獄本野ばら「心中する心中」『それいぬ』国書刊行会、1998)

この土日、お部屋のお片づけをして、道に落っことしてしまったと思ってあきらめていたお気に入りの時計もみつかったし、ずっとさがしていたCDも今日買ってしまった。
もちろん一等好きな本は本棚にあるし、『モスラ』だって観た。
愛する京都にも行ったし、バレンタインには美味しいチョコレートだって戴いた。

パズルのピースの数は最初から決まっている。
あとは足りないピースを探しだせばいいだけ。
あといくつ?
あといくつ?

(BGM=「WARSZAWA」『LOW』DAVID BOWIE, 1977)


2006年02月21日(火)



 誰かが

誰かがいなくなってもその人の写真は残る(あるいは言葉、ひいては記録され、記憶されているあらゆる事象)。
そして、その人物がかつていた場所で、またなにもかかわりのないところで、
まったく別の、新たな物語がその写真をめぐって生成されていくだろう。
たとえ、生前を知っていたとしても、そこから産み落とされるのはまったく別のものなのだ。
いなくなってしまった人の声はもうこちらには決してとどかないのだから。

当事者のいないたくさんの物語が辿り着くのは何処なのだろうか。
所有し、断裁する人がいない物語はいつ終りをみつけられるのだろうか。

考えてみれば、そんなことすら不思議で畏しい。

2006年02月19日(日)



    被写体




写真を撮ってもらった。
自分にとって、被写体になる歓びというのは、「完全な客体」や「オブジェ(鑑賞物)」になることができるという歓びだ(それは、撮ってもらったものを見せてもらう喜びとはまたべつのものなのです)。

撮られる人に一瞬、完全に支配され、所有される歓び。
ファインダーを覗いた人と覗かれた人から、一分の隙もない完全な世界が生成される(でも、その世界が存在するのは、はじまりとおわりが同時に起こるくらいのほんの少しの時間だけだけれど、それでもそこに至ることができた瞬間はとても幸せ)。

シャッターが降りる一瞬だけ、ひそかにその無疵で完璧な世界を噛み締めた。

御写真=ルイス・キャロルの少女写真。steward様のNYからのポストカードより。

2006年02月10日(金)



 京都取材




京都取材敢行中。
冬将軍とあいまみえたため、懐炉5個使用中。
お仕事でも京都は楽しいな。

御写真=夜の先斗町

2006年02月09日(木)



 




台湾のお土産の美味しいお茶。
お湯をそそぐと、花が咲いてゆらゆら花びらが散っていくのが、素敵。
芳香もすばらしくて、おもわずほうっとなりました。
一枚一枚散っていく花びらに、儚げ、という言葉も一緒に思い出す。

大学生だったときも、アジア旅行に行ったひとがお茶を買ってきてくれて、
酔ったようになって、笑われたことがあるのだけれど、本当に美味しいお茶は
美酒に匹敵する(持論…少なくともこの味覚はそうなの)!!




2006年02月06日(月)



 久しぶりにですぺらへ(感謝とお礼)




久しぶりにですぺらへ行ってまいりました。
一考さんと須永先生のお誕生会に参加。

12月1月と鬱鬱としていたのはともかく、身体的にかなり健康状態が悪かったのですが ようやく復帰!!久しぶりにですぺら常連様たちとお会いできて、とても楽しかったのでした。

steward様からお借りしましたDVDは、素天堂様とpuhipuhi様も絶賛のラインナップで、拝見するのがとても楽しみ!!これで、いくら風邪で寝込んでも大丈夫…

待望のオカルト写真集も拝見させていただいて、そのうえ、ポストカード(コミカルな禍々しさがとっても素敵です)までいただいて大満足の北端なのでした。

璃碕様からも『PEGANA LOST』をいただいてしまって、大感謝です。いただいたの、これから読みますね(いつもありがとうございます!)。

T様にもU様にも久しぶりにお会いできて、幸せでした。

それから飲んでも飲んでも冷たい手を温めてくださった皆様、どうもありがとうございます。 お写真撮っていただいたsteward様とそえ様にも感謝です。

昂奮しすぎたせいか、最後は少々オーバーヒート気味で帰宅。

時間は、はやめだったけれど、明日は校了地獄だし、 帰宅して、火傷しそうなくらい熱いシャワーを20分以上浴びて、ナイトキャップにお気に入りの中国茶をいただきながら、ようやく落ち着いたところです。

今週は初の日帰り京都出張(ハードスケジュールながらちょっと楽しみ)もあるので、いまは絶対に潰れるわけにはいかないの。

なので、心して構えています、いい意味でスリリングな気持ちを味わいながら(あ、日付が変わった)。

いずれにしろ、お相手してくださった皆様、どうもありがとうございました!
またお会いできるの楽しみにしております。

※お写真=stewardさまのお土産・ゴーストのポストカード



2006年02月05日(日)



 夜の散歩

おだやかでない心を引き連れて、夜の散歩。

2006年02月02日(木)



 2月

2月になりました。
もう少し元気になろうと思います。
もう少しだけ、いろいろとやりたいことは残っているのです。

・ある女性詩人を想う。
彼女がこの世を去った年齢を考えるともう少しだけ、時間があるような気がします。

・ぼんやりとテレビをつけていたら、やっていたエヴァの再放送・第五話。
たったひとつ守りたいものを持ちえて、それを守るために生きた少女の物語。
守りたいものを守りえることができたら奇跡、でもそれ以上に守りたいものに出会うことは難しい。でも、守りたいものを持ち得た人間だけが奇跡を起こしうるのだ、きっと。

・ほんの数年前。
そのころのわたしなら、まだユニコーンを呼べるはずだった。
男性と交渉をいまだ持たない処女だから、というのではなくて、
まだ何ものにも心を奪われてはいなかったから。
碇ゲンドウの眼鏡は、とてもとても大事なものだけれど、それに心を奪われるのは絶対に駄目。奇跡を起こしうる、確立がゼロになってしまわないように。



2006年02月01日(水)
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