月に舞う桜

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2010年08月17日(火) 真夏の夜<2>

(つづき)


Born To Be Freeが終わり、YOSHIKIは一度ドラムを激しく叩いて存在感を見せつけてから、退場した。

ToshI「オン・ギター、PATA!」

ToshIはなぜかPATAだけを紹介したけれど、ステージにはPATA、HEATH、SUGIZOが残った。
昨日はギタリスト2人のバトルだったけど、今日はHEATHも加え3人でのギター&ベースバトル。
PATA、SUGIZO、HEATHの順で、交互に思い思いにフレーズを奏でる。自分のプレイが終わって次の人を指差すときの仕草が、3人とも妙に決まっている。
PATAは相変わらず渋い。SUGIZOの音はめっちゃセクシーでエクスタシーを感じる。衣装もシースルーでセクシーだし。
そして、HEATHはとにかくカッコいい。あぁ、惚れる。私に二の腕を見せるなんて、反則だわ。
ToshIくんのことは愛してるけど、HEATHは「キャー、カッコいい!」ってミーハー的感覚で、アイシテル。
PATAが下手花道、SUGIZOが上手花道にいたので、HEATHはステージのど真ん中だった。HEATHがセンターにいるって、新鮮な眺めだ。
ソロプレイを3周くらいしたところで、PATAとSUGIZOがLove Replicaを弾いた。1日目よりテンポが速かった。
最後は3人がセンターに集まって、締め。

またステージが暗転してしばらく待っていると、アリーナ席後方のサブステージ(1日目にToshIとYOSHIKIがForever Loveをやった場所)がせり上がってきた。
現れたのは、YOSHIKIとピアノ……ではなく、なんとドラム!
今回のライブではドラムソロはないだろうと勝手に思い込んでいたから、かなり驚いた。と同時に、ドラムソロなんてやって大丈夫なの!? と、YOSHIKIの体が心配になる。
YOSHIKIは神のごとく椅子の上に立ち、ゆっくり会場を見渡した。
そして、渾身のドラムプレイ。
だんだんトランス状態に入りながら、ときおり傍らのキーボードでForever Loveを弾いた。切ないバラードであるはずのForever Loveが、小刻みなバスドラと一緒だと狂気のメロディに聴こえる。
後半、途切れそうになる意識を繋ぎ止めようとするかのように、YOSHIKIは「ウァーーーー!!!」と雄たけびを上げた。マイクを通さない、生の叫びが私の席まで届いた。あれは、「人間」という枠を超えた、一個の生命体の魂が発した叫びだった。
「もういいよ。そこら辺でやめときなよ。本当に体、壊れちゃうよ?」と思いながら、YOSHIKIを見つめた。
何度か、YOSHIKIがドラムスティックを振り下ろすと同時に北側スタンドで火花が上がり、息の詰まるドラムソロが終了した。
あとでネットニュースで確認したら、12分のソロだったらしい。

(ところで、前日も不思議に思ったけど、YOSHIKI(1日目はToshIも)はメインステージからサブステージまではどうやって移動したんだ? 暗闇にまぎれて、普通にアリーナを歩いて行ったの? 待ち時間にあの付近でざわめきや歓声が起きている様子はなかったけど)

崩れるようにドラムセットから離れ、よろよろとサブステージを下りるYOSHIKI。でも、その表情にはやりきった充足感が溢れていた。
そして赤いシャツをはおり、サブステージのすぐ下に置かれたピアノで、笑顔をたたえながらI.V.を弾く。

ToshI「お前たちの声聴かせてくれー!」

メインステージから、ToshIの声が聴こえた。
しばらく、いつものサビの合唱を繰り返していると、YOSHIKIがピアノをやめてアリーナの通路を歩き出した。ときどき、両腕でXを作りながら。
それから花道に上がり、ステージまで駆けて行って、ToshIのマイクをもらう。

YOSHIKI「We are!」

YOSHIKIは何度も「We are!」と呼びかけ、合間に「聞こえねーよ! 聞こえねーって言ってんだろ!!」と叫んで、私たちにより大きなXコールを求めた。
花道にあおむけになって「We are!」と叫ぶYOSHIKIは、ほんの子供みたいに見えた。
いつも感じることだけど、例えば記者会見なんかのときのYOSHIKIは立派な大人のプロデューサー(アーティストというよりは、プロデューサー)の顔をしているけれど、ライブになると、その表情が少年に見えるのだ。
自分の進みたい道をただひたすら突き進んで、体が壊れるのも厭わず、目の前のドラムやピアノに全身全霊を傾ける。それでも自分のエネルギーが放出しきれなければ、寝転がって叫び続ける。そんなの、普通は子供にしかできないことだ。
だけど、Xの中で一番大人なのは、実はYOSHIKIだとも思う。一人でいろいろなものを背負っているのも、背負うことができるのも、YOSHIKIだ。
一般的に、男の人はいくつになっても少年の心を残していると言われる。でも、私がYOSHIKIに対して感じるのは、それとは少し意味合いが違うんだ。大人と子供がうまく同居している、のではなくて、大人と子供がせめぎ合いながら、一歩間違えばどちらか一方が他方を侵食してしまうようなギリギリのところでバランスを保っている、そんな危うさを感じてしまう。

「We are!」に満足したYOSHIKIは、「HEATHが歌ってないぜー」「SUGIZOが歌ってないぜー」と言い始めた。
で、マイクを取られたToshIくんはその間に何をしているかと言うと、ドラムでリズムを取っているのだ! おお、ヴォーカリストとドラマー、交代か!?
最初はシンバルをシャラシャラ言わせるだけだったけれど、SUGIZOがサビを口ずさむのに合わせて、ドラムを叩きだした。
YOSHIKIがピアノで参加すると、ToshIくん、なぜかドラムを叩くテンポをどんどん速める。ドラムに合わせてピアノを速くするYOSHIKI。それに懸命について行くHEATHとSUGIZO。PATAは……何やってたっけ?
で、倍速くらいになったところで、満足げにドラムとシンバルをカッコよく叩ききって終えたToshIくん。そして、YOSHIKIのまねをして椅子に立ち上がった。
が、YOSHIKIが椅子に立つと神々しく見えるけど、ToshIくんが立つとかわいいんだよね! だって、足元がふらついてるんだもの!
その様子を見て、YOSHIKIは苦笑。

YOSHIKI「相変わらずよく分かんないけど……We are!」

えぇ、相変わらず、わけ分かりませんな。でも、いいの。だってWe are X だからね。

マイクをToshIに返して、再びサビの合唱。
そして、本格的にI.V.
2日目の中盤を越えたけど、ToshIの声はまだまだ衰えない。

I.V.で本編は終わり、アンコールへ。今日は本編が長かったな。
このとき7時半か8時前だったと思うけど、暑さは少しもおさまっていなかった。
アンコール待ちのとき、ポカリで水分補給しようとペットボトルを出したら、蓋を開けてまさにこれから喉を潤そうってときに私の何列か前の女の人が「We are!」と叫び始めた。だから、ペットボトルを持ち上げた手を止めて、呼びかけに応える。
その女性が「We are!」をやめても、そこらじゅうで「We are!」が始まるから休めない。メンバーが休憩していても、客席の私たちは忙しいのです。こんなふうに一体感を味わえるって、Xのライブ以外にないよ。なんて楽しいんだ!

さて、アンコール。
まず、着物をシャツのように羽織ったYOSHIKIが下手から走り出てきた。着物の帯代わりにしたいのか、ベルトのようなものを首から下げている。そして、そのベルトに無理やり腕を入れて銅まで下ろしたいようなのだけど……いや、あんた、そりゃあいくらなんでも通らないって!
どう頑張ってもベルトが下りないことが分かり、諦めてベルトをポイするYOSHIKI。着物の前をはだけたまま、ピアノの前に座る。

ToshI「呉服屋の息子だぜー」

ToshIくん、それは紹介じゃなくて、からかいですか?

YOSHIKIが、DAHLIAのフレーズを弾いた。
そして、そのままの流れで、UNFINISHEDへ。
UNFINISHEDは、ずっとずっと聴きたくて、でも生で聴くことはないかもしれないと思っていた曲の一つ。
ピアノだけでもかなり嬉しいのに、なんとToshIがYOSHIKIの気まぐれに乗っかって歌い始めた。これには会場からどよめきと歓声が上がった。
美しくなめらかなYOSHIKIのピアノと、高音で切なく歌い上げるToshIの声。なんて贅沢な瞬間なんだろう。CDで聴くより1000倍良い!
2日間のライブで、このUNFINISHEDが一番感激した。あれは正式なセットリストには入っていなかったはず。YOSHIKIとToshIの即興的な感じが、余計に嬉しい。

二人は1番の途中でやめて、ToshIが「オンベース、TAIJI!」と紹介した。
ああーん。せっかくだからUNFINISHEDをフルでやってくれれば良いのにぃ。
TAIJIが登場し、続いてToshIがHEATHを筆頭にメンバー紹介した。

ToshI「オンギターPATA! SUGIZO! YOSHIKI! ToshI! そして、HIDE!」

この日は、HIDEを最後に紹介した。1日目と同じように、天を指しながら。

XJAPAN with TAIJIで「X」。
ToshIは「7人のXでいくぜー」と言ったけど、「TAIJIはXじゃないよ」って私の想いは消えていなかった。
でも、曲の途中で、私は自然にTAIJIの名前を叫んでいた。
ステージ上のベーシスト二人。私には、明らかにHEATHの方が輝いて見えた。それをはっきり感じたから、心に余裕ができたのかな、中学2年の「紅」を聴いたときの衝撃を思い出した。あのとき私が聴いていたのは、HEATHじゃなくてTAIJIのベース音だった。だから、TAIJIはまぎれもなく、私をXに引きずり込んだうちの一人だ。
いま、私がTAIJIの名前を叫ぶのは、過去への感謝の気持ちからだと思う。あのとき私を虜にし、こんなに素晴らしい人生に導いてくれて、本当にありがとう。

ステージの中央でHEATHとTAIJIが向き合ってベースをかき鳴らしていた。初期のXを形作ってきたベーシストと、いま世界に羽ばたこうとしているXJAPANのベーシスト。
二人のすぐ後ろで、ToshIが歌っている。

今日もHIDEの「飛べ飛べ」はあった。でも、前日はHIDEが何人もスクリーンに映し出されたのに、今日は一人だけだった。私、「白い夜」のHIDEが好きなんだけどな。

「X」が終わると、一度メンバーが退場して暗転。
再び照明がつくと、YOSHIKIがToshIをおぶって出てきた。
YOSHIKIは何度か「I love you!」と叫んでから、ピアノの前に座って語り始める。

YOSHIKI「先週みんなでシカゴに行って、ロラパルーザに出させてもらって、初めてアメリカで演奏することができました。もちろん、そこにHIDEも一緒にいたし……本当にここまで来れると思ってなかったけど……ひとりひとりに支えられて……本当に感謝しています。みんなひとりひとりが風みたいになってくれるから、自分たちが翼を広げられるんだと思ってます。これからも……よろしくお願いします」

声が小さいのでところどころ聞き取れなかったけれど、だいたいこんな感じのことを言っていた。
前日、ToshIが言ってたよね。「お前たちは世界一のファンだ」って。
自惚れてもいいかな。ToshIの言う通り、私たちは世界一のファンだと思うよ。だって、いつもこんなに長い間待って、何度も何度もハラハラさせられて、それでも懲りずにこうしてついて行くんだもの。
でもね、世界一のファンがXを支えてるんじゃない。世界一のバンドに支えられているから、私たちは世界一のファンでいられるんです。

最後の曲、ENDLESS RAIN。
ToshIもYOSHIKIも、嬉しそうだった。ENDLESS RAINは、ときどき心が痛くなる。でも、やっぱり笑顔が良いよ。

ENDLESS RAINを終えると、YOSHIKIが床にごろんと寝転がった。ToshIが上からペットボトルの水を掛けて、暑さにへばったYOSHIKIを癒やす。
水を掛ける。楽しそうに何本も何本も水を掛け続け……YOSHIKI、とうとう「もうやめて」と言うように腕で顔を覆った。
そして、反撃開始とばかりに、ToshIを追いかけながら水を掛けた。

それから、思い思いに歩いて歓声に答えるメンバー。が、PATAはステージ上の階段に腰掛けたまま、なかなか動こうとしない。ほら、もう最後だよ! 頑張って動こうよ、石塚先生!
YOSHIKIは、アリーナに下りて走り回る。本当に心の底から楽しそうな、満面の笑みで。
YOSHIKIの笑顔を見ると、いろんなモヤモヤが吹っ飛んで「もういい。とことん好きにやってちょうだい。何があっても私は付いて行くから」って気持ちになってしまう。
今回だって、すべてに納得してるわけじゃない。思うところは、たくさんある。だけど、ライブの最後にこんなYOSHIKIの笑顔を見せられたら、そんなことどうでもよくなってしまうんだ。
だって、3年前まで、こんなひとときはあり得ないと思っていたんだもの。ここにこうしてXのメンバーと時間を共有していること自体が、大きなサプライズ。言ってみれば、どでかいおまけみたいなもの。
だから、もう何をやってもいいよ。最後の最後に後悔しないように、信じるままに突き進んで。私が何があっても見捨てないから。

(しかし、それにしてもDMMはYOSHIKIしか映さないなー。花道を歩く他のメンバーも少しは映してよ!)

TAIJIも出て来て、ステージ中央に6人が集合。
YOSHIKIが、青い薔薇を上手側のモニターに置いた。言葉じゃなく、静かな行動で愛情を示す。

6人で万歳。
今日も最後に花火が上がった。

今回のライブ、ToshIのパフォーマンスが非常に素晴らしかった。1日目の最初から2日目の最後の最後まで、声の調子が本当に安定していて全く衰えなかったもの。ToshIに限って言えば、復活後のライブでは一番のコンディションだったと思う。

アメリカへ、そして世界へ、行ってらっしゃい。
また会える日まで、私は日本で頑張っていくよ。


2010年08月16日(月) 真夏の夜<1>

X JAPAN WORLD TOUR Live in YOKOHAMA 超強行突破 七転八起〜世界に向かって〜

2日目 真夏の夜

セットリスト↓
新しいオープニング
Jade
Rusty Nail
DRAIN(ToshI,PATA,HEATH)
Forever LoveアコースティックVer.(カルテットXJAPAN without YOSHIKI)
ピアノソロ(YOSHIKI)
Tears

Born To Be Free
ギター&ベースソロ〜Love Replica(PATA,HEATH,SUGIZO)
ドラムソロ(YOSHIKI)
I.V.
--アンコール--
おまけのUNFINISHED
X(XJAPAN with TAIJI)
ENDLESS RAIN
Tears 英語Ver.(SE)
もう一曲SE(曲は忘れました)


ライブ2日目。
1日目よりさらに暑い。暑いのに、開場が押して30分くらい待たされた。
開場を待つ間、スタジアムの中からLove ReplicaとDRAINのリハ音が聞こえた。
今日はDRAINもやるのかあ……って、リハが聞こえたらセットリストがばれて、「何の曲をやるんだろう」ってワクワク感がちょっと減るじゃん!
YOSHIKIが出ない曲のリハをやってるってことは、YOSHIKIだけ既にリハが終わって休憩中かしら。YOSHIKIのリハが押したから、他のメンバーのリハがまだ終わってないのかしら。
なんてことを頭の片隅で考えながら、暑さと戦う。なんせ列に並んでるものだから、木陰などなく炎天下なわけで。

4時ごろ開場。
大型スクリーンには、1日目と同じようにパチンコのCMとメイキング、ロラパルーザの映像が流れていた。
1日目は平常心で観ることができたのに、この日はロラパルーザの映像でやられた。「念願のアメリカ進出がやっとかなったんだねえ。いろいろあったのに全部乗り越えて、よく頑張ったねえ」と、子供の巣立ちを見守る親のような心境になってしまい、涙ぐむ。
やばいよ、ライブ前から泣いてどうするんだ。

開場が押したわりには、1日目とほぼ同時刻に開演した。
新しいオープニング曲からRusty Nailまでは、同じような流れだった。
Rusty Nailのとき、ToshIが両腕を広げて全身で私たちの声を受け止めようとする姿と、自分のお腹を指して「腹から声出せ!」って合図したのが印象的だった。
ToshIは前日に引き続き、声の調子が良いみたい。めっちゃ滑らかで、通る声!
それから、HEATHが羽織っていた赤と黒のチェック柄のノースリーブが目を引いた。SUGIZOは、前日の暑さがこたえたのか、今日は初っ端からノースリーブだった。
それとは対照的に、ToshIくんは全身黒ずくめ。革の手袋までしちゃって、大丈夫かしらと心配になる。だって、本当に暑いんだから!
今日もやっぱり「会いたかったぜ、ニッポン!」だった。とうとう「会いたかったぜ、横浜!」は聞けず。

YOSHIKIとSUGIZOが退場して、残った3人でDRAIN。
この曲では、ちゃんとHIDEの映像が出てきた。前にも書いたかもしれないけど、私はHIDEがサビで「DRAIN! DRAIN!」と歌うところが好きだ。
ToshIくん、ちょっと遊び心のある歌い方をしていた気がする。うまく言えないけど、サビを少し崩してみたりとか。それは「きちんと歌うとしんどいから崩す」ってことではなくて、むしろ「余裕があるから」という印象を受けた。

DRAINのあと、いったん3人は退場。
しばし待つと、ラフな格好に着替えたToshIが出てきた。

ToshI「暑い……」

そりゃ暑いよ、あんた長袖着てるじゃん!

ToshI「お前たち、あつい夜をありがとう」

それって「熱い夜」ってこと? それとも「暑い夜」?
前者なら「ありがとう」って言葉は嬉しいけど、後者なら、それは私たちのせいじゃありませんよ?

ToshI「はい、PATAちゃん」

PATAが登場。

ToshI「はい、HEATH」

HEATHも登場。いやーん、やっぱり超かっこいいよ!(私、男性の二の腕にヨワイんです)

ToshI「はい、スギ様」

なんで、SUGIZOだけスギ様!? いや、確かにそう呼ばれてはいるけどさ。PATA&HEATHとの扱いの違いは一体……。
スギ様、登場。スギ様らしく、腰に手を当ててかっこつけてポーズを決める。

ToshI「さすがスギ様、流し目が違うぜ」

いやん、流し目スギ様、カッコいい!(この浮気者! って突っ込みは無しでお願いします)
後日、母にこの話をしたら「杉良太郎とかけてるの? 流し目と言えば杉良太郎でしょ」と言われた。
ToshIくん、そうだったの? 母に言われるまで、ちっとも気付かなかった。私の中では、流し目と言えば松平健なので。ジェネレーションギャップだね。ToshIくん、やはり15歳の差を乗り越えるのはなかなか大変だわ。

ToshI「今日はこの会場のほかにも、ネットで観てる奴もいるんだ。お前たちの声、ネットの向こうで観てる奴にも聴かせてやってくれー! ネットーー!! ネット、大喜びだぜー」

うん、そうだね。私がネット組だったら、喜んでたと思うよ。

ToshI「じゃあ、スギ様がバイオリンを弾いてくれるので……カルテットXJAPAN without YOSHIKI」

お、今日は「without YOSHIKI」が付きましたか。
そんなわけで、スギ様のバイオリンがイントロを奏でて、4人のForever Loveが始まった。
今日のForever Loveは、前日にYOSHIKIとやったときとは歌い方が違っていた。前日はピアノ伴奏に合う正統的な歌い方だったけど、今日はバイオリンの音色に合わせて、もっとねちっこい……ってのは言いかた悪いけど、「ま」をたっぷり取って、より抑揚のある、感情を込めた歌い方だった。ときには声をどこまでも伸ばして、ときには歌うのではなく愛を囁き語りかけるように。
前日がYOSHIKIバージョンのForever Loveなら、今日はToshIバージョンのForever Loveといったところだろうか。
曲の後半、会場が水を打ったように静まり返った。いつもなら皆で歌うところだけれど、ToshIの歌にどっぷり魅入って、身動きできずにいたのだ。あれは、「歌」を越えたパフォーマンス……「どんな」と言うなら、一人芝居の舞台を観ているような感覚だった。

4人が退場して、入れ替わりにYOSHIKIが登場。
1日目は青い薔薇だったけど、今日は赤い薔薇を持っている。YOSHIKIが手に持つなら、やっぱり青より赤い薔薇の方が似合う気がするよ。
薔薇を客席に投げながら、早くもアリーナへ下りてしまうYOSHIKI。今日は暑さにも負けず、最初からテンション高いのかしら。
ピアノに戻って、Tearsを弾く。少しずつ大きくなっていく、会場の歌い声。
前日と同じように大合唱しながら、「今日もTearsはこれで終わりかな」と半ば諦めていた。でも、サビが終わるとYOSHIKIがスタッフにキューを出し、Tearsのイントロが流れた。
良かった。今日は、ちゃんとやってくれるんだ。
再びToshIが出て来てしっかり伸びのある歌を聴かせてくれて、PATAとHEATHも登場。
ToshIが、とっても楽しそうに歌っているのが印象的だった。この曲、好きって言ってたもんね。
私も、Xのバラードの中ではTearsが一番好きだ。メンバーも客席も含めてみんなが一体となって、喜びであれ悲しみであれ、何か同じ一つの感情を共有している感じがする。だから、いずれはSUGIZOも出てくるようになればいいなと願っている。
ライブでサビを歌うのも、ENDLESS RAINよりTearsの方が好きだし、感極まる。ENDLESS RAINは、ちょっと飽きてしまうのだ。

(ところで、Tearsを始めるときにYOSHIKIが右手人差し指を出してスタッフに合図する仕草は、とてもセクシーだと思う。あの、右の肩から指先までの流れは、本当に美しい。でも、曲の最後のYOSHIKIの生セリフは、聴いていて気恥ずかしくなるので、個人的には要らないと思ってしまう。その前の、生じゃないSEのセリフは良いんだけどね)

暗転して、紅のイントロへ。
ステージが暗くなってYOSHIKIの姿が見えなくなるのと入れ替わりに、スクリーンにHIDEの姿が。
今日は、泣かなかった。いつものようにそこにHIDEが映し出されてギターを弾いていることにただ安堵して、ただ嬉しくて、笑顔で迎え入れることができた。
紅のときは、いつも無我夢中だからあまり覚えていない。嵐が通り過ぎるみたいに、あっと言う間に終わってしまう。増幅していくXJAPANと私たちのエネルギーは、本当に嵐みたいだ。
改めて、紅は偉大な曲だ、と思う。20年以上経ってもまったく色あせず、こうして多くの人の心を鷲掴みにする。16年前、私はこの曲にノックアウトされた。あのときから魅力が少しも衰えないどころか、どんどんパワーアップして、私はまだまだ深みにはまっていっている。
最初のサビのとき、ToshIはYOSHIKIの真後ろで歌う。YOSHIKI、あんなにすぐ耳元でToshIの歌声を聴くことができるなんて、羨ましい……って言うか、うるさくないのかしら。必死でドラムを叩いているときに耳元であの高い声を聴かされたら、結構、頭がキーンってなるんじゃないの。

ToshI「なかなかいいぜー! お前たちー! 今日は全身全霊でぇ、暴れん坊将軍で行けよーーー!! それじゃあ、俺たちの新曲いくぜー」

ToshIがそう叫んだとき、YOSHIKIは疲れてステージの床に寝転がっていた。が、ToshIが新曲いくと言うもんだから、「え、もう!?」みたいな顔しながら慌ててピアノの前へ。
そして、しばしストレッチ。

ToshI「YOSHIKIが体操中だから……YOSHIKIを応援してくれよー!」

YOSHIKIが、Born To Be Freeのイントロを弾く。

ToshI「ピアノ、YOSHIKIー!! 限界を越えて行くぜーー!!! てめぇら、気合い入れて行けーーーーっ!!」

美しくて息が詰まるようなピアノの旋律をバックに、ToshIの叫び。字だけ見ればミスマッチのようだけど、これがXJAPANの世界。破壊的で、だけどギリギリのところでバランスを保ち、破滅に向かいながらも、表しているのは強烈なまでの生のエネルギー。
ピアノをバックにあんなふうに腹の底から叫ぶヴォーカリストは、ToshIくらいだろう。
限界を越えて、どこまでも行って。常識も何もかもぶち破って、ただ己の進みたい方へ。

ToshIがタイトルをシャウトして、YOSHIKIがドラムを叩く。
前日と同じように、ステージセットの天井から吊るされた檻の中で、セクシーな外人ねえちゃんが踊っている。
それから、ドラムの後ろのスクリーンでは、何か大きな未知の生命体のようなものが蠢いていた。何本もの脚を広げて、いままさに生れ出ようとしているみたいだった。

激しくて前向きな曲なのに、泣きたくなるのはどうしてだろう。
Xの曲は、すべてそうだ。バリバリのロックでも、どこかかなしい。生きることや愛することの、本質的なかなしみが宿っている。生きることは死に向かうことで、愛することは、いつかその愛するものを失うように宿命づけられているということ。


(続く)


2010年08月15日(日) 再会の夜<2>

(つづき)


アンコールは今まで使っていたステージではなく、アリーナ後方に設けられたピラミッド状の小さなサブステージで始まった。全体がキラキラ輝くサブステージの真ん中から、YOSHIKIとToshIとピアノがせり上がってきたのだ。
あのサブステージは、アリーナ後方と北側スタンドの人たち(つまり、メインステージから遠い人たち)にとっては感動的なサプライズだったと思う。
DAHLIAのフレーズを弾くYOSHIKIと、傍らに立つToshI。
そして、Forever Loveが演奏された。
そのあと、YOSHIKIの伴奏でI.V.へ。
いつものようにサビを合唱していると、二人がサブステージから下りてメインステージへ歩き始めた。YOSHIKIは東側のアリーナとスタンドの間の通路を通り、ToshIは私のいる西側通路を行く。
うわっ! ToshIくんが近くを歩いてるよ! わーい!
歩きながら、ToshIくんはスタンドの私たちに向かって手を振ってくれた。あのとき、絶対目が合った……はず!
(頼むから、そう思わせといて下さい。「みんな同じこと思ってるけど、目なんか合ってないよ!」なんて突っ込まないで!)

ToshIに「HEATHが歌ってないよー」って言われてマイク向けられても、歌うんじゃなくて「in the rain……find a way……」って棒読みなHEATH。
暑いんか? やる気ないんか? でも、カッコいいから許す!
I.V.のイントロが始まると、ToshIはくるくる回りながら「ウァーーーーー!!!」と絶叫した。全身からありったけのエネルギーを放出するみたいに。もしくは、叫びに込めた気合いで暑さを吹き飛ばそうとするみたいに。

I.V.が終わっても、音は途切れなかった。その流れのまま、ToshIが叫ぶ。

ToshI「今日はー、スペシャルなゲストが来てるぜー!! onベース、TAIJIーー!!!」

TAIJI登場。
湧き上がる客席。両腕を突き上げて声援に答えるTAIJI。
続けてToshIが紹介した。

ToshI「onベース、HEATH!!」

HEATHも腕を上げる。そして、ステージ中央で二人のベーシストががっちり握手を交わした。

ToshIがTAIJIの次に間を置かずHEATHの名を呼んでくれたこと、嬉しかった。
XJAPANのベーシストはあくまでもHEATHだ。
TAIJIがゲスト出演することを知ってから、ずっと複雑だった。
私がファンになったのは1994年。すでにXからXJAPANに改名していて、ベーシストはTAIJIではなくHEATHだった。
だから、私はあまりTAIJIに思い入れがない。
TAIJIが今もなお絶大な人気があることは知っている。ファンの多くがTAIJIを待ち望んでいたことも知っている。TAIJIが再びYOSHIKIと同じステージに立てるようになったのは、喜ばしいことだとは思う。昔のライブDVDでTAIJIの存在感を目の当たりにして、本当にすごい人だったんだと分かっているつもり。
だけど、今回のゲスト出演をどうしても手放しで喜べなかった。
TAIJIが出るのは、復活ライブで外国人ギタリストがゲスト出演したのとは意味合いが違う。
XJAPANには、ちゃんとベーシストがいる。ベースって、二人もいらないでしょ? なんで今さら「XJAPANの」ライブに出るの? 再結成のとき、YOSHIKIは「同窓会にはしたくない」って言ったのに、なんで今さら出すの?
ライブに出るんじゃなくて、単に「YOSHIKIと再会して、楽しく酒を飲んだ」ってだけなら、私も素直に喜べたのに。

こんな思いがあり、どうしてもTAIJIの名前を叫ぶことができず、このあとずっと意識的にHEATHの名前ばかり叫んでいた。

続けて、ToshIがメンバー紹介。

ToshI「onギターPATA! onギターSUGIZO! そしてonギターHIDE! onドラムスYOSHIKI! onヴォーカルToshI!」

HIDEを呼ぶときは、天を指差した。

ToshI「7人のXJAPANで行くぜー! FEVER XJAPANで行くぜー!!」

ここでも、私は「ToshIくん、それは違うでしょ」と思ってしまう。「7人のXJAPAN」じゃなくて、「6人のXJAPANプラスTAIJI」でしょ、って。TAIJIはXのメンバーだったけど、XJAPANのメンバーじゃないんだから。
何はともあれ、スポンサー様への気遣い、ご苦労様です。

そんなこんなで、XJAPAN with TAIJIによる「X」が始まった。
曲が始まったら、それまで感じていたモヤモヤを忘れて没頭できた。
間奏でいつものようにToshIがメンバー紹介したけど、7人もいると紹介が時間ぎりぎりで大変みたいだった。
ちゃんと、HIDEの「飛べ飛べ映像」もあった。ここらへんが、超強行突破!?
曲の最後の方でYOSHIKIが「We are!!」と叫んでいるときは、ToshIがドラムを叩いていた。ToshIくんがにこにこしながらドラムを叩く姿、かわいくて好き。
で、またマイクをToshIに戻してToshIが「We are!!」と叫ぶと、YOSHIKIよりはるかに声が高いのが際立つんだよね。さすが!!

ToshIが「また会おうぜ!」と手を挙げて、メンバーが退場した。
でも、照明は落ちたままで、終了のアナウンスもない。ってことは、まだ続くのね!

しばらく待つと、再びメンバーが登場。
そして、花道で追いかけっこするYOSHIKI(逃げる)とToshI(追う)。

ToshI「今日のコンサートは、再会の夜。お前たちと再び会えて、嬉しいぜー!! そして今日は、旧友もベースを弾きに来てくれた。そして、hideちゃんもー! そしてお前たちと会えて、本当に嬉しかったぜー!! ありがとよー!!!」

ToshIが言い終わると、YOSHIKIが「マイクちょうだい」の合図をした。

YOSHIKI「みんな元気? 暑い中、待たせてごめんね」

いえいえ、待つのは慣れてますから! って言うか、今日なんて待ったうちに入らないですから!

YOSHIKI「何かいろいろ……いろんなことがたくさんあったけど、ホントにみんなのおかげで、少しずつだけど自分たちの夢を叶えられるように、前に進んで来れてます。本当にどうもありがとう。これだけいっぱいドラマがあって、でもこれだけファンがいてくれるバンドって……たぶん世界に一つしかないと思う」

YOSHIKIは、涙をこらえながら、ゆっくり噛みしめるように言った。
このライブを開催するまで、本当にいろんな大変なことがあったのだと思う。私たちには計り知れないような問題も、たくさん。

ToshI「ともかくお前たちは、世界一のファンだぜー!!」

YOSHIKIの言葉を引き継ぐように、ToshIが叫んだ。
そして、ENDLESS RAIN。
ミラーボールの光に照らされながら、夜空に響く大合唱。
曲が終わると、SEでTearsの英語バージョンが流れ始めた。
しばしそれを聴いたのち、メンバーが思い思いにステージや花道を歩いて手を振った。
YOSHIKIは赤と青の薔薇を持ってアリーナに下り、走り出した。途中、なぜか赤い三角コーンを頭にかぶってみたりして。とうとう暑さで頭やられたか??

ステージに再びTAIJIが出てきた。フィナーレにも出てくるのか……。
アリーナから戻ったYOSHIKIと抱き合い、YOSHIKIの頭をぐしゃぐしゃっとなでるTAIJI。TAIJIは立派な大人に、YOSHIKIはほんの少年のように見えた。
それから、HEATHとTAIJIが抱き合った。その様子を見て、私はやっと、TAIJIの出演を受け入れられた気がした。
6人がステージに並んで、万歳。HEATHとTAIJIが真ん中に立っていた。
そのとき、花火が上がった。思わず花火に目を奪われてしまい、万歳をあまりちゃんと見ていなかったのが心残りだ。
最後の大きな花火をメンバーと一緒に見届けて、ライブは終了した。

終了時間は、予定の8時半より前だった。2時間半くらいの、短めライブ。
ちょっと物足りないなあ。1日目だから、こんなもんか。なにせ皆さんいい年なので、明日に余力を残しておかないとね。
というわけで、2日目に期待したいところ。


2010年08月14日(土) 再会の夜<1>

X JAPAN WORLD TOUR Live in YOKOHAMA 超強行突破 七転八起〜世界に向かって〜

1日目 再会の夜

セットリスト↓
新しいオープニング
Jade
Rusty Nail
ギターソロ〜Love Replica(PATA & SUGIZO)
Say Anything アコースティックVer.(カルテットXJAPAN)
ピアノソロ〜Tears(YOSHIKI)

Born To Be Free
--アンコール1--
Forever Love
I.V.
X(XJAPAN with TAIJI)
--アンコール2--
ENDLESS RAIN
Tears 英語Ver.(SE)
Forever Love(SE)


今回の会場である日産スタジアムは家から近いので、朝グッズを買いに行き、一度帰って、午後また行くことにした。
午後3時半、ほぼ定刻通り開場となった。私は西側1階スタンドの車椅子用スペースへ。照明用の鉄柱が邪魔で、位置的にたぶんPATAは見えないな。ま、ステージが遠いから、肉眼じゃメンバーはほとんど見えないんだろうけど。
言うまでもなく、暑い。でも、曇っていたおかげで、そんなにつらくはなかった。
開演を待つ間、ステージ両脇の大型スクリーンにはパチンコのCMやパチンコ用PV撮影のメイキング映像、それにロラパルーザのライブ映像もほんの少しだけ流れていて、全然退屈しなかった。特に、ロラパルーザの映像をちょこっとでも観ることができたのは、嬉しかった。

開演予定より20分ちょっと遅れた6時前、BGMのLongingが途切れて、ステージ後方のスクリーンが赤や青に揺らめき始めた。
客席が総立ちになった瞬間、会場の温度がぐわっ! と一気に上がった。
人の熱気って不思議だ。そこにいる人数は同じなのに、ぼーっと座ってるのと期待に満ちて立ち上がるのとでは、発する熱気がこんなに違うんだもの。あの一瞬の温度変化を体感すると、気功術ってものを信じざるを得なくなるなあ。

初披露の新しいオープニング曲が流れる。
大聖堂あるいはオペラをイメージさせる歌声が入ったこの曲は、荘厳で、多くの人にとっては、これから始まるライブへの期待を高めるにふさわしい曲なのだろう。
でも、YOSHIKI、ごめんなさい。実を言うと私はこういう曲が苦手なのです。好きとか嫌いとかの問題じゃなく、怖いんです。曲調も苦手だけど、何よりあの声が怖い。何語だか分からない、不安を掻き立てるようなあの声が、どうしてもダメなんです。トラウマみたいな感じ?
映画「2001年宇宙の旅」のモノリスが登場するシーンで流れる曲(と言うか、声)や、ドラマ「相棒」の大塚寧々が出た「バベル」という回で流れた曲なんかも、同じ理由で苦手です。
今回は「本当の復活ライブ」だし、Xの新たな一歩を飾るためにも、ライブのオープニング曲が新しくなったのは良いことだと思うけれど、私はやっぱりAmethystの方が良かったなあ。
ライブの初めにAmethystが流れると、反射的に感極まって涙が流れていたけど、今回は曲が怖いおかげで泣かずに済んだ。
これから、ライブのオープニングは毎回あの曲なのかしら……。

オープニングが終って、メンバー5人がステージに登場。
イントロが出た瞬間、「おおっ!」っと驚いた。
1曲目は、JADE。
初っ端にお馴染み曲ではなくこの曲を持ってくるあたり、彼らの自信の表れでしょうか。
去年ドームで聴いたときは、どんな曲なんだかあまり掴めなかったけれど、今回は曲の全体像がちゃんと把握できたし、歌えないものの、乗り方も分かった。
ToshIが去年に比べて歌い慣れているおかげで、聴きやすかったのもあるかも。去年は歌うのに精いっぱいという印象を受けたけど、さすがにもう板についている感じ。両腕を広げて歌う姿が印象的だった。
ToshIくん、声の調子が良いみたい。
それにしても、YOSHIKIが本当にドラムを叩いている! それだけで、私にはこのライブが奇跡だと思えた。

JADEが終って、ToshIが叫ぶ。

ToshI「会いたかっぜーーっ! 会いたかったぜ、ニッポン!! ニッポーーーン!!!」

あ、そうか。シカゴ帰りだもんね。「日本」なんだね。なんか、ワールドワイドな感じで、いいよね。
でも、横浜市民としては「会いたかったぜ、横浜ー!!」を期待していたので、ちょっぴりガッカリ。
それは、またの機会を待ちましょうか。だから、絶対いつかまた横浜に来てよね!!

ToshI「今日はー! 超強行突破で行くぜー!! スタンドー!! ここまで響かせろーーっ!! アリーナ! アリィーナァ!!! やるときゃやれよーーー!!!」

この「アリーナ!」の「リ」がね、めっちゃ巻き舌なんですよ!
ToshIくん、それはフランス仕込みですか??

続いてRusty Nail。
空がまだ明るいから、いつもの緑の閃光は映えないけれど、この曲のイントロを聴くとやっぱりとてつもなく盛り上がる。JADEのときとは違って、ToshIと一緒にフルパワーで歌う……と言うよりは、叫ぶ。
欲を言えば英語バージョンを聴いてみたかったけれど、日本語ならこうして一緒に歌えるんだから、まいっか。

でね、えーとToshIくん、歌詞間違えたよね!? 2番のサビでも、また1番を歌ったよね!?
わたしゃ、突っ込みたくてしょうがなかったよ。でも、笑顔がかわいいから許す!(←「かっこいいから」じゃないところがポイント)

JADEのときだったかRusty Nailのときだったか、それとも両方だったか、ステージから火が上がって、その熱が私の席まで届いた。ステージがこんなに遠いのに、火の熱さを感じられる。それで、ちゃんと彼らと同じ空間にいるんだなあと実感できて嬉しかった。

今日のToshIは本当に調子が良い。復活ライブのときとは比べ物にならない安定感だ。復活ライブではRusty Nailで声が裏返ってたし、サビがつらそうだった。でも、今回はスムーズに歌いきっている。
復活ライブから2年半の間に、喉がすっかりX仕様に戻ったんだろう。だけど、絶対それだけじゃない。明らかにまだまだ進化しているし、何より精神的なものが大きいのではないかなと思う。13年間の後処理で今だって大変なことはたくさんあるだろうけど、少なくともかなり精神的に解放されているはずだ。それが、歌や声に表れている。

Rusty Nailが終るとステージにはPATAとSUGIZOだけが残り、二人でギターソロ……と言うか、ギターバトル。交互にギター演奏を披露してくれた。
お互いに敬意を表しつつ、「そっちがそう来るなら、俺はこうだ!」って感じに、ギタリストの自信と誇りを良い意味で見せつけ合うようなソロバトル。二人の良さと違いを堪能できて、とっても楽しかった。
2,3回繰り返したあと、SUGIZOがLove Replicaを奏で始め、途中でPATAも加わった。
このとき、今回のライブで初めて泣いた。
難しい事情があっても、こうやってHIDEの存在とHIDEへの想いを示してくれる。言葉がなくても、ギター一本あれば十分なんだ。音楽って、本当に素晴らしい。
選曲がLove Replicaってところが、渋くて良いね!

続いてToshIくんがラフな格好で登場。あのパーカーはソロのオリジナルグッズかな。

ToshI「日本に久々に帰って来たぜー! やっぱり日本はいいな」

うん、貴方たちの帰る場所は、ロスでも他のどこでもなくて、日本なんだよ。これからまた遠くに行っても、日本を思い出してほしい。

ToshIがほかのメンバーを呼ぶ。HEATHは素直に応じたけど、PATAは端っこで手と首を振っていた。

ToshI「PATA、やらないの? やる? やりたくないの? PATAがやらないって言ってるぜー!! SUGIZOは? やらない? やりたくない?」

ToshIにいじられるギタリスト二人。いいねー、この、やる気なさげな感じ。いつもツボです。
そうは言っても、やらないわけにはいかないので、ステージ中央に出て来て位置につくギタリスト二人。……って言うか、当然ながらこっちも早く曲を聴きたいしね。
下手側からPATA、ToshI、HEATH、SUGIZOの順に並んだ。SUGIZOは立ったまま、バイオリンを手にしている。

ToshI「珍しく、カルテットXでいくぜー! カルテットXJAPAN!」

というわけで、カルテットXJAPANによるアコースティックVer.のSay Anything。
Say Anythingは復活ライブでもToshI、PATA、HEATHのアコースティックを聴いたけど、SUGIZOのバイオリンが加わることでそのときより深みが増していた。
それに、何度も言うけどとにかくToshIの調子が良くて、歌声が素晴らしかった。どこまでも、天の果てまで響くような伸びのある声。アコースティックだと、ToshIの声をより堪能できるから嬉しい。

カルテットXJAPANと入れ違いにYOSHIKIが登場。今日は赤じゃなくて青い薔薇を手にしている。
薔薇を客席に投げてから、ピアノの前へ。
個人的には、YOSHIKIの演奏はドラムよりピアノの方が聴いていてドキドキする。胸の奥が締め付けられて、目をそらすことができない。完成されたYOSHIKIの世界にどっぷり浸かって、抜け出すことができないのだ。
しばらくピアノを聴かせてくれてから、曲はTearsへ。
弾きながら、YOSHIKIは何度か客席の方を見て、私たちを促した。それに答えて、Tearsを合唱。
YOSHIKIのピアノと6万5千人のボーカルによる、Tears。
曲の最後、YOSHIKIがいつものセリフを囁くと、そのまま紅のイントロに移行してしまった。
なんだ、今日はTearsは本格的にやってくれないのか。残念。

紅のイントロは、HIDEのギターソロだった。
大画面にHIDEの姿が映し出された瞬間、号泣。
みんな心配していたんだよ。今回はHIDEが出てこないんじゃないかって。でも、こんなところでも超強行突破してくれたんだね。
ステージにメンバー全員が現れて、エネルギー大爆発の紅が始まった。
とにかく歌って叫んで、膝の上のhideちゃんを高く上げた。声を張り上げ過ぎて途中で酸欠になりかけたけど、負けていられない。
ToshIは「何かに追われるよう〜」の2回目を、ライブ定番の「高いキーで着地するバージョン」にした。その張り上げたキーも、とても安定していた。

紅をやりきって、お疲れ気味のメンバーたち。

YOSHIKI「あのさ、暑くない? ここ」
SUGIZO「あっつい!」
YOSHIKI「こんなに暑いと思わなかったよ、俺」

甘いよ、YOSHIKI。恐るべし、日本の夏! だよ。

YOSHIKI「ToshI、何? その服」

YOSHIKIがToshIの衣装に突っ込んだ。
紅から、またToshIの衣装が変わった。インナーはシルバーの(たぶん)タンクトップで、真っ白いジャケットは肩と袖口に羽が付いている。
YOSHIKIには突っ込まれたけど、ToshIは嬉しそうに両腕を横に広げ、後ろを向いてジャケットの背中を見せてくれた。背中には大きな十字架が付いていた。
私はこの衣装、結構好きだな。少なくとも、PVの白い衣装より断然いい!
それにしても、ほかのメンバーは軽装なのに、ToshIくんだけこんな衣装って……暑くないのかしら? 何か腕を見せられない理由でもあるのかい?

ToshI「YOSHIKIは長い間ロサンゼルスに住んでいるので、体がロス仕様になっていて、湿気に弱いんだよ。湿気に弱いYOSHIKI!」

「再会の夜」の名言ナンバー1は、間違いなくこの「湿気に弱いYOSHIKI」で決まりでしょう。
SUGIZOが、扇子でYOSHIKIやToshIを扇いであげていた。

YOSHIKI「気合入れて行くぞー!! 暑いぞーーー!!!」

そ、そうだね。気合い入れないと、この暑さに負けちゃいそうだよね。

ToshI「本当に、こうしてメンバー一同で日本に帰ってこれて、嬉しいぜー! 本当の意味で、帰って来たぜーーーっ!!!」

おかえり、ToshIくん。おかえり、XJAPAN。
私は2月の赤坂BLITZライブが一つの区切りだったと思っているし、ソロのToshIくんはそうなのだろうけど、XJAPANとしては今回が本当の意味での復活ライブなんだよね。
いろいろあったし、今もいろいろあるけれど、こうやって帰って来てくれて、本当に本当に感無量です。

ToshI「そしてこれから、海外にも出発して行きます。みんな、また応援してくれよー!!」

うん、貴方たちがどこに行っても、どこにいても、応援しているよ。

ToshI「それじゃあ、次で最後の曲です……一応。なんせ、あっちぃからなぁ」

あー、ひょっとしてキミたち、暑いから早くアンコール前の休憩を取りたいのかい?

ToshI「それじゃあ、ラストナンバー! 俺たちの新曲行くぜー」

YOSHIKIがピアノでBorn To Be Freeのイントロを弾く中、ToshIがそう叫んだ。

ToshI「みんな、自由になるために生れて来たんだぜ」

そうだね、ToshIくん。誰にも強制されず、誰にも搾取されず、歌いたい歌を自由に歌って、これからは笑って生きていてほしいよ。

YOSHIKIがピアノから離れ、ステージが一度暗転し、ToshIが曲のタイトルを叫んだ。
再びステージが明るくなって、YOSHIKIがドラムを叩く。上から檻が二つ下りて来て、その中で外人のおねえさんがセクシーに踊っている。

この曲、いい! 復活後の曲の中では一番好きだ。
ピアノのイントロはきれいだし、そこから一転、激しい曲調になるのもカッコいい。サビも耳に残りやすいメロディーだし。
曲の途中でYOSHIKIがピアノに戻り、美しく切なく弾いたかと思うとすぐさま腕でガンガン鍵盤を叩いて狂気の音を出す。そしてまたドラムへ。こういうところは、WEEK ENDみたいだ。
間奏でToshIと私たちの掛け合いがある点では、ちょっとオルガスムっぽい。
静と動。生と死のにおい。狂気と美学。Xの多様な面を見せてくれる1曲だと思う。
それでいて、タイトルが表しているモチーフはあくまでも「生」だ。
YOSHIKIが考える「自由」の定義って、いったい何だろう。ふと、そこに興味がわいた。
外人ねえちゃんは檻に閉じ込められているから、自由ではない。でも、檻の中で自由に踊っている。いつか、檻の外に出て本当の自由を手に入れることはあるのだろうか。それとも、限られた自由こそが本当の自由なのだろうか。

それにしても、外人ねえちゃんを大画面に映すのはやめてほしい。あれだけは、いただけなかった。別に、セクシーなねえちゃんを見に来たわけじゃないんだよ。頼むから、メンバーを映してくれ。

Born To Be Freeとともに、ライブ本編が終了。
水分補給しながら、ウエーブやったり「We are X!」をやったりして待つ。


(つづく)


2010年08月08日(日) 性分

わりと好き勝手に言いたい放題やってると思う。
上司にだって、説教する。

だけど、私は内弁慶だから、誰に対しても積極的に話せるわけじゃない。
そんなに親しくない人たちや知り合ったばかりの人たちの中にいると、なかなか前に出て行くことができない。
例えば研修や勉強会なんかで、自分が口をはさむ機会をうかがっている間に話がどんどん進んで行って、気がつくと聞き役に回っていることが多い。
それは、性格の問題だけじゃなく、仕事のスキルや勉強会のテーマに関する知識が足りないせいで発言しづらくなっている、のかもしれないけれど、内弁慶もかなり影響していると思う。
だって、社会人になってからじゃなくて、ずっと昔からだもの。
それに、親しい人たちに対しても、「意見」は言えても肝心なときに「自分の要望」を言えないことがある。……これは、内弁慶って問題じゃないか。

頭の中に言いたいことがあるのに、うまく前に出て行けないとき、自分が嫌になる。損してるんじゃない? とも思う。
でも、生まれ持った性格は、なかなか直らない。仕方ないか、と諦めもある。いや、諦めたら成長が止まってしまう、なんてことは分かっているけれど、こんな性格に生れついた自分とうまく付き合っていくのも、大事なことだ。
なんて、逃げている。


それから、私は動作が遅くて、小さなことひとつひとつに人より時間がかかるので、先を見越して早めに行動するようにしている。
今日は通常業務のあとに勉強会で移動するから、次の休憩中にこれを片づけて、その次の休憩でこの資料を整理して……とか、本当に些細なことだけど。
人に迷惑をかけたくないから、と言うより「遅れる=できない奴」と思われたくないからだ。

でも、常に先を見越して行動に必要な時間を計算したり順序を考えたりしていると、ときどき疲れてしまう。
行き当たりばったりでもうまくやっていけてる人を見ると、羨ましくなる。
羨ましいだけなら良いけれど、それを通り越して腹が立ってしまうこともある。「なんでもっと、先のことを考えて行動しないの?」と。さすがに口には出さないけれど、心の中でプンスカしている。
行き当たりばったりだって、それで彼らが問題なく過ごせているなら、迷惑を被らない限り私がどうこう言うことじゃないのに。
(そもそも、行き当たりばったりに見えるだけで、本当は私以上に綿密に計算しているかもしれないのに)

うちの会社には車椅子ユーザーが何人もいるけれど、エレベーターは1台しかないから、全員がフロアを移動するには時間がかかる。
5時に電話受付業務が終わって5時半から研修がある場合、当然エレベーターの混み具合や移動時間を考えて、早めに席を離れる。そうしているところに、ほかの車椅子ユーザーから「え? 研修って5時半からじゃないの?」と悠長に言われたりすると、イラっとしてしまう。

もっとイラっとするのは、スケジュールがきちんと頭に入っていなかったり行き当たりばったりだったり、そのせいで集合に多少遅れたりしても、周囲からわりと許されてしまうことだ。
会社では、さすがに仕事なので注意されることもあるけれど、世の中では、そんなに先々を考えながら行動しなくても許されていることが多いような気がする。あくまでも私基準だけど。

で、こうやって書いてて思ったけど、「私はこんなに頑張ってるのに誰も気付いてくれない! 先を考えてない人たちがそれでも許されてるなんて、おかしい! どういうこと!?」って見当違いに憤慨しているイタイ奴なのだ、私は。

早め早めにって思うのは、障害があるから、っていうわけじゃない。
これも、持って生まれたそういう性格なのだ。
誰かに「もっと早くしなさい」って言われたわけでもないのに、そうしなきゃいけないと思ってしまう。それで、勝手に疲れてしまう。
早めに行動しても、終わるのが人より遅くなることもある。そうすると、さらに嫌になる。「結局ダメじゃん」と思って。

だけど、これも性分だから仕方ないのだ。自分はこういうものだと思って諦めないと。


仕方ないけど、この性分って疲れるのよね。


2010年08月07日(土) 定価以下で

先行予約で取ったチケットが発送されて座席位置が分かるようになった途端、mixiコミュに「アリーナ連番で譲って下さい」の類の書き込みが増えた。
中にはブロック指定や、「自分が持っているスタンドチケットをアリーナと交換して」とのたまっている輩も。

譲ってもらう側がアリーナを指定って、あんたら、いったいどういう了見で!?

……と、小一時間説教したくなるが、そんなのは私の時間の無駄なので、やめておく。

が、どうしても一つだけ突っ込まずにはいられないことがあるので、こっそり日記に書いてみる。

「定価以下で譲って下さい」という書き込みをよく見るけど、「定価以下」なんだから、もちろん定価で構わないんだよね?

定価より高い金額での売買は言語道断だし、「定価より安く譲って」と言う奴には開いた口が塞がらないけど、「定価以上」も「定価以下」も、「定価を含む」だもんね。

もちろん、皆さんそんなことは重々承知で書き込んでらっしゃるんですよね?
「しゃあしゃあとアリーナのブロック指定しているような人たちは、日本語も碌に理解していないんじゃ?」なんてのは、私の醜い偏見よね。


2010年08月06日(金) LIVE

LIVE、と言っても、一週間後に迫ったXJAPANのライブのことでは、ない。

「LIVE」は、友達の造語だ。
LOVEとLIKEの中間、という意味。
「LIKEかLOVEか、よく分からない」と言ったら、「じゃあ、LIVEくらいなんじゃない?」と。

うまい言葉だ、と思った。とても納得できて、自分の中にすとんと落ちてきた。
名前をつけることができなくて不安定だったものを、言語化できた。
うまく言語化できない感情や状態は、事をややこしくする。
言語化とは、「しまっておく箱」ができるということで、箱に入れてラベルを貼ってしまえば、落ち着かなさからはとりあえず解放される。
実は何も解決できていない。でも、半分くらいは解決できたような気になってしまう。それで楽になるなら、それでもいいじゃねえか、と思う。

LIVEの本来の意味は、「生きる、生の」だ。
生きるとは、丸い地球の上をよろよろしながら歩くこと。不安定要素が多分にある。
LOVEとLIKEの中間で、どっちつかずの不安定な「LIVE」。
生きていることそのものだ、と自分の中で妙に哲学ぶって結論付けてみた。


夏なのに鍋を食べた。
コクのある濃いめのスープに、鶏つみれや焼きネギなどが入っていた。
夏に鍋は合わないんじゃないかと固定観念を持っていたけれど、予想以上においしかった。
夏に鍋、しかもさっぱり系じゃなくて濃いめの鍋も、ありじゃん。


2010年08月02日(月) ついった

YOSHIKIがツイッターを始めたらしい。

「とうとう私もツイッター始めなきゃいけないのかぁ。でも全然使い方分かんないしなぁ。めんどくさい……」と、やる気なさげに心の中だけでつぶやいたけど、試しにツイッターでYOSHIKIのアカウントを検索したら、普通に読めた。

ツイッターって、そういうもんなのか。

じゃあ、別に自分がつぶやきたいわけじゃなければ、登録しなくても用は足すってこと?

YOSHIKIのつぶやき、英語だよ……。
いまのところは理解できたけど。
今後も、あんまり難しい単語や言い回しは使わないでいただきたい。

あぁ、それにしても、ホント「はやりもの」にはついて行けないわ……。
って言うか、ついて行く気もない。

YOSHIKIもmixiやればいいのにねぇ。


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