しろにじ創作倉庫



そしてあたしも

2005年08月30日(火)


誰かを責めて憎むのは

とても簡単なこと

だけど罪重き人だけが

赦してやることを知らない

どうかしてるよ どいつもこいつも

どうかしてるよ そしてあたしも


海の向こう夜明け星

2005年08月22日(月)


泣いてすむなら 泣くがいいさ
泣いて泣いて 泣き疲れるまで

明日になれば
泣き濡れた頬を拭って
一歩一歩 土を踏み締め
歩き出して

海の向こうは 悲しみの国
だけど人は 船を出すのさ
誰も知らない 旅立ちの時
星だけが見てる
あれは魂(たま)呼ぶ 夜明けの星

泣いてすむなら 泣くがいいさ
人の体は 水でできてる
干上がることなんて 心配するなよ
泣いて泣いて 涙涸れても
心涸らすな 


愚者の船

2005年08月20日(土)

道化師が手を振る
行き先はこちらだと招いている
乾いた死の笑い はね返る不気味なこだま

海がないのに
どこからともなく波の音が聞こえてくる

あの音は波の上をすべる船
静かに静かに進む船
愚者たちを乗せて楽園へと向かう船

おいで 仲間が待っていると道化師は誘う
聖なる船に乗って
浄土を目指し旅立つために

でたらめな歌とでたらめな音楽
不思議な歌は合唱となって波の音と重なっていく
空には色とりどりの花火
この呪われた出航を祝福しているかのように

道化師が手を振る
後戻りはできないと笑っている
白いもやの立ちこめる先は未来のない未来
めざす涅槃は そこにあるのだと

響き渡る 出航の銅鑼
むせび泣く 汽笛を誰が聞こう
別れを惜しむ者はいない
幸せなる者たち 選ばれし者たちの船出

異国の楽器を道化師はかき鳴らす
踊る人形 笑う影
乱痴気騒ぎの甲板の上
ふるまいの陽気な酒を浴びて
海鳥たちよ 歌え
聖なる歌 歓喜の歌 愚か者の歌を

さんざめく 声 声 声
あお あか みどり き そして黒
五色のテープを渡す彼の岸 此の船上

愚者たちを乗せて
船はいま錨を上げる
音も立てずに岸壁を離れ行く

振り返るなと道化師が言う
本物の愚者たちの住む陸は
あの島国

さあ行こう 希望を掲げて 
涯なき蒼き海原をはるか漂い続ける
愚者たちの船


聖域

2005年08月06日(土)


病んでいるのは
「彼ら」なのか
それとも「我々」なのか

純粋であるがゆえに
純粋であり過ぎるがゆえに
蝕まれていく心
生きていく嘘に耐えられぬ心

崇高な魂はもはや
この次元では生きられない

真実と虚偽との間で
ゆらゆらと揺れる天秤が
傾くのはどちらなのか

病んでいるのは
社会か人か
世界中が狂っているのか

壁一枚隔てた
向こう側の世界こそが
侵すべからざる聖域なのか


島の話 (ユンヌ)

2005年08月01日(月)

サトウキビ畑には風の通る道がある

ざわざわと音の鳴る
背の高い茎の葉の間を
見えない風が通りすぎる

海と溶けて
色を失いはじめた空
重なりあう雲と雲はさらに白く

海の色をその眼に写し取りながら
風の音を聞いていた

太陽はいつもそこにあり
サトウキビ畑の下
永遠に続く夏を信じた

白い砂浜に足をおろすと
小さな砂の粒が
悲鳴をあげてきしんでいく

朽ちたサンゴのかけら
アダンの葉の緑
夕焼けの中で海と灯台が
まるで動かない絵のように
そこにとどまっている

まぶしかったあの日々は
どこへ行った
海から吹く風の音を
いつもどこかで聞いていた
あの夏の日は

日に焼けた肌に
血が滲むのもかまわず
サトウキビ畑を駆け抜けていく
少年達はもういない

波が寄せて そして引いて
海鳴りを数えるたびに
夜は深くなっていく

海の際まで続く星
私の見上げた夜の空は
いまもそこにあるだろうか

ああ あの島は
夢の拠るところ
いつか失われていく
かけがえのない宝

いまは
いまはもう遠い
はるかな南の島の話



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何年か前、与論島に行った後で創った詩です。
海、砂浜、珊瑚、色とりどりのハイビスカス、蘇鉄、etc
とてもいいところでした。
シュノーケリングをして海の中を見ました。
ブルーサンゴにお魚さんたち、幻想的でした。
バナナミルク味のかき氷もおいしかった。(やっぱ食い気か)

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