月に舞う桜
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あー、9月22日だなあ、と思ったので、何となく書いてみる。
1997年9月22日、高校が文化祭の振り替えで午前のみだった。朝、唐突な知らせにショックを受けたまま登校した。たしか授業はなくて、文化祭の後片付けのための登校だった。 帰宅してテレビを点けたけれど、この日、午後のワイドショーのトップニュースは政治家が不祥事を詫びる(&辞職?)記者会見だった。 記者会見は記者会見でも、私が見たいのは別のなんだよ、何でこんなときに不祥事なんか! と、私は一般国民とはちょっと違う角度から腹を立てていた。でもまあ、世間一般にとっては、いちロックバンドの解散なんかより政治家の不祥事の方が大ごとなのだ、ということは理解していた。 あの4人での重苦しい記者会見を見たのはその日のうちだったか、それとも翌朝だったかは、忘れた。とにかく、黒いスーツで、4人が並んでいた。
と書いているいま、私の頭に浮かんでいるこの映像はあのときの記者会見だろうか。それとも、hideが亡くなったときの記者会見だろうか……。 いや、いま浮かんでいる映像には黒いスーツに不釣り合いなピンクの髪がいるから、これは解散のときのだな。
あれからちょうど20年。 私たちは誰も、未来を知らない。あのとき、20年後の今をいったい誰が想像しただろうか。 hideは、まさか7ヶ月と10日後に自分が急死するなんて思いもしなかっただろうし、あの記者会見に呼ばれていなかったTOSHIは、まさか20年後にX JAPANのヴォーカリストをやっているなんて夢にも思わなかったはずだ。 時の流れは慈悲深く、そして残酷だ。誰がいてもいなくても、誰が生きても生きていなくても、時は流れる。 変わっていくものと、変わらないものと、もう取り戻せないものと。
もしも未来を知っていたら、私は忠告しただろう。 hideには「酔ってるときは首の牽引しちゃだめ」と。 TOSHIには、「XやYOSHIKIのもとを離れるにしても、ついて行くべきはその人じゃないよ」と。 YOSHIKIには「一度いろいろなことを、物事のやり方を見直したほうがいいよ」と。 でも、彼らはそんな忠告なんてちっとも聞いてくれないのかもしれない。そして、やはり事態は避けられないことになる。 タイムマシンで過去に戻って未来を変えられたらいいのにと思ったこともあったけれど、いまは、たとえタイムマシンがあったとしても何も変えられなかったのかもしれないという気がしている。運命、というのとも少し違って、そのときのいろいろなエネルギーの働き方には結局のところ手を出すすべがないような、そんな感じ。
あれから20年が経って、高校生だった私は37歳になり、のらりくらりと生きながら、10月にToshlの新曲がリリースされるという情報を見て喜んでいる。 いまのこの、あらゆる状況は奇跡と言えばそうなのかもしれないし、奇跡なんかではなくて人の力なのかもしれないし、ただ時の流れのままに来た結果であるのかもしれない。
すべては流れていく。それは悲しいことでも喜ばしいことでもなく、ただ、流れていくという現象があるだけだ。 きっと、秋だから、そんなことを思うんだろう。
2017年09月21日(木) |
SWEET 19 BLUES |
私はいわゆる「アムラー世代」だ。
高校の修学旅行で一番の思い出と言えば、小樽のお寿司やオルゴール館でもなく、函館の夜景や教会でもなく、ホテルの部屋のテレビで結婚会見をみんなで観たこと。 昨日の夜、テレビのニュース速報で引退表明を知ったときの衝撃と言ったら、そりゃあ凄まじいものがあった。
彼女がテレビに出なくなってからも、ライブを精力的に続けているという情報をネットでよく目にした。 ダンスのキレや歌唱力やスタイルやライブに向けるエネルギーをこれだけ長いこと維持するのは、並大抵のことじゃない。 何かを続けることも道を退くことも、決断には強い意志が必要だ。 ストイックで、強くて美しい人なのだなあと思う。
時間がある朝はたいてい「羽鳥慎一のモーニングショー」を30分ぐらい観るのだけれど、今日は彼女の引退ニュースの衝撃をテレビの向こうの人と分かち合いたくて、「スッキリ!」を観た(番組冒頭からこの話題を取り上げていたので)。 ハリセンボンの近藤春菜さんが想いを熱く語っていて、この人は私がToshlを好きなのと同じぐらいに彼女のことが好きなんだろうなあと感じた。それほどまでに人を魅了できるのは、とても素敵なことだ。
その歌い踊る姿が見られなくなってしまう前に一度はライブに行ってみたいと思ったけれど、これから一年の間に行われるライブはファンの人たちにとってとても貴重なはずで、一回でも多く行きたいものだろうから、ファンでもない私がいまさら割り込むのは失礼で迷惑な話だろう。 最後のライブをWOWOWが放送してくれることを期待する。
その先にどんな生き方を選ぶとしても、彼女の進む道が美しく輝いたものとなりますように。
私は「SWEET 19 BLUES」が好きです。
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