37.2℃の微熱
北端あおい



 ある土曜日



大学時代の友人の結婚パーティ。
外苑前のシチリア料理店までお出かけしました。
懐かしい人たちと再会したあと、下北沢に寄り道。
なんとなくひとりになりたくて。

昨日、夜のお散歩をしていたときに教えてもらった古本屋で、
買おうか如何しようか迷っていたヴィヴィアン・リーの本を買い、読書にうってつけの喫茶店「いーはとーぼ」でぼんやりと読み終えます。

やっぱりヴィヴィアン・リー大好き。
『風とともに去りぬ』より『欲望という名の電車』。

テネシー・ウィリアムズはブランチについてこういっている。
「彼女は悪魔のような生きもので、感情があまりにも大きすぎるため、からだのなかにおさまりきれず、それが狂気のかたちになって噴出してゆくのである」
(アン・エドワーズ/清水俊二訳『ヴィヴィアン・リー』文春文庫、1985)

狂気、狂気、狂気。
これ以上狂わないよう毎日唱えてみる。
だからまだまだ余裕。

2005年10月29日(土)



 洋食屋さん

下北沢に詳しい人と、夜の下北散歩。
ノスタルジックな昭和の香りのする、素敵な洋食屋すこっとで
美味しいハンバーグとクリームチキンコロッケをいただきました。
いつお店がなくなってしまうかわからないくらい、鄙びた処だというので、
どきどきしていましたが、まだあるうちに行くことができて幸せ。
きっと伝説になります、だからいまのうち、いまのうちと、言いながら
畳の上で、正座していただいた洋食は、由緒正しく正統なお味でした。
お店によく森茉莉や金井美恵子が来ていたって聞いて、それだけでも嬉しくってはしゃいでしまいます。まだ少女魂は死んでいないみたいだわ。
ほかにお客さんもいなかったので、貸し切り状態でこっそり贅沢気分!!(行きたい方、場所案内いたします)。
古本屋を覗いたり、喫茶店を覗いたりもしたので、すっかり満足しておうちへ帰ります。




2005年10月28日(金)



 『エミリー・L』

あなたはわたしといっしょに笑う。わたしは言う。
「わたしがこわいのは、あなたなのよ」
あなたはその言葉にほとんど驚きもせず、冗談に仕立ててしまう。
「ぼくの何がこわいのさ」
「あなた全部よ」
わたしはなおも恐怖についてあなたに語る。
あなたに説明しようとつとめる。それがうまくゆかない。
わたしは言う。「わたしの心のなかで起こることよ。わたしから分泌されて。天与のものでありながら同時に細胞の活動にもかかわる、逆説的な生命力をもって生きているものよ。そこが大事な点よ。自分はこうなのだと述べる言葉をもっていない。せいぜい言えることは、それがむき出しの、口のきけない、わたしからわたしにむけられる残酷性で、わたしの頭のなか、わたしの心の監獄に住んでいるものだということね。厳重な防護壁に守られている。ところどころに理性、真実性、光にむけての明かりとりがついているのだけど」
あなたはわたしを見つめ、そのままほうっておく。もっと遠くのほうを眺めている。
あなたは言う。
「それは恐怖だ。いま言ったことはまさに恐怖だ。そうさ、それ以外の定義はない」
(マルグリット・デユラス/ 田中倫郎訳『エミリー・L』河出書房新社、1988)

2005年10月26日(水)



 脱出

久々に東京脱出。
ちょっと大都市を離れて参ります。


2005年10月22日(土)



 体力

仕事で知ることとなった写真家さんのおうちにて、歓待を受けました。
お酒とお食事の美味しかったこと、おなかが一杯で苦しいです。

体重がなかなか増えずにむやみに、周囲の恐怖を煽ってしまう最近ですが、
けっこう体力も温存している…はず、なのに、お酒を呑んでいたら、寒くなってしまい、ハロゲンヒーターだの暖かいフリースの上衣だのと、いたれりつくせりしていただいて、とっても恐縮。

でも、お酒の量は昔(体重減前)と変わらない。
酩酊度も変わらない。

なのに、お酒が脱けるときに寒くなってしまうのは、
エスカレートしたかもしれない、と気づく。
冷え症は進行中!?




2005年10月21日(金)



  0

充たされれば充たされるほど、潤されれば潤されるほど、
渇き、餓えして、あなたのかたちに広がっていくわたしの空虚を填めてください。


2005年10月11日(火)



 

嘘が一番嫌い。

どうせなら、それとすらわからないくらいの
おおきな虚無をください。

2005年10月06日(木)



 ステーシー

大槻ケンジ『ステーシー』(角川ホラー文庫、2000)をとうとう読了。
この物語を手渡してくれた方に、心から感謝(漫画も読んだし、残るは映画版!)。
ちょっと危うい物語かな、と思ったのだけれど、意外と大丈夫みたい。
なぜか昨日よりにこにこしています。

好きだろうな、好きだろうなと思っていても、そういうものに手をだすのを
躊躇してしまったり、あえてはずしたりと距離を保とうとしてきたのだけれど(ますます暴走してしまうんじゃないかと惧れていたから、なのです)。
でも、あまりブレーキをかけるのは、もうやめてしまおうかな。

でも、最近ってこういう物語を読んで、安定しているなんて、そっちのほうがおかしい、というような状態なのです(困りもの。改善キャンペーン実施中)。

これって、・・もしかして「ニアデスハピネス」状態?
じゃあ、やっぱり「再殺」の権利を渡す人をさがさなくては!

★ステーシー化
14歳から17歳の少女が突如原因不明の死を迎え、人間を襲う「ステーシー」となって黄泉返る現象。ステーシーを再殺するには、165分割の肉片にしなければならない。

★「ニアデスハピネス」
「臨死遊戯状様」の笑顔。
ステーシー化する直前の少女たちが、うかべる典型的な多幸感に包まれた笑顔のこと。

2005年10月04日(火)



 試行錯誤

もう少し読みやすいデザインを探していたら、日記に
書き込めなくなってしまったり、
書いたものが消えちゃったりして(涙)・・・
ちょっと落ち込み気味です。もうしばらく試行錯誤が続きそうです。

2005年10月03日(月)



 37.2℃

電子体温計のメモリは、37.2℃。
低体温の人にとっては、微熱じゃない温度。

ひさびさに心地よくうとうとと、できたのは熱のせい!?
しょっちゅう発熱しているのに、今回にかぎって、
悪夢を見てしまいます。

こわくて夢のなかで叫ぼうとしたのに
こわすぎて叫べません。
だから、自分の叫び声で覚醒ることもできないまま、
ここが夢か現実か、区別がつかなくなります。

恐怖につかまえられた感覚が、まだ消えてくれないのです。
ここが夢なのかそうでないのか教えてください、だれか。


※調べてみたら、人間の平均体温は36.5℃、38℃以上が発熱、37℃以上になると微熱、というのが「一般論」。

2005年10月02日(日)



 さかしま

週末は大片づけ。
お引越して、二か月弱。
まだまだ、落ち着きません。
土日は、片づけと必需品のお買い物で天手古舞です。

励みは、ユイスマンス『さかしま』。
これを読みながら、妥協を赦さず理想のお部屋を目ざしたいところ。

でも、モローもルドンももちろん買えはしないのでした。
(P.ブルデュー『ディスタンクシオン』を読んでからは映画のポスターをはるのも躊躇う。だって、そういう行為が「キッチュ」だって言うんだもん。それに、いまだ反論できないので「キッチュ」があまり好きじゃない北端は足踏みしてしまうのでした。その分析に納得もしてしまった・・・ので。
でも、今年のカレンダーはKlimt。三月四月が大好きな“The Kiss”だったから、そこからぜんぜん捲っていないKlimt)

でも、お部屋にひとつ何でもいいから、
選んでいいと言われたら・・・
西班牙はエル・エスコリアル城にあるあの名画を選びます(如実に今の精神状態を反映している選択なので、タイトルは伏せさせてくださいまし【懇願】)。



ところで、ルドンといえば、このあいだ見たビデオ『レッド・ドラゴン』、レクター博士の監獄にルドンのヨハネの首の絵があったと思うのですけれど、気づいた方いらっしゃいます(それとも勘違い)!?

2005年10月01日(土)
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