月に舞う桜
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朝8時半、友達がセットしていた携帯の目覚ましアラームで飛び起きた。 いつもはホテルであまり眠れない私も、今回はよく眠れた。夜中2時まで起きていたのが良かったのかも。 ぐだぐだしつつも、着替えて軽く身支度を整えて、和洋バイキングの朝食へ。朝食時間は10時までで、食事中、気が付いたら私たちともう一組しかいなかった。最後のほうは、「並んでいる料理は片づけてもよろしいですか?」と訊かれる始末。朝食に来るのが遅い上に、ぎりぎりまで食べていてごめんなさい。 部屋に戻って、またぐだぐだと身支度したり荷物を整理したりしていたら、あっと言う間にチェックアウトの12時になった。 荷物を抱えて部屋を出るとき、「防災点検のため非常ベルを鳴らします」とのアナウンスが。早く出て行けと急かされているようで、友達と苦笑。チェックアウトぎりぎりまでいて、ごめんなさい。
この日は寄り道をしつつ、横浜へ帰る予定になっていた。今井浜をあとにして、車は北へ北へ。 伊東の道の駅「マリンタウン」で、休憩とお土産タイム。 まず、海を見ながらアイスを食べた。ここのアイス屋さんはベースをバニラかヨーグルトから選ぶことができ、フレーバーは3つ選ぶことができて、お得感満載だ。私はバニラをベースに、ラズベリーとオレンジをミックス、それからクルミをトッピングしてもらった。 外は明るい曇り空で、日差しが強くないのが助かった。気持ちの良い海風に吹かれながら、3人でアイスを堪能。 それからお土産を物色して回った。私はここで、お土産をしこたま買った。会社へのお土産用のお菓子、家用のお菓子、アジの開き、しらすに桜エビ。 アジもしらすも桜エビも結構なお値段するのだけれど、奮発した甲斐があってどれも美味しく、家族にも評判が良かった。特にアジの開きは程よく脂が乗っていたし、しょっぱくなくて気に入った。
マリンタウンを出るときはすでに3時を過ぎていたけれど、3人ともお腹が空いていなかった。なのでお昼ご飯は食べずに、次の目的地、熱海のアカオハーブ&ローズガーデンへ。 ここはその名の通り、ハーブとバラの庭園で、特にバラの色と種類がかなり豊富だった。ウエディングガーデンやイングリッシュローズガーデンなど、それぞれテーマを持った庭園がいくつか……5,6個くらいあったと思う。 バラがアーチ状に咲いていたり、白バラの柱と言えるようなものもあったり、各庭園を繋ぐ中央の道の脇にもバラが咲いていたり、見ていて飽きない。しかも、良い香りが漂っている。 バラ以外の花もたくさん咲いていた。
が、いかんせん、車椅子では回りづらい。ガーデンというので平面のお花畑のような場所をイメージしていたのだけれど、山を切り崩して作られたようなところで、入口からずっと坂道なんである。 中央の道は車でゆっくり上がって行けるけれど、各庭園の中に入ってじっくり見ようと思うと、階段が多くて無理だったりする。車から降りて車椅子のまま入って行ける場所が少ない。入れるところも、通路が石畳だし。 まあ、それでも結構楽しんだけど。
ローズガーデンを出たあとは、神奈川へ向かってひた走る。 東名の海老名サービスエリアに寄り、ちょうどいい具合にお腹が空いてきたので、ご飯を食べた。 昼食は抜いたので、本日2度目の食事。私は、野菜とエビとマッシュルームがたっぷり乗った、あんかけ焼きそばにした。その名も、海老名やきそばならぬ「海老菜やきそば」。出てきたときはボリュームがあるなあと思ったけれど、ぺろりと食べてしまった。1食抜くと、格別においしく感じるねえ。 海老名SAはいい! お土産が充実しているし(何も買わなかったけど)、広くて車椅子でも動きやすい。車椅子用トイレも、広々していて洗面台も使いやすく、もちろんオストメイト対応になっている。
お腹が満たされたので、あとはひたすら横浜の家を目指すのみ。 渋滞もなくスムーズに進み、帰宅したのは8時くらいだった。 往復をずっと運転してくれた友人には感謝感謝です。まだ若葉マークなのにね。 親友2人との久しぶりの旅行、かなりリフレッシュできて、お土産も買い込んで、大満足でした。
小学校時代からの親友2人と、1泊2日で伊豆の今井浜へ旅行した。 朝からあいにくの雨で、ちょうど高速を走っているときはかなり強く降っていた。運転していた友達は大変だったろうと思う。 東名の1キロほどの事故渋滞以外は全く混んでおらず、スムーズに伊豆まで辿り着いた。
途中、伊東の道の駅でトイレ休憩を挟み、それからさらに南へ。 ホテルの手前に見つけたお蕎麦屋さんで、昼食を取った。 私は天ざるを頼んだ。お蕎麦は細め。本当は少し太めでしっかりしたお蕎麦が好きなのだけど、ここのお蕎麦はなかなか美味しかった。なんだ、細麺も案外いけるじゃん、と見直した。 天ぷらも、海老に茄子に大葉にマイタケ、そしてキスと、私の好きなものばかりで上機嫌。 お蕎麦を食べている間に雨は上がり、空が明るくなってきた。このあとはホテルへ行ってエステ、それからちょっと休んで夕食。特に観光の予定はないから雨だろうが晴れだろうがあまり関係はないけれど、晴れるとやっぱり嬉しい。
ホテルに着いたのは、ちょうどチェックイン可能になる2時頃だった。 部屋の窓からは一面に海が見渡せて、窓を開けるとザザザと波の音がよく聞こえた。3人とも、このオーシャンビューが気に入った。 室内を車椅子で動き回るには問題なかったけれど、何と言っても洗面台が使いづらかった……使いづらいと言うか、一人じゃ使えない。ま、バリアフリールームじゃないから仕方がないか。
荷物整理して少し休んだあと、ホテル内のエステへ。 今回の旅行、一番の目的はこのエステなのだ。ちょっと贅沢に、癒しの旅。ホテルを決めるときも、エステ付きの宿泊プランがあるところを第一条件にした。 照明を落とし、ゆったりとした音楽が流れる中で、たっぷり100分のアロママッサージを受けた。 事前のカウンセリングでアロマオイルの香りをいくつか提案され、その中からほんのり甘いラベンダーを選んでベースにしてもらった。 まずは肩から背中、腰にかけてゆったりマッサージ。それから頭と足を20分ずつ。新陳代謝が良くなってお腹が鳴ってしまったり、あまりの気持ち良さにうとうとしたり。 暗い部屋と心地よい音楽と、アロマの香り、人の手の温かさに包まれて、心身ともにリラックス。 仰向けになったとき、首の下から手を入れられて、頭に向かって強めに押してくれた。それが一番気持ち良かった。 足の先が冷たいと言われた。確かに足は冷えやすいけれど、今日はそれほどでもないと思っていた。どうやら、自覚している以上に足が冷えているらしい。足が冷たいことに慣れてしまっているのだろう、とのこと。 足の裏を押さえられたときは、結構痛かった。あとで「足の裏、痛くなかった?」と友達に聞いたら、2人とも「そうでもなかったよ」と言う。私、胃腸かどこか悪いのかしら。 マッサージが終わると、頭がぼーっとしていた。サービスのハーブティーを飲みながら、体と脳を少しずつ覚醒させていく。 極上の時間だった。週に1度くらい、こんな贅沢なひとときがあったら良いのに。
夜、バーでウェルカムドリンク(3人とも、梅酒をオレンジで割ったオリジナルカクテルにした)を飲んだあと、和食レストランで夕食。 2食付きの宿泊プランで、夕食はコース料理が決まっていた。 私たちは窓際の席に通された。レストランの外は、マリーゴールドの咲いた庭。そしてそのすぐ向こうは海だった。 メニューは、一口サイズの前菜が5,6品、鯛と大根と人参とズッキーニのお吸い物、マグロと太刀魚とマンボウとハマチの刺身、野菜の煮物、金目鯛の煮付け、海老真丈、ご飯と赤出汁。そして、デザートはニューサマーオレンジのゼリー。 マンボウのお刺身は初めて食べた。コリコリしていて、味はホタテに似ている。 中でも、ニューサマーオレンジのゼリーは格別だった。ガラスの器に、かき氷みたいに細かく砕いた氷が敷き詰められ、そこにオレンジが埋まっている。中をくり抜いたオレンジの皮が容器になっていて、ゼリーがたっぷり入っていた。 ニューサマーオレンジは普通のオレンジほど味が濃くなく、さわやかな風味。グレープフルーツのような苦味もなくて食べやすい。氷に包まれているから冷え冷え感が失われず、最後の一口まで気持ちよく食べられた。
夜は長い。ホテルの売店で買ったお菓子をお供に、女の子のおしゃべりタイム。 「結婚相手の条件は?」なんて話題で盛り上がり、ベッドに入ったのは夜中の2時だった。
2009年05月22日(金) |
今週もお疲れ様でした。 |
昨日ショックだったこと。 会社の自販機でお茶を買おうとして100円玉を入れようとするが、なぜか入っていかなかった。 「ええっ、この投入口、小さいんじゃないの!?」と少々憤慨しつつよく見てみると……。 ……私が100円玉を押し込もうとしていたのは、小銭の投入口ではなく、自販機の鍵穴だった。業者さんが商品を補充するときに、自販機を開閉するための鍵穴。 そりゃあ、小銭は入らないはずだよ。どんだけ疲れるんだ、私。
職場で独りになれる場所が欲しい。 休憩室に、一人掛け用のテーブルが2,3個あるといいなあ。大きいテーブルがぼんぼんと置いてあるのだけど、そこにオジサン連中がいると休んだ気がしないんだもの。 ひっきりなしに電話がかかってきて、たえずお客さんと話していると、ほんのひとときでも良いから無性に独りになりたくなるのだ。
そんなこんなで、お疲れな私。 でも、昨日は「ぐるナイ」のゴチに岡田くんがゲストで出ていて、たっぷり癒され、目の保養にもなった。 母も、「この人、本当にきれいな顔してるわねえ」と感心していた。 人の顔立ちって、どこでどう決まるんだろう。 パーツは微妙な差でも、全体としては大きく違ってくるんだよなあと思いながら、ナイナイの岡村とじっくり見比べてみた。 すべてが大きく違っていた、うん。特に目が違うよね、目が。 いや、岡村さんも、芸人としては結構好きなんだけどね。
ところで、YOSHIKittyのぬいぐるみは値段が高すぎる。 それに、高さ31センチって、大きいなあ。もっと小さくていいから、安くしてほしい。
2009年05月11日(月) |
妄想→期待過剰→がっかり |
先月、ハーゲンダッツのメロンアイスが復活した。と言っても、復活を知ったのはつい先日のことだけど。 数年前に食べたとき、とってもおいしくて感動ものだったのだけど、期間限定のフレーバーだったため、すぐに販売が終ってしまった。それ以来、復活をずっと心待ちにしていた。 昨日は朝から暑くて、まさにアイス日和。と言うわけで、おやつに食した。
……うーん、確かにおいしい、んだけど、なんか違うなぁ。 「あれ、こんなもんだったっけ?」と、ちょっと期待外れで首をひねってしまった。数年前に食べたときの「うわ! これはうまい!」という感動が、ない。私の記憶では、もう少しさっぱりしていた気がするんだけど。 たぶん、長いこと復活を待っている間に、味の脳内イメージがどんどん美化されて、記憶が妄想に変わってしまったんだろうな。 私が勝手に過剰な期待をして、勝手にがっかりしているだけなんだ。メロンアイスの実力は、こんなものなんでしょう。
こんなに待たせないでもうちょっと早く復活してくれれば、妄想もここまで大きくならず、がっかり度も低かっただろうに。 ……と、責任転嫁してみる。
いや、おいしいのは確かなんだけどね。
2009年05月04日(月) |
TOSHIインストアイベント in ららぽーと横浜 |
東京ドーム2daysが終わっても、まだまだゴールデンウイークは終わらない! というわけで、怒涛の2日間の翌日は、TOSHIの発売されたばかりの新曲「大切なもの」のインストアイベントを見に、ららぽーとへ行ってきた。TOSHIのインストアイベントに行くのは初めてだ。 イベントは15時と17時の2回行われたけど、私は17時の回へ。さすがに疲れが出たから、昼過ぎまでぐだぐだしていたかったのだ。
イベント会場のセントラルガーデンに着くと、1回目終了後のサイン&握手会が行われていた。運良く、TOSHIを見やすい位置を確保。 仮設ステージの真ん中で、TOSHIが物販購入者と握手し、買ったグッズにサインしている。その様子をじっと見守る多くのギャラリー。 昨日はあんなに遠くにいて、肉眼では豆粒ほどにしか見えなかった人が、いまはすぐ近くにいて、こんなにはっきり見ることができる。それが不思議だった。昨日と同じTOSHIだよなぁ……なんて、おかしなことを考えてみたり。 TOSHIはサイン&握手会を終えて、いったん引き揚げた。 会場は屋外だった。次の回が始まるのを待つ間、hideちゃんも来てるかなと思いながら、何となく空を見上げた。
17時10分、イベントの2回目が始まった。 再びステージに出てきて「そろそろ始めるか……」と言ったTOSHIの声はかすれていて、ドームの疲れを思わせる。 準備していると、小さな子供が「としー」と呼びかけた。それに対し、「なあに?」とやさしく応じるTOSHI。 また「としー」と、子供。「なあに?」と、TOSHI。 この「なあに?」って声がね、めっちゃやさしいんですよ。誰の声? って思っちゃうくらい、猫なで声なんですよ。昨日まで「お前ら、やるときゃやれよ!!」って叫んでた人がね、一体どこからそんな声が出るんだ? って思うような、聞いたことのないやさしい声で、子供に応えてるわけですよ。 TOSHIくんはやさしいけど、慣れてるファンにはわざと冷たい言い方をするときがある。それが嬉しかったりもするんだけどね。 でも、いいないいなー。私もあんな声で話し掛けられてみたいいよ。やっぱ、子供は最強だよね。
準備が整って、明らかにやる気なさげに話し始めるTOSHIくん。 「昨日までドームでコンサートやってたんで、疲れちゃって……声出すのも面倒くさいんだよね。PATAと同じくらい、やる気がない……」 拍手と笑いが起こる。 「あのー、漫才見に来てるんじゃないんだから、笑いながら手を叩くのはやめてもらえますか? 僕、一応ロックミュージシャンなんで」 苦笑するTOSHIに、さらに拍手と笑いが。 私たちだって、漫才を見に来たつもりはないのよ。でも、昨日のドームでのMCを踏まえてくれてるから、拍手したくなるじゃない? で、「PATAと同じくらい」なんて言うから、笑いたくなるじゃない? 「今日は2曲歌います。ね、ちょっとやる気あるでしょ?」 PATAとは違うところをアピールしてみる(?)TOSHIくん。 まずは「ありがとうのうた」を披露。 すごい! 話してるときはかすれ声なのに、歌はちゃんと声が出ている。どうやったら、あんな切り替えができるんだろうか。
そのあと、12,3年前に奥方とインドへ行った時のことを話していた。 学校がないところなのに、学校があってちゃんと教育が行われているように見せかけていたと。悪い村長がいて、利権絡みだか何だかのために子供たちに演技させていたと。子供たちの様子がおかしいからあとで訊いてみたら、学校なんて普段はやっていなくて、全部嘘だったと。でも、歌を聴いているときの子供たちの目は、キラキラしていたと。 そんな感じの話だった。
そして、質問コーナー。聞きたいことは山ほどあるものの、手を挙げる勇気はなく……。 最初に当てられたのは、右側の前のほうにいた人だった。 質問者「2日、3日とアリーナから参戦しました。昨日はライブのあと、メンバーと打ち上げに行きましたか?」 TOSHI「世界中からメディアが来てくれて、プレスパーティーがあったので、それには2,30分だけ顔を出しました。そのあとの打ち上げには僕は行ってません。今日これ(イベント)があるからね」 仕事優先で偉いでしょ? みたいな顔をするTOSHIくん。 TOSHI「他のメンバーは……全員は出てないんじゃないかなあ。YOSHIKIは、もしかするとまだ飲んでるかも。PATAは確実にいまも飲んでますね」 TOSHIくん、どうやらPATAネタが好きなようです。
2人目は、左のほうにいた男の子。私のところからは姿が見えなかったからはっきり分からないけれど、声の感じからすると小学校高学年か中学生くらいかな。 質問者「歌手になったきっかけは何ですか?」 TOSHI「歌手になったきっかけ……歌手になったきっかけ? えーと、歌手になったきっかけ?」 この質問によほど困ったらしく、「子供の質問は怖いなあ」とか「僕って歌手ですか?」とか言いながら、このあと「歌手になったきっかけ?」を10回以上は繰り返していた。 その様子がおかしくて、客席からまた拍手と笑いが。するとTOSHIくんは「歌手になったきっかけ?」の間に「だから、笑いながら手を叩くのはやめろって」を挟んでいた。 この質問に対する答えがとっても楽しい話だったので、できる限り思い出して再現してみたいと思います。
「僕は別に歌手になろうとしていたわけじゃないんだけど……プロになったきっかけってことで、いい? 僕は小さい頃から歌うのが好きで、でも当時はいまみたいにカラオケというものがなかったんですね。おじさんの時代って古いから。カラオケがないから、伴奏してくれるものがないと歌えない。それで小学校3年か4年のときに、ピアノとギターを弾き始めました。僕はクラシックとかは弾けないけど、歌の伴奏くらいなら弾けたんです。それで、自分で弾いて、一人で歌ってた。 小学校5年のときに、近くに住んでたYOSHIKIがドラムとエレキギターを買ったんです。両方いっぺんに買ったの。呉服屋のぼんぼんだから。僕はクラシックギターしか持っていなかったから、エレキをどうしても弾いてみたかった。それで、嫌だったけど、仕方なくYOSHIKIの家に行ったんです。エレキを弾かせてもらいに」 嫌だったけど仕方なく、ね。こういうふうにTOSHIがYOSHIKIのことを“悪く“言うと、なぜかとても安心する。私も、仲のいい友達に対しては遠慮ないこと言うから。
「YOSHIKIがドラム叩いて、僕がギター弾いて。当時はまだめちゃくちゃなドラムを叩いてました。ドンドコドンドコって。だから、RIKUくん(TOSHIと新しくバンドを組むことになった12歳の男の子)なんて、あの年でちゃんと叩けるんだから、ほんとすごいと思うよ」 まあ、YOSHIKIのドラムはいまでもある意味「めちゃくちゃ」ですが。 それにしてもマセてたのねぇ、出山少年と林少年は。
「それでバンドを組んで……中学2年のときに3年生を送る会で舞台に立ったりして。僕、最初はボーカルじゃなくてギターやってたんですよ。ボーカルは別にいたんだけど、こいつが歌が下手でね。下手だなあと思いながら一緒にやってて。そいつがアンプを持ってたんですね。歌が下手だけど、メンバーに入れておかないとアンプが借りられないから」 でもさ、そんなに下手なボーカルで、YOSHIKIがよく我慢したもんだ。 その人は、いまはどこでどうしているんだろう。普通のお父さんやってるのかしら。テレビなんかでXのYOSHIKIとTOSHIを見て、「あいつら、でかくなったなあ」なんて思ってるのかしら。
「僕たちが通ってた中学はマンモス校だったんですね。すごく大きかったから、3年のときに別の学校ができて。運良く、僕とYOSHIKIだけが新設校に移ることになって、その歌の下手なやつはそのまま残ったの。 それでボーカルがいなくなって、どうしよう……って。YOSHIKI、歌う?って訊いたんだけど、YOSHIKIは歌えないんですよ。それで僕が歌うことになって。YOSHIKIが歌えてたら、僕はこんなに苦しい思いをしなくてもよかったんだけど」
でもね、私は、YOSHIKIが歌えないことに感謝しているよ。 YOSHIKIが歌えていたら、いまのXはなかっただろうし、私はTOSHIと出会えなかったかもしれないもの。 人生って、不思議だ。人生って、たぶん、何かがほんの少し違っただけで、まったく別のものになっていたのだろうと思う。ちょっとタイミングがずれていたら、いまの友人とも職場ともXとも出会えなかったし、比較的自由に一人で外出できたり、簡単にライブに行けたりする環境も得られなかった。 いま私を取り巻く環境すべてが、奇跡的な出会いの結果なんだなあ。 YOSHIKIも、「僕とTOSHIが近くに住んでいたことが、まず奇跡だと思う」って言っていたし。
「高校になってもバンドを続けていて……僕たちは結構人気があったので、そのうちいろんなレコード会社から誘いが来ました。でも、それを全部断りました。もっと自分たちの価値を高めようとしたんですね。そうしたら、ソニーから声がかかって、ソニーならやってやってもいいかって……あ! ここにソニーの人、いないですよね!? それでデビューしました。その頃、僕たちは髪の毛をこんな逆立てていて、当時は放送禁止じゃないかっていうくらいだったけど、それでもデビューしまして。それがまあ、きっかけと言えばきっかけです。 こういう難しい質問は、やめてね」
以上、「TOSHIくん、デビューまでの道のり」でした。
最後の質問者は、最前列の真ん中にいた女性。この女性は、TOSHIよりはるかに声が枯れていた。 TOSHI「どうしたの。声、枯れてるじゃん」 質問者「昨日、叫びすぎました」 TOSHI「アホか!」 TOSHIに突っ込まれた。う、羨ましい……。 質問者「去年復活したとき、YOSHIKIとは10年間まったく連絡を取っていなかって聞いて、正直ショックやったんですね。でも、去年こうして復活してくれて、ライブでもYOSHIKIとすごく仲良さそうで、それがめっちゃ嬉しくて……」 ここで、女性は感極まって涙声になった。その想いが伝わってきたのと、私もおんなじ気持だよぉって、これまでのいろんな想いが込み上げてきたのとで、私までうるうる来てしまった。 TOSHI「あの、泣かないで下さい」 質問者「すみません……。私はメンバーと仲良いのが嬉しいんですけど、メンバーとは、よくご飯食べに行ったりしますか?」 TOSHI「プライベートで会うっていうのは、あんまりないですね。みんなあまり会えないので、会える時間があるんだったら、ご飯食べに行くより練習した方がいいかなと思うし。HEATHとはたまに会うかな。YOSHIKIは普段はロスにいるし、僕もずっと仕事があるし。PATAには、付き合いきれません」 やっぱり話の落としどころはPATAなのね。 TOSHI「でも、10年経っても20年経っても、そんなに変わらないと思いますよ。もう付き合い長いしね。大人になったし。できるだけ、いろんなところでコンサートはやっていきたいと思います。そんなに長くはできないと思うから」 うん、そうだよね。そのうち、みんな40代後半になる。YOSHIKIだって他のメンバーだって、体力は落ちていく。いつまでも、いまみたいな激しいライブができるわけじゃない。 「そんなに長くはできない」という言葉をとても寂しくは思うけれど、それは事実なんだろうし、私はそれをきちんと受け止めて、Xがどんな形になっても最後まで見届けるよ。
質問コーナーは終了。 最後に、「大切なもの」を歌ってイベントが終わった。「大切なもの」も、2日間のライブで声が枯れているとは思えないくらい、のびやかで気持ちのこもった歌声だった。 ちょっと迷ったけど、今回はグッズを買わず、サインと握手は諦めた。すぐ近くでTOSHIくんを見ることができて、楽しい話と歌を聴くことができただけで、十分満足だ。 近くにいられたことで、ドームで共に過ごした夢のような2日間までもが、現実味を帯びたよ。 3日間、本当にありがとう。
※1日目の無敵な夜はこちら
XJAPAN WORLD TOUR Live in TOKYO〜攻撃続行中〜 2日目 18回目の夜〜SPECIAL
東京ドーム2daysの2日目。X/XJAPANとして通算18回目の東京ドーム公演だ。 開場10分遅れ、開演20分遅れ。すごい! 2日間ともわずかな遅れで始められるなんて、ずいぶんと心を入れかえたもんだ! どうせすぐには開場しないだろうと思って、開場待ちの通路でサンドイッチを食べていた私。「もうすぐ開場いたします」とアナウンスがあったときは、ちょっと慌ててしまった。
セットリスト↓ Amethyst(S.E.) Rusty Nail WEEK END 新曲 DRAIN Longing〜途切れたメロディ アコースティックVer.(TOSHI、PATA、HEATH) Tears YOSHIKI & SUGIZO 紅 オルガスム --アンコール1-- VIOLET UK DRUMS SOLO Without you --アンコール2-- PROLOGUE I.V. X ENDLESS RAIN Art of Life (後半のみ) Say Anything(S.E.) Forever Love(S.E.)
この日はAmethystで始まった。が、初っ端から音が途切れるハプニングがあり、会場がざわついた。 私は「ライブが始まる瞬間」にもだいぶ慣れたようで、泣かずに済んだ。 Rusty Nailのイントロを使ったメンバー紹介から新曲までは、1日目と同じ流れ。新曲の次、1日目はCEREBRATIONだったけど、この日はDRAINだった。この曲、好き。特にHIDEが「DRAIN!DRAIN!」って合いの手(?)を入れてる声が好き。曲の終わりに、TOSHIが気迫のこもった声で引っ張るところも。 泣いても笑っても今日で最後なので、とにかくありったけの声で叫んで、歌った。
アコースティックコーナーでTOSHI、PATA、HEATHが再登場するときのBGMは、1日目と同じくTOSHIの「大切なもの」だった。1日目はインストのみだったけど、この日は歌入りが流れた。 ステージに並べられた椅子に3人が腰掛け、 TOSHI「お前ら大丈夫かーーー! HEATHは? HEATH、気合い入ってるね! 髪の毛、立っちゃってるじゃん!」 この日、HEATHは右半分の髪の毛が逆立っていました。ちなみに、衣装も1日目よりかっこよかった! 私好みのノースリーブで、二の腕むき出し。 TOSHI「PATAちゃんは気合いとは無縁の人だからなあ。PATAちゃん、大丈夫?」 PATA「無理です!」 い、言い切ったね。さすが石塚先生、大物です。他のメンバーとは格が違います。 TOSHI「PATAは気合い入ってないぜーーー!!!」 いいんです、いいんです。PATAが気合い入ってたらいけません。 TOSHI「HIDEちゃんは?」(←右後ろを振り向きながら) 一同「HIDEーーー!!!」 TOSHI「HIDEちゃんは大丈夫かな?」 一同「HIDEーーー!!!」 TOSHI「HIDEは大丈夫だって」 なんか、こういうさりげない一言が泣かせる。きっと、後ろの方から声が聞こえたんだろうね、うん。それとも、何かサインが見えたのかな。 そのあと、SUGIZOもYOSHIKIも気合い入ってます、みたいなことを言って、 TOSHI「TOSHIは大丈夫かなあ?」 一同「TOSHIーーー!!!」 TOSHI「TOSHIは大丈夫かなあ!?」(←さっきより強めに) 一同「TOSHIーーー!!!」 TOSHI「俺は大丈夫だぜーーーーーっ!!!」 1日目と同じパターンだったけど、1日目より叫び方に気合いが入ってた。それに、ここまでのやり取りが1日目よりおもしろかった。 TOSHI「1年ぶりに東京ドームに戻ってきました。この1年もいろいろあって……まあ、またできるかもしれないし、今日が最後かもしれないし……」 一同「えーーーっ!」 TOSHI「俺たちはやりたい!」 えーと、もしや1日目にXジャンプしたことでドーム側から何か怒られたんでしょうか。 でも、いいよいいよ。もしドームが出入り禁止になったら、横浜アリーナに来ればいいじゃん♪……って、そういう問題じゃないか。キャパが違い過ぎるし。 TOSHI「どんなに脅されても、すかされても、弱い自分を強行突破していくぜーーー!!」 えーと、このときの言い方がいつもより冗談ぽく笑いながらだったんですが、何かドーム側から脅しをかけられてるんでしょうか。 でも、いいよいいよ。もしドームが出入り禁止になったら、横浜アリーナに……(以下同文)。
で、Longingを披露。 演奏後、TOSHIがHEATHと抱き合った。泣ける光景。ついでみたいな雰囲気で、TOSHIがPATAとも抱き合った。くすりと笑える光景。PATAが絡むと、なぜか笑えてしまう。 退場するとき、TOSHIがHEATHに飛び乗って、おんぶしてもらってた。TOSHIくん、HEATHのこと大好きなんだねえ。
Tearsを経て、YOSHIKIのピアノとSUGIZOのバイオリンのコラボ。 その流れのまま、SUGIZOがバイオリンで紅のサビを弾いて、TOSHIが歌い始めた。 ごめん。正直なところ、ものすごく複雑な気持ちになってしまった。復活以来、紅は毎回毎回、HIDEの映像つきギターソロから始まっていた。1日目も、そうだった。 SUGIZOが正式加入するっていうのは、こういうことなんだ。SUGIZOはHIDEの代わりじゃなくて、6人目。そうは言っても、HIDEからSUGIZOに少しずつ比重が移っていくのは当然だし、仕方のないことだ。いつまでもHIDEに頼ってるわけにはいかない。それは事実。そして、SUGIZOのバイオリンは、間違いなく新生Xを強力にしている。 ただ、いない人の穴はこうやって埋められていくんだなあって、見せつけられたような気がして、一瞬、本当に一瞬、その場の空気についていけずに取り残された。 でも、これは裏を返せば、「SUGIZOのバイオリンで紅を始める」という新しい試みが大成功だったということかもしれない。 SUGIZOがあまりに情感たっぷりに奏でるから、その音があまりに紅に馴染んでいたから、あまりに美しくて、涙が出そうなほど美しいから、だから複雑だったのだと思う。もし、SUGIZOのバイオリンがいまいちだったら、私は「複雑な気持ち」になんてならず、もっと単純に「嫌な気分」だったと思う。 SUGIZOがバイオリンでAmethystを弾いたら、綺麗だろうなあ。いつか、それで始まるライブを見てみたい。そのときはたぶん、もう複雑な気持ちにはならないと思う。
さて、紅の勢いに乗ってオルガスムに突入。このとき、ステージの左右から巨大なYOSHIKittyが登場した。 DVDで見ていたときは長く感じたオルガスムも、その真っ只中に身を投じて没頭しているとあっと言う間だった。 メンバーが「We are!!」と叫ぶので、腹の底から「X!!」と叫んで返す。YOSHIKIがCO2を撒いて走っていた。 メンバー全員の底知れない気合いに、私たちも束になって応えた。腕と喉が疲れてきて、それでも叫び続ける。自分の声が何を発しているのか分からなくなって、意味不明な叫びになっても。 このオルガスムのときだったか、あとのXのときだったか忘れてしまったけど、PATAまでもが「We are!!」と叫んでいた。PATAの煽りを聞けるなんて、貴重だ。
VIOLET UKからWithout youまでは1日目と同じ。Without youが終わると、YOSHIKIがちょっと腰をかがめて、TOSHIに乗るように促した。TOSHIが飛び乗り、YOSHIKIにおんぶされながら退場。こういう光景は微笑ましくて大好き。本当、おんぶし合うのが好きな人たちだ。
再登場をしばし待つ。 1階スタンド、私の位置からよく見える席にいた男性が「We are!!」と叫んだ。私も含め、周辺の人たちがそれに応えるべく「X!!」と返す。それを何度も繰り返して、男性の声が枯れると、男性の前にいた女性が「We are!!」を引き継いだ。これはなかなか楽しい時間だった。知らない者どうしでも、同じ熱い思いを共有する仲間として瞬時に一つになれるのだ。 そうこうしているうち、客電がついて会場内が明るくなった。これには正直焦って、内心ドキドキしていた。「もしや、何か不測の事態が生じてライブ終了!?」と頭をかすめて、不安になった。悪い意味で、復活ライブの再来かも……と思ってしまったのだ。 が、しばらくするとPROLOGUEが流れてメンバー全員が出てきた。
I.V.のサビを合唱中、花道のすぐ前にいた女性ファンが、なんと花道に上げられた。フランスと韓国のライブを延期してしまったため、そのお詫びの意味で両国から数名ずつ招待していたらしい。花道に上げられた女性たちは、メッセージが書かれた横断幕と花束をメンバーに渡し、なんとなんと、メンバーにハグされた! これには会場中から悲鳴が上がった。
合唱が続く中、 TOSHI「今日はここに来られなくて、パソコンの前で見てる奴もいるぜー! そいつらにもお前たちの声を届かせろ!!全国のぉ、お茶の間にぃーーー!!!」 出た! 全国のお茶の間に!!
I.V.からXへ。2日間ともXジャンプを強行突破。思い切りXジャンプを誘導していた。出入り禁止になろうがどうなろうが、あとのことは知るか! そして、ENDLESS RAIN。さすがに声が出なくなってきて、途中から歌えなくなった。 ENDLESS RAINのサビを繰り返す私たちを置いて、メンバーはステージから姿を消してしまった。 それでも歌い続けていると……聞こえてきたのは、Art of Lifeのピアノ!! 実は、ENDLESS RAINの時点で、ひそかに「今日はこれで終わるはずがない!」と思っていた。だって、ドームに着いたとき、中からリハーサルらしきArt of Lifeが漏れて聞こえてきたんだもの。だから、今日は絶対この曲をやってくれるって期待していた。
YOSHIKIのArt of Lifeのピアノソロは、ドラムソロに引けを取らないくらいの気迫があって、神がかっている。見つめていると異空間にいざなわれるような、そしてちょっと胸が苦しくなる感じ。 長いピアノソロを経て、他の5人も再登場。SUGIZOが、Art of Lifeを弾いている。 私が行った去年の復活ライブ1日目では、前半だけ演奏された。今回は、後半のみ。これで、私の中ではやっとArt of Lifeが完結したことになる。 この曲は、Xの中でも独特の濃密な世界がある。ライブで聴けるのは嬉しいけれど、あまり頻繁に聴けてしまうのは恐れ多くもある。壮大で神々しいから、もったいない。 TOSHIの、魂からほとばしるような声で、曲が終了。
私の位置からは、3本あるうち下手側の花道が見えやすかった。カーテンコールでは、その花道の一番先までメンバーが一人すつ出てきてくれた。そのときは、大型スクリーンに向かってではなく、肉眼で見える生の彼らに向かって手を振った。 途中、流れていたForever Loveの音量がちょっと不安定になった。Ametystも音が途切れたし、最初も最後もつまづくなんて今日の音響はいったいどうなっているんだと思わなくもないけれど、まあそれはご愛嬌でしょう。 手を振りながら花道をゆっくり歩く彼らを見ていると、自分はなんて最高で最強のやつらに出会えたんだろうと、この巡り合わせに感謝した。たとえ何年待たされても、どんなに心配させられても、何があっても、XJAPANが私にとってかけがえのない存在で、一番のエネルギーの源であることは変わらない。ライブが終ろうとするこの瞬間のこの気持ちに、私にとっての全ての意味が凝縮されている。 SUGIZOが、HIDEを連れてきた。復活以来いつも登場する赤い髪のHIDE人形じゃなく、リニューアルされたものだった。ずいぶん前、たぶんまだTAIJIがいた頃の髪型だ。HIDEちゃん、ひとりだけ若返ったのね。 ステージ上ではなく、真ん中の花道の最前で、6人そろっての万歳。みんな、いい笑顔だった。
4時間以上の強烈なライブだった。 この2日間はあっと言う間、夢のように、嵐のように過ぎていってしまった。帰ってお風呂につかりながら、「あれ? 私、もうお風呂に入ってる……昨日と今日のことは夢だったのかな?」と疑ってしまったほど。 でも、次の日以降、ライブの感動と満足感は現実味を伴う余韻となって、私の心にじわじわ広がることとなる。 願わくば、また最高のステージで、あの6人と時間を共にできますように。 無限の愛と感謝を込めて。
XJAPAN WORLD TOUR Live in TOKYO〜攻撃続行中〜 1日目 無敵な夜
東京ドーム2daysの1日目。そして、hideが飛び立って丸12年の日。 開場は40分遅れだったけど、開演はたったの20分遅れ。Xの場合は、20分なんて遅れたうちに入らないと思う。やればできるじゃないの!
セットリスト↓ THE LAST SONG Rusty Nail WEEK END 新曲 PATA solo HIDEの部屋〜CEREBRATION〜(HIDE、PATA、HEATH) ROSE OF PAIN アコースティックVer.(TOSHI、PATA、HEATH) Tears YOSHIKI & SUGIZO DAHLIA 紅 --アンコール1-- VIOLET UK DRUMS SOLO Without you --アンコール2-- I.V. X ENDLESS RAIN Say Anything(S.E.)
紫の照明に照らされる中、THE LAST SONGで始まった。Xのライブが始まると、いろんな思いが込み上げてきて、どうしても泣いてしまう。 今回はTHE LAST SONGは歌がなく、ピアノだけだった。 Rusty Nailは、香港のときみたいにピアノと歌だけのサビから始まった。TOSHIがサビを歌い上げるとステージにかかっていた幕が落ち、聞きなれたRusty Nail のイントロ。が、いつもよりイントロが長く、その間にメンバー紹介があった。SUGIZOが正式加入したことだし、メンバー紹介も新しいバージョンにしたのね。 HEATHコールが、いつものライブより何倍も大きく聞こえた。 ステージにはちゃんとHEATHがいて、もちろんHIDEもいる。この6人でのライブが本当に奇跡的なことだと思えて、叫ぶように歌いながら涙が流れた。 去年の復活ライブより音が悪い(割れている)ような気がして、それがちょっと難点。
WEEK ENDのあと、TOSHIが言った。 「今日は久しぶりのXのコンサートだ! それに加えて、今日は5月2日だぜー!」 皆でHIDEの名前を叫ぶ。私は自然と、ドームの天井を見上げた。空が見える会場だったら、もっと良かったのにな。
「お前たちにプレゼントだ!」ってことで、新曲を披露。 TOSHIがタイトルを叫んだと思うけど、聴き取れず。あとでネットで確認したら、「Jade」という曲らしい。 確か、ライブの前々日くらいまでYOSHIKIが詞を書き直していたって、YOSHIKI mobileにあったっけ。直前に出来上がった歌詞を覚えて歌いこなさなきゃいけないなんて、TOSHIくん大変だわ。相変わらずヴォーカル泣かせですな(笑)。 大部分が英語詞のため、なんて歌っているかほとんど分からなかったけど、曲は激しさを基調としつつも後半は美しさもあり、かっこいい仕上がりだった。サビで「Beautiful〜」って何度か言ってたな。それが唯一、聴き取れた。 SUGIZOのギターが効いてて、新生Xの進化を思わせる曲だった。早く音源化されて、きれいな音で聴いてみたいものだ。
PATAのギターソロとHIDEの部屋のあと、TOSHIのソロ曲「大切なもの」が流れる中、TOSHI、PATA、HEATHが登場。 ここでも会場中からHEATHコール。私も、TOSHIよりHEATHを優先して叫んだ。私たちの想いがHEATHや他のメンバーに届き、伝わりますように。
TOSHI「みんな大丈夫かーっ! HEATHは? HEATHは大丈夫?」 応えるように、HEATHがベースと腕でXを作った。 その嬉しそうな表情を見たら、安堵と感謝と愛しさの塊が襲ってきて、またうるうるしてしまった。 TOSHIが「PATAも大丈夫?」と言ったあと、「HIDEちゃんも大丈夫?」と、ちょっと後ろを見上げながら当たり前のように言った。TOSHIが振り返ったステージの後方、やや下手側、そこからHIDEがひょっこり顔を出すんじゃないかと思った。
TOSHI「今日のコンサートのタイトルは、強行突破って言うんだ」 ええ、そうですね。いろいろ問題が発生してライブ開催が危ぶまれたあと、それでもやる!って言って「強行突破」という副題が追加されたっけ。 TOSHI「強行に、突破するんだぜ!! 強行突破……誰が考えたんだか……」 それからさっきの続きみたいに「YOSHIKIは大丈夫? SUGIZOも大丈夫?」と、ステージにいない二人に呼びかけたあと、 TOSHI「TOSHIも大丈夫?」 一同、TOSHIー!!と叫ぶ。 TOSHI「俺は大丈夫だぜーーーーっ!!!」 自分で訊いて、自分で答える……えーと、新手のノリ突っ込みでしょうか?(←いや、違うと思う)
3人でアコースティックバージョンのROSE OF PAINを披露。なんてナイスな選曲! 「青い夜/白い夜」のDVDを見て以来、アコースティックのROSE OF PAINを生で聴いてみたかったのだ。 途中で曲調が切り替わって速くなるとき、TOSHIとPATAが顔を見合わせてタイミングを計る表情が好き。声には出さないけど、二人とも「行く? 行くよ?」って言っているみたいな笑顔がかわいい。
3人と入れ違いでYOSHIKI登場。ピアノでTearsを弾くので、すかさず皆でサビを合唱。何を出されてもすぐ対応できるのは、私たちXファンのすごいところだと思う。 他のメンバーも出てきて、本格的にTearsが始まった。復活以来、この曲を頻繁にやってくれるようになったのが嬉しい。TOSHIもTearsが好きだって言ってたし。 バラードを合唱するときが一番、会場の一体感を感じられる。自分と皆の声に耳を澄ませていると、自分がいま、6人と5万人と同じ空間、同じ時間、同じ想いを共有しているんだという感動と幸福感が、心の底から湧き上がってくる。
そのあと、なんとSUGIZOがバイオリンを持って登場し、YOSHIKIのピアノとのコラボレーション。これはまさに新生X! SUGIZOのバイオリンは、美しい中にも、どこかギターっぽい力強さと激しさがあった。SUGIZOはセクシーで、優雅だ。 そして、二人が奏でたのはDAHLIAのフレーズ! TOSHI、PATA、HEATHも再び出てきて、TOSHIが「DAHLIA!!」と叫んだ。それまでのピアノとバイオリンの美しい音色が一転、本来の激しいDAHLIAが始まる。会場が沸き立った。なんてったって、復活して初めて演奏されるDAHLIAだもの。「ライブでやってほしい曲リクエスト」をきちんと反映してくれたのかな。 メンバー全員、初日と思えないくらいの気合いだった。いろいろなことがあった分、きっと。 そのままの勢いで、紅へ。何回聴いても、何十回聴いても、何百回聴いても、紅は最高! 私をXに引きずり込んだ曲だもの。
アンコールはVIOLET UKのショーで幕を開けた。初めに映画「GOEMON」の主題歌になっている「ROSA」が流れ、そのあとは某デザイナーとコラボしたダンス&ファッションショー。 確かにショー自体は面白い、と思う。モデルさんたちはきれいだし、衣装やメイクは独特の世界観がある。後半でSUGIZOが登場したけど、彼のパフォーマンスが醸し出す雰囲気もショーに合っている。 が、敢えて言わせて頂くなら、これを「XJAPANのライブ」でやらなくても良いのでは? YOSHIKIにはXとは別に表現したい世界がある、ということはよく分かる。でも、それはそれでまた別のところでやってよ、というのが正直な感想だ。
続いて、YOSHIKIのドラムソロ。これも生で見るのは初めてだ。 途中、ドラムセットを組んでいる台が上がって、アリーナ席へ向かって花道を移動してきた。 空中で一心にドラムを叩くYOSHIKI。ドラムの合間に、左側に備え付けてあるキーボードでForever Loveを弾いて見せた。 生で見るYOSHIKIのドラムソロは、やっぱりDVDで見るのとはわけが違った。一度見始めたら、目が離せないしわずかな身動きも取れなくなってしまう。腕の動きも高速で踏む足の動きも、表情も飛び散る汗も、破壊的で美しい。 あのひととき、たぶんYOSHIKIには何かが降りてきているんだと思う。まるで、神事を見ているみたいだった。
ドラムソロが終って、ステージにはスポットライトを浴びてTOSHIが登場、Without youを歌いだす。 YOSHIKIがドラムから下り、ピアノへ向かって花道を歩く。 今回のWithout youは、生ストリングス付きだった。
I.V.が始まるときのサビの繰り返しでは、TOSHIがお約束のように「YOSHIKIが歌ってないぜ〜!」と。 マイクを向けられて、花道を全速力で走って逃げまわるYOSHIKI。それを追いかけるTOSHI。二人の追いかけっこは微笑ましく、見ていて嬉しくなる。それにしても、YOSHIKIって足が速いのね。 I.V.が終わると、YOSHIKIがドラムスティックでXを作った。 ドーム側から「Xジャンプを誘導しない」という誓約書を書かされたなんて話が出ていたけれど、そんなの無視で当然のようにXをやってくれちゃう。 このとき、「無敵」と書かれた大きな旗を掲げて、男の人たちが何人も出てきた。TOSHIは「仲間たちが集まってくれたぜ! 無敵バンドだ〜〜〜!!」と言っていたけど、どこの誰だかさっぱり分からず……。 曲が始まれば、TOSHIがジャンプする。当然、みんなもXジャンプ。 もちろん、HIDEの「とべとべとべ〜〜〜」もあった。このHIDEの「とべとべ」ではいくつかの映像を同時に流すのだけど、今まで出てきたことがない古いライブ映像が入っていたような気がする。自粛するどころか、パワーアップしてるじゃないの!
Xが終って、今日のライブはこれで終わりだろうなと思った。たぶん、会場中がそういう雰囲気だった。 でも、ステージの上でYOSHIKIがTOSHIに何か言って、頷いたTOSHIが「本当は今日はこれで終わりなんだけど、YOSHIKIがもう一曲やるって言うんで……」と! TOSHIいわく「みんなでこの曲をHIDEに届けようぜ!」ってことで、ENDLESS RAIN。 こんなサプライズもあって、なんて夢みたいなライブなんだろう。そう思って、それからHIDEを想って、感極まってしまって途中で歌えなくなった。
カーテンコールでは、なんとHEATHが花道からアリーナ席に下りて、走りながらファンとハイタッチしていった。それが、HEATHの偽らざる思いの表れなんだろう。 それから、YOSHIKIとTOSHIがHEATHの両手を引いて、花道を駆けた。それもきっと、YOSHIKIとTOSHIの、HEATHやファンに対する偽らざる思いの表れだ。 彼らの本当に嬉しそうな笑顔を見ていたら、散々心配させられたことなんて吹っ飛んで、ただただ感謝の気持ちだけになる。たぶんこれからも心配させられるんだろうけれど、そんなことはどうだっていいのだ。取るに足りないことだ。
HIDE人形も出てきて、最後に6人がステージに並んで万歳。 初日から3時間以上、でもあっと言う間のライブだった。
さて5月です。 昨日「4月が終わってゆく……」という日記を書こうと思っていたのに寝てしまい、5月になっていました。 あまりに月並みすぎて書くのが憚られますが、もう1年の3分の1が過ぎたのです。なんという早さ!
明日から5連休。 いよいよライブ! 明日、5月2日は、できればドームじゃなくて空の見えるスタジアムがよかったなあという思いもありますが。 でも、諸問題も無事に解決したようだし、天気も良いみたいだし、ひとまず安心です。
ったく、しょうがねぇなあ。今回は許すけど、もう心配させるんじゃないわよ? 彼らは恩人で心の支えであると同時に、なぜか我が子のようにも思えてしまう。 だから、しょうがないんだ。結局最後は許してしまう。親ってたぶん、そういうもの。
SUGIZOには、心から感謝と歓迎と期待の拍手を。
そして明日は、溢れんばかりの愛を込めて、腹の底からHEATHコールです。
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