しろにじ創作倉庫



アトランティスへ

2005年06月11日(土)


夢の大陸 まぼろしの海
どこで眠っているのだろう

一万二千年もの時の中
暗く深い海の底
未来を生きる僕達に
神秘と謎だけを与えておいて

その大陸の名はアトランティス
遥かな昔栄えた都市
けれど怒りの海が一夜にして
その大陸を飲み込んだ

今なお眠るアトランティス
目覚めるのはいつの日か
青い青い海の果て
僕はそこへ辿り着けるだろうか


橋を渡って

2005年06月07日(火)

橋を渡れば そこは希望の国自由の国

橋を渡っておいで
自由のない国から誰もが自由を享受する国へ

国境の錆びた看板にはそう書かれている
だけど誰一人それを読めるやつはいなかった

橋の向こう側にある国だって
この国とたいして違いはないはずさ
だけど誰一人それを信じるやつはいなかった

橋を渡って
国境を越えられる者はいなかったから
生きて再び帰ってきた者はいなかったから

そのはずさ
やつらはみな橋の下を流れる河に眠っている
銃を持った国境警備兵に撃たれてしまったのさ

国境警備兵にだって
橋を渡ろうとするやつの気持ちは痛いほど解るんだ
だけどそれが彼らの仕事なのさ
監視の眼を逃れて
橋を渡る者 国境を越えようとする者に
引き金を引くことが

橋の向こうもこの国も
支配してるのは絶望という名の未来だけ
人生はどっちに転んでも同じこと
だけど俺だって希望のひとつくらい信じたかった


紫苑の黄昏 瑠璃の夜明け

2005年06月03日(金)


いまも大人になりきれない 群れの中の羊たち
小心者で臆病者で 傷つく前に傷つける

地球の夜明けはきょうもまた
彼方を瑠璃の色に染め
いつもと変わらぬ表情で僕らの上に降りてくる

こんなきれいな夜明けには 心が洗われていくけれど
太陽が天に昇ってゆけば そんなことすら忘れてしまう
心を固く閉ざしたままで 愛することのうわべを真似て
幸せなふりをしているだけの
心優しい茶番劇

気づいてみればきょうもまた
空は紫苑に黄昏れて
こんなきれいな夕暮れ時は 心が悲しくなるけれど
星の輝きひとつだけを 涙のふりして落としてみせる

風は懐かしい調べをのせて 遠い記憶を誘うだろうが
感動すらもできないままに 僕らは大地に立ちつくす

だけど
絶望するのはまだ早い

紫苑の黄昏 瑠璃の夜明け
汚れたものも醜いものもあるけれど
ありふれた命を今一度 謳って感謝すればいい

奇跡の星の住人よ

外宇宙から眺めてみれば 地上はきょうも美しい
生きてる自由も不自由も 思いの外悪くない

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