|
|
■■■
■■
■ Topaz
村上龍「トパーズ」の主人公であるSM嬢は、この指はトパーズが似合う、 という店員の一言で指輪を衝動買いするが、その後、仕事でプレイをしたヤマギシという男の部屋に指輪を置いてきたことに愕然とする。 仕事とはいえ、彼のSMプレイには耐え難いところがあって、もう二度と会いたくなかったのだ。 だが、彼女は勇気を奮い起こしてドアを叩き、トパーズの指輪を取り戻す。
でも、わたしは、「あたし」がトパーズを指に嵌めて、うっとりしていたようにではなく、むしろ何も嵌めないままでいつも裸にしておきたい。 たとえ、嵌めたとしても次の瞬間にはそれをはずして、遠くに投げているようでありたい。
ある説によると、トパーズの語源はギリシャ語の「捜し求める(Tapazos)」に由来するそう。また、プリニウスは、紅海上にあるゼベルゲート(セント・ジョン島)という島をトパゾス、トパシオンと呼んでいた。 その島が、霧に覆われるため探すのに苦労する「幻の島」と呼ばれていたからだとか。
嵌めたとたん、完全に充足できてしまうものに今巡り会っているとしたら、 それはおそらく幻だと思う。わたしが探し求めているものは、手元にあったり、置いておいたりできるものではないのだから。 騙されるのはもうちょっと先でいいのだ。
2004年09月08日(水)
|
|
|